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36010 story

米国と欧州、オープンソースビジネスの違い 20

ストーリー by soara
一方、日本では 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

本家"Is Open Source Different In Europe Than In the US?"より。

9月21日~24日までパリで開催されていたEurope Open Source Think Tank 2008に参加していたVA Software Corporation前CEOのLarry Augustin氏は、会期中ヨーロッパと米国でのオープンソースビジネスの違いについて何度も耳にしたそうだ。氏はその様々な意見をまとめ、欧州と米国のオープンソースビジネスの違いに関する考察を自身のブログに掲載している。

(つづく)

それによると以下のような違いがみられるとのこと。

  • オープンソース採用の主な理由
    ・欧州:ベンダー・ロックインを回避
    ・米国:コスト
  • 商用オープンソースビジネスを推し進める主要因
    ・欧州:ローカル・ソフトウェア産業の創出
    ・米国:ベンチャー・キャピタルや企業主導。大きなビジネスをつくりだし、投資家が儲ける
  • デュアル・ライセンスに対する意識
    ・欧州:真のオープンソースではない。オープンソースをPRやマーケティングに使用したプロプライエタリなビジネスモデル
    ・米国:普及しているオープンソースビジネスモデルとして広く受け入れられている
  • セールスモデル
    ・欧州:流通主導。VARやSI
    ・米国:直販
  • オープンソースビジネスモデル
    ・欧州:サービスおよびサポートサブスクリプションに焦点を置き、ソフトウェアは100%オープンソース
    ・米国:米国企業はサービスビジネスには足を踏み入れたくない。焦点は製品に置かれ、プロプライエタリなアドオン、またはエンタープライズエディションがオープンソース版製品と組み合わされる
  • オープンソース製品に期待されること
    ・欧州:すべてのコードがオープンソースで提供される。コミュニティ参加モデルのコミュニティ統治
    ・米国:欧州と基本は同じだが、すべての製品がオープンソースライセンスで提供されなくてもよい。商用ライセンス版製品も多く提供されている。プロジェクトは商業ベンダーによって管理されている
Augustin氏は「ヨーロッパや世界の他の国々はオープンソースの採用に関して米国より進んでいる」と考えており、米国の消費者はより良質で安価なソフトウェアや、ベンダーとの良好な関係を求めていて、その実現にはオープンソースが役立っているが、ソースコード自体やそのソースコードへのアクセス方法のあり方などによってその利益が生まれているという現実に興味はないという。比べて欧州のオープンソースソフトウェアコミュニティはその先をいっており、オープンソースの特性によってそれらのメリットが生まれていることが認識されており、米国より深いレベルでオープンソースというものが受け入れられているとしている。

日本のオープンソースビジネスと比較して、諸兄方はどのようにお考えだろうか?ご意見などあれば是非お聞かせ願いたい。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • ヨーロッパのソフトウェアビジネスがどうなっているのか、日本では今一情報がありませんね。

    雇用規制が日本と同じように厳しいので(というよりアメリカが自由すぎる?)
    日本と同じようなビジネスモデル(一括請負)が成り立つ。

    日系のSIerが進出していると聞いた事がありますが。
  • by Anonymous Coward on 2008年09月28日 1時44分 (#1427545)

    そんなに美しい話ではなく、単に

    • 米国:今、現に儲かっているので、無問題。金が儲かる事が正義
    • 欧州:今は勝ち組を目指している途中。オープンソース云々で現在の勝ち組をけん制しつつ 「ローカル・ソフトウェア産業の創出」などなどで追いつくのに注力
    なのではないか、と。

    つまり、欧州がオープンソースの理念なりを大切にしているなどと、アテにしてはいけない。
    どちらも主流を獲り、勝ち組になってしまえば同じような行動を取るはず、位に考えておくべき

  • by Anonymous Coward on 2008年09月27日 10時05分 (#1427140)
    >米国の消費者はより良質で安価なソフトウェアや、ベンダーとの良好な関係を求めていて、
    >その実現にはオープンソースが役立っているが、ソースコード自体やそのソースコードへの
    >アクセス方法のあり方などによってその利益が生まれているという現実に興味はない

    これはアメリカに限らず、消費者一般に共通する態度だと思うんだけど。
    欧州でも「無料であることが最重要。ソースなんてどうでもいい。つか読めないし」という人より、
    「無料であることより、ソースが自由な状態であることが最重要である。自分が読めるかどうかは問題ではない」
    という消費者が多数派とは思えない。

    政治家やロビイストが、政策としてそういうお題目を唱えるというなら分かるけどね。
    • それはどうだろう??

