太陽光を高効率でレーザー変換する技術の開発 105
ストーリー by yoosee
子供の頃の未来の技術が現実に 部門より
子供の頃の未来の技術が現実に 部門より
NHKニュースによれば、大阪大学レーザーエネルギー学研究センター、JAXA、レーザー技術総合研究所(ILT)などの研究グループは、太陽光を高効率でレーザーエネルギーに変換する技術を開発しました。 レーザー発生装置にクロム、ネオジムを一定割合で混合したセラミックを用いることで、光エネルギーの42%をレーザーに変換できるといい、これは従来技術と比較して4倍以上の変換効率だそうです。
実用化されれば静止軌道上の人工衛星で太陽光をレーザー変換して地上へ送ることが可能となるため、エネルギーの安定供給に役立つ技術になるのではと期待されています。
簡単なまとめ (スコア:5, 参考になる)
・仕組み
基本的にはフラッシュランプ励起の普通のレーザーと一緒です.白色光で共振器内の媒体を励起,
そこに種となる光を入れてやると誘導放出によって励起されているものから光が出ます.
誘導放出なんで当たった光と位相をそろえて放出されるためレーザーとなります.で,こいつの
何割かを共振器内に戻して次の種として,残りが外部に出てきてレーザー出力.
通常のYAGなんかですと励起の白色光がフラッシュランプなものを,太陽光に置き換えただけです.
大気による吸収が少ないということで,通常赤外発振させてそれを送る事が考えられています.
・利点
宇宙での太陽光発電というとマイクロ波送信方式がありますが,あちらに対する利点として
1.波長が短いのでより集光でき,受光側の面積を減らせる
2.太陽光を発振器に当てるだけでレーザー出力が出るので,構造が簡単.基本的には,発振部と
巨大なミラー(単なる金属箔/板)だけで済み,巨大な太陽電池を打ち上げるのよりはよほど楽.
3.マイクロ波に比べ生体などへの影響はよくわかっており,未知の悪影響はないと思われる.
が挙げられます.
・難点
昔は効率が難点でした(変換効率一桁パーセント台).
しかし最近はYAGにNd・Crをドープしたもので効率的に光を吸収することで,模擬太陽光(っぽいもの)
で変換効率30-40%近くに達しています.
他の問題としては冷却があります.発振でのロスはほとんどが熱になるため,効率的な放熱手段を
考えないと発振器そのものが高温になってしまいます.これは熱的破損の他にも,温度上昇による効率
低下/レーザーの質の低下を招きますが,よい(コストの安い)解決策は今のところありません.
太陽励起レーザーマニアのための関連リンク (スコア:5, 参考になる)
模擬太陽光を使った実験では、以前から変換効率40%を達成しているようです。例えばこれ。
LASER CROSS No.222 (pdf) [ilt.or.jp]2ページの「■屋外での太陽励起発振の実験」
ここの資料 [ilt.or.jp]は他にも興味深いものが多数あるので、レーザーマニアな方は一読をオススメします。
昔から指摘されてるけど (スコア:4, おもしろおかしい)
はるか昔からあったのだ (スコア:5, おもしろおかしい)
ラーマヤーナではインドラの矢とも伝えているがね。
Re:はるか昔からあったのだ (スコア:3, すばらしい洞察)
Re:はるか昔からあったのだ (スコア:2, 興味深い)
Re:はるか昔からあったのだ (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:はるか昔からあったのだ (スコア:1)
宇宙からリモコンが操作できるんだ。
これで、視聴率はわが社のものだ。
#お台場のフジの球体は、これへの布石だったのか、、、
Re:はるか昔からあったのだ (スコア:2, すばらしい洞察)
Re:昔から指摘されてるけど (スコア:4, おもしろおかしい)
・防御区域に温泉を掘り、湯気を立ち込めさせておく
・屋根を鏡張り
しかし、兵器として運用するとして、衛星の周期と射線上の飛行制限情報から
いつどこに撃つのかバレバレの、たいそう牧歌的な兵器になりそうです。
Re:昔から指摘されてるけど (スコア:2, 参考になる)
>・屋根を鏡張り
湯気は一瞬で蒸発、屋根の鏡はかすかな汚れや埃が受けた熱で融け出して役立たずに、そして反射/散乱光で失明者続出。
てなところじゃない?相手がGW級レーザーだと。
Re:昔から指摘されてるけど (スコア:1)
兵器なのに、撃つ先の飛行を制限する必要あるんですか?
