yasuokaの日記: 1983年生まれの「麟太郎」くん
日記 by
yasuoka
人名用漢字別表の変遷の読者から、「麟」が人名用漢字に追加されたのは本当に1990年4月1日なのか、という質問を複数いただいた。参考文献[14][19]に示したとおり、『官報』昭和56年号外第88号(1981年10月1日)p.1と、『官報』平成2年号外第21号(1990年3月1日)pp.1-11を見比べれば、「麟」の人名用漢字追加が1990年4月1日施行だとわかるはずだ。その一方、『官報』平成23年号外第210号(2011年9月29日)pp.5-11には、新司法試験の合格者が載っていて、その中に1983年生まれの「麟太郎」くんが含まれているらしい。
いや、それ、不思議でも何でもないと思う。私(安岡孝一)自身『新しい常用漢字と人名用漢字』にも書いたが、1950年生まれの「昌宏」ちゃんも、1955年生まれの「洋佑」ちゃんも、1964年生まれの「榮子」ちゃんも、1966年生まれの「梨香」ちゃんも、1971年生まれの「沙織」ちゃんも、1973年生まれの「悠」ちゃんも、1986年生まれの「昴」ちゃんも、2002年生まれの「曽良」ちゃんも実在する。あるいは、2011年生まれの「巫空」ちゃんもいたし、2013年生まれの「天巫」ちゃんもいる。そういう形で人名用漢字は増えてきたのだし、そう考えれば、ある漢字が人名用漢字に追加される以前に生まれた子供の中に、その漢字を名に持つ子供がいるのは当然なのだ。
ただ、正直なところ、人名用漢字別表の変遷を元に議論したいのなら、そこに示された参考文献くらい、ざっと目を通すべきだと思う。それすらやらずに何かを論じたところで、マトモなことが書けるとは、とても思えないのだが。
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