日本のソフトウェア産業は税制で不利益を得ているのか 53
ストーリー by hylom
時代に合った税制を求む 部門より
時代に合った税制を求む 部門より
ソフトウェアを固定資産として扱うことは日本のソフトウェア産業にとって不利益なのでは、という問題提起が議論になっている。
日本においては、ソフトウェアは固定資産となり、たとえば自社で開発したソフトウェアは資産として計上され、数年で減価償却を行うことになっている。そのため、ソフトウェア開発に人件費を投入しても、その大多数は資産として計上されることになり、多額の法人税を支払う必要が出てくる場合があるという。
いっぽうおごちゃんの雑文によると、ソフトウェアを資産計上するようになったのは、ソフトウェア会社が銀行から融資を受ける際に資産があったほうが都合が良い、という理由だそうで、過去の日本においては意味があったようだ。
ちょっと問題ある問題提起、かなあ (スコア:5, 参考になる)
問題提起 [irnote.com]の内容だが、本人はそう信じてるのかも知らんけど、ちっと問題ありかな。
ネット売上 10億円
エンジニア人件費 5億円
その他販管費 5億円
営業利益 0円
で、アメリカ企業は税負担が0、日本は利益4億円に対して法人税を払うケース。こういう儲けを全額開発にぶち込む事を繰り返す会社って、日本では珍しいんじゃないかな。なら、3年なり5年なりのスパンで考えた場合は、アメリカも日本も変わらないだろう。
そして、ここだ。
これだけ動きが早い業界で、5年間も同じソフトウェアを使い続ける保証などどこにもありません。例えば今年開発したサービスが、2年後にやっぱり駄目だとなった場合、3年分の減価償却分を終えていない資産がまだ残っていますので、サービスを終了させるという判断を躊躇したくなる経営者も多く出てくるでしょう。
この人は企業会計とか税務に詳しくないのかな。資産の除却を知らんみたいだし。使えなくなったソフトは除却をすれば、残存価格を一括で損金計上出来る。サービスを止める時点でのソフトへの支出は、アメリカも日本も変わらない。除却で大赤になるなら、欠損の繰越で翌期から税負担が無くなる/軽くなるし、なんならこれまでに支払った法人税は返して貰う [nta.go.jp]事も出来る。
Re: (スコア:0)
そりゃ日本企業が不利だからそいう企業が珍しいんでしょ。
Re:ちょっと問題ある問題提起、かなあ (スコア:2, 興味深い)
その通りですが、そこで税務署にその税制がおかしいと抗議しても無意味です。
かといってどこに抗議しても税制は変わらないので、所与のものとして扱うのが企業としては合理的です。
同様の理由から、有権者がそうした産業に寄与する候補者に投票せず原状が変わらないのもまた合理的です。
なので消極的に保守層に投票して迎合してその所与の環境の中でもっとも収益を上げられるビジネスモデルを見つけてそこに投資するのがもっとも効率的です。
つまり現状を変えようとする意味はありません。
そうした事情を無視して理想論に走るのを「ケツが青い」と笑うのが、スラドではフレームのもととモデされても、事実上もっとも効率的であります。
#フレームのもとなのでAC
Re: (スコア:0)
いっぽう欧米は自分たちに有利になるようにルールを変えた。
そりゃ日本が勝てるわけないわ
Re: (スコア:0)
身近なことから変えていかないとね。家族ルールにしても会社ルールにしても。
Re: (スコア:0)
30年前、まさにそのケツの青い連中が消耗品として扱うしかないことに抗議したことで税制が変わったんだろ。
Re:ちょっと問題ある問題提起、かなあ (スコア:1)
そりゃ日本企業が不利だからそいう企業が珍しいんでしょ。
それはどうかな。
日本企業が不利だとしても、売上高営業利益率が50%で、開発投資の倍の売上があって、儲けを全額開発にぶち込む事を繰り返す会社なら、成長率は大体60%位になる。10年で90倍位、15年で1000倍位の売上規模になる。初年度の売上が10億なら、15年後には1兆円企業。そういう会社が日本にあるか、だけど、まあ、無いわね。
まあ、元々、売上高営業利益率が50%とか、開発投資の倍の売上とか、儲けを全額開発にぶち込むとかの設定が、空想というか妄想の産物では無かろうかと。特に日本では、ね。
