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日記

YoRの日記: エンジン 2

日記 by YoR

インタビュアー「今日は究極のエンジンを開発したという物理学者、有江寧先生の研究室からの取材です。先生よろしくおねがいします。」
有江寧「よろしく」
イ「早速ですが、先生はこのたび究極のエンジンを作成されたとのことですが、どのようなものなのでしょうか。」
寧「今までのエネルギーは全て我々の宇宙の中のものを利用していました。ですから宇宙が熱的平衡に達するまでしかエネルギーが使えません。」
イ「は、はい」
寧「つまりそこに上限があるのです。ならば我々の宇宙の中のものではないものからエネルギーを取り出せばどうなるか。」
イ「どうなるんですか。」
寧「我々の宇宙では取り出せない量のエネルギーを生成できます。」
イ「それはすごいですね。」
寧「そして作ったのが、この宇宙創成エンジンです。」
イ「宇宙創成…」
寧「原理の説明を兼ねてここで実演しましょう。ここに宇宙創成以前の揺らぎがあります。ある、と言っても概念的なものですので実際にあるわけではありません」
イ「概念的?」
寧「この安定化にとても工夫が必要でした。また概念化されているとはいえそれを作り出すのにも時間がかかりました」
イ「あ、あの」
寧「これをこのシリンダーに居れます」
イ「え、普通のエンジンのシリンダーみたいですね」
寧「普通のエンジンのシリンダーです。ここで安定化を解きます」
イ「…」
寧「ある確率でこの揺らぎはトンネル効果により宇宙を創世します。創世された宇宙はインフレーションを起して光速をはるかに超える速度で膨張します。それがシリンダーのピストンを動かします。ほら、ピストンが動きましたね」
イ「え、ちょ、ちょっと。光速越えてって」
寧「実はあまりに反応が速すぎて既に一サイクルは終わっています。宇宙創成のエネルギーがピストンを通じてシャフトを回し我々の宇宙に放出されたことは、このセンサーで確認できます」
イ「あ、えと、桁が。ふつうキロとかメガとかだと思うんですが見たことが無い単位ですけど。」
寧「このサイクルの終わりに、シリンダー上部のバルブから創世された宇宙が排出されます。もう排出されてますから、現在この付近に別の宇宙が漂っているはずです」
イ「え、宇宙が漂ってるんですか」
寧「理論上そのはずです。」
イ「(理論上って)…先生今日はありがとうございました。」

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  • by Anonymous Coward on 2017年07月13日 18時29分 (#3244091)

    理論上そのはずですって言ったら結構信じてもらえるのにね。
    結局は権威の問題のような気がする。

    • by Anonymous Coward

      科学をこの程度の小話でバカにしないでくれ

      今ある観測結果を説明するために、ありとあらゆることを考えた結果だ。
      この結論が若干常軌を逸している。ってことは基本的な了解事項だ。

      そのうえで、自然は人間の理解を超えた物(量子力学のように)と納得するか
      どこかに間違いがあるのではないか。と新しい観測を行うわけだよ。

      標準理論と整合性のない観測が得られたら、それこそ物理/天文学者は大喜びだ。仕事ができるんだから。
      これのどこが「権威」だ?

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一つのことを行い、またそれをうまくやるプログラムを書け -- Malcolm Douglas McIlroy

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