yasuokaの日記: 東ロボは漢文に返り点を打つことができたのか
私(安岡孝一)の11月12日の日記の読者から、「ロボットは東大に入れるか」(東京大学出版会、2018年9月)を読んでみてほしい、との御連絡をいただいた。読んでみたところ、67ページに
大学入試の「国語」は,現代文,古文,漢文の3つに分けられる.このうち,古文と漢文は,受験生にとってほとんど外国語のようなものであり,外国語と同じように単語や文法を覚え,現代日本語に翻訳する能力を身につけることが,主要な対策となる.実際,古文や漢文の問題は,単語や文法の知識を問う問題や現代文に翻訳する問題,および,それに基づく内容理解の問題が出題されるため,このような対策は有効であり,コンピュータで解く場合でも,同様のアプローチをとることになる.
と書いてあって、非常にワクワクしたのだが、次の68ページでガックリきた。
なお,漢文問題の解法に関する研究は,2013年から2016年までの4年間,まったく実施しなかったので,本章では取り上げない.
まったく実施しなかったのね。しかも「本章」(第2章)のみならず、他の章でも漢文は取り上げられていないので、東ロボも、漢文に返り点を打つことはできないようだ。
ただまあ、そうは言うものの、私の共同研究班が、漢文(古典中国語)の形態素解析を何とかモノにしたのは、「古典中国語形態素解析のための品詞体系再構築」(2012年11月)以降のことだ。そこそこ返り点が打てるようになったのは、日本漢字学会第一回研究大会で明日(12月1日)発表予定の「漢文の依存文法解析と返り点の関係について」以降ということになるのだろう。その意味では、完全に歯が立たないというわけでは無さそうなので、ぜひ「漢文問題の解法に関する研究」にチャレンジしてほしいなぁ。
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