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yasuokaの日記: GHQが導入した当用漢字

日記 by yasuoka

昨日付の日本経済新聞(第44902号)をチェックしていたところ、和久井康明の「漢字の使用制限を撤廃せよ」(朝刊p.5)というインタビューが、目に止まった。

常用漢字の前身は当用漢字ですが、戦後、連合国軍総司令部(GHQ)が、漢字が民主化を遅らせたという理由で導入したものです

国語審議会が当用漢字表を答申したのは昭和21年11月5日。当用漢字表が次官会議に持ち込まれたのが11月11日。閣議に持ち込まれたのが11月12日。内閣告示が11月16日。実は、当用漢字表はGHQを通っていない。

『米国教育使節団報告書』(昭和21年3月30日)を読めばわかる通り、GHQの方針は日本語のローマ字化だった。漢字制限どころか仮名も捨てて、ローマ字で日本語を表わせ、というのだ。でも、国語審議会は、この報告書に先立つこと4ヶ月、昭和20年11月27日には、標準漢字表の再検討に着手していて、あくまで漢字制限の方向に突き進んでいく。この結果GHQは、昭和21年11月16日の当用漢字表内閣告示に対し、沖縄における当用漢字表の告示を許可しない、という大技に出た。当用漢字表は日本政府が勝手に告示したものなので、GHQは無関係、という態度に出たわけだ。しかも昭和23年8月には、日本人の漢字力をはかるべく全国一斉テストを敢行している。一方、沖縄では、サンフランシスコ条約発効後も、当用漢字表が告示されない状態が続き、昭和40年11月30日になってやっと琉球政府公報に掲載されることとなった。

このインタビューが『新しい常用漢字と人名用漢字』(三省堂、平成23年3月発行予定)の発売後ならよかったのだが。今の時点だと、日本経済新聞の読者の多くが、このGHQ導入ネタに騙されたんだろうなぁ…。

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