      オープンソース採用の主な理由
      • 欧州:ベンダー・ロックインを回避
      • 米国:コスト
      というのは確かに言えていると思う。マイクロソフトを叩くのも、マイクロソフトにロックインさせられるのを排除するためだし。

      特定業者にロックインさせられることで「そのツールで出来る事の限界」を意図的に作られて余計な部分にまで支配権を握られるのは嫌だろう。また銀行とかと同様、「破産されると社会的影響が強すぎる」という理由で特定の企業に便宜を図らなくちゃいけない状態を回避したい、というのもあろう。

      .

      で、そう考えると、

      米国の消費者はより良質で安価なソフトウェアや、ベンダーとの良好な関係を求めていて、
      というこの目標はアメリカのように歴史の浅い国ではよくあるけれど、歴史の長い国では消費者がベンダーとの良好な関係を求めるよりも、ベンダーが消費者との良好な関係を求める方が要求としては高い。もちろんこれは逆な言い方をすると「ベンダーは良好な消費者ではない存在との関係は打ち切る」事をも意味する。

      日本の顧客が一般に我侭で、自立性がなく、リスクを取らない(銀行や証券などは特に酷い)のは、このようなベンダーのありようの裏返し(と言うか悪い副作用)だし、それを利用して日本のベンダーはロックインを目論む訳で。

      逆にそのような状態を回避して、自分達が使うシステムの制御権を自分達が把握しておきたい場合、オールオープンソースであること「そのもの」が重要なファクターになる。

      乱暴な話。フランス政府がRHELを使っているとして、RedHat社が無茶な事をやり始めたときに、「政府が使っているRHELがいきなりサポートされなくなる」事を恐れる必要なく、RedHat社に対する捕物ができる、と言うのは一種の安心だ。

      同じ安心感が米国政府とMicrosoftの間にある、とは到底思えない。
      --
      fjの教祖様
      親コメント
    • 「消費者」という言葉にひきずられてるかなと思い、補足。

      原文では「消費者 (consumer) 」ではなく「顧客 (customer)」と書かれています。筆者が参加したOSTTは公式ページによればCEO/CIO/CTOクラスの人間、法律家、投資家などを招待して行うイベントで、筆者が「顧客」と書いているのも「行政組織や企業において導入するソフトウェアを選定するような立場の人たち」が中心かと思います。

      で、全体的にそういった顧客の観点からの話。欧米対比表の各項目は短い解説が加えられていますし、いくつか引用しましょう。okkyさんが書かれたような動機も出てきます。

      オープンソース導入の第一の理由

      OSTTの前の週に私は、ニューヨークの金融サービス業のIT部門の重役たちと数日過ごしていた。過去2回のOSTT in Napa(カリフォルニア州ナパ)ではいずれもCIOパネル討論会が行われていた。この3つの機会すべてにおいて聞かれたのは共通するテーマで、オープンソース導入の原動力となる第一の要因はコストというものだった。さらに、The 451 Groupがオープンソース導入に関するCIOへの調査を行っていて、オープンソースの選択肢を選ぶ第一の理由はコストであると判明している。これは今週私がEurope OSTTで聞いたこととは全く対照的だった。確かにコストは重要だが、より重要なのはソフトウェアのオープンソースとしての性質――特に、ベンダーを複数確保できること(ベンダー囲い込みの回避)、プロジェクトの方向性に影響・支援できることが重要なのだという。

      デュアルライセンスのビジネスモデル

      米国内ではデュアルライセンスに基づくビジネスモデル(オープンソースコードの商用ライセンスでの再ライセンシング、あるいはオープンソースプロジェクトに追加機能をつけての商用版の販売)は一般的なものになっている。OSTTの欧州からの出席者たちからは、そういったモデルに対して欧州の顧客の間には否定的な反応がある、というのがはっきりと聞こえてきた。これは先週会談を持った、オープンソースソフトウェアの商用ライセンスのベンダーからの納入に満足している米国のCIOたちとは全く対照的だ。

