espyの日記: 総理に送ったメール 2
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内閣総理大臣 野田 佳彦様 平成23年12月7日
小惑星探査機「はやぶさ2」に関する意見書
214-XXXX
神奈川県川崎市XXXXXXXY-YY-YY
( 氏 名 )
初めまして。毎日の激務、お疲れ様です。
私は先日、ニュース(下記)で、小惑星探査機「はやぶさ2」計画が存続の危機に
あることを知り、同計画を見守る国民の一人として、意見を申し上げたく、
ここに送付させて頂きました。
該当のニュース記事:
(毎日jp)はやぶさ2:ピンチ 予算削減、打ち上げに暗雲
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111204k0000e040097000c.html
私からお願いは、「はやぶさ2」(要求額73億円)に対して、是非とも満額で
予算を付けて頂きたい。 これにつきます。
私は神奈川県川崎市に住む4X歳の会社員です。職業は電子機器の開発に従事する
エンジニアで、現在は派遣就業でメーカーに通って働いております。宇宙開発には
直接関係はありませんが、昨年地球に帰還し、小惑星のサンプルを持ち帰る事に
成功した日本製の探査機「はやぶさ」の様子に大変感動し、またその後の成果や
後継機にも関心を持って見守っておりました。
いわばファン、愛好家の立場でありますが、私がはやぶさを応援する理由は、
単にそれだけではありません。 私は、昨今の日本の技術や産業の行く末に、
とても危機感を感じているのです。
私は2004年2月まで、大手コンピューターメーカー○○の正社員でした。
1988年に入社して以来、日本語ワープロやパソコンなどの機器開発に携わって
いました。新卒で入社して以来、私は技術を持った先輩方に指導され育てられ
ました。十数年が経ち、そろそろ自分が若い後輩に、自分が受けてきたように
いろいろ教えてあげる側に回るはずでした。
ところが2001年頃から会社の様子が徐々に変わってきました。国内より安く
生産できるから、リスクを回避できるからと、機器の製造や設計を台湾や
中国に委託するようになったのです。私の仕事は、隣に座る後輩に技術を
教えることではなく、かわりに台湾の担当者に社内の品質基準を教えたり
指示を出す作業に変わりました。
このような日々に疑問を感じて、意を決して転職すると、同時期に転職して
入ってきた同僚の中にも、自分と似たような体験をしてきた人が何人もいる
ことに気付きました。
メディアは日本のことを、「技術立国」とか「ものづくり大国」と自画自賛
しますが、現状は決して安泰ではありません。円高と不況も手伝って、仕事と
技術はどんどん海外へ流れています。生産だけでなく、設計・開発の仕事も
アジア圏に移され、若い人材が仕事の実践を通して技術を身につけていく機会
が急激なスピードで失われています。
また、携帯電話などのたくさんのハイテク機器を使いこなしながらも、その
中身について知らない、興味や疑問すら持たない人が増えていることを肌で
感じています。私を育ててくれたかつての先輩方は、アマチュア無線などを
通じて技術を身につけた人が多かったのですが、今そのような人は大変少な
くなりました。
野田総理。貴方はこのメールを、パソコンで受信したと思います。その
パソコンの基本ソフト(OS)や、心臓部(CPU)は、どこで開発された物か、
ご存じでしょうか? 「ウィンドウズ」も、CPUも、マイクロソフトやイン
テルといったアメリカ企業による製品や部品です。技術立国といいながら、
日本はこの分野でいまだにアメリカに追いついていません。 もし官公庁で
何百台とパソコンを使っているのであれば、その「ウィンドウズ」の保守
(ウィルス対策など)に、年間何千万と費用が掛かっているはずです。アメ
リカの製品を使っているから、保守やリプレースもそのアメリカ企業に頼り
続けるしかないわけです。
日本企業がパソコン用の基本ソフトやCPUの開発を、ずっとサボっていた
のではありません。文部省は、小学校などがまだパソコン教育を始めようと
計画していた1989年頃に、日本メーカーが開発した「TRON(トロン)」という
基本ソフトを採用しようとしていました。日本の子供達に、日本製のパソ
コンでコンピューターを教えるという、ごくまっとうな計画だったにも
関わらず、当時のUSTR (米通商代表部)から貿易障壁ではないかとの物言い
がついた結果、トロンの採用は断念されてしまいました。政治が国内産業
を応援できなかった、悪しき前例だと思います。
日本は今、長引くデフレや少子高齢化、若者の雇用問題、長引く円高に、
震災と原発問題で大変な状態です。中国をはじめとする新興国に追い上げ
られている中、昨年のはやぶさ帰還は、私達に大きな希望を与えてくれま
した。はやぶさは探査機の技術的なノウハウに加えて、小惑星に着陸して
戻ってくるという、世界初のチャレンジに成功しました。プロスポーツに
例えるなら、松井やイチロー、なでしこジャパンのような、世界に通用する
才能が誕生し、今まさに並み居るライバルを抜いて前に出たのです。
こういった人達に、「予算がないから明日から練習はやめなさい」と言え
るでしょうか?
はやぶさの製造・部品から運用まで、関わった企業は100社以上に上ります。
はやぶさ2が飛ぶことが決まれば、産業界の経済や雇用は少なからず刺激され、
活性化されることでしょう。技術の伝承にも間違いなく貢献します。
73億という費用は確かに大金です。しかし、為替レートに介入するために
政府は今年何兆円使いましたでしょうか。
宇宙開発は投資がすぐ利益になって戻ったりはしません。民間企業は利潤を
追求しないと倒産してしまいますから、アジア圏に仕事を移すのもやむを得ない
所がありますが、その点で継続的な宇宙探査は民間企業では手が出せない領域
でしょう。だからこそ、政治の理解と国家のバックアップが必要です。
加えて、はやぶさ2は惑星の位置関係から、2014~15年の打ち上げを逃すと
次のチャンスは2019年か2024年だそうです。こんなに時間が経つと、職場の
方々はすっかり入れ替わってしまい、今ある人材も技術も立ち消えてしまい
ます。
以上の数々の点をご考慮の上、どうか「はやぶさ2」に対する支援の仕方を
ご再考頂ければと、切に願う次第です。
長々と書いてしまい大変失礼致しました。寒い日々ですが、お身体に気を付け、
どうか健やかにお過ごし下さい。
ありがとうございました。
以上
ちょっとした演説だねぇ (スコア:1)
はやぶさも3くらいまで行けば探査機の一つの実績あるパターンとして真似されるようになるんだがなぁ...。
無い袖は振れないのはわかるが (スコア:1)
いつも思うのだが。
社交辞令としての「激務お疲れ様」はわからなくもないのだが、首班に自ら立候補してなった人は激務を承知で希望したのだからなくてもよいような気がする。
あ、こちらから激務を負わせてるからから。
今夏、節電でクーラーを止め熱さを我慢し蛍光灯を減らし暗い中客商売してきたのだが、その結果が内部公表され我が職場は前年比約半分の光熱費だったらしい。さてこの残った予算は税金なので国庫に帰ることになるのだが、この積み重ねたぶんだけでも他の必要な出費に回す(確か復興資金にと聞いている)訳だから、その分だけでもこういう予算を削らないで欲しいな。
今なんぞ利用者がコート着た完全防寒で相談してるよ。