JPEG特許の再審査が請求される 26
ストーリー by Acanthopanax
先行技術の洗い出し 部門より
先行技術の洗い出し 部門より
wei曰く、"ITmediaのニュースによると、特許監視団体のPublic Patent Foundation(PUBPAT)は米特許商標庁(USPTO)に対し、JPEGフォーマットに関する特許(米4698672号: 以下「672特許」と略)の再審査(Reexamination)を請求した。
PUBPATがwebサイト上にて公開している再審査請求書(PDF)によると、先行技術文献の米4541012号公報は、672特許と同じCompression Labs, Inc.が特許権者である特許で、672特許の出願日(1986年10月27日)より一年以上前の1985年9月10日に特許公報が発行されているとともに、672特許の全クレームの発明特定要件が開示されており、米国特許法102条(b)に基づき新規性欠如により無効である、という趣旨のようです。(参考: 以前のニュース)
これは全く個人的な感想ですが、もしPUBPATの再審査請求書に記されている内容が有効であるとするならば、同一出願人の、たった一年前の先行技術文献を取りこぼすUSPTOの調査能力に若干疑問を感じます。"
チョンボで倍返し? (スコア:4, 興味深い)
ライセンス契約のその場合の条項を粛々と実行すれば良いでしょう。
よく分からないけど、無効になったら返すとか、返さないとか、
個別に取り決められているんでしょう。
だけど、同一出願人でそっくりそのまま先行技術が出てましたってのは
段違いに悪質じゃないのかね。
法律を漁れば、もしかしたら「偽計業務妨害」かなんかで犯罪に問えるかも知れないし、
契約を破棄してライセンス料全部(または上乗せして)返せ、という訴訟もあり得ると思う。
ま、同一出願人の先行技術を見ないで契約しちゃったらしいメーカーも格好悪いけどね。
難しくてよくわからないんだけど。 (スコア:1)
事態は際限なく悪化する。
私もよくわからないんだけど (スコア:1)
このタイミングに出してきたのはそういうことか?とか疑ってしまう。
#特許って公知から20年でしたよね?
Re:私もよくわからないんだけど (スコア:5, 参考になる)
というか、特許に記載された内容と672特許の出願内容との比較でしかないので、85年発行の特許に672特許に記載された内容が書かれていて、新規性・進歩性がないとの判断されれば85年発行の特許の有効性に拘わらず672特許は無効になります。
もっとも、権利者にとっては重要だと思うのでUSPTOが無効審決を出しても上級審(連邦巡回控訴裁判所:CAFC)までは行くでしょう。まあ結論出るまでには1~2年くらいかかるんじゃ?
あと、USPTOの審査なんてしょぼいもんです。基本的に。でも彼らは偉いということになっていて、USPTOが認めた=すごい発明、となってるのがアメリカクオリティです。
Re:私もよくわからないんだけど (スコア:5, 参考になる)
| つまり、JPEGの特許は「無効かも」ってことですか?
そうです。PUBPATがUSPTOに対して「672特許は先行技術があるから無効だ、だから再審査してくれ」という趣旨の再審査請求書を提出したのです。
| 有効(だった)かもしれませんけど、以前出した特許から20年経っているので、もう効力を発揮できない、ということかも。
いえいえ、そうではありません。
||| #特許って公知から20年でしたよね?
|| 出願から20年です
|| 因みにアメリカは1995年以前は特許成立から17年
| 1985年に発行の特許だったら発行の日から17年が権利期間のはずです。(今はどんな特許でも出願から20年。)まあどっちにしろその特許は切れてますけど。
1995年6月8日以降の特許出願は、特許の有効期間満了日が日本を始め諸外国と同様に、出願日から20年に制限されています [marushima.net]。しかし、672特許の出願日は1986年10月27日ですので、法改正前の「特許発行から17年で満了」となっています。したがいまして、672特許の特許発行日が1987年10月6日ですので、2004年10月6日に権利満了している計算になります。INPADOCにもこの日付の記録がある [espacenet.com]ことから、確度は高いと思います。
| というか、特許に記載された内容と672特許の出願内容との比較でしかないので、85年発行の特許に672特許に記載された内容が書かれていて、新規性・進歩性がないとの判断されれば85年発行の特許の有効性に拘わらず672特許は無効になります。
権利満了となった特許であっても、その特許権は無効である旨を証明することができれば、特許権は出願時点に遡って消滅します。これを遡及消滅といいます。すると、特許が有効であった権利期間の侵害行為はなかったこととなります。ですので、PUBPATは672特許を遡及消滅させるために再審査請求書を出したのです。
| もっとも、権利者にとっては重要だと思うのでUSPTOが無効審決を出しても上級審(連邦巡回控訴裁判所:CAFC)までは行くでしょう。まあ結論出るまでには1~2年くらいかかるんじゃ?
