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日記

akiraaniの日記: クラス召喚で召喚主に悪役が多い理由についての考察 4

日記 by akiraani

 なろう転生もののテンプレの一つに、クラス召喚というのがある。異世界転生系の派生形の一つで、その特徴は中学なり高校なりの生徒が1クラス丸ごと異世界に召喚されるというもの。

 修学旅行でバスが事故って転生、みたいなケースもあるようだけどそのほとんどが何らかの目的をもってどこかの王国に召喚される。
 ただ、そこから王道の勇者ものな展開をすることは案外少ない。というか、かなりの確率で召喚する側が悪者ポジにある。

 単独召喚でも召喚主が悪役というパターンはあるが、割合としてはそこまで多くはない。しかし、いくつか有名作を見てみた限り、クラス召喚では大多数が召喚主が悪者なのだ。よくあるパターンだと、戦争を始めるためにクラス召喚をしてクラスの連中をだまして戦わせる、といった具合。

 なぜか。おそらくはなろう転生の基本フォーマットが一人称視点だからなのではないかというのが現時点での推測である。

 そう推測するに至った因果関係を追っていくと、一人称視点だと特定の誰かを主人公に据える必要があるということころから始まる。
 群像劇の形をとらず、明確な主人公を定めるのであれば、主人公以外のクラスメイトは主人公の視点でそれぞれ異なるロールを割り当てる必要が出てくる。4~5人であればまあ勇者パーティーとしてジョブでの差別化も可能であるが、数十人単位となるとそれでは収まらなくなる。

 この問題を解決する方法はいくつかあると思うが、一番手っ取り早いのは、クラス内に派閥を作ってしまうことだろう。クラスをひとまとめにせず複数の派閥に分割してしまえば、各派閥の中で差別化ができていれば、別のグループの誰かとジョブがかぶってもよくなるので、たくさんのキャラを管理しやすくなる。

 こういった派閥を作るのに一番手っ取り早いのが、召喚主への態度で分けるというやり方になる。そして、召喚主を悪者にしてしまえば、ものすごく派閥が作りやすいのである。信じて騙されている、騙されていないが利用しようと思っている、騙されて裏切られたと思い復讐を企んでる居る、といった具合にキャラクターの行動目的を派閥から自動的に定めることができるというのも大きな利点だろう。

 他には、主人公とごく一部以外をモブとして切り捨ててしまう、バトルロワイアル形式にしてしまうといったやり方もあるが、たいていのケースで召喚主を悪役にしてしまった方がドラマが作りやすい。

 結果として、クラス召喚において召喚主はかなりの確率で悪役ポジションに置いておくのが物語を作るうえで合理的となるのではないだろうか。

 そうじゃないパターンというのも考えてみたが、やはりネックになるのは人数の多さになる。
 基本的に、物語上の役割が与えられないのであればキャラは増やすべきではない。その大原則を押しのけて大人数で転移するなら、大人数であるべき必然性が要るのだが、これがかなり面倒くさそう。

 まず、召喚主が何かの目的を達成するために集団を必要とする理由付けがとても難易度が高い。それだけの数のキャラクターと召喚主が対話するだけでも大変なのに、共通の目的意識を持たせるとか、クラスの人間関係のごたごたを片付けるだとか言った面倒で生産性のなさそうな雑事がたくさんわいてくる。
 少なくとも主人公の最初期の行動指針を定める必要があるので、上で挙げたような雑事はすっ飛ばすような設定やシチュエーションが望ましい。

 ぱっと思いついたのが、召喚後すぐにクラスメイトを散り散りにしてしまって、仲間を集めるというところから始めるホットスタート方式。順番にかつてのクラスメイトを集めていく方式であれば、一人集めるごとに個別のエピソードを作ることができるわけで、群像劇がとてもやりやすくなる。仲間を集めることが目的になるのだから、大人数である必然性もある。
 あとは仲間を集める中でゆっくり物語全体の方向性を定めればいい。手っ取り早く水滸伝のような展開にしてもいいし、いろんな陣営に分かれてお互い争うというのもありだろう。
 散り散りになるのではなくてもいいから、何かしらの極限状態に追い込んで、まず生き残ることを初期の行動指針にするような展開もありかな。サイバイバル環境でお互い助け合わないと生き残れない、みたいな状況から始まるなら導入はすんなりいくだろうし。
 いずれにしても、ホットスタートは必須になるので、面倒を見てくれる良心的な召喚主は登場する隙間はなさそうである。

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「毎々お世話になっております。仕様書を頂きたく。」「拝承」 -- ある会社の日常

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