会計上の資産と税務上の資産 (スコア:4, 参考になる)
なんかごっちゃになっている気が。
日本企業は大抵下記の会計基準のうちのどれかを選択していますが、どれを使わなければならないということはなく、会社毎の選択のはずです。(私の前の会社はIFRS,今の会社は米国基準を採用)
日本基準と国際財務報告基準(IFRS)と米国基準(US GAAP)の3基準比較 [shinnihon.or.jp]によれば、
[日本基準]
認識基準:無形資産の認識基準に関する明文規定はない。
内部創出研究開発費:ソフトウェア制作費のうち、研究開発に該当する部分も研究開発費として費用処理する。
[IFRS]
認識基準: 所定の定義に合致し、さらに以下を満たす場合にのみ認識されなければならない。
・当該資産に起因する、期待される将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高い。
・当該資産の取得原価を、信頼性をもって測定できる。
内部創出研究開発費: 研究費は発生した時点で費用として認識する。開発費については、技術上の実行可能性や使用又は売却するという企業の意図等、一定の要件がすべて立証可能な場合のみ、無形資産として認識しなければならない(満たさない場合には発生時に費用処理する)。コンピュータ・ソフトウェアの研究開発費に関する個別の指針はない。
[米国基準]
認識基準:IFRSと同様。
内部創出研究開発費: ソフトウェア制作費のうち、研究開発に該当する部分も研究開発費として費用処理する。内部利用のソフトウェアは、アプリケーションの開発に関する費用は資産化される。
です。(強調は拙者)
いっぽう、税務上の資産とする基準はなぜかエビデンスが出てこない。
実際に計算していて思う事 (スコア:3, 興味深い)
どこかに発注して自社専用ソフトウエアとして実装する場合は
受注する側から見ると、建設業に近いんだよね。
実際、使う側から見ても建物みたいな会計になる。
この場合、ソフトウェアを資産計上するのは本当に妥当な感じだと思う。
古くはこういうビジネスモデルばかりだったのでそれで良かったと思った。
ところが、パッケージソフトとして販売したりすると、これは書籍みたいな感じになる。
こうなると固定資産?違うだろって印象だ。
さらに、ウェブベースにしてサービスとしてしまうと、遊園地の運営みたいになる。
ビジネスモデルが物凄く多様で、会計基準をソフトウェアか器物かという分類にするのではなく、ビジネスモデルで別けないとまともな会計できないなと思った。
Re: (スコア:0)
>どこかに発注して自社専用ソフトウエアとして実装する場合は
>受注する側から見ると、建設業に近いんだよね。
それは、ソフトウェアの開発。
自社業務のためだったり、販売目的だったりの、パッケージソフトウェアを開発することと、
ソフトウェア技術の研究開発に投資することは似て非なるもんなんだよね。
ソフトウェアの開発に投資するか、ソフトウェア「技術」の開発に投資するか。
Amazonがやっているのは後者。
Re: (スコア:0)
技術開発(直接使うソフトではなくライブラリなど)であれば、すでに研究開発費という科目があって
これは、普通に減価償却が正しい処理方法であるし妥当かと思われます。
なので特に議論の余地は無いかと。
準備段階が完了すれば米国でも資産に計上する? (スコア:2, 参考になる)
ちょっと検索してみたら下記のような文書を見つけました。
米国におけるソフトウェアの会計基準
http://www.iic.tuis.ac.jp/edoc/journal/ron/r5-1-12/r5-1-12d.html [tuis.ac.jp]
準備段階ではソフトウェアは資産に計上しないが、
準備段階が完了すれば資産に計上していたようです。(2001年8月時点)
耐用年数は管理者の見積もりとして、明記されていませんが、
現在では日本とどのくらい差があるのか気になるところです。
Re:準備段階が完了すれば米国でも資産に計上する? (スコア:4, 参考になる)
「問題定義」のブログ記事には?な部分がある.日米間や会計・税務間で基準に差があるものの,将来利益を生み出すソフトウェアは固定資産として計上して,利益を生まないものや会計年度内で償却する少額のものは費用として計上というのが原則.