そうですね、既に1億ドルのライセンス料収入を得ている [impress.co.jp]とのことですから、頑張るでしょうね、きっと。
Re:私もよくわからないんだけど (スコア:3, すばらしい洞察)
「偉い」とか「すごい」とかじゃなくて「法的に権限を持ってる機関が正式に特許として認定したから、それなりの扱いを受けている」っつうだけのことでしょ?
そういうロジックでの批判がありなら、日本クオリティも似たようなもんですね。
松下のヘルプボタンアイコン特許とか。
Re:私もよくわからないんだけど (スコア:1)
が、調査能力、というか構成のちょっとした差があれば特許として認めるという点では米国の方が日本より特許を認める基準が甘いのは事実だと思います。後は裁判で決着つけろ、という方針なのかもしれませんが。
ちなみに、ヘルプボタンの特許は結局知財高裁で無効になったんじゃ?
Re:私もよくわからないんだけど (スコア:1)
ただし、裁判などで迅速に特許の有効性が審査出来るシステムがないとダメですけど。
「特許庁の調査能力が不十分で、有効性の本当の判断は裁判で」って、まさしくアメリカと同じ状況でしょう?
Re:私もよくわからないんだけど (スコア:3, 参考になる)
|「特許庁の調査能力が不十分で、有効性の本当の判断は裁判で」って、まさしくアメリカと同じ状況でしょう?
件の判決 [srad.jp]の決め手となった、「HPニューウェイブ環境ヘルプ・ファシリティ [google.co.jp]」という文献を探すことが、特許庁の調査能力不足とは、私は思えません。
何故なら、特許分類が細かく付与されて機械検索の環境が整っている特許公報データベースと違って、「非特許文献」といわれる一般書物等の検索は、特許公報のように技術分類が細かく付与されて検索できるような、整ったデータベース環境ではないからです。
# 因みに、ジャストシステムは原審の判決後の一般大衆からのタレコミに基づいて芋蔓式に非特許文献の無効資料を探すことが出来たのではないか、という推測をされている方もいます [cocolog-nifty.com]。
これに比してUSPTOの場合は、(もしも見落としていたとするならば)特許文献で、同一出願人の、出願より1年前の文献を見落としていたことになる訳ですから、同列に扱うのは適切でないと思います。
Re:私もよくわからないんだけど (スコア:3, 参考になる)
米国特許の審査では、特許が成立するまでは、出願人が知っている公知例を全てUSPTOに知らせる義務があるので、もし今回新たな証拠として出されたTescher et alが同一出願人の特許だとすると、仮に有効との審決がであったとしても、この義務違反で権利行使不能とされる可能性もあります。
記録を全て見たわけではないのでなんともいえませんが。
一応補足まで。
Re:私もよくわからないんだけど (スコア:1, 興味深い)
米国特許出願の際には出願者が必ず関連する先行特許のリストを特許明細につけなければならないのだが. そうしていたにも関わらずUSPTOがザルな審査したのかねえ.
(意図的に重要な先行特許を明記しなかった場合は,たしか虚偽の申請をしたと見なされるくらいだったはずだよ)
Re:私もよくわからないんだけど (スコア:3, 参考になる)
| 米国特許出願の際には出願者が必ず関連する先行特許のリストを特許明細につけなければならないのだが. そうしていたにも関わらずUSPTOがザルな審査したのかねえ.
