akiraaniの日記: 異世界ものにおける冒険者という概念の話 27
今や異世界ものには欠かせない存在となった冒険者という概念がある。
Wikipediaの冒険者の項目でいえば、ゲームの中の冒険者に該当するのが異世界、おもにファンタジー世界における冒険者だ。
冒険者自体の細かな定義は個々のゲームによりさまざまだが、一般的に共通するのは以下だろうか
- 仲間としてパーティーを組むことができる
- 戦闘や探検をするのに適した能力を持ったキャラクターの総称である
- 冒険者が組織化されている場合、どんなに政治体系が未発達な世界でもなぜか国際組織となっている
- 様々な依頼(クエスト)を受けてそれを解決する、荒事ありの何でも屋を生業としている
よくよく考えてみれば、なんとも不自然な存在である。高レベルになると、国家権力の持つ軍事力をも凌駕する力を持ち、往々にして世界滅亡の脅威に立ち向かう能力がありながら、社会的な権力者集団からは独立して比較的自由にその力を振るう。現実にこんな存在がいては国家は秩序を保つことなどできないわけで、いずれかの段階でどこかの組織に取り込まれたり、権力機構から行動を制限(もしくは退治)されたりするはずだ。
では、なぜこんな概念が生まれたのかというと、身もふたもないが「ゲームだから」というのがその答えになる。トールキン式ファンタジーの世界で、物語の主人公となる仲間たちのキャラクターを作るための仕掛け。それが冒険者という概念だった、というのが私の考えである。
ゲーム的な冒険者という概念が初めて登場したのは、おそらくD&Dであろう。というか、RPGの始祖がD&Dであるので、RPGと同時に登場したと言っても差し支えないだろう。
ファンタジーの始祖と言われるトールキンの指輪物語、その第一部のタイトルは旅の仲間。苦楽を共にする仲間と合流して、冒険を開始する。それがファンタジー世界の物語の王道と言える。
故に、RPGにおいても、様々な力を持つ仲間とパーティーを組むのがファンタジーRPGの大前提となる。それらの大前提をゲーム的に満たすために考案されたのが、冒険者という概念なのである。
ファンタジー世界の多種多様なキャラクターたちになって冒険する場合、逐一キャラクターーに合わせて仲間となる部分を演出するのはなかなか大変な作業である。例えば、設定上仲が悪いとされる種族同士が仲間となって冒険を開始するなら、呉越同舟となるようなシチュエーションを作って、その状況にキャラクターを誘導する必要がある。そんなことにシナリオを作る労力を割いてはいつまでたっても肝心の冒険を始められない。。
なので、冒険者とはパーティーを組んでクエストをこなすものであると定義して、仲間が集まってパーティーを組んだ状態でシナリオをスタートさせる。これがRPGで冒険者という概念が必要となった理由だろう。
ゲームに必要であるから発明された冒険者という概念は、仲間集めの描写が不要になるという利便性ゆえに、物語にも逆輸入されることになる。特に、日本ではファンタジーの概念そのものがRPGを通じて伝わっているため、理屈で考えると不自然な存在である冒険者という概念が、ファンタジー世界というのはそういうものだという共通認識がすでに出来上がってしまっている。魔法とか存在するんだから冒険者だって存在するよね、というのが日本における冒険者の認識であろう。
ファンタジーベースのRPGのゲーム的な部分を積極的に取り入れた物語の草分けは、おそらく1989年に発表されたフォーチュン・クエストだろう。冒険者ギルド、ステータスカードといった異世界ものでおなじみの概念はすでにこの頃に作られている。
さて、まとめであるが
冒険者とは
- RPGにおいて生み出された、仲間がそろった状態で物語を開始するためのギミックである
- ゲームを通じてファンタジー浸透した日本では、魔法と同レベルの共通認識となっている
- 仲間が集まる描写が不要となるメリットがあり、日本のゲーム黎明期からファンタジー物語の中に逆輸入されている
というあたりになるだろうか。
Wizerdryも結構影響大きそう (スコア:2)
冒険者(派遣労働者) (スコア:1)
自分は『冒険者』という概念と『RPGのパーティ』の概念は別のモノだと考えています。
冒険者設定のあるゲーム風異世界物語でも、
『冒険者』になるけど固定パーティを組まない主人公は多いですし。
『RPGのパーティ』は『旅の仲間の再現』で『ゲームプレイの都合』なわけですが、
その、パーティであちこちに冒険に行く、というゲームプレイの都合を、
