タミフルの合成に成功 30
ストーリー by yosuke
ケミカルケミカル 部門より
ケミカルケミカル 部門より
maia曰く、"NHKニュースや読売新聞の記事によれば、東京大学大学院薬学系研究科の柴崎正勝教授らの研究グループが、石油から生成される安価な化学物質である1,4-シクロヘキサジエンを原料に、抗インフルエンザウイルス剤のタミフルを作ることに成功した。タミフルは現在のところ、八角から精製されているシキミ酸を原料に製造されているが、この方法なら「天候などの自然条件に左右されず、短期間に生産量を増やすことができるうえ、原料の費用も現在より安く抑えられる」とのこと。この成果は3月28日から始まる日本薬学会第126年会で発表される。
東大は大学所有の知的財産としてこの製造法を特許出願したが、「タミフルの製造販売権を押さえているロシュと話し合い、実用化研究を進めることになるだろう」としている。"
命名法 (スコア:3, すばらしい洞察)
IUPAC命名法1993年勧告に従うなら
1、4―シクロヘキサジエンではなくて
Cyclohex-1,4-dieneというべきではないでしょうか。
# 命名法なんてすっかり無視されてる気がする。
Re:命名法 (スコア:0, 荒らし)
さすがに投稿論文ではそこもチェックされるだろうが、新聞記事程度なら誰も突っ込まないよ。
私に言わせれば「タミフルの合成に成功」というタイトル自体が噴飯ものだ。タミフルはロシュの商品名で、物質名ではない。
リン酸オセルタミビル、Oseltamivir phosphate (スコア:2)
Re:命名法 (スコア:0)
IUPAC命名法1993年勧告は日本語に翻訳すらされていません。
wikipediaのIUPAC命名法の項目も1993年勧告に沿っていません。(内容は1979年のままです。)
Cyclohex-1,4-diene をどう日本語で表記するかも定まっていません。
高校化学の教科書も、おそらく1993年勧告を反映していません。
10年以上経過しているにも関わらず。
新聞記事に限らず、命名法なんてみんなどうでも良いと思っているに違いない。
別に不都合ないかもしれないが。
これでタミフルの価格が下がって・・・ (スコア:2, すばらしい洞察)
1)タミフルが安価に流通し,インフルエンザによる死者が減少する。
2)タミフルが安価に流通しすぎて,結果ウイルスが耐性を獲得。パンデミックに至る。
#一寸怖くなって来た(汗)
Re:これでタミフルの価格が下がって・・・ (スコア:3, すばらしい洞察)
に1票。
昨冬インフルエンザに罹患した(らしい)と思った同僚が翌日客先で打合せとかの予定だったので医者に直行。「タミフル出しますけど、2日は休んで安静ね」と言われたが、案の定翌日は平気な顔で打合せに行きましたとさ。こんなふうに体力をウィルス撲滅に集中しない且つ死にかけウィルスを周囲にばらまくモラルの低い人はたーくさんゐるわけで、「タミフル処方は2乃至3日間個室隔離が必須条件」とかにしない限り、耐性ウィルスの蔓延は遠くないと思います。
Re:これでタミフルの価格が下がって・・・ (スコア:0)
私の周囲でもタミフルを「飲む=すぐ直る」と勘違いして菌を撒き散らす輩がおります。
お役所 (スコア:2, 興味深い)
FDAや厚生省etc.に書類を提出して長いこと返事を待たされたり、
臨床試験をやり直さなくてはならなくなったりするということはないのですか?
何が言いたいかというと、今回の話は、来シーズン (2006-2007年冬) に間に合う話なんでしょうか?
エロいひと教えて。
名物に旨いものなし!
Re:お役所 (スコア:1)
新規に認可を取る必要は無かったりするんじゃないかね。
想像するに。
Re:お役所 (スコア:2, 参考になる)
薬のFDAは製造工程込みです。確か。
要するに副生物が何であるか完全にわかっているか、副生物の影響が把握できる必要があるはず。
現実に副生物を確認するのは無理なので、収率が上がる製法を開発してもなかなか変換は出来ないらしい。
完全な新規認可よりは楽でしょうが。
#会社で医薬の製造委託を受けているのでAC
Re:お役所 (スコア:0)
# オレはエロくない
シキミ酸の合成は不可能? (スコア:2, 興味深い)
抽出・精製してタミフルを製造していたのでしょうか?
構造式は意外と単純なようですけど、実際に合成するのは大変だったりするんでしょうかね?
あるいは、シキミ酸は合成できるけど、それを利用した製法は特許で抑えられているとかでしょうか?