Re:昔から指摘されてるけど (スコア:2, おもしろおかしい)
Re:昔から指摘されてるけど (スコア:1)
誤解を招く表現ですよね (スコア:1)
ちょっとひまわりかスーパーバードか何か上げるくらいのお手軽さで原発1着分の電力が……と誤解されかねない表現ですよね。
100万kw級の太陽光発電だとおよそ10平方キロくらいのサイズを持った「1つの人工衛星」が必要でして、
そんな大質量な衛星を打ち上げて組み立てて運用して劣化したら更新して、となるとまだまだブレークスルーが必要。光の変換以外のところで。
Re:誤解を招く表現ですよね (スコア:2, 興味深い)
だから、太陽光発電の話じゃないでしょ。
かと言って、どれぐらいの大きさの人工衛星が必要かはわかりませんが。
変換効率から必要面積を (スコア:2, 興味深い)
太陽光のエネルギー密度が一定なことに着目すると、 ざっくり太陽電池の10倍の変換効率とすると1平方キロですかね。
マグネシウム・サイクルへの応用もできそう? (スコア:4, 興味深い)
でも,高効率の太陽光励起レーザーが実現の鍵の一つだとか。
このマグネシウム・サイクルの場合,
- エネルギーの貯蔵や,燃料電池自動車への応用,だけでなく,
- たとえば,砂漠と海はあっても石油は無い国へ技術を提供して,砂漠緑化のエネルギー源にあてたりとか,日本の二酸化炭素削減にあてたりとか,新たな収入源を提供して対日感情を好転化させたりとか,外交・政治的な用途への応用
も提言されているのが,タレコミにもある「人工衛星からのエネルギー伝送」よりも,私には大変興味深いです。Re:マグネシウム・サイクルへの応用もできそう? (スコア:2, 興味深い)
この実験のからみで住宅地のど真ん中(まあ一応大学の敷地内ですが)に3mくらいの試作品を作って実験してました.最大出力は20Wとかだったかな.加工用とかじゃなかったらこれより強いレーザーは珍しいんじゃないかと思う.
学会で予備知識なく見て,そのあまりの出力にのけ反ったのが懐かしい.
どっかおかしくない? (スコア:2, 興味深い)
酸化マグネシウムをレーザーで分解するそうで、確かに1万度(1eV)まで加熱すればプラズマになるだろうけど、それができるのなら、多少温度は高くなるかもしれないが、炭酸ガスを分解しても良さそうだ。
炭素が分離できれば、往年の石炭化学を使って、ガスも作れれば、石炭液化(GTL)技術で液体燃料も作れて、その方が水素燃料よりも可搬性が良いだろう。化成品の原料にもなるだろうし。
Re:どっかおかしくない? (スコア:3, 参考になる)
石炭が簡単に液化出来たり改質できるのは、内部にいろいろな置換基やらアルキル鎖やらが
残っているからです。
Re:マグネシウム・サイクルへの応用もできそう? (スコア:1, 興味深い)
引火性が強くて下手したら爆発もする危険なガソリンを満載した自動車が世界中の道を走っていて、しかもそれがちょくちょく燃え上がっていても使われ続けているくらいですから、マグネシウムも一旦採用されてしまえば・・・
Re:マグネシウム・サイクルへの応用もできそう? (スコア:1, 興味深い)
まあ、ちゃんとコントロールしていればそれで溶接したりと便利にも使えるんだけど。
Re:マグネシウム・サイクルへの応用もできそう? (スコア:1)
嫌気させればすむことじゃないのですか?
そーゆー意味じゃボンベ式水素燃料と大差ないように感じますが。
文系なのでさっぱりわかりませんが… (スコア:3, おもしろおかしい)
Re:文系なのでさっぱりわかりませんが… (スコア:1, 参考になる)
人が直撃を受けてもほんのり暖かくなる程度です。マイクロ波ですし。
今回のこれは、よりエネルギー密度を高めて、さらに人体に吸収されやすい赤外線を用いることで
照射された人間が瞬時に破裂/燃焼するような圧倒的な破壊力を発揮します。
#いやまあ、別に破壊力が目的ではありませんけどね。
Re:文系なのでさっぱりわかりませんが… (スコア:1)
エネルギー危機を救うためにはそんなレーザーが何本も地球めがけて照射される必要がありそうだし、それはそれで原発並に怖いかも。
Re:文系なのでさっぱりわかりませんが… (スコア:1)
的をはずしても火災等は引き起こさないよう計画されている.むしろ問題はコスト.
#何せやたらと重い太陽電池を馬鹿みたいに多量に上げないといけない.
Re:文系なのでさっぱりわかりませんが… (スコア:5, 参考になる)
誤解されているかもしれませんが, 今回の物は太陽電池を使いません. 太陽光(スペクトルに幅があり, インコヒーレント)からレーザー光(単一スペクトルかつコヒーレント)に直接変換します. それこそが高効率の秘密ですね. ですから宇宙空間にはレーザー発振装置以外には集光のための光学系(多分薄膜に金属を蒸着した反射鏡がメイン)を設置することになります. このため, 同一面積の太陽光を取り扱うために必要なペイロードはかなり縮小されると予想されます. もっとも, そういった巨大薄膜構造物を軌道上で安定して維持するためには工学的な困難がありますが.