世界設定として強力にフォローしたのが、いわゆる『冒険者ギルド的な組織』であり、
その組織設定から結果的に発生したのが、いわゆる『冒険者』という概念である。
というのが自分の認識です。
個人的な偏見で言えば、ソードワールドRPGが大きく広まったことで、
TRPG(特にファンタジー世界が舞台のもの)は、
冒険者キャラクター作ってパーティ組んで冒険者ギルドで依頼を受けるもの。
という固定観念が発生し、それが今も根強く残っている。
という説になるのですが、根拠はあまりありません。
他の方向として、
TRPGじゃなくコンピュータゲームでクエスト等を実装する場合、
規定の場所で仕事を発生させる。というのがとても都合が良く、
いわゆるクエスト受付NPCから仕事をもらうスタイルが定着した。
ゲーム風異世界は、MMO等のコンピュータRPGの影響も強く、
登場人物がギルド等で仕事を受けて冒険に行って帰ってくる。
というスタイルがなんとなく引き継がれた。
みたいなことも考えました。
Re:冒険者(派遣労働者) (スコア:1)
ソードワールドでは、冒険者が集う酒場がクエスト受付に近い働きをしていますが、冒険者ギルドのような強固な組織はないです。
冒険者を常客にしている酒場があって、そこに来れば冒険者がいるので自然と冒険者向けの情報が集まり、近くの人が依頼を持ってくることが多い、というスタイルのはずです。この辺はD&Dからあんまり変わってないし、クエストの導入箇所がシステム上で限定されてしまうと遊びにくいので、TRPGで冒険者ギルドと呼べるような組織が存在するTRPGゲームはかなりまれなはず。
いわゆる冒険者ギルド的な組織が存在する根本的な理由は「ステータス」にあるのではないかと思います。キャラクターの能力やら賞罰を表示するステータスカードを管理する仕組みとして、冒険者ギルドという組織が考え出されたのではないかと。
日記の方にも書いてますが、冒険者ギルド的な組織が発明されたのは深沢美潮氏のフォーチュン・クエストの冒険者支援グループ [wikipedia.org]かと。
フォーチュン・クエストの世界ではクエストはクエスト屋と呼ばれるダンジョン情報なんかを売り歩いている専門の仲介人がいて、冒険者支援グループはほとんどクエストを管理しません。
冒険者ギルド的な組織がお約束としてクエストを管理するようなるのは、おそらくMMORPGが登場しだしてからの流れかと。
メインになるストーリーがほとんどなくて、代わりにランダムに提供される依頼やクエストをクリアして強くなることを目指す、そういうスタイルのゲームが広く定着しだしてからではないですかね。
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Re:冒険者(派遣労働者) (スコア:1)
ソードワールドは『冒険者の酒場』でしかなかったですね。
自分の言葉が間違ってました。すみません。
どうも、自分は『冒険者ギルド』という言葉に、
『PCパーティに冒険等を斡旋してくれる都合のいいモノ』みたいな反感に近いニュアンスを持っていて、
いわゆる『冒険者ギルド』と意味がズレちゃってたことに気づきました。
自分の『冒険者ギルド』に対する認識は、
コンプティークのD&Dリプレイ2部で出てきた『冒険者ギルド』に対して、
「冒険者ギルドって何だよ? 冒険者って職業とかじゃないだろ?」
みたいに思ったところから始まっていて、
その後、ソードワールド流行以降に、『冒険者』みたいな概念のないゲームでも、
『俺たちは冒険者でパーティを組んでて依頼を探すぜ』
って行動をするプレイヤー出会った経験で偏見を深めていったので、
どうもそのあたりが影響してしまっていたようです。
Re:冒険者(派遣労働者) (スコア:1)
あらためて自分の認識をまとめてみると、
本来、冒険者は冒険する者という意味の言葉だが、
ゲーム風世界におけるいわゆる『冒険者』は、
社会的地位や職業としての『冒険者』であり、意味合いが異なる。
職業としての『冒険者』の発生については、
・ゲーム的にいろいろ都合がいいので、
キャラクターが依頼を受けて冒険する。のような仕組みを用意したい。
・そこでまっとうな依頼が出てくるためには、
依頼を受けて仕事をするまっとうな労働者が存在している必要がある。
という感じで、ゲーム的に都合のいい仕組みを用意したら、
依頼を受けて仕事をする職業『冒険者』も発生することになった、と考える。
80年代当時、職業『冒険者』が世界観に明示されることはそれほど一般的じゃなく、
フォーチュンクエストやソードワールドRPGは珍しい例だった。
