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9659 story

砂糖からアミロースポリマーを合成 31

ストーリー by Oliver
なんとなくおいしそう 部門より

sillywalk 曰く、 "三和澱粉工業2月8日付プレスリリースによれば、同社と江崎グリコならびに大阪府立大学大学院・北村進一教授(応用生物物理化学研究室)は共同で、砂糖を原料とした『酵素合成アミロース』の量産化技術の開発に世界で初めて成功したと発表しました。
今回発表されたアミロースは酵素合成によってブトウ糖を直鎖状に連結したもので、繊維、中空糸、ゲル、偏光フィルムなど様々な形状に加工することが可能。砂糖由来のため生分解性も有しており、環境負荷も少ないといいます。またさらに分子配列を螺旋状に合成しチューブとすることで、チューブ分子(ホスト分子)に他の分子(ゲスト分子)を包接できるため、色素、フレーバー物質、界面活性剤などによる様々な分子修飾も期待されます。"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 生分解性 (スコア:5, 参考になる)

    by shiraga (14233) on 2005年02月14日 22時17分 (#693693)
    タレコミには「砂糖由来のため生分解性も有しており」と書かれていますが、これは完全に間違いです。
    化合物の性質に由来は関係ありません。
    化学的に合成しようが、有機的に得られたものだろうが、化合物としての性質は同じです。
    ちなみにプレスリリース [sanwa-starch.com]には
    アミロースは、ブドウ糖が直鎖状に連結してなるバイオポリマーであり、 植物澱粉の成分であることから、高い生分解性と安全性を有する材料です。
    と書かれています。
    つまり「アミロースはもともと植物が生産するものだから、自然界に分解メカニズムが存在している」ってことです。
    この記述には何も問題ありません。

    同じくタレコミの「砂糖由来のため(中略)環境負荷も少ないといいます。」は間違いではないが、途中のロジックをはしょり過ぎ。プレスリリース [sanwa-starch.com]には
    この酵素合成アミロースの製造技術は、再生産可能な植物由来成分である砂糖を原料としていることに加え、 製造方法も酵素を利用した省エネルギー型反応であり、 環境にやさしい次世代ポリマー製造技術であるといえます。
    と書かれています。
    前半の「再生産可能な植物由来成分である砂糖を原料としていることに加え、 」の部分は意味不明ですが(植物成分を使う=環境にやさしい、とは限らない)、「製造方法も酵素を利用した省エネルギー型反応であり」という部分が定量的に本当なら、化石燃料の燃焼による二酸化炭素や熱の排出を抑えられるという点で、(比較として)「環境にやさしい」というのも嘘ではないでしょう。
    • Re:生分解性 (スコア:3, 興味深い)

      by Tako P (13922) on 2005年02月15日 1時48分 (#693802)
      「砂糖由来のため生分解性も有しており」を間違いとされていますが、一概にそうとも言えません。
      こういった高分子で生分解性を有するかどうかは、一般に存在する微生物などが分解できるかどうかによります。 微生物の分解は結局「資化」のために行うことですから、微生物の餌となりえる化合物は生分解性を有するということになります。ですので、グルコースやスクロースは由来に関係なく生分解性を有するといっても間違いではありません。

      また、プレスリリース内の環境負荷については酵素合成屋の常套句みたいなもので、現在身の回りに存在するプラスティック及びそれの合成法である化学合成と比較して書いてあります。
      「再生産可能な植物由来成分である砂糖を原料としていることに加え、 」は今のプラスティック原料と比べて入手が容易であり、資源の無駄遣いをせずに生産して手に入れることもできる、という面の話であり、「製造方法も酵素を利用した省エネルギー型反応であり」は、一般に酵素反応は化学反応より必要なエネルギーが少ないことを言っているだけですね。

      問題はこれがどこまで実用化されるかなんだよなぁ。
      研究室レベルならいろいろあるんだけど...

      専門のところだから........IDでいいや。
      親コメント
      • Re:生分解性 (スコア:2, 参考になる)

        by binbo (16519) on 2005年02月15日 3時04分 (#693815)

         shiragaさんの指摘は、タレコミにある「(酵素合成アミロースは)砂糖由来のため生分解性も有しており」が間違いというものではないでしょうか。

         生分解性を有するかどうかは、Tako Pさんの書いたとおり「一般に存在する微生物などが分解できる」ことが重要で、「グルコース(ブドウ糖)やスクロース(ショ糖=砂糖)は由来に関係なく生分解性を有する」もその通りでしょう。

         しかし、アミロースが生分解性を有するのは砂糖由来だからではありませんよね? デンプンの成分であるアミロースは、その由来にかかわらず生分解されます。人間の唾液に含まれる酵素β-アミラーゼでマルトース(麦芽糖)に分解されるのは皆さんもご存じのとおりです。

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        • by Anonymous Coward
          枝分かれの多いアミロペクチンより直鎖状のアミロースのほうが消化しにくいんだし、天然に存在しないような完全直鎖で完全結晶のアミロースなんぞ作ったら、天然アミロースのような生分解性があるかどうか分かったもんじゃない。ホントに確かめて言ってるんかねー?
      • by shiraga (14233) on 2005年02月15日 5時26分 (#693833)
        後から読みかえして見たら書き方が紛らわしかったですね。
        私が間違いだと指摘しているのは(binboさんが補足して下さった通り)「生分解性の理由」であって、「生分解性を有すること」ではありません。

