#3903037のACさんへの反論が半分、「あんたのコメントをダシにしてもっと語らせてくれ」が半分、です。なので所々#3903037さんの話とずれてるのはご了承ください。
最近の音楽は好きじゃない。この頃のギタリストはどいつもこいつもスピード競争してるみたいだ。テクニックばかりでフィーリングがない。Eddie Van Halen? 勘弁してくれよ。
彼の人気が絶頂の頃、こういうのをインタビュー記事でちょくちょく見た気がします。一定数は率直にそういう感想を持ってたわけで、これを材料に書こうと思います。
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派手な特殊奏法や速弾きで聴き手の気分を引き込むスタイルで、前の世代の必須科目だったブルース感はまるでなし。確かにそうですけど、何か音出して聴き手の気分を変えることができればもう音楽表現といえますし、彼独特のクセのある節回しにはブルース感とは違った味わいがある。
派手な特殊奏法に「小手先」的な印象を持つのもわかりますが、「曲芸」をやって聴衆に訴えかけるのはロック以前からの常套手段。うまく決めれば「どうだ俺スゲーだろ」「わはは、こいつスゲーなあ」ってなるけど、本当に小手先の技ではスベるだけ。曲芸に振り切っちゃう人たちも昔からいる、ある種の伝統芸能ですね。
「スピード競争」というのは当時、実際にあったと思います。本人のいないところでファンが勝手にレースを開いてた側面もあるにせよ、本人たちも意識していたと思います。
Eddieはどうかというと、おそらくキャリアの割と早い段階で「セットリストの中に『速弾きの曲』が何曲かあれば十分」ぐらいの感じに落ち着いたんじゃないでしょうか。Eddieより速いのが後から次々と現れましたが、その多くが残念ながらEddieよりも先に消えていきました。
せっかくだから『Panama』をもう一度聴いてみてください。ソロに特殊奏法や速弾きも出てきますが控えめで、メロディや構成で聴かせる作りになっています。ソロで一息ついてリフにかけて再び盛り上げていく曲全体の構成と合わせて、絶頂期の彼らの音楽観、バランス感覚がよく表れた曲だと思います。
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Eddieについてそう見ていたので、日記エントリでは「奏法」ではなく「演奏スタイル」と書きました。
で、その演奏スタイルゆえに「あの人あんまり好きじゃない」となる人もいるのは、よくわかります。「わかります」とか言われたらムカつくかもしれないけれど、実際私も「あんまり…」と言う人、「嫌い」と明言する人も何人も見てきましたし、理由を聞けばそれぞれにうなずける部分がある。
で、そんな彼らの前に「Eddieってスゲエよな」って確認してくるような奴とか、相手がギタリストなら誰彼構わず「ライトハンドやって」と言っちゃう奴とかも一杯いたわけで、そこまでの現象は彼の他にあまりなかったでしょう。「まあEddieならあまり文句は出ないでしょう、ねえ」というのは、「もう慣れっこでしょ。相手はEddieなんだから今更文句言っても仕方ないよね」ぐらいの気分で書きました。歳食ったおっさんならわかってもらえると思います。
というわけで、私の書いたことを許さないのは構いませんが、ことEddieについての言説に限っては、とっくの昔に許す許さんの問題じゃなくなってます。私の書き方が下手なのは謝りますが、世界がそうなっちゃってるのは諦めてください。