yasuokaの日記: デジタル庁が考える文字情報基盤の「整備」 2
昨日の日記に対して、デジタル庁は文字情報基盤を拡張する心算なのではないか、との御指摘をいただいた。地方公共団体情報システムデータ要件・連携要件標準仕様書【第1.0版】を、もう少し読んでみよう。
標準準拠システムを導入する前に地方公共団体がそれぞれ独自に作成した文字、いわゆる「外字」については、戸籍システムにおいて当該「外字」を文字情報基盤として整備された文字と同定した文字を利用することにより、他の標準準拠システムは、当該「外字」を利用しない。仮に、「外字」を文字情報基盤の文字と同定する取組みを行った上でも、なお「外字」を利用せざるを得ない場合においては、戸籍システムにおいて文字情報基盤の文字とは別の文字コード(デジタル庁が指定したものに限る。以下同じ)に対応させたものを利用することにより、他の標準準拠システムは、当該「外字」を利用しない*。
文字情報基盤の文字セット及び文字情報基盤の文字とは別の文字セットを合わせた文字セット(以下「文字情報基盤として整備された文字セット」という。)については、デジタル庁が法務省と協力して整備する。
確かに「文字情報基盤として整備された文字セット」を作るように見えるし、私(安岡孝一)自身、戸籍統一文字に関するワーキンググループ経由で、法務省側からこの仕事に携わっている。しかし、ここで現在進んでいる仕事は、あくまで戸籍統一文字の再整備であって、法人名には全くタッチしていない。法人名に関しては、端的には法人番号公表サイトでの「外字」をどうやって反映するか、であり、戸籍システムをいくらいじっても法人名はどうにもならないし、実は、登記関係の地名もあまりうまくいかない(cf. 塚田雅樹『登記・供託オンライン申請システムに現れる地名を表すUnicode未符号化文字』日本漢字學會報, 第4号(2022年6月), pp.119-147)。
このあたり「JIS X 0213に縮退するなんて無理です」も含めて、デジタル庁にちゃんと伝わっていない気がするのだが、正直どうなってるんだろ。
戸籍統一文字と文字情報基盤の不整合 (スコア:1)
Re:戸籍統一文字と文字情報基盤の不整合 (スコア:2)
文字情報基盤およびUCSへの追加を、ちゃんとデジタル庁と法務省が責任もって、やってほしいのですけど、まあ、動きが鈍いのです。そのあたりを、少しだけ今日の日記 [srad.jp]に書いておきました。