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日記

akiraaniの日記: なろうで悪役令嬢というテンプレが大増殖した理由 6

日記 by akiraani

参考:悪役令嬢とはなんなのか?まとめ

 小説家になろう、というサイトに投稿されている小説は、独自の文化というかコミュニティ内お約束みたいなものが多数生まれて跳梁跋扈しているところである。
 そんなお約束の一つに「悪役令嬢」というキーワードがある。

 現在の小説家になろうで言われている悪役令嬢の特徴というのは、既にある物語の中で主人公と敵対する関係にある令嬢で、その中でも容赦なくやっつけてよい悪役ポジションにあるキャラクターで、かなりの確率で物語中で誅されて自業自得な理由で没落、もしくは破滅する。
 小説家になろうに投稿される作品では乙女ゲームのライバルキャラという設定が定番なのだが、実はほとんどの乙女ゲームには「実力行使で誅しても良心の呵責がないレベルの悪役令嬢」というのは出てこない。じゃあ、ルーツはどこにあるんだということを探して首をひねるしかない、というのが参考リンクの先の話だったりするのだけど、正直ルーツは特定の作品にはないだろうというのが個人的な意見。

 エンタメ構造論の話でもちらっと話題にしているが、この手のテンプレやらお約束というのは演出目的に都合がいいから多用されている。プログラムでいうところの定番アルゴリズムみたいなもの。
 ルーツがどこにあるかということに大した意味はなくて、なぜ使われているのかこそが蔓延する原因であろう。

 悪役令嬢という設定が優れているポイントとして転生知識チートとの相性の良さが一つあるだろう。
 転生した先で知識チートして無双するというタイプのエンタメ作品で重要になるのは、こんな方法があったのか、という意外性があり、かつなるほど、これなら無双できるという説得力。
 悪役令嬢というのは設定上上流階級の様式という凝り固まった価値観を持っている。その価値観を破壊することで意外性を演出することができる。
 そして、上流階級で高い教養を備えており財力権力を有し、決断しさえすればできることが多いので説得力を出しやすい。現代人が一介の冒険者に転生したところで過酷な環境に耐えきれずに野垂れ死ぬだろう、みたいなツッコミとも無縁でいられる。
 これほど知識チートと相性の良い設定はなかなかないだろう。

 もう一つが、危機感の演出の容易さであろう。なろう転生ものの弱点の一つに、主人公に目的意識を持たせるのがたいへんという問題がある。
 転生しました、チート能力手に入れましたヒャッホー、だけでは物語はなかなか成立しない。主人公がなすべき目標を読者にもわかりやすく提示できなければ、物語の山場が作れないし、せっかくのチート能力もギャグにしか使えない。なので、転生先の環境が劣悪だったり、チート能力だが一見使えないものだったりといった仕掛けがよくつかわれる。
 その点、悪役令嬢は「破滅する未来」もしくは「破滅した現在」という絶対的な危機があり、そこから脱却するという目的だけで物語が成立する。
 実に使い勝手の良い設定である。

 最後に、キャッチコピーキーワードとして優秀だという点も見過ごせない。
 なろう異世界ものの特徴は投稿システムに最適化した結果、という説で考察しているように、小説家になろうで重要になるランキングやら新着からクリックを勝ち取るためには、タイトