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人工多能性幹細胞(iPS細胞)による治療は近い? 67

ストーリー by nabeshin
「マウス作製」じゃなくて「マウス生成」などではだめ? 部門より
各社新聞に掲載されていますが、京都大学の山中伸弥教授らのチームは今年11月、成人の皮膚細胞からさまざまな臓器・組織の細胞に分化するiPS細胞を、がん遺伝子Mycを含まずに作成できたそうです。 iPS細胞はマウスやヒトの皮膚細胞に4つの転写因子を導入することによって樹立されることが発表されており(以前のストーリ)、この段階では、4つの転写因子の1つが、がん遺伝子Mycでした。今回のポイントはMycを含まない点で、36歳女性の皮膚細胞からiPS細胞を樹立することに成功したそうです。

また、以前(今回?)の成果を受けて早速、今年度分として約5500万円、数億円規模の研究資金が用意されるとのことです(毎日新聞の記事)。
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2007年12月04日 17時21分 (#1260192)
    まだざっと読んだだけなので、間違ってるかもしれませんが。

    前回との違いは、3種類の遺伝子を導入した後で、遺伝子が入っている細胞と入ってない細胞を振り分けるために用いた薬剤(ピューロマイシン:この薬剤への耐性遺伝子がベクターに入っている)を処理するタイミングです。
    前回のマウス線維芽細胞の実験では、遺伝子導入7日後に薬剤処理したところ3遺伝子導入ではiPS細胞ができなかったけど、今回14日後に処理したところ作製に成功した模様。c-Mycが入ってないと細胞の増殖が遅いため、薬剤の存在下ではiPS細胞が生残できなかったためだろう、ということです(この手のselection markerでは割とよくあることだけど、いくら選択的と言っても毒性は毒性なので、完全に0-100で分かれるとは言えないというか…特に数が少ないときは)

    ヒトの場合も、一応同様に3遺伝子導入での作製が可能ではあったものの、効率的には4遺伝子を導入した場合にくらべて10分の1以下であったようなので(4遺伝子では5x10^4の皮膚細胞から〜10個ほど、3遺伝子では5x10^5から0〜5個)実用化にはもう少し効率を挙げる方法を考える必要がありそうですが、何にせよc-Mycなしで作製可能であることが示せた点は大きいと思います。
  • 中の人です (スコア:2, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2007年12月04日 16時52分 (#1260164)
    プロジェクトの人数15人だそうです。
    • by Anonymous Coward
      年俸350万円か…と思ってしまったのはきっとなにかのまちがいだな。うん。

      いろいろ大変でしょうが、がんばってください。

    • by Anonymous Coward
      珍しくすばやく資金が下りましたねぇ。
      詳しい秘訣などをぜひ聞きたいものです。
      • by reo (4042) on 2007年12月04日 17時21分 (#1260193) 日記
        > 詳しい秘訣などをぜひ聞きたいものです。

        権威ある場で、日本政府の痛いところをつくような答えをすること。

        http://d.hatena.ne.jp/o-kojo2/20071121 [hatena.ne.jp]
        --
        Hiroki (REO) Kashiwazaki
        親コメント
        • by yasiyasi (5450) on 2007年12月04日 17時57分 (#1260217)
          加えて,すでに海外に引き抜かれかけており,「頭脳流出の危機」を代表する立場にあること,とか?
          親コメント
        • Re:中の人です (スコア:2, すばらしい洞察)

          by Anonymous Coward on 2007年12月05日 9時02分 (#1260512)
          結局、万能細胞を使った実験を1回するたびに500ページの書類3部を書く規則ができて、追加資金は事務員を雇うために消費されるというオチがつかないことを祈る。
          親コメント
        • by 127.0.0.1 (33105) on 2007年12月04日 17時58分 (#1260218) 日記
          アメリカなどの外国で興味を示されていて
          儲かりそうと分かったらお金が出るみたいですね。
          ニュースになっただけでこれだけ出るのだから、
          研究チームが丸ごとアメリカに行くみたいな話を出したら
          もっと出してもらえるんじゃないですかね。

          まぁ実際そのまま外国に行った方が資金出して
          もらえるのかもですが。そんなケースの話が
          あったような気が。
          分野はちょっと違うけど青色LEDとかもそうでしたかね。

          親コメント
    • by Anonymous Coward
      ぜひぜひ患者さんを救うことになるのでがんばってください。
    • by Anonymous Coward
      プロテオミックなことはしないんでしょーか?
      遺伝子発現はいっぱいやってたけど。
      iPScellで作った組織と、普通の組織の発現パターンの違いとか。
  • たった数億かよ (スコア:2, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2007年12月04日 18時01分 (#1260220)
    国力を注ぎ込んでもよいレベルだと思うんだが。
    年度末近いところを無理してひねり出したのは認めよう。
    • Re:たった数億かよ (スコア:3, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2007年12月04日 20時01分 (#1260309)
      この米 [srad.jp]のリンク先見る限り、
      問題は金額ではなくて事務処理だと思いますが、その場合たとえ数十・数百億の予算がつけられても
      消しゴム一個買うのに書類数十枚書かないといけない状況(<=極端な演出。事実ではありません)では
      数億、あるいは数千万の研究資金でも自由に研究できる環境に逃げたくなりますよね。

      #そしてアメリカは数億の自由に使える研究資金を提供するかもしれない:p
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        ああ、ボスはそういう考えの人だったのですね。
        リンク先を読んでいませんでした。しびれた。
      • by Anonymous Coward
        うちの会社の場合、消しゴム一個買うとなると最低5枚以上書類が必要なようです。
        商社から見積書を貰って、購入依頼書を事務に出す。
        事務は注文書を商社に出す。
        事務は納品書を受け取り物品受領書を商社に出す。
        私の目に触れている書類はこれだけですが、実際は送金や帳簿などの書類もあるので
        10枚いきそうですね。
        なので事務用品は基本的にまとめ買いします。
    • by atsushifx (28928) on 2007年12月04日 20時36分 (#1260337) ホームページ 日記
      朝日新聞の記事によると、「ES細胞、クローン胚研究も重要」 文科省が意見書 [asahi.com]だそうです。
      縄張り争いなのかもしれませんが、不遇ですね。
      親コメント
      • いや (スコア:1, 興味深い)

        by Anonymous Coward on 2007年12月04日 21時05分 (#1260356)
        いや、山中教授のCellの論文の最後にも、まだESをやめるのは早計と書いてある。
        平行してみんなやるべきなんだよ。
        親コメント
        • by multiplex (33585) on 2007年12月05日 9時50分 (#1260534)
          どんなブレイクスルーや新たな障壁があるかわからんからなぁ。
          (予算と人員の都合さえ付くなら)多方面攻勢かけるに越したことないよね。
          親コメント
    • by Anonymous Coward on 2007年12月04日 19時00分 (#1260263)
      過ぎたるは及ばざるが如し…です。

      要求していた機材や要員が充実する程度ならともかく、
      いきなり要求額を上回る金額を注ぎ込んでもすぐに研究環境が変わるわけでは有りません。
      余計な軋轢も生みますし、研究計画/組織変更の部分で余計な労力がかかってしまいます。
      本来の研究に専念して貰うには出来るだけ身軽な方が良いのではないでしょうか?

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2007年12月04日 19時53分 (#1260302)
        #1260220です。

        確かにその教室だけ予算の桁が一桁あがると軋轢は生むかもしれませんが…
        これから先50年を思えばやむかたなしかと。

        いろんな使い道があると思うんです。
        たとえばバックアップする部隊を整備する。
        追試するだけのグループ(技師たくさん)を整備するとか。
        専属で弁理士雇って並行して特許手続きとか。
        もしかしたら警備なんかも必要かもしれませんよね。

        たぶんボスはとても忙しいし、有能な秘書はたくさん必要でしょう。
        国立大学法人の会計制度の枠内では不自由が多いのではないでしょうか。

        億単位で無駄遣いしてもかまわない
        (どうせいらんところでいままで無駄遣いしまくっているんだし)
        と思うのですが、いかがでしょう。

        研究所建設してもいいんじゃないかと思います。海外に逃がさないために(笑)
        親コメント
  • by Technobose (6861) on 2007年12月04日 20時04分 (#1260312) 日記
    自分の細胞から組織を作ることができる、という技術はまず失った器官の再生や再建に用いられると思いますが、もっと『積極的』な応用も実用化されるような気がしますね。
    例えば美容外科で綺麗な皮膚を作って移植するとか、形のよい鼻を作ってみるとか・・・。
    で、さらに進んできたら内蔵の強化、例えば運動選手の循環器を強化するとかに発展するのでは・・・。

    生物の器官のでき方は遺伝子だけでなく、発生途中にうけるホルモンなどでも変わってくるので、もしかすると本来、その人には無かった器官も作ることができるのではないでしょうか。

    なんとなく、本格的な人体改造の時代になりそうな気がする・・・。
    • 例えば美容外科で綺麗な皮膚を作って移植するとか、形のよい鼻を作ってみるとか・・・。
      で、さらに進んできたら内蔵の強化、例えば運動選手の循環器を強化するとかに発展するのでは・・・。
      基本、自分のDNAなので今のとほとんど同じ形、機能のが出来ます。
      皮膚は、きれいなのが出来るかもしれませんが、コスト的に無理でしょう。

      生物の器官のでき方は遺伝子だけでなく、発生途中にうけるホルモンなどでも変わってくるので、もしかすると本来、その人には無かった器官も作ることができるのではないでしょうか。
      女の人のDNAから、精子をつくったり、男の人のDNAで卵子を作ったりも出来るらしいです。
      親コメント
      • > 女の人のDNAから、精子をつくったり、

        できるんでしょうか?
        いや、噛み付くわけでないですが、X染色体のはともかく、Y染色体のはできないですよね?
        # X->Y変換とか聞いたことないし。

        ...女性のみの世界を構築しようとするなら夢の技術にはなりそうです。
        --
        M-FalconSky (暑いか寒い)
        親コメント
      • by Anonymous Coward on 2007年12月05日 8時45分 (#1260503)
        > 女の人のDNAから、精子をつくったり、男の人のDNAで卵子を作ったりも出来るらしいです。

        ジャニオタの女性が、キムタクのフケかなにかを採取して
        キムタクの精子を培養して人工授精、キムタクと自分の子供を作るとか

        ある男性にストーキングしている女性が
        その男性のフケかなにかを採取して、精子作って人工授精、
        大きくなったお腹を見せて
        「アンタの子供なのよ!どう責任取ってくれるのよ!DNA鑑定してもいいのよ!」
        などと騒ぐ
        というシナリオがとりあえず浮かびました

        本当にそんなことが出来たら悪用できるパターンは無限にありそうです
        親コメント
  • by Anonymous Coward on 2007年12月04日 17時15分 (#1260188)
    優先的に治療を受けれる権利と引き換えに投資募集したら
    結構な額が集まるんじゃないでしょうか。
  • 「円環少女」最新刊のネタばれ。

    魔法世界で開発された、破損した人体を修復できる代わりに使用した部分が癌化する生体材料というのが出てきたんだけど、こちらは斬られた腕をくっつけることは無理としても、癌化しない分優秀ですね。
    人間の耳がくっついたヌードマウスを見た時もびっくりしたものですが、発展中の科学分野を小説のネタとして扱う場合は、こういうことが起きる覚悟をしておくべきなのでしょう。
    • 「円環少女」は魔法ものラノベだと思ってた(読んでない)から、そんな科学ネタを使ってることのほうがオドロキ。
      iPS 治療は、まだまだ先だから、すぐ古くなってしまう心配は無いだろう。(常温核融合や回転重力ネタは悲惨だったね~、最初からバレてるフリーエネルギーよりマシだが)
      --
      the.ACount
      親コメント
    • いや、その手のネタは大昔から山ほどあると思うが……。
      円環少女とか言われてもこまる。
      • >いや、その手のネタは大昔から山ほどあると思うが……。

        私も円環少女というのが何かよく分からないのですが、
        今までSFネタだと思って使ってきた技術が実現されてしまったということですね。

        使い古されたクローンネタにリアリティを盛り込もうとして
        最近のネタを入れた結果、陳腐化が加速して現実に抜かれてしまった、と。

        # SFでのこういう中途半端なリアリティは、
        # 10年後見返すと悲しくなるので止めた方がいいと思います
        # コンピュータ系のネタでもよくありますけどね・・・・
  • by Anonymous Coward on 2007年12月04日 18時41分 (#1260248)
    http://obio.c-studio.net/science/ [c-studio.net]
    ここのポッドキャストで「前回の発表」が取り上げられて、「癌の遺伝子を使わずに済めばいいのにね」とか言ってたばかりなのに…
    早いなぁ
  • by Anonymous Coward on 2007年12月04日 19時41分 (#1260293)
    > 今年度分として約5500万円、数億円規模の研究資金が用意される

    たった数億円? 数千億円くらい使ってもらうべきなのでは?
    ここぞという所に思い切ってお金を使えない日本の将来が心配。
  • by Anonymous Coward on 2007年12月04日 19時56分 (#1260304)
    どんどん臓器を交換していけば、全部新品になり、生まれ変われるの?
    教えてエロイ人!
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物事のやり方は一つではない -- Perlな人

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