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テレビ

minato_nakazawaの日記: インハンド第4回感想

日記 by minato_nakazawa

インハンド第4回はトキソプラズマによるネズミのparasite manipulationの話から始まったので,今回こそは寄生虫かと思ったら(初回の人物説明では天才寄生虫学者という話だったしT. cruziネタだったが,その後は何故かずっとウイルスネタなのだ),やはりウイルスだった。脳炎の影響が自殺にだけ向かうというのはちょっと無理っぽいが,現実と虚構の混ぜ方としては上手い部類だと思う。

ただ,次回予告で東南アジアでエボラウイルスで村が全滅という話が仄めかされたが,それは流石に無理じゃなかろうか。エボラウイルス病のアウトブレイクはアフリカでしか記録されていないはず。某小説のように,生物兵器のテストのために持ち込んだという設定にでもするのだろうか?

ついでに,これまでの感想もsradにもアップロードしておく。

(第1回)

22:00から視聴した「インハンド」は,寄生虫学者が主人公で,T. cruziを顕微鏡下にとらえてsexyと口走るのはそれらしくて良かったが(蚊を実体顕微鏡下で見つめて美しさにうっとりするという医動物学者はたくさんいるし,twitterでフォローしているいくつかの寄生虫学者のアカウントを見ていると,寄生虫の動画が割と頻繁にアップロードされるので,たぶんsexyとまではいかなくてもlovelyくらいには思っているだろう),塗るという用法でトクホはあり得ないんじゃないかなあ。「トクホ」は特定保健用食品の略だから,基準に照らしてみても,塗るという用法では認可されないと思う。なぜ食用設定にしなかったのかが謎だ。あと,国内のサシガメ類も飢えれば吸血するはずなので,もちろん自然の感染環は構成しないが,国内のは大丈夫と言い切ってしまってはまずかったのではないか。もっとも,井上栄先生の名前は出てこなかったが衛生仮説に触れられていたり,Chagas病の感染環がちゃんと説明されていたり(ただし,T. cruzi元々アメリカ大陸の野生動物を宿主としていたので,患者としての人が存在しなくても,ラテンアメリカのサシガメと動物がいれば感染環は成立し増殖させることができる,という説明がなかったのは残念だった。例えば中間宿主としての人を必要とする三日熱マラリアだったら,ハマダラカだけでは増やせない),専門家がちゃんと監修したのだろうと思われた(後で確認したら,慈恵医大の嘉糠先生が寄生虫監修としてクレジットされていた)。次回以降も見よう……ということで,毎週録画設定した。

(第2回)

寄生虫学者といいながら何故か今回のターゲットがウイルスなのに引っ掛かったし(普通は寄生虫学者といえば原虫や多細胞の寄生虫を対象に研究していて,ウイルス学や細菌学とは別の専門領域だと思う。もっとも,紐倉博士は天才という設定なので,感染症の病原体すべてに通暁しているのかもしれない),SFTSとSARSを混ぜたような特性をもつウイルス(Heartland Virusは本当に存在するウイルスだが,普通は入院して全身管理をすれば回復するらしく,SFTSほど致命割合は高くないらしい。SFTSと同じくマダニ科が媒介することが知られている。細かく言えば,現在のところキララマダニ属のLone Star Tickが媒介することは知られている。ライム病を媒介するマダニ属のシカダニとは属レベルで違うダニらしい。ダニについて詳しくは感染研が公開しているpdfが参考になる。ドラマの中ではそのHeartland Virusが接触感染するように変異し,しかもSARSのようにスーパースプレッダーが存在するという設定になっていた)による,致命割合が高い感染症のアウトブレイクが起こったらPHEIC案件になりそうで,厚労省や世間の対応がいろいろと現実に合ってないなどツッコミどころ満載だったが,患者の死の原因は病原体であって,その病原体の感染源となったスーパースプレッダーではないし,それどころか治療の可能性を示す希望なのだからスーパースプレッダーを憎んではいけない,というメッセージが明確だったのは良かった。

第3回は長野に帰っていたときに見たのでメモはとっていないが,妹の遺伝病(ウェルナー症候群,老人保健の講義資料の2.3で触れた)が契機でアンチエイジングビジネスに手を出した元研究者が,密輸した血液から血液製剤(これが秘密のアンチエイジング因子を含むという設定だった)を作っていて,あるときそれが新型クロイツフェルトヤコブ病(ドラマでは新型と言っていなかったが,おそらく狂牛病禍のときにプリオンが人に感染して発症するとされたnvCJDのことだろう)の病原体でコンタミされ,著名人や老化が怖くて自分にも打っていた開発者自身も感染して認知症様の症状を呈したという設定だったと記憶している。観月ありさが熱演していたが,寄生虫学者の案件にする必然性はないかなあ。

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