でも後者だとすると、ロシュ社が天候による原料の変動のリスクを減らすために、
合成したものを(一部?)使う可能性が高い気もしますね。
やはり、シキミ酸の合成が難しく、シキミ酸を経由せずにタミフルを合成できる製法が発明されたという、
かなりインパクトのあるニュースなんでしょうか?
#889855 [srad.jp]の2のシナリオはありえなくはないと思いますが
タミフル耐性ウイルスの出現は、治りかけの患者が金銭的理由で服用を中止した場合の方が高い気もします。
薬学や生化学、高分子化学に詳しい人の解説や突込みに期待します。
単なる臆病者の Anonymous Cat です。略してACです。
Re:シキミ酸の合成は不可能? (スコア:2, 参考になる)
この人工シキミ酸は、遺伝子組み換え大腸菌に
ブドウ糖を加えて発酵させて作るとのことで、
今後3分の2程度まで引き上げるとのことです。
この人工シキミ酸の特許はミシガン州立大学が開発したそうで、1億3000万円の特許料を受け取ったそうです。
今回は石油からとのことですが、ロシュ社以外の会社も何とかタミフルを製造できないものですかね?
Re:シキミ酸の合成は不可能? (スコア:1)
シキミ酸の話 [accsnet.ne.jp]
不斉点ついては以下に。
分子の世界の左と右 [accsnet.ne.jp]
Re:シキミ酸の合成は不可能?(余計な物) (スコア:1)
Re:シキミ酸の合成は不可能? (スコア:1)
異性体とかすっかり忘れていました。
やはりシキミ酸の合成は生化学的な方法が必要みたいですね。
単なる臆病者の Anonymous Cat です。略してACです。
Re:シキミ酸の合成は不可能? (スコア:0)
> 金銭的理由で服用を中止
あくまで「私の時は」ですが、有無を言わさず朝夕1カプセルずつ5日分出されました。
ちょうどそれでPTPシート1枚分ですし。
Re:シキミ酸の合成は不可能? (スコア:1)
石油からカゼ薬? (スコア:0, 余計なもの)
ちなみにシキミ酸 [wikipedia.org]は植物由来だそうで。
# インフルエンザ予防接種を受けたことすらないのでID
トウシキミの実 (スコア:3, 参考になる)
生薬(漢方薬)としては、八角からとれるアネトールという精油成分は胃腸の働きをよくし、のどの炎症を和らげる。からだを温める作用もあり、冷え性の改善にも有効。参考:AllAbout [allabout.co.jp]
今は、八角から抽出したシキミ酸から複雑な工程を経てタミフルが合成されている。
Re:石油からカゼ薬? (スコア:0)
もしかして、植物由来だと知っていても八角だと知らないだけ?
Re:もしかして (スコア:2, 参考になる)
ちなみにシキミ酸の話 [accsnet.ne.jp]によりますと、植物は色素や芳香物質、木質といった、植物の生存に欠かせない様々な化合物をシキミ酸を利用(シキミ酸経路 [wikipedia.org])して作っているとのこと。
# 自然はうまくつくられていますね :)
# 中華より和食が好きなのでID
Re:もしかして (スコア:2, 参考になる)
まぁこの手のアプローチとしては、シキミ酸以降の代謝経路が判っているので、タバコ培養細胞などの植物培養細胞で大量に(バイオリアクターなどで)作らせる、という方法もあるわけです。
ただ問題は効率の部分で、シキミ酸を蓄積させるために下流の遺伝子をつぶすと、一次代謝産物ができなくなるので、培養細胞自体の生育が妨げられるという問題がある。そこをクリアしようとすると、培養液にいろんなものを加える必要があってコストがかかりすぎるとか、別の遺伝子改変をするなどかなりの工夫が必要になりそう。
Re:石油からカゼ薬? (スコア:0)
Re:石油からカゼ薬? (スコア:0)
わざわざ植物由来と書いたということは、
#889809を書いた人は「八角」が植物である、ということを知らなかったのではないかと。
何かの動物の角とか? 八ってことは、蛸の角かな。
Re:石油からカゼ薬? (スコア:0)
最近どこかで見たネタですね (スコア:0)
ええ、我が社以外にタミフルを作ろうとしている連中が居るのですよ・・・
薬学部の研究というところが重要 (スコア:0, 余計なもの)
大半の薬学部は、薬剤師資格をえさにして学生を集められるという状況に甘えて、薬の教育も研究もろくにやってこなかった。言わば雑学部だ。
もっとも、東大は6年制学部への移行を拒否して(1割程度は移行するが)、4年制学部のままで、「薬剤師資格の取れない薬学部」になるんだから、この程度はできないと存在意義を疑われるよね。
(修士を修了して1年程度の補充教育を受ければ資格取得は可能だが、薬の袋詰め作業のために余計に3年も大学に残る人はいないだろう)