SDの日記: JISかな vs 親指シフト
先日の日記で、
その前に要筆における入力に「JISかな」を採用するか「親指シフト」にするかという問題にまだ結論が出ていなかった
と書いたが、「親指シフトまで視野に入れてるなら親指シフトを選ぶだろ? JK」と考える人が多いと思う。しかし私には1つだけ未解決の事案があって、それを解決してから決めたいと思っていたのである。それは、以前見かけたWEB日記に端を発する。
JIS配列キーボードによる「かな入力」を完全に習得し、同音異義語の使い分けなど正しい国語表現が身についた人の場合、字幕の入力・変換ミスを出力前に校正する「チェッカー」としてならば、ほぼ即戦力として仕事ができる可能性もあるそうだ(ローマ字入力・親指シフトは不適)。
もし上に示す「親指シフトは不適」の内容が私にも認識できるほどの致命的な欠陥であるならば、わざわざ苦労して親指シフトを導入しなくとも、標準で入っているJISかなを採用したほうが得策ということになる。
しばらくの間、1次ソースを見つけることができないでいたのだが、最近になってこの記事が毎日就職ナビによるスピードワープロ学院の紹介記事であることがわかった。(既に消滅しているので例のサイトのキャッシュから。下記引用文中太字は先述の引用になかった部分)
JIS配列キーボードによる「かな入力」を完全に習得し、同音異義語の使い分けなど正しい国語表現が身についた人の場合、字幕の入力・変換ミスを出力前に校正する「チェッカー」としてならば、ほぼ即戦力として仕事ができる可能性もあるそうだ(ローマ字入力・親指シフトは不適)。自信のある方はスピードワープロ学院まで問い合わせを。
ローマ字入力が「不適」である点に異論はないが、どうして親指シフトがだめなのか。ひとりでずっと考えているだけでは埒が明かないので、スピードワープロ学院に突撃してみることにした。
「あのー。毎日就職ナビにこういう記事があったんですが……」とプリントした記事を見せると先生は一言。
「どっちも駄目。この記事はでたらめ。」
……とばっさり切られてしまった。
エエエエェェェェ(´Д`)ェェェェエエエエ
つまり、「スピードワープロ研究所では親指シフトはもちろんのこと、かなタイパーを校正者として採用している事実はない」ということなのである。
ガセネタだったのかい! 侮日の記者も適当なことを書いてるよな。
良く考えてみれば、スピードワープロのチーム編成は「入力者3名にそれぞれ校正者1名がついた6人体制」をとっていて、かつその全員がステノワードによる入力なので、そこにかなタイパーの入る余地はないんだよね。
すると、「『JIS配列キーボード云々……』という話はどこから来たのか?」という疑問が残るが、これは容易に推測できる。
TBSでは他局とは違い自社で字幕チームを抱えているが、TBSの関係者による講演に書いてある通り、当時のTBSのRT字幕チームで使われていたキーボードには1つだけJISかなが採用されていた。
親指シフトなら親指シフト、JISかなならJISかなで統一しても良さそうに思うのだが、「ガセネタ」の件を考えると、このJISかなが「校正チェッカー」なのかなー なんて思ったりする。
校正チェッカー役を他とは違う入力方式にしているのは、「入力方式独自の打ち癖によるミスを校正の段階で止めるため」と解釈すれば合点がいく。親指シフトでは、「同時打鍵ミスによるかな打ち間違い」という親指シフト独自の打鍵ミスがある。校正でも同じ入力方式にしてしまうと、そこでも同じ打ち間違いをしてしまう可能性があり、それだけはなんとしても避けなければならない。
問題の記事を書いた毎日就職ナビの記者は、このTBSの字幕担当者に聞いた話とごっちゃにしているのではないか。すなわち、親指シフトを「不可」としているのは、校正段階で同じ打鍵ミスによる抜けを防止するための措置であり、他の入力法との機能的優劣から来たものではない。
……というのが今回導いた私の結論である。
なお、2008年春に放送した「アッコにおまかせ!」で映っていた映像を見た限りでは、3台とも親指シフトキーボードに変わっていたことを付け加えておく。
……とまあ、後半は多分にファンタジーが入っているけど、親指シフト入力法に致命的な欠陥があったわけではないと考えてよさそうである。
これでようやく心置きなく親指シフトを導入できるってもんだ。
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※10月4日typoを修正……標集て→標準で
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