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SS1の日記: ア杯:なぜ日本は強いのか?

日記 by SS1

ご冗談でしょう、ザックさん

決勝の日、戦前のNHKみてたら、ドーハに観戦しにきた日本の親子連れにインタビューしてて。子供に「日本は何点で勝って欲しいですか?」などと質問していた。子供はそれに応えて「いち対ゼロ」とか言ってて、テレビでみていた私は、「ねーよ!1-0なんてw」と、テレビの前で笑っていた。あの穴ボコディフェンスでありえねー。と。

その3時間後。歓喜と共に青ざめる自分がいた。

ウーノ・ゼーロ!

イタリアで至高とする勝ちかたが、1-0での勝利。狙ってこの得点差で勝つには、プロビンチャとカンピオーネの実力差がいる。だが、日豪にそこまでの実力差は無い。と自覚してれば、あり得ないと思う得点。

ザックは、はじめての公式トーナメントで、それを実現したのである。ガゼッタ・デロ・スポルトが「ブラーヴォ・ザック!」と称賛するのも当然である。ac.ミランをディアボロ・ロッソとか言うけど、それに並べたいほどの勝ちっぷりである。

ウーノゼーロが至上とされるのは、それが相手チームに与える心的ダメージとして最悪だから。である。

ドーハの悲劇2.0

オージーの立場になってみればわかる。オージーは、ドイツ人監督のくそつまんない戦術をがまんしつつ、ただひとつ、勝利を願い耐えてきたのである。サッカールーの堅守速攻のスタイルは、最後まで機能していた。オーストラリアのア杯での失点は、わずかに2点である。ただ、その2失点目が、決勝戦の決勝点だった。

1-0という結果に、かれらは、キューウェルのゴールバーに弾かれたボールと、延長のワンミスを最低でもこれから4年間、悔やみ続けることになる。こうして「ドーハの悲劇2.0」が完成した。

日本の特異な得点力

ア杯での日本は、自身がW杯で示した効果のあるブロックディフェンスに苦しむことになった。相手国がおしなべて同じやり方をするのには。それなりに理由がある。スカウティングする立場になってみればわかる。スカウティングは、相手国の得点源を抑えるのが一番目の目的である。相手国の監督はスカウティングしたコーチに質問する。

監督「日本の得点源を教えてくれ」
コーチ「ええと、9人が得点してますが誰から…」
監督「…」

やだよねぇ、こんなチームと戦うの。監督は質問を続ける。

監督「得点してないのは誰だ」
コーチ「長友、遠藤、それに松井…」
監督「もういい!」

このスカウティング泣かせな得点源は、ザックがいうとおり日本の特徴と言っていいと思う。あれほど口を酸っぱくして「フォワードが得点しなきゃだめだ!」といってた、セルジオ越後氏も言葉を無くすほどであった。

それで相手国の監督はどうすべか、といへば、4+4あるいは4+3のブロックディフェンスを敷いて、あまった2から3枚は、日本のパスの出所をつぶすべく、プレスかけまくるしかない。

これがどんだけしんどいかは、日本は岡田ジャパンで骨身にしみてる。どんだけ頑張っても、90分間コンパクトなブロックを維持するのは不可能である。その実体験が日本のアドバンテージになった。グループリーグの相手国は、いずれも10分もたなかった。カタールで30分。韓豪で80分。延長したのは、日本に決定力がなかっただけである。

悪夢のような勝ちっぷり

やぱ、ザックのせいだと思うけど、あとアウェーな笛に怒りを覚えたか、ブルーサムライは韓国人が「監督の墓場」と形容するアジアカップを演出した。はじめの犠牲者はサウジ。

サウジ5-0 サウジは監督が更迭済みだったために、サッカー協会会長と暫定監督が犠牲者になった。(後に代表全体の活動が停止に)

カタール3-2 カタールはメツこそ更迭せずにすんだが、開催国のカタール国民は、セバスチャンの得点で夢をみて、そのまま最期の時間まで観戦し自国の敗戦を噛みしめる、はじめての体験をした。(後に、メツ更迭)

韓国2-2 韓国サポーターは、同点の歓喜のあとにPK戦の悪夢を生涯夢に見るレベルで体験した。

豪 ウーノゼーロ!

表彰式のあと、日本代表選手に握手をもとめるケーヒルをみて、このたたかいは、ケーヒルのラストマッチになったんかな。との思いと、無邪気な若い日本代表たちに、なんとも言えない気分になった。ケーヒルの引退とオジェックの更迭は時間の問題だろう。

三匹の元浦和

オジェックといえば、2位表彰式のあと、1位の表彰をまつ日本代表の近くを通ったとき。FC東京の今野が握手を求めてきたところだった。オジェックははじめて喜びをあらわし、今野と言葉を交わしつつ。だが、まぶしそうに。オジェックはちらちらと青いサムライを見やる。その先には、彼と同じ元浦和の長谷部や細貝がいたはずだ。だが、浦和でスクデットをわかちあった三人は視線を交わすこともなく、オジェックは敗者として辞去することになった。

長谷部もそこまでの大人では、なかったということか。今回のア杯のなかで、いちばん残酷なシーンだった。

なぜ日本は強いのか?

ザッケローニ監督の能力は、今大会で証明されたように思う。これまでになかったポイントは、日替りラッキーボーイとよばれるほどの、サブ組のコンディションの高さと采配が全てあたる勝負強さである。このあたり、ビッグクラブ経験者ならではのスキルとおもわせる。

広州アジア大会から見てると日本は単にくじ運がバカみたいによかった。で、済ませたいところだが。ア杯での対戦国のダメージ最悪な、日本の、日本らしくない勝ちっぷりには、何か悪魔と取引したかのようなうすら怖さを感じた。

サッカー大国の共通点

日本のバブル華やかなりしころ。発足したばかりのJリーグなどの話題から、「サッカー強い国の共通点って知ってる?」と質問された。質問したのは大蔵省の上級官僚を勤めるひと。答えを尋ねると、サッカーが強い国ほど失業率が高い。なんて話を教えてもらった。彼は、ブラジル、アルゼンチン、イングランドの身の毛もよだつ若年失業率を例にあげ、その説を補強する。

んでさあ…。いまから考えれば、冗談だと思うけど、彼は、にんまりとわらいつつ、こうたたみかける。

「で、サッカーが強くて失業率が高い国と、失業率低くてサッカー弱い国とどっちが、い~い?」

まるで悪魔の取り引きのような質問に、私は言葉を失った。思うに、現在の「日本のサッカーが強い」とすれば、失われた20年の前に誰かが、悪魔と取り引きしたのかもしれない。

それで、そのとき私がなんと答えたか…だけど、覚えていないんだよ。これが(笑)

とまれ。これからも日本のサッカーは、日本人が、いや世界中が驚くほどに強くなってゆくと思う。

ガンバれ日本!

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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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