さらに言えば, 受信側でも電気に変換するのではなく, レーザーを使って励起させた触媒を使って直接水を水素と酸素に分解する方法が研究されています. その方が輸送や保存するのに便利ですからね. 水の分解方法についてはこの他にマグネシウムを使って水素を発生させ, 出来た酸化マグネシウムをレーザーで熱分解して酸素を分離するというサイクルについても研究されている [titech.ac.jp]ようです.
そういう意味では従来の太陽「発電」衛星という概念では収まらず, 太陽光エネルギ衛星プラントとか言うほうが近いのかもしれません.
Re:文系なのでさっぱりわかりませんが… (スコア:1)
それは勿論承知しています.
#こっち [srad.jp]でも書いてますんで.
太陽電池云々は,元の発言にあったシムシティなどで出てくる太陽光発電->マイクロウェーブ伝送の場合です.
Re:文系なのでさっぱりわかりませんが… (スコア:1)
# よく火事になるんだ、これが。
地上の受光施設は (スコア:3, おもしろおかしい)
アドレス変わっちゃたんでしょうか (スコア:2, 参考になる)
アドレスがhttp://www3.nhk.or.jp/news/2007/09/04/d20070903000135.html [nhk.or.jp]なら見られます。何ででしょう。。
Re:アドレス変わっちゃたんでしょうか (スコア:1)
真っ先に連想したのはロシュワールドへ (スコア:2, 興味深い)
Re:真っ先に連想したのはロシュワールドへ (スコア:1)
減速シーケンスでは、SHG併用で可視光レーザーになると。
Re:真っ先に連想したのはロシュワールドへ (スコア:1)
同じく。
まずは一歩という所ですね。
次はこれを効率よく巨大に作れるようになれば・・・・
# まずは無人機を送って
# 向こう側に減速用のを置けばさらに効率いいのになぁ、と思いました。
# 現地人に壊されなければ・・・
効率 (スコア:2, おもしろおかしい)
そこら辺の効率ってのはどのくらいなものなのだろう?
ご家庭までレーザーのままお届けして、レーザーコンロとかレーザー湯沸しとかはしないだろうな。
オールレーザーとかいう家作ったり。
Re:効率 (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:効率 (スコア:1, すばらしい洞察)
大気の減衰量考えても (スコア:1)
特に曇りの日とか。
#レーザーの通り道だけ妙に晴れてたりして
Re:大気の減衰量考えても (スコア:1)
こういうの太陽光レーザー,水,マグネシウムによる革新的エネルギーサイクル [titech.ac.jp]
とタイアップして、地道なところからやっていった方が効率いいと思うんだけどなぁ。
研究の主目的はどっちを向いているんだろう。オフプラネット発電が目的なのか、
効果的な新エネルギーが目的なのか。
Re:大気の減衰量考えても (スコア:1, 参考になる)
さ・・さてらいと○ゃのん (スコア:1)
ま、それはともかく、高出力のレーザーによる大気への影響とか、逆に大気による減衰<同じだ
とか考えるべきことも多いでしょうが、太陽光を有効利用できるというのは喜ばしいニュースだと思います。
# 光→光変換だから効率がいいのですかね。
# 問題はレーザーから他の形(電気等)への再変換等で最終的にどの程度利用可能になるかですね。
こういうのを聞くと・・・ (スコア:1)
と思ってしまう・・・・
部門名 (スコア:1, おもしろおかしい)
静止衛星軌道の混雑具合 (スコア:1)
>エネルギーの安定供給に役立つ技術になるのではと期待されています。
静止衛星軌道には後いくつこの衛星が打ち上げられるのでしょうか???
日本には今55基の原発があります。
これらを全部置き換えられるとしたらいくつぐらい減らせるんでしょう。
むしろ外へ向けて (スコア:1)
月や小惑星基地への電力供給、探査船に照射して加速エネルギーにするとか。
つづき (スコア:3, おもしろおかしい)
返事が来たと喜んだアルファ・ケンタウリでは、通信の解読に努力したが不成功に終わり、相互理解の可能な知性ではないとの結論に達し、交流計画は終了した。
地球では攻撃の終了に喜び、地球防衛成功の大祝賀を行なった。(めでたしめでたし)
the.ACount
Re:昔から思っていたんだけど (スコア:5, 参考になる)
効率10%の発電衛星で全世界のエネルギー需要を賄ったとしても、日射量は0.1%も減らないと思われます。
数量の比較 (エネルギー) [wikipedia.org] 正確性について担保はありませんが、オーダーとしてはこんなところだったかと思います。