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NTT

yasuokaの日記: Re: NTT西日本が考えるQWERTY配列の歴史

日記 by yasuoka

「パソコンのキーボードは,なぜABC順・五十音順ではないのですか」の読者から、NTT西日本のチエネッタの記事「キーボードの配置のルーツとキーの役割を知ろう」(ネットのいろは、vol.21、2019年3月28日)を読んでほしい、との御連絡をいただいた。読んでみたのだが、QWERTY配列に関するガセネタが並べ立てられていて、かなり閉口した。

不規則なQWERTY配列になった理由って何?
ではなぜこのような不規則な配置になったのでしょうか。確実な根拠のある理由はわかっていないようですが、諸説あるうちのいくつかを下記にまとめました。

  • タイプライターのセールスマンが顧客に対してプレゼンテーションを行う際に素早く美しく「typewriter」と打鍵を披露できるようにしたものだという説(最上段のキーのみで全ての文字の入力が可能)
  • 早く打ちすぎるとタイプバーが絡まるため、敢えて打ちにくい配列にした説
  • ERやTRなどよく使用するキーを左に配置することによりタイプバーの絡みを防止しようとした説
  • 市場を独占するためにタイプの練習が必要な配列にし、他社製品の乗り換えを防ごうとした説

※他にも様々な諸説があります。

「諸説があります」と書いたからって、ガセネタばかり並べ立てていいはずがないだろう。4年前のネットの知恵袋もほったらかしで、なに考えてるんだNTT西日本。とりあえず、順に見ていこう。

タイプライターのセールスマンに関しては、2009年9月18日の日記にも書いたとおり、電信会社や速記学校などへの持ち込みとデモンストレーションによって成り立っており、かなりシビアなものだった。そもそも「typewriter」なんて小文字で打てるはずがないし、打ってみせたところで買ってくれない。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。

「タイプバー」の絡みについては、そもそもアップストライク式タイプライターの「タイプバー」は絡んだりしない。現実の「タイプバー」の配置がどうなっているかについては、「ECONOトリビア」QWERTY記事顚末記に示しておいたので、ちゃんと確認するように。

「市場を独占するためにタイプの練習が必要な配列にし」というのは、さすがにナンセンスにもほどがある。Union Typewriter(つまりはTypewriter Trust)によるタイプライター市場の独占は、株の買い占めと、持株会社の設立によっておこなわれたものだ。しかも、Union Typewriterによる市場独占は、私(安岡孝一)の見る限りでは15年も続かず、後発のUnderwood Typewriterに取って代わられている。キー配列ごときで、製品の乗り換えを防げるわけがない。

「キーボード配置のルーツとキーの役割を知ろう」というタイトルなら、ちゃんと「諸説」じゃないルーツを調べるべきだろう。それが出来ないのなら、こんなチエネッタなんてサイト、さっさとやめてしまうべきだと思う。

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