yasuokaの日記: 「玻南ちゃん命名事件」の判例解説
『家庭裁判月報』の今月号(第63巻第1号)を読んでいたところ、pp.50-51に、「玻南ちゃん命名事件」の判例解説が掲載されているのを見つけた。
【6】名古屋高裁平成21年10月27日決定(家月62巻8号65頁)は,戸籍法施行規則60条に掲げられていない文字である「玻」の文字を用いて子の名を記載した出生届の不受理処分に対する不服申立てを却下した審判に対する即時抗告審において,「玻」の字については,用例が限定的で常用性に乏しい上,書籍等で使用される場合,そのほとんどに平仮名のルビが付されているなど必ずしも平易であるとは言い難いことからすれば,これを氏に使用している者が社会生活上の不便や支障を感じていないとしても,社会通念上明らかに常用平易な文字であるということができないから,同条に掲げられていない文字を用いたことを理由に出生届を受理しなかった処分は正当であるとして,申立てを却下した原審判を是認した事例である。ある文字が「社会通念上明らかに常用平易な文字」と認められるか否かは,個々の文字に応じた個別的な判断であるが,本決定は,様々な観点から主張された抗告理由に対して具体的に検討がなされており,同様の事例において参考になると思われる。
確かに具体的な検討はなされているけど、どう考えても検討ミスの部分があって、あまり参考にならない気がする。というか、この判例は、過去の同様の事例における検討の仕方とあまりに乖離しており、その意味でも参考にならないように思える。
ちなみに、私(安岡孝一)の『新しい常用漢字と人名用漢字』(三省堂、平成23年3月発行予定)では、付録の「子供の名づけに関する高裁判例」に、以下の22の高裁判例を収録しておいた。
- 瑛美ちゃん玖美ちゃん命名事件 [東京高裁 昭和26年(ラ)第7号]
- 武彦ちゃん改名事件 [大阪高裁 昭和26年(ラ)第27・86号]
- 隆彦ちゃん改名事件 [大阪高裁 昭和27年(ラ)第38号]
- 数彦ちゃん改名事件 [大阪高裁 昭和27年(ラ)第13号]
- 昌宏ちゃん改名事件 [大阪高裁 昭和27年(ラ)第39号]
- 伸子ちゃん命名事件 [名古屋高裁 昭和38年(ラ)第128号]
- 千佳ちゃん改名事件 [大阪高裁 昭和39年(ラ)第291号]
- 惠子ちゃん改名事件 [仙台高裁 昭和46年(ラ)第3号]
- 堯ちゃん命名事件 [大阪高裁 昭和46年(ラ)第187号]
- 翠ちゃん改名事件 [東京高裁 昭和51年(ラ)第784号]
- 碧ちゃん改名事件 [東京高裁 昭和53年(ラ)第691号]
- 舜ちゃん命名事件 [大阪高裁 昭和62年(ラ)第614号]
- 湧○ちゃん改名事件 [高松高裁 平成2年(ラ)第43号]
- 悪魔ちゃん命名事件 [東京高裁 平成6年(ラ)第134号]
- 矜持ちゃん改名事件 [名古屋高裁 平成12年(ラ)第282号]
- 凛ちゃん命名事件 [福岡高裁 平成14年(ラ)第297号]
- 曽良ちゃん命名事件 [札幌高裁 平成15年(ラ)第56号]
- 瀧○ちゃん命名事件 [広島高裁 平成16年(ラ)第81号]
- 隆○ちゃん命名事件 [仙台高裁 平成18年(ラ)第66号]
- 祷○ちゃん命名事件 [大阪高裁 平成19年(ラ)第252号]
- ○穹ちゃん命名事件 [大阪高裁 平成19年(ラ)第486号]
- 玻南ちゃん命名事件 [名古屋高裁 平成21年(ラ)第86号]
「玻南ちゃん命名事件」も、もちろん含めてある。また、この本の第1章には、「悠ちゃん命名事件」[東京家裁 昭和48年(家)第11469号]と「琉ちゃん命名事件」[那覇家裁 平成9年(家)第1358号]も含めておいた。各高裁判例に対しては、それぞれ私なりの解説も試みているので、書店に並んだら読んでみてほしい。
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