そのうえで,アメリカでもソフトウェアは固定資産として計上される(親コメ).日本でも,研究開発費(自社利用のソフトウエアについては、その利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかであるもの)は費用計上できます(No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数 [nta.go.jp]).
東芝ののれん代(これも無形固定資産)問題と同じで,いつ利益を生むか否か,将来の耐用年数は経営者と監査が合理的に判断します(税務署との間で齟齬が生じて修正申告を迫られる場合もあり).もし,「問題提起」のように,開発費すべてが資産として計上できるのなら,粉飾決算の温床になりかねない.
耐用年数の見積もりは,将来の利益(経費削減)に与しないと判明した時点で損金が発生します.
「研究開発費及びソフトウェアの会計 処理に関する実務指針 [jicpa.or.jp]」に,利用2年目に耐用年数が残り2年目と判明した場合の対応事例が掲載されています.
Re:準備段階が完了すれば米国でも資産に計上する? (スコア:1)
普通金を払って作ったものはだいたい資産ですよ。ソフトウェアの場合価格を恣意的に設定できるというか評価額をどうするのかという問題はあるが。自社用ソフトウェアなんて大抵市場価値ゼロですし。
日本のソフトウェア産業の問題点はパッケージソフト市場が弱いから生産性が低いってことなんじゃ。
ソフトウェア産業以外にも打撃が (スコア:2, 興味深い)
2009年頃の税収が減っていた時期に、監査で
「Excelのマクロもソフトだ。当然、自動記録したものも、だ。」
「おたくはソフトウェア産業じゃないんだから、ソース1行あたりの工数は大きい。1時間に10行ぐらいが妥当だ。」
というご指摘を受けてしまいました。
自動記録したやつって簡単に数十行以上となるため、うっかり複数記録すると固定資産相当になりやがります。
そのため、全社に対しExcel自動記録の原則禁止令がでてしまいました。
「ソフトウェア産業じゃないから関係ないや」と思ってると、思わぬ罠が待っておりますので気をつけてください。
Re: (スコア:0)
> 2009年頃の税収が減っていた時期に、監査で
監査役とか、会計士(税理士)がそういう指摘をしたの?
それとも、監査ではなくて税務調査?(これは税務署が行う)
Re: (スコア:0)
せんせーい
自社サイトにjsで
四半期ごとに季節のウェルカムメッセージ出したいんだけど
一行で書けばセーフですか?
# ソフトウェア業の基準っていったい。。。
誤用 (スコア:1)
×不利益を得る
○不利益を被る
ゆ、と、り、
Re:誤用 (スコア:1)
不利益を蒙る(フリエキ ヲ コウブル)だよ
Re:誤用 (スコア:1)
函数とか共軛複素数とかで編集合戦してそう
Re: (スコア:0)
手元の漢字海では、「被る」で「こうむる」の読み仮名がふられているし、(災害を)受けるという意味で使うことができるとなってますねえ。
で、「蒙る」にしないといけないのですね。
いずれにせよ (スコア:1)
「ソフトウェアの固定資産計上」の影響を針小棒大にとりあげる雑な主張だねコレ、で片付く案件では。
ソフトを売るからダメなのか? (スコア:0)
ヒゲのおじさんの考え方のようにソフトはフリーにしてサポートで儲ければソフトそのものの資産価値が0になる・・・のか?