      「オープンソース」製品にまつわる期待

      欧州でオープンソース企業に求められるものは、米国内よりも明らかに高い。つまり、ある企業の主業務がオープンソースベンダーであるなら、その企業のソフトウェアは一つ残らずオープンソースライセンスで提供されることが期待される。さらには、ソフトウェアの方向性の指針に顧客が参加できるような、何らかのコミュニティモデルないしインタラクションモデルの存在が期待されるのだ。

      結論部分では要約すると「米国ではソースコードそのものや、いかにコードへのアクセスがコスト面での恩恵を生み出してきたかには関心を持たれないが、欧州の商用オープンソースコミュニティはよく理解している。結果として採用の度合いも高く、多くの事例で商用ライセンスよりもオープンソースライセンスが望まれる。こうした洗練のレベルに、いつかこちらも追いつけるといいのだが」というようなことが書かれています。

      筆者は顧客側からの積極的な関与を強く印象付けられて、それは将来恩恵として返ってくる好循環への期待からと分析した、ということではないかと思います。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年09月27日 13時08分 (#1427199)
    > デュアル・ライセンスに対する意識
    デュアルライセンスで有名なMySQLもTrollTechもヨーロッパの会社でしょ?(買収されちゃったけど)
    それに個人的には元のオープンソースの考えから脱皮して新しいビジネスモデルを作ったという意味で進んでいると思う。
  • * オープンソース採用の主な理由
    ・欧州:ベンダー・ロックインを回避
    ・米国:コスト
    ・日本のおやじ:ただ?いいじゃん
    * 商用オープンソースビジネスを推し進める主要因
    ・欧州:ローカル・ソフトウェア産業の創出
    ・米国:ベンチャー・キャピタルや企業主導。大きなビジネスをつくりだし、投資家が儲ける
    ・日本のおやじ:儲かるの?えっ、ただで配る?何だよそれ(笑
    * デュアル・ライセンスに対する意識
    ・欧州:真のオープンソースではない。オープンソースをPRやマーケティングに使用したプロプライエタリなビジネスモデル
    ・米国:普及しているオープンソースビジネスモデルとして広く受け入れられている
    ・日本のおやじ: zzz (議論についていけない時は眠った振り)
    * セールスモデル
    ・欧州:流通主導。VARやSI
    ・米国:直販
    ・日本のおやじ:(2000円/人のお菓子と缶ビールで役人接待した後)よし、これで2000万儲けるぞ
    * オープンソースビジネスモデル
    ・欧州:サービスおよびサポートサブスクリプションに焦点を置き、ソフトウェアは100%オープンソース
    ・米国:米国企業はサービスビジネスには足を踏み入れたくない。焦点は製品に置かれ、プロプライエタリなアドオン、またはエンタープライズエディションがオープンソース版製品と組み合わされる
    ・日本のおやじ:いいじゃーん、売れよ。3ヶ月5000万だぞ!
    * オープンソース製品に期待されること
    ・欧州:すべてのコードがオープンソースで提供される。コミュニティ参加モデルのコミュニティ統治
    ・米国:欧州と基本は同じだが、すべての製品がオープンソースライセンスで提供されなくてもよい。商用ライセンス版製品も多く提供されている。プロジェクトは商業ベンダーによって管理されている
    ・日本のおやじ:俺この前も知り合いにビジネスの天才って言われちゃったよw。えっ何?ただ?ならいいよ。

    おやじの物語はフィクションです。実在の人物及び団体とは一切関係がありません。

    --
    AVG anti-virus data base out of date
  • by Anonymous Coward on 2008年09月27日 16時05分 (#1427275)
    2行でまとめるとこんな感じですか(ずいぶん前から言われてるよなぁこれ):
    欧州:高き理想の元に共存共栄と持続可能な発展を目指すのだ
    米国:儲ける、そのためならオープンソースも活用するぜ

    日本にはあらゆるものにおいて、欧州モデルのほうが最終的には馴染む気がしますが、導入は米国モデルでないとつまづくという傾向がおおいにありますね。明治維新は「侍の時代が終わって、商人(あきんど)の時代になった」というのも一つの側面ですから、以降日本人は表面的には商人的なのかもしれませんが、どこか奥底にSamurai Spiritが残っているのでしょう。いよいよ金融危機で巻き返しが始まります。
  • by Anonymous Coward on 2008年09月27日 23時29分 (#1427505)
    国別に分けてるのが多いけど、言語別でいいんじゃない? とか思うんだけど。
    特に日本なんとかユーザ会は元グループに言語別ででも作れないのか。
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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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