負の誘電率をもつ電子ガスが実在することが証明される 21
ストーリー by mhatta
まるでSF 部門より
まるでSF 部門より
Spring 8 のプレスリリースによると、京都大学と広島大学は財団法人高輝度光科学研究センターと共同で、長年の謎とされていた「負の誘電率をもつ電子ガスが実在する」ことを、世界で初めて証明した。
今回の研究成果では、X線回折測定により、膨張してゆく流体ルビジウムのミクロ構造には、ある密度以下になると実測の原子間距離は逆に短くなるという異常なふるまいがあることが明らかになった。原子間距離の短縮が始まる密度は、電子ガスの誘電率が負になると理論的に予測される密度に一致する。すなわち、電子ガスの誘電率が負に変わったために、その中にある正イオン同士の間に引力が作用し始めたと考えられる。
負の誘電率をもつ電子ガス中では同種電荷が引き合う、という奇妙な現象は、多体電子論の先駆者ウィグナーが1936年の論文で予測していたことだが、実証されたのは今回が初めて。今回の研究により、電子自身もある状況下では互いに引き合いペアを作ることができ、電流が抵抗なく流れる新しいタイプの超伝導物質を創製できる可能性が示された。
金属以外との比較 (スコア:2, すばらしい洞察)
超臨界状態の金属で、密度低下に伴い、平均原子間距離の低下および密度揺らぎの増加が観察された、
ということのようですね。
しかし、一般的にも、低密度状態で密度揺らぎが増加するのはありそうな気がしますし、そのときに平均原子間距離が低下するのもありそうな気がします。
今回の現象が金属以外では起こらないことを示していただければ、もっと納得しやすいのですが。
それとも、その筋では常識?Re:金属以外との比較 (スコア:2, 参考になる)
まず、密度低下(膨張)に伴って「平均原子間距離」は当然長くなってます。が、X線小角散乱で得られる原子間距離(動径分布関数のピーク位置)は短くなったということでしょうね。単純に考えるとなんらかのネットワーク構造みたいなものができてるようにも思えます。いずれにしろ膨張によって液体の構造が変化してるわけです。
おっしゃる通り、このこと自体はそれほど珍しいことではないでしょうが、その原因が"自由"電子気体の負の誘電率に由来する原子間の引力、ってところが味噌でしょう。もし、このような液体金属状態以外の物質で同様の構造変化が見られたとしても、それは自由電子による金属結合以外の化学結合の範疇で説明できるから、負の誘電率などというものを考える必要はない、という事なんでしょうね。
# 識者のツッコミ希望
Re:金属以外との比較 (スコア:0)
超電導 (スコア:1)
the.ACount
「密度」の定義は? (スコア:1)
もしかして、10^22個くらい必要?
電子雲は膨張したけど、原子核の塊は収縮した、という理解でOK?
Re:「密度」の定義は? (スコア:0)
ガスとは言うけど文字通りの気体ではないよね (スコア:0)
# 電子気体とも言うのか
やっぱあったんだね。 (スコア:0, 荒らし)
証明 (スコア:0, 余計なもの)
せめて「〜を支持する実験結果を得た」では。
論文のアブストラクト(要約)を見ても「観測した」とは書いてあるけど、「証明した」なんて書いてないし。予算獲得のためとは言え、一般向けに誤解させるようなプレスリリースはいかがなものかと思う。
Re:証明 (スコア:3, 参考になる)
私はこのプレスリリースに特に疑問は感じません。
「証明した、という言い方はは言い過ぎなんじゃないの?」ってことだと思いますが、 不完全な観測と推論の連鎖に基づく科学的事実の「証明」という文脈で、 公理系から演繹される数学の定理の「証明」のような完全性を求めるのはナンセンスですし、そういった意味で誤解する人はあなりいないのではないでしょうか。
「科学的に証明された」ことは、あくまでも「多分、確からしい」という以上の意味は持ちません。この科学者にとっての常識を、科学が「真実」を解き明かしてくれると思い込んでいる一部の人たちに啓蒙するのは確かに有意義でしょうけど、それはこのプレスリリースの仕事ではありませんね。
Re:証明 (スコア:0)
Re:証明 (スコア:1, 参考になる)
実験的事実の存在証明に関してはまったく問題ない.
ただし,その事実を予言した理論の正当性が証明されたというわけではない.
今までにない現象を実験によって確認出来たんだから,一般向けのプレスリリースで『証明』と言っても問題無いだろう.
まあ,丁寧に言うなら『未発見の現象の観測に初めて成功した』とでもするべきかもしれないが........
Re:証明 (スコア:1)
数学的証明と科学的証明の差を問題にするレベルではない。
ニュ-トン力学に例えれば、「りんごが落ちるのを観測して引力の存在を『証明』した」レベル。
これが「逆二乗法則の証明」なら、「cm 以下の距離では証明されてない」などといった穴が開いてたりして数学的証明みたいな完璧さはない。
つまり、証明の差が問題になるのは「法則の証明」レベルってこと。
the.ACount
Re:証明 (スコア:0)
良く判らんからとりあえず書いとこう (スコア:0, オフトピック)
Re:良く判らんからとりあえず書いとこう (スコア:1)
# 左手系かどうかとかなんて全然考えてないけど。
Re:良く判らんからとりあえず書いとこう (スコア:0)
危険な領域に突入 (スコア:0, おもしろおかしい)
アッー!
ロシュフコー (スコア:0)
いいサンプルだね