minato_nakazawaの日記: 長期間の食生活と腸内細菌 2
日記 by
minato_nakazawa
先日放送された,NHKスペシャル食の起源の第1回で東大人類生態のラオスでの研究の話が流れたが,エンドロールに東大人類生態のクレジットがなかったのは不思議。秋田大学と田所さんはクレジットされていたのに。伏木先生登場されたっけ? 番組的にはいろいろ怪しい部分があるのはたぶん仕方ないのだろうか(同時的異所的な調査で「残っている」と言い切ってしまうこととか,少数民族と何度も言っていたが本当に少数民族なのかとか,もち米であることが強調されなかったこととか……)。まあ映像的には面白かったけれども。(NHKのサイト内のわりと詳しい内容紹介にも「人類生態」という言葉は出ていないのは残念)
ちなみに,長期間の食事パタンと腸内細菌の関係で,Bacteriodesがタンパクと動物性脂肪,Prevotellaが炭水化物と関連が強いという話は,2011年のScienceで,Linking Long-Term Dietary Patterns with Gut Microbial EnterotypesというReportに載っている。最近のものだと,この論文やこの論文も面白そうだ。
ごはんはデザート (スコア:1)
腸内細菌と聞いてイモ食って筋肉モリモリ [tumblr.com]なパプア高地人が豚食ったら死ぬ話を思い出した。
ラオスの少数民族というとクメール人かと思ったけど、あちらではもち米はデザート [cambodiatourism.or.jp]らしいし違うのか。
Re:ごはんはデザート (スコア:1)
パプアニューギニアでもタロやヤムは低地の人の方が良く食べると思います。高地の人はサツマイモを主に食べます。物凄い量を食べるのは確かですが。
あと,豚を食べて死ぬというのはPig-Belと呼ばれる壊死性腸炎のことと思いますが,主な原因はウェルシュ菌が出す毒素と考えられており,豚肉が毒になるわけではありません。日本で見られた症例 [jst.go.jp]や糖尿病小児の症例 [www.nejm.jp]が参考になります。もちろんRappaportの名著"Pigs for the Ancestors"(長い書評 [jstor.org])にもあるように,パプアニューギニア高地において,滅多に食べない豚を大量に捧げるfeastは社会文化的に大きな意味をもちます。
Minato NAKAZAWA, Ph.D. Demographer, Human Ecologist