        #binboさん、補足ありがとうございます。
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    • by ducky (16839) on 2005年02月15日 0時27分 (#693768)
      >「再生産可能な植物由来成分である砂糖を原料としていることに加え 」
      ショ糖については、サトウキビを原料とすることができると思われます。なのでこの件に限定すれば、環境にやさしいということはできると思います。

      #それより、環境にやさしいという思い上がった言葉も、その言葉を使う人も嫌いだ。
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      • by shiraga (14233) on 2005年02月15日 5時19分 (#693831)
        ショ糖については、サトウキビを原料とすることができると思われます。なのでこの件に限定すれば、環境にやさしいということはできると思います。
        というのは、『砂糖として直接利用されなかった部分(たとえばサトウキビの根とか葉とか)は土に帰り、他の生物の栄養分になるから』という理解でよろしいでしょうか?
        そういうのを「再生産可能」と呼ぶのでしょうか?

        それとも、生物由来であるから(このアミロースを消費しても)生物圏を循環する炭素の総量が変化しないことがポイント?

        #「環境にやさしい」と言えば響きは良いけど、実際には「環境に与えるダメージが比較的小さい」だけですよね。
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        • by ducky (16839) on 2005年02月15日 21時10分 (#694167)
          そうですねぇ。私が指しているのは前者のように思います。

          私は、とりあえず再生産という言葉を、製品を作るための総コストが低いこと、廃棄物が再び(サトウキビの)生産に利用できること、という点に絞って考えのなかに組み込んでみました。

          事実上、工業製品に石油は欠かせません。0はまずありえないでしょう。となると、いかに石油の使用量を少なくするかというのは、結構、大きなテーマとは思います。
          親コメント
        • by Anonymous Coward
          「(自分にとって都合の良い)環境」にやさしい

          という言葉が思い上がってると言いたいんじゃないのかな
      • by snurf-kim (10835) on 2005年02月15日 11時20分 (#693911) 日記
        >#それより、環境にやさしいという思い上がった言葉も、その言葉を使う人も嫌いだ。

        「この製品は環境にいやらしい素材を使用しております」

        #生分解を「なまぶんかい」と読むとちょっとHくさい。
        親コメント
  • by blackdragon (20912) on 2005年02月14日 17時36分 (#693549)
    どういう仕組みなんでしょう。

    普通に考えると、ブドウ糖を原料にしそうなものなのですが。
    プレスリリースにも書かれているように、アミロースはブドウ糖の重合物ですから。しかも、デンプンを分解するだけで手に入るブドウ糖は、砂糖より安価(価格的にも、バイオマスとしても)ですから。
    (砂糖は、ブドウ糖と果糖とが結合した2糖類です)

    と思って、ちょっと検索したら、もう少し詳しいプレスリリース [nikkei.co.jp]を発見しました。確かに砂糖を使っているようです。
    加水分解の逆反応なんていう力技じゃないのですね。
  • 部門名 (スコア:2, 参考になる)

    by shiraga (14233) on 2005年02月14日 22時22分 (#693696)
  • オフトピ: ;-) (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2005年02月14日 17時16分 (#693541)
    ヘンゼルとグレーテルは砂糖由来のアミロースポリマーで出来た家を見つけました。
    近寄って見てみると、たくさんの蟻がたかっていてとても近付くことはできませんでした。

    ・・・という想像をしてしまいました。
    • とぷかぴ :D (スコア:3, おもしろおかしい)

      by yatobi (7117) on 2005年02月14日 18時26分 (#693582) 日記
      子供の頃、「人工甘味料には昆虫は興味を示さない」という話を聞いて、あの家は何かヤバイ甘味料が使ってあるんだと思った。(ヤな子供だね)

      で、このネタを投稿しようとして、関連ソースを検索中、もっとイヤな物 [hayashibarashoji.jp]を見付けた

      そりゃ無害なんだろうけどさ…トレハロース

      と、それは良いんだけどアミロースポリマーをどう使うかが問題か
      今あるセロファンやビニール包装(煙草のパッケージ外側とかの)に使えたら、都市美観上良いかも知れないけど、逆にそれらを好んで食べる昆虫とか集まったらイヤかも知れない。
      --
      # 爆言のち漏電中… :D
      親コメント
    • それはお菓子の家ではなくおかしな家だったのですね?
      --
      And now for something completely different...
      親コメント
  • 生物の体内では糖がいろんなことに(というかそれこそ何にでもというくらい)使われてるけど、体の外でもやっぱり糖が使いやすいのかなぁ...
  • by nu-u (12312) on 2005年02月14日 18時50分 (#693594) 日記
    社名変更で、三和アミロとかになったりして
  • by Anonymous Coward on 2005年02月14日 18時13分 (#693569)
    分子量分布はいかほどでしょうか?
  • by Anonymous Coward on 2005年02月15日 2時51分 (#693811)
    2010年頃の骨董品って黴が生えてボロボロで使えないから保存が大変なんだ
    1970年製のビデオデッキっていう録画装置なんだけゴムベルトさえ交換すればまだ動くんだ
    こんなでかいいビデオカメラっていう装置で録画した
    映像しか映せないけど結構たのしいもんだな

    レトロっていいよね。
    • by Anonymous Coward
       黴が生えてなくて磁性体がはがれ落ちてもいないビデオテープってのがもっと残ってればよかったのに。保存状態がいいテープはなぜかアニメばっかりなんだもんなぁ。

      # 1970年って、U-マチック発売のちょっと前ですね。
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弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

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