アナウンス:スラドとOSDNは受け入れ先を募集中です。
Huのコメント: Re:エネルギー保存則? (スコア 1) 109
Huのコメント: Re:クレヨラって何? (スコア 1) 62
参考になる、をつけたい。
そういう時に限ってモデ権はないのであった。
Huのコメント: Re:ネーミングセンス (スコア 1) 32
Huのコメント: Re:藤井樹さがしゲーム (スコア 1) 92
Huのコメント: Re:まさかと思うけど (スコア 1) 56
kahoの日記: 終わりに代えて〜STAP論文調査委員会NGSデータの公開を求める一提案〜 20
私事によりここ数日は休暇を取り多忙であったため出遅れてのコメントになります。
そのつもりはなかったのですがこちらでの発言に対して匿名での(卑怯な)告発扱いをされたこともあり最近は実名でTwitter(@caripso)での発言だけにしていました。今回こちらに書くのは140文字では収まらないからですが,色々騒がせてしまったこともありこのアカウントはこのエントリで最後にしようかと考えているところです。
私は調査委員会そのものに呼ばれたことはなく,解析も担当していないため発言には制約を受けないと考えますので思うところを述べていきます。以下の発言は組織とは全く関係なく,私一個人の意見です。
調査報告書に示された残存サンプルの解析は情報量も解析内容も膨大かつ詳細で,感嘆せずにはいられませんでした。
関係者の皆様のご苦労をねぎらうとともに感謝を捧げたいと思います。
kahoのコメント: Re:「STAP現象は検証する価値のある合理性の高い仮説」 (スコア 5, 参考になる) 148
>Oct4-GFP発現までは正しいと思いますので
正しくないですよ.
今日笹井先生が配られた資料を見てびっくりしました.
「遺伝子発現パターンの詳細解析でも、STAP細胞は、ES細胞や他の幹細胞とも一致せず」
若山先生もトランスクリプトーム解析でSTAPは他の細胞と違うと仰っていました.
ところが,その「トランスクリプトーム解析」で分かることは,STAP細胞と呼ばれるもの同士ですら
「遺伝子発現パターン」が様々であることです.
アーティクルの方では酸処理後3日でES細胞マーカー遺伝子がある程度ESの発現に近くなり7日で
ほぼ匹敵するという図になっています.しかしレターの方ではSTAP細胞におけるこれらの遺伝子
発現はES細胞よりはるかに少ないという結果が示されています(Ext.Fig.3b).
レターの方ではトランスクリプトーム解析は2セット行われていますが,もう片方はESに非常に近い
どころかマーカー遺伝子の発現がESより多いほどです.
トランスクリプトーム解析はOct4-GFP発現を確認した細胞で行っているものではなく細胞塊をつくった
細胞で観察したということですが,少なくともそれぞれの図ごとに非常に異なる遺伝子発現をもつ
別種の「STAP細胞」があるということを示しています.しかし同じ図に使われるデータ同士は似通っ
ているので,作成日時によってその時々の「STAP細胞」があるかのようです.
そうであれば他の幹細胞と一致しないのは当然だと思います.「STAP細胞」と同じ名で呼んでいながら
その性質は日々変わることになりますから.
また,ESよりはるかに少ないマーカー遺伝子の発現でもSTAP現象と称するならば,GFPによる蛍光の
観察はOct4やその他のマーカー遺伝子とはリニアな関係でなく,Oct4の発現がほぼ0に等しくても
GFPが観察されたり細胞塊を形成したりするのだろうということになります.
トランスクリプトーム解析ではこの論点を出す前に私の愚かなミスで自滅したので書きませんでしたが,
他の方にも是非生データから解析を行って見比べていただきたいと思います.
kahoのコメント: Re:なんとも (スコア 5, 興味深い) 172
本人です.
私は調査委員会や検証チーム(というものが内部にあるかも知りませんが)とは無関係です.
自分の考えとして解析結果を提出はしましたが,何も要請されていませんし,こちらから情報の提供も求めていません.
関係がある場合,例えば自分の実績のために内部情報を悪用したと言われかねませんので,そうならないように注意してきました.
かつて同様の問題で苦労された石井先生がこの問題で常に言葉を選んで来られたように,法廷で研究者の常識が認められるとは限りませんので.この部分ははっきりさせておきたいと思います.
まさか,そうしておいてよかったと思うような事態になるとは想像していませんでしたが・・・
kahoのコメント: Re:インフォマティクス (スコア 3, 参考になる) 63
(バイオ)インフォマティクスも今では裾野がかなり広がっており,確かにイメージがつかみにくいですね.
お尋ねの内容とは合致しないかもしれませんが私の考えを述べますと,今回の文脈では,簡単に言うと大量データ中心の生命科学とでもいえるかと思います.
今回の論文ではRNA-seq, ChIP-seqという,遺伝子の発現を全て観測する方法,遺伝子発現の制御を網羅的に観測する方法が使われています.これらの生データを印刷しても全く意味をなしません.コンピュータで処理して初めてその意味を知ることができます.
その他にも様々な方法がありますが,膨大なデータから意味を抽出し,統計的な処理と適切なモデル設計をして仮説を検証することで,生命現象を解明しようという立場は概ね共通しているかと思います.
この結果が欲しいからデータをこのプログラムにかけろ,といった下請け感覚ではなく,この仮説を検証するにはどういった規模でどのようなデータが必要か,あるいは得られたデータの特徴は何でどういったモデルでそれが明らかになるかといった建設的な議論がウェット(実験系ラボ)とドライ(解析系ラボ)の間で当たり前のように交わされるようになることを期待しています.