Re: (スコア:0)
そのおじさんと同世代の日本人のおじさんは、サービスに金払うのを確実に拒絶するから。
♯おじさんに限らず同世代以下も変わらんか。。
不利益は被るものだろうに (スコア:0)
得てどうするんだ?
Re:不利益は被るものだろうに (スコア:1)
マイナスを得るという、実に理系っぽい表現じゃないか。
Re: (スコア:0)
か、ぶ、り、
Re: (スコア:0)
売り上げと相殺(したことに)して、節税する?
オープンソースにしたら (スコア:0)
損失扱いになるんだろうか
Re: (スコア:0)
会計的には、資産を減少させるためには何等かの費用の発生が必要です。
持ってた株が値下がりしたのと同じだから。株の場合には有価証券評価損とか損失がでたことにします。
でも、ソフトウェアの資産化ってリース契約するのに必要だからやったんじゃなかったのか。
会計的な意味で費用にしたら開発費でないけど。
Re: (スコア:0)
おまえらの書いたコードなんて負の資産に決まってる
Re:オープンソースにしたら (スコア:1)
やったね、たえちゃん!資産が増えるよ!!
〇〇ソフトウェア株式会社 仕訳帳
3/31
スパゲティコード開発費 ¥100,000,000 人件費 ¥100,000,000
無形固定資産 ¥100,000,000 スパゲティコード開発費 ¥100,000,000
Re: (スコア:0)
よく分からないんだけど、例えば1千万円かけて作ったソフトが売れなかったら1千万円は丸々赤字になるわけじゃないの?
Re: (スコア:0)
過剰在庫も市場価値があると判断されるうちは資産(もしくは将来の売上)として扱われるのと一緒。
Re: (スコア:0)
株券印刷業系のベンチャーですわな
上場ゴールで市場から資金を吸い上げます
Re:オープンソースにしたら (スコア:1)
> 株券印刷業系のベンチャーですわな
宝印刷とか、証券印刷業の会社はちゃんとあるのだから(今は株券の電子化で印刷自体はしてないけど)「株券印刷業」とか揶揄するのはやめましょうよ。
Re: (スコア:0)
大王製紙「ペーパーカンパニーです」
熊谷組「トンネル会社です」
シスコシステムズ「ネットワークビジネスをやっています」
Re:オープンソースにしたら (スコア:1)
株式会社JR東日本ウォータービジネスというのがあってですね……
Re: (スコア:0)
シスコはトンネル掘る道具を売ってる会社では?
Re: (スコア:0)
実際冗談抜きで将来の費用を引当金計上しないと、粉飾に近い状態が作られるので
状況次第では負の資産として計上するのは正しいと思う。
特に、み○ほとかIT界のサグラダファミリァな所。
Re: (スコア:0)
損失扱いになるんだろうか
対象は開発だけに限ったことなのかな
MS OfficeからLibre Officeにしたら
資産なくなっちゃうん?
はたまたプロプラだけど
譲渡も売却も貸し出しも不可なソフトのライセンスは資産なの?
って考えたらどうだろう
資産=担保 (スコア:0)
ソフトウェアを資産計上しなくなれば、また銀行からお金を借りれなくなりそう・・・。
Re: (スコア:0)
固定資産しか担保にできない(させない)融資者たる銀行がクズだという話では?
Re: (スコア:0)
市場価値(汎用性)がゼロの資産をどう扱うかってのは難しいと思う。
# 俺の書いたプログラムには1兆円くらいの価値があるはず
Re: (スコア:0)
銀行はそんなもんですよ。だから高度テクニカル分野の融資は、VCや商社が一般的
Re: (スコア:0)
銀行は各種の法律で手足を縛られているのでリスクを取るのが難しい。
それに危ないことしなくても儲かるし。
Linuxを256倍楽しむ方法 (スコア:0)
わーい、おごちゃんだー、なっつかしいなー
Re: (スコア:0)
生越さんだっけ?
越生さんだっけ?
Re: (スコア:0)
生越さんです。
不利益を得ている (スコア:0)
不利益って「こうむる」もんじゃないの?