yasuokaの日記: VHS vs ベータマックス vs アダルトビデオ 5
家庭用ビデオレコーダーが次の目玉商品としてもてはやされていた時代、勝利を収めたのは画質では上回っていたソニーの『ベータマックス』ではなく、VHS規格だった。なぜだろう? それは、ポルノ映画業界がVHS側についたからだ。ソニーがポルノ業者にライセンスを与えようとしなかったとする説もあるが、ベータマックス発売当初の最大1時間という録画時間が、どのようなジャンルであれ、長編映画を収録するには短すぎたというほうがより納得のいく説明だ。
Kohlerのこの説は、少なくとも日本市場に関しては正しくない。『ポルノビデオ総カタログ』(壱番館書房, 1982年)など当時の日本のアダルトビデオカタログを見る限り、主流は30分ものであり、VHSもベータマックス(当時の主流はβII)も同じように販売されていた。実際、愛染恭子の「本番生撮りシリーズ」(日本ビデオ映像)にしろ、「女子大生素人生撮シリーズ」(宇宙企画)にしろ、VHSもベータマックスも市販されていた。にっかつビデオフィルムズに至っては、「ロマンポルノシリーズ」をあえて30分の短縮版にしてビデオ化し、売れセンに限ってオリジナル版でビデオ化(たとえば美保純の『濡れて騎る』は67分)していたのである。裏ビデオ市場については確かに情報が少ないのだが、たとえば当時の『オレンジ通信』(東京三世社)を読む限り、VHSもベータマックスもいずれも流通しているように思われる。特に『オレンジ通信』の「読者交換室」では、ベータマックスの方が多いようにすら見える。
私の調べた限り、昭和50年代の日本のアダルトビデオ市場では、VHSとベータマックスのどちらにも優位性は見当たらない。そもそも「アダルトビデオがVHSでだけ流通していた」と考えること自体、非常に奇異な感じを受ける。こういう説を唱える人達がいったい何を典拠にしているのか、ぜひ知りたいものだ。
私は”くりぃむレモン”をβで買ってましたけど (スコア:1)
また、βIはすぐに廃れ、再生しか対応していないデッキが大半で、2時間録画できるβIIがセルビデオの主流でした。よって、録画時間の問題もない。
それに、アダルトビデオで60分を超える「大作」はほとんどありませんので、むしろβの方が適してるんではないでしょうか。βには業務用規格βCAMという姉妹品がありましたし。
・・・なんでこんなマニアックなことを知ってるんだ。70年代生まれなのに・・・
Re:私は”くりぃむレモン”をβで買ってましたけど (スコア:1)
βは先行していたというが優位とは言えない (スコア:1)
βが先行発売されていたといいますが、2年も差がなかったはずです。価格が低下し、本格的な普及期に入るのはずっと先ですから、これは絶対的な優位には程遠い。ビデオソフトはPCソフトと違って、規格が違っても中身を作り直す必要はなく、マスターテープから新たにダビングすればいいのだから、ソフト業者にとっては「ソフト資産」の価値は低い。
Re:βは先行していたというが優位とは言えない (スコア:1)
VHSがベータマックスに勝ったのにはいくつか要因があるんでしょうけど、一つにはVHSの方がテープの原価が安かった(昭和56年11月6日の朝日新聞朝刊(東京版p.8)の記事『「ベータ」型のソニー、「VHS」用を製造、VTRテープとんだ混戦』参照)という点が挙げられると、私は考えています。つまり、ベータマックスよりVHSの方が、企業にとっては利ざやが大きく、ユーザに取ってはランニングコストが小さかったので、結局、企業もユーザもVHSに流れたんじゃないかと。ま、このあたり、もう少し当時の状況を検証する必要がありますけど。
Re:βは先行していたというが優位とは言えない (スコア:1)
要因のうち「コスト」を中心に焦点を絞った場合、VHS方式のメリットとして
・デッキを安価に製造することが可能だった
・テープを安価に製造することが可能だった
・記録時間の長いテープを製造することが可能だった
・テープの記録時間表示(T-数字)が明快だった
があったように思う(注:確かめる方法を持ち合わせていません…)のですが、これは事実でしょうか?あるいは間違いを含んでいるのでしょうか。
…関係ない話で恐縮ですが、当家では銀河鉄道999を録画するためにとVHSデッキ・14''テレビセットを購入したのが事始めだったようです。βとVHSで迷わなかったのかと親に聞いてみたのですが、明確な返答は得られませんでした。ただし、購入当初から3倍モードしか使っておらず、「画質?別に見られればいいじゃん」という考え方だったことは確実なようです。
そのデッキは15年近く働き、それが壊れる寸前にVHSデッキを買い足して以来、ビデオデッキ2台の構成が今でも続いています。
ちなみに、セルビデオ・レンタルビデオの類が当家にあったことは非常に稀で(セルものはほぼLD/DVDでしか購入していません)、ほぼ生テープ購入→テレビ番組録画の為にのみビデオを使用しています。
録画済みテープの本数はいまや数百本…と、ここまで極端な例は別としても、テープメディアとしてのビデオテープの所有本数に関しては、セル物よりも自家録画物の方が数は多いように思います。
もっとも、これが「普及にどう関わるのか」という点までは想像できかねるのですが…。