表のストーリーを読んで以前の職場を思い出した。
開発要員4人。開発言語はC++で環境はWindowsでパッケージソフトの開発をしていた。
そのソフトは仕様書もなければその他のドキュメントもない。
あるのはC++のソースだけなんだけどそれもコメントは先頭のファイル名程度。
あぁ、取扱説明書はあったか。一太郎のドキュメントで。
ソース管理はGitやCVSの類は使ってなくてソースファイルはネットワークフォルダの所定の位置に各自で格納。
仕様はすべて社長の頭の中にあり、修正事項や新規機能追加はすべて社長が口頭で伝える。
複雑な処理はどうしようもないので自分でメモ書きする。
でもバグが出てもそのメモは自分が書いたものなので「しっかり話し聞いとけよ!」ということになる。
例え社長の指示が間違っていたとしても何も証拠は残らない。
そんな環境。
こりゃいかんとソースにコメント書くようにしたんだけど、社長からバグの指摘があって、その部分のソース見たらコメントがきれいに削除されていた。
その後何度コメントを書いても翌日には綺麗に消されている。
しまいには「ソースに余計なことを書くな」と注意された。
注意してきたのは一番古株の社員で、その人がソースをチェックしてコメントを綺麗に消していた。
結局必要な仕様はメモ書きして手元に残すようにしたけど、その会社はほかにもスケジュールだの連絡事項だののやりとりも全て口頭。
会社のPCにはメールも設定されていたけど在籍していた3年間、社内連絡でメールを使ったことは一度もなかった。
文字を持たない文明といった感じで新鮮ではあった。
入社して間もなく、バグを見つけて原因を指摘したときは、私より社歴の長い社員がその上役に
「だって新入りが言ってるんですよ?信用できないですよ」
と、わざとか知らないが私にも聞こえる声量で話していた。
上司苦笑い。
ステップ実行して確認したら1分で解決するのに、なぜか新入りは常に自分たちよりスキルが低い者扱い。
結局そのバグは私が修正して解決した。
コメント消して回るのはどうやら社長が間違った指示をした証拠を消すためじゃないかなーと邪推。
口頭による指示もいろんな証拠を残さないためな気がする。
新入りは、たとえエンジニアとしての職歴が倍ほど違っても常に自分たちよりスキルが低いという思い込みは地域性のものらしい。
その地域の別の会社でも土人(土着の人)に同じことを言われた。
結局結果で黙らせるしかないみたい。
野生動物相手にしてるのと同じ感じ。
そんな会社があった。
ちなみに今もまだある。
職場の文化というか風習というか、入ってみないとわからない事が多くて、でも入った時にはもう手遅れって事が多い。
合わないと思ったら早めに撤退したほうがお互いのためなんだよなー・・・。