まさにそういうことで、私はザルだと思います。
今般、PUBPATが先行技術文献として出した米4541012号(以下「012特許」と略)は、672特許の公報のフロントページにある先行技術文献に列挙されていません。
| (意図的に重要な先行特許を明記しなかった場合は,たしか虚偽の申請をしたと見なされるくらいだったはずだよ)
しかし、仮に特許出願人が虚偽の先行技術開示を行っていたとしても、審査は別です。
出願人の特許を調べなくても良い、などという話は聞いたことがありません。
出願人が開示していない先行技術を調べなくても良い、などという話も聞いたことがありません。
あくまでも先行技術をくまなく調べるのが、実体審査の本来あるべき姿です。
ところで、672特許と012特許とでは、異なる米国特許分類が付与されています。
672特許の公報フロントページにある"Field of Search"に列挙されていないことから、どうやら審査官は012特許にかかる分類を全く見ていなかったようです。
先行技術調査の単純ミスか、米国特許分類の体系の複雑さに起因するミスか、いずれかあるいは両方が原因となって調査洩れが生じたのではないか、と思います。
安易な企業姿勢に警鐘! (スコア:1)
最近はともかく、USPは日本や欧州への出願に比べればたやすい、というのが当時の常識でした。ただし、当然のことながらよきにつけあしきにつけ市場原理の国ですから、間違って通ったら、他の企業からの攻撃が大変、なので通ってからが大変だと。
こういう事例が出てくるのは、むしろ他の企業の怠慢(やすやすとロイヤリティを払わず戦え!)が責められるべきかと。
Re:安易な企業姿勢に警鐘! (スコア:2, 参考になる)
米国の裁判にかかるコストは物凄く高い [pat-man.com]、1億/年が基本だ、という話を聞いたことがあります。
更に、米国の場合は敗訴すると三倍賠償 [google.co.jp]という結果も十分あり得るので、費用対効果の面で泣き寝入りを余儀なくされるケースの方が多いんじゃないかと思います。
Re:安易な企業姿勢に警鐘! (スコア:0)
で、そのツケは消費者にまわされています。
JPEGに限らず圧縮関係とか、光ディスク関係とかは冗談じゃなくてハンパじゃありません。
世界中の有志よ!HELPアイコンにぶつけた熱い情熱をXXX(自粛)にも。
Re:私もよくわからないんだけど (スコア:2, 参考になる)
因みにアメリカは1995年以前は特許成立から17年
脳味噌腐乱中…
じゃぁパブリックドメインと言う事で処理 (スコア:1)
*.gifでも相当すったもんだしたのに、まだ懲りないのか。
それとも、そんな昔のを引っ張り出さないといけないぐらい現状の業界は逼迫しているの?
#/.jには国連の業務に就く関係者が居ると思った。
Re:じゃぁパブリックドメインと言う事で処理 (スコア:3, すばらしい洞察)
そんな昔のを引っ張り出さないといけないぐらい現状の業界は逼迫しているの?
いや、昔から使われていて当たり前のように普及しているものだからこそ後出しじゃんけんをする価値があると踏んでいるのです。ある一定の割合で脅しに屈して和解金の支払いをする企業があるとしたら、その企業数は多ければ多いほど得られる利益が大きくなりますから。
その昔はそういう戦法が取られることはありませんでしたが、それは主に基礎となる技術が少なくて後出しじゃんけんをするだけの価値がなかっただけです。
今はインターネットプロトコルをはじめとしてありとあらゆる技術が統合され集約されていて、どこのピースが欠けても技術の存在が危うくなるわけです。
Re:じゃぁパブリックドメインと言う事で処理 (スコア:2, 興味深い)
USPの場合は公開即登録ですからねぇ、文句があったら裁判しろっていうスタンスでしょうから、裁判費用を考えてどう判断するかってところじゃないでしょうか。
日本は公開期間があるので、文句があればその間に審査官にタレこみできるんですよね。審査官が優秀なら前者のシステムのほうが早くて良いんでしょうけど。しかし、USPだとほとんど同じ技術の特許を複数の会社が持ってたりして、いったいどっちとライセンス契約すりゃいいんだよみたいなことも。
Re:じゃぁパブリックドメインと言う事で処理 (スコア:1, 興味深い)
これはその通りだと思うけど
> その昔はそういう戦法が取られることはありませんでしたが、それは主に基礎となる技術が少なくて後出しじゃんけんをするだけの価値がなかっただけです。 今はインターネットプロトコルをはじめとしてありとあらゆる技術が統合され集約されていて、どこのピースが欠けても技術の存在が危うくなるわけです。
これはどうかな?いつの時代でもコアになる技術はあるし。以前はソフトウェア特許自体があまり認知されていなかったと見る方がいいと思う。
Re:じゃぁパブリックドメインと言う事で処理 (スコア:1, 興味深い)
それに加えて、法制度や判例等が追いついてないとこに付け込んだとか…。
Re:じゃぁパブリックドメインと言う事で処理 (スコア:1)
まあ、モメにモメてモメまくって、最終的にまた JPEG に代わるフォーマットでも出現してくれれば、それはそれでよしとしましょう
これからなら、PNG の 2の舞になることは、ないと思いますし
意味がよく分からない (スコア:0)
JPEGに関する特許を主張しているのはUNISYSでも業界全体でもないので、
懲りるも懲りないも無いし、業界が逼迫していることにもならないと思うのですが...
# いまいち業界ってのが曖昧ですが、その辺は気にしない方向で
# ...って、もしかして特許業界の話?