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ネットワーク

yasuokaの日記: Bitcoinの依拠する計算資源は「計算量」であって「データ量」ではない 1

日記 by yasuoka

ネットサーフィンしていたところ、小川敦の『仮想通貨「Bitcoin」の本質―「計算資源本位制」をもたらすデジタル暗号通貨』(日経ITpro、2014年3月4日)に行き当たった。Mt. Goxが倒産する以前に書かれた記事らしく、今となってはアチコチ面白い点が見られるが、特に以下の部分は噴飯物だった。

インターネットがあらゆるビジネスの基盤となる時代には、計算資源こそが一義的かつ普遍的な価値を持つ。例えば、様々なクラウドサービスを提供するためのデータセンターが各地で競うように建設されているのもそのためである。従って、計算資源をよりどころとするBitcoinが経済的な価値を持つことは理解できるだろう。

さっぱり理解できない。Bitcoinがよりどころとする計算資源は「計算量」だ。一方、データセンターがよりどころとする計算資源は、少なくとも現時点では「データ量」だ。これらは全く異なる概念であり、「計算資源」というような大雑把なくくりで議論できるようなものではない。もちろん、今後、新たな理論が現れて、「計算量」(FLOPSやMIPSなど)と「データ量」(bit)を統一的に説明できる時代が来るかもしれないが、私(安岡孝一)の知る限り、現時点ではそんな話にはなっていない。

Bitcoinは、計算資源に経済的な価値を付与したことに大きな意味がある。今後、Bitcoinが成功するか否かは市場に委ねられることになる。ただ、Bitcoinが無価値となり、消滅したとしても、その基本コンセプトを受け継いだ別の試みが途切れることなく続いていくだろう。

それは困る。以前、Bitcoinは無限連鎖講なのかでも明らかにしたが、Bitcoinは、「計算量」という実際上は有限なものを、指数関数的に無限に食いつぶしていくように設計されている。「計算量」理論から言えば、無限連鎖講なのだ。ただ、「人口」の無限連鎖講ではなく、「計算量」の無限連鎖講なので、現行法では取り締まることができないというだけのことだ。そんなものを続けていくのは、私個人は絶対に反対である。「計算資源本位制」とやらを維持したいのなら、必要な計算資源が指数関数的に爆発するような設計ではなく、もっとゆるやかな増加を辿るモデルを採用すべきだと思う。

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目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない -- Eric Raymond

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