職業『冒険者』の仕組みは、詐欺師や嘘つき等々が出現すると、
信頼度が下がって依頼が出なくなって破綻する。
そこを破綻させないために、
『冒険者』の能力や行動を視認できたり、信頼度を保証できるだけの権力があったり、
といった、強力な設定が追加されて、
いわゆる超組織『冒険者ギルド』が設定が生まれたりするのだろう。
といった感じ。
Re: (スコア:0)
80年代というか90年前後なら職業冒険者なんてのは珍しくもないが。もちろん冒険者ギルドも。
少し探せばコンピュータRPG(コンシューマー)にも出てくる。
90年代半ばになると、職業(クラス)冒険者なんてネタを採用したTRPGが出てくるぐらいだ。
Re: (スコア:0)
自分の説に固執するからそんな訳分からん論理になる。
冒険者が組織化されている場合、どんなに政治体系が未発達な世界でもなぜか国際組織となっている
がそもそも間違いで、もっとローカルな冒険者ギルドも(異世界もの小説にも)存在する。ソードワールドはそっち。
ただし国家間の連携は取れているので、他で活躍した冒険者でもそれなりに尊敬される。
対立しやすいのがシーブズギルド。こちらはもっと国際化しやすい。
別の地域にいった盗賊はまず挨拶に出向く。一方で国や都市に閉じている部分もあるので地域間抗争もあったりする。
さらに言えば導入の多様
Re:冒険者(派遣労働者) (スコア:1)
ソードワールドの冒険者の宿は少なくともゲーム内ではギルドという呼ばれ方をしていないし、冒険者がパーティー交流の域を超えて組織だって何かをするような社会制度はない。
冒険者の宿はあくまで宿屋のオーナーが個人で冒険者向けのクエスト斡旋業をしているだけで、管理と呼べるような仕事はしていないし、ギルドと呼べるだけの組織にもなってない。
魔術師ギルドもシーフギルドも明示的にギルドと名乗っているし、ギルドの構成員資格やらみかじめ料的なものを徴収したりと何らかの管理している。
ギルドという組織のことを全く知らないまま、魔術師ギルドやらシーフギルドに倣って冒険者ギルド、みたいな言い方をする人はいたようだけどな。
わけわからんのではなくて、君のギルドの定義があやふやなだけだと思うがね。
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Re: (スコア:0)
だから自分の説に固執するからおかしなことになると言ってるだろーが。
togetterにもマトメがあるから読んどけ。
Re:冒険者(派遣労働者) (スコア:1)
たぶんそのまとめは読んでるが、そこで言ってるのは当時はギルドと呼ばれることもあった冒険者に便利な商売をしてくれるだけのただの店だ。
日記本文で言っているのは現在言われている冒険者を管理したりする本来の意味のギルドで、それとは別物だ。文脈をちゃんと読もう。
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Re: (スコア:0)
おやおやギルドと呼ばれたことはなかった設定はどこ行ったのか。
少なくとも製作者は、現在のファンタジーギルドと呼ばれる組織を想定して
冒険者の店という設定を用意したことは理解してくれたのかな?
で、ソードワールドとその周辺をよく読み込んで行けば、なぜ「冒険者ギルド」ではなかったのか理解できるはずだが。
冒険者を管理していなかった?それはお前の設定がそうなってただけだバーカ。
少なくとも常連や駆け出しの冒険者は把握しているし、この冒険者に依頼したいならこの店に連絡を取るなんてのも存在した。
だから言ってるだろ。もっとローカル寄りだって。お前こそ各種の文脈をよく読め。
そしてギルドの定義がふらついてるのはどっちだ。
公式にギルドと呼ばれてないからギルドではない→公式でギルド扱いしていました。
冒険者を管理していないからギルドではない→管理はされていました。
次は何だ?
Re:冒険者(派遣労働者) (スコア:1)
設定の話はしてないが……
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Re: (スコア:0)
ファンタジーのギルドと呼べない部分もある冒険者ギルドについての考察で
ギルドという組織のこと
だの
君のギルドの定義があやふや
だの笑うところですかー?
Re: (スコア:0)
>>冒険者ギルド的な組織がお約束としてクエストを管理するようなるのは、おそらくMMORPGが登場しだしてからの流れかと。
>
>ソーサリアンがあるだろ!
世間に広く普及し始めたのはもっと後だというのはそれほど間違っていないかと
ドラクエやファイナルファンタジーには冒険者ギルドはほぼ出てこなかったから
(ルイーダの酒場はクエスト斡旋はやって無かったし)
Re: (スコア:0)
単にお使いクエストを実装できるほど余裕があるゲームが少なかっただけだ。
メタルマックスの賞金稼ぎシステムだってそうだろ。雑魚敵でさえ賞金の対象になる。
アイデア自体は普通にあったんだから、それが限定されたものだと思う方が間違い。
冒険者 ≒ 勇者 ? (スコア:0)
「冒険者」と呼ぶか「勇者」と呼ぶかは流派の違い?
あと、職能で「戦士」「魔法使い」「盗賊」なんかに分ける場合、職能が戦士で職業(?)が冒険者になるのか?
もひとつ。現実社会で冒険家を名乗る人はたまにいるが、冒険者とはあまり言わない?
Re: (スコア:0)
キャプテン・フューチャー時代には、まだビジネスモデルとしては不成立でした。
でもその前から「冒険小説(SFの母体の一)」って文芸ジャンルがありました。
当然冒険小説には、数多の冒険者・冒険家達(今とはニュアンス・ビジネスモデルが違うが)が登場しました。
Re:冒険者 ≒ 勇者 ? (スコア:1)
ところで「宇宙海賊」というアイディア確立と普及はどこ発祥でいつからだろう?
という連想が働いた。オチはないので恐縮ですが。。。
Re: (スコア:0)
Wikipedia [wikipedia.org]
> 宇宙海賊を最初に登場させた作品は定かではないが、1931年に発行された
> ジャック・ウィリアムスンの『The Prince of Space』には「Space pirate」が登場している[1]。
1931年は昭和6年。
火星シリーズが1912年(明治45年)に始まっていることを考えるとそんなもんかとも思うが、古いのは古い。
ロードスという名の島がある (スコア:0)
ソード・ワールドRPGにまで多大な影響与えたのに
まさかフォーチュン・クエストなんかにお株を奪われるなんてくやしい ビクンビクン
Re:ロードスという名の島がある (スコア:1)
冒険者ギルドという言葉はロードス島戦記のリプレイが初出の模様ダスな。
クエストの斡旋(そこから手数料を取る)、レベル上昇トレーニングの費用減の機能を持つ。
最初っからではなく、オルソンパーティからっぽい。
小説というジャンルで現在でいうところの冒険者ギルド(端的に言えば人材派遣企業)の先鞭というか、そういう機能を登場させた古典の一つに間違いなくフォーチュンクエストはあるかと。有名作だしね。
Re:ロードスという名の島がある (スコア:1)
詳しい人にいろいろ聞いた感じ、言葉として出てきたのはそのあたりのよう。
ただ、今現在の異世界もので一般的な冒険者ギルドとはだいぶ性質が異なる。
フォーチュンクエストのそれも、冒険者ギルドという名前は実は使ってないし、英語で言うところのguild(組合/団体)、という概念自体がまた同時は普及してなかった可能性が高そう。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
遡って (スコア:0)
ぶっちゃけ、世界最古の神話「ギルガメシュ叙事詩」にエンキドゥとパーティ組んで冒険する章があるんで、それ以降の物語でドヤると恥をかくパターン。
日本だと古事記かな。
Re:遡って (スコア:1)
パーティーを組んで冒険する神様の始祖はだれかという話はしてない。
よく本文を読もう。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re: (スコア:0)
始祖どうのという話をしたつもりはないよ。
「異世界ものにおける冒険者という概念の話」でしょ?
異世界ものにおける冒険者という概念は古くからあって、そのオリジンも知らずにドヤると・・・って理解出来ないのかしら?
Re:遡って (スコア:1)
なら、なおのこと無関係だな。
文脈読めてない証拠だな。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
コロンブス、マルコポーロ…… (スコア:0)
冒険者だったんじゃないかな。ただ冒険者には出資者もいたと思いますけどね。異世界ものだと出資者がいない代わりに日銭を稼ぐためにギルドという仕組みが存在しますか。
でも、もう、新天地を見に行くような冒険はほとんどなくなって、自転車で単独世界一周とか、太平洋を手漕ぎボートで単独横断などって感じでしょう。もし、ドーバー海峡を泳いで横断とかになると、たぶんパーティの概念に近づくのではないかなと。実行者や随伴者とかがいて随伴者はリーダーや非常時に治療する人などがいてって感じ。
レース・アクロス・アメリカという自転車レースなどはまさにパーティを組んでとなりますし、冒険を実施する人と、随伴者のリーダー、交渉する人、自動車を運転する人、調整する人、医療系などいて、異世界に限らず、現世界にも同じようにあるかなー
話をずらしちゃってすみません。