
mfukudaの日記: 「獨逸/独逸」その3 名前と戒名に「獨/独」
日記 by
mfukuda
前回の続き。英訳版の白川『常用字解』の、訳者が独自に追記した文章に、以下の記載があった(516ページ)。
By the way, the translator has not yet encountered a Kaimyo with the character doku (cp. §32) nor any living person thus named.
この訳者は「独/獨」を含んだ戒名や(存命の人物の)名前を見たことがないとのことだが、以下の通り簡単に見つけられる。
福沢諭吉の戒名:大観院独立自尊居士
伊達実元の戒名:独照院殿雄山豪英大居士(ドイツとオーストラリアとイギリスが含まれてる)
仮名垣魯文の戒名:仏骨庵独魯草文居士(フランスとドイツとロシアが含まれてる)
姓:独活山(ウドヤマ)、独古(ドクコ、ドツコ)、獨古(ドツコ)…『JIS漢字字典』に記載のNTT電話帳の用例より
筆名:国木田独歩
人名:独照性円
独を使っているのは戒名ではなく、院号や道号の部分じゃないかというツッコミがあるかもしれないが、この訳者は「Shirakawa's Kaimyo is 顕学院本源静観居士」と直前に書いてるので、反論できる(しかし白川の戒名は検索で引っかからなかった。これで正しいのかな?)。また、姓名に関しては「けものへん」の漢字の姓名はいくらでもある(狩野とか。『JIS漢字字典』で簡単に調べられる)。
ただ、戒名については「差別戒名」という触れたくないネタがある。
戒名「狐峯常獨禅尼」、俗名「ジョウ〇(「古」の下に「ス」で一文字)」という記載があり、差別戒名と結論しているが、これは翻刻の誤りで戒名「孤峯常獨禅尼」、俗名「ジョウ」(「古ス」は「古又」の異体字で、「事」の異体字。「~のこと」の意)ではないだろうか。「けものへん」と「子へん」/「手へん」はしばしば混同される。「孤峰」は名士の戒名に使うし、これは「直入孤峰常独坐」由来でそれなりに偉い女性の戒名と推測するのだが。
By the way, the translator has not yet encountered a Kaimyo with the character doku (cp. §32) nor any living person thus named.
この訳者は「独/獨」を含んだ戒名や(存命の人物の)名前を見たことがないとのことだが、以下の通り簡単に見つけられる。
福沢諭吉の戒名:大観院独立自尊居士
伊達実元の戒名:独照院殿雄山豪英大居士(ドイツとオーストラリアとイギリスが含まれてる)
仮名垣魯文の戒名:仏骨庵独魯草文居士(フランスとドイツとロシアが含まれてる)
姓:独活山(ウドヤマ)、独古(ドクコ、ドツコ)、獨古(ドツコ)…『JIS漢字字典』に記載のNTT電話帳の用例より
筆名:国木田独歩
人名:独照性円
独を使っているのは戒名ではなく、院号や道号の部分じゃないかというツッコミがあるかもしれないが、この訳者は「Shirakawa's Kaimyo is 顕学院本源静観居士」と直前に書いてるので、反論できる(しかし白川の戒名は検索で引っかからなかった。これで正しいのかな?)。また、姓名に関しては「けものへん」の漢字の姓名はいくらでもある(狩野とか。『JIS漢字字典』で簡単に調べられる)。
ただ、戒名については「差別戒名」という触れたくないネタがある。
戒名「狐峯常獨禅尼」、俗名「ジョウ〇(「古」の下に「ス」で一文字)」という記載があり、差別戒名と結論しているが、これは翻刻の誤りで戒名「孤峯常獨禅尼」、俗名「ジョウ」(「古ス」は「古又」の異体字で、「事」の異体字。「~のこと」の意)ではないだろうか。「けものへん」と「子へん」/「手へん」はしばしば混同される。「孤峰」は名士の戒名に使うし、これは「直入孤峰常独坐」由来でそれなりに偉い女性の戒名と推測するのだが。
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