akiraaniの日記: ナーロッパ世界の錬金術師はいかにして生まれたのか、という考察 5
なろう的ファンタジーの世界、いわゆるナーロッパにおける職業のひとつに、錬金術師というのがある。
おおむね、MMORPGなどで生産職と呼ばれるタイプの職業である。魔法的な効果のある消費アイテムを生成したり、武器や防具を強化したり、マジックアイテムを作ったり、といったものが多い。
wikipediaによれば、実在の錬金術というのは、狭義では卑金属から貴金属を作り出すことを目的とした技術大系ということのようだ。
もちろん、核融合や核分裂を使わずに原子を変換することなぞできやしないので、実情はケミカル手品詐欺師だったと思われる。現代で言えばタキオンパワーだのEM菌だのパイプテクターだので商売している連中が該当する。
フィクション作品で錬金術と言えば、ハガレンこと鋼の錬金術師がもっとも有名なのではないかと思う。あの世界では、錬金術というのは異能バトルで使われる能力で、出てくる錬金術は概ね直接的な攻撃手段である。
では、ナーロッパ風錬金術というのはどこから出てきたのかというと、おそらくはアトリエシリーズを代表とするファンタジー系の育成SLGではなかろうか。
もともと、育成SLGというジャンルが生まれたごく初期から、錬金術を題材にした作品が存在する。知る限りだと、最古はメルクリウスプリティ(1994年)かな。その後アトリエシリーズのヒットで錬金術師=生産職というイメージが定着したと考えられる。
では、育成SLGより前はというと、遡れた限りだとパラケルススがモチーフになっていると思われる作品群だった。
ちなみに、ハガレンの錬金術もおそらくはパラケルススがモチーフである。
こっから先は、具体的に遡れてはいないのだけど、パソコンゲーム黎明期のアドベンチャーゲームは、いわゆるTRPGの影響を強く受けている。
なので、錬金術がファンタジー世界の技術として登場するのはTRPGからの影響なのではないかという気がしている。
それが、1990年代の育成SLGブームに乗っかる形でイメージが変化していき、今のナーロッパ風錬金術と受け継がれていったのではないか、と言うのがとりあえずの仮説である。
錬金術と化学・薬学は地続き (スコア:0)
> 実情はケミカル手品詐欺師だったと思われる。
それはあり得ないね。
そういう連中も居ただろうけど、錬金術は現代化学と地続きな部分があるから、
目的が元素変換だったとしても真っ当に研究している分には化学研究者と区別しようがない。
酸素発見の歴史を調べると錬金術から地続きである事がわかると思う。
そんで酸素を発見するも発表が遅れて発見者扱いされない方の人は薬剤師。
医学も迷信と医学を切り離したとされるヒポクラテスはなんだかんだで四体液説論者で、
割と現代医学に近い感じがあるジョン・ハンターは酸素発見と同じ時代の人。
地続きに発展するにつれれ錬金術師達は肝心の錬金が不可能であることを察し始め、
徐々に錬金術の名を捨てていったんじゃないだろうかね。
昔の学問は今ほど細分化されず博物学に寄っていたし、
東洋の学問から西洋の学問に急激にシフトした日本ほど古典学問と現代学問の境界線はハッキリしていないんじゃないかな。
Re:錬金術と化学・薬学は地続き (スコア:1)
実際の錬金術師として有名なのは、マイセンの白磁の基礎を築いたヨハン・フリードリッヒ・ベトガーでしょうか。
17世紀のヨーロッパでは、伊万里や景徳鎮のような美しい白磁を作る技術がなく、その製造を欲した城主から白羽の矢が立ったのが、当時の錬金術師。
ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーは見事きめ細やかな白磁の製法を発見するのですが、その技術を独占したかった城主により、秘密保持のため城内に幽閉され短い一生を終えたとあります。物語としてはできすぎている感があるので、どこまで事実なのかはわかりませんが。
賢者の石とエリクサーは別アイテム (スコア:0)
おおむねスクエニのせい。それでもファイナルファンタジーに賢者の石を出さないしドラクエにエリクサーを出さない程度の理性は持ち合わせていたようだが(ていうか当時は別メーカーだったが)、魔界塔士Sa・Gaには見事に両方登場していた。白状すると当時はおかしいとも思ってなかったけど。
FF1と3にバハムートが出てベヒーモスは出なくてFF2にベヒーモスが出てバハムートが出ないとか。FF4からは気にしなくなったみたいだけど、いちおうFF4では葛藤が残っていたようだ。これも当時はFF4のバハムートの洞窟のランダムエンカウントはどうしてベヒーモスだけなのかとか気にしなかったが
Re: (スコア:0)
エリクサー=回復薬という概念をゲームに持ち出したのはFF以前にザナドゥでは
設定上も錬金術由来とは記載ないみたい(の割にハガレンに通ずるものが)
http://xanalabo.sakura.ne.jp/data/item1/oitem05.html [sakura.ne.jp]
軍事国家の錬金術師だから (スコア:0)
>あの世界では、錬金術というのは異能バトルで使われる能力で、出てくる錬金術は概ね直接的な攻撃手段である。
あの世界というか、あの国家が「お父様」に支配されてて、成立時より
軍事国家であり、主に戦力として役立つ錬金術師が国家錬金術師として
優遇されている「政府の犬」からではないだろうか。
シン国とか、クセルクセスの錬金術を見てる限りは、必ずしも戦闘用
とは限らない。(もちろん戦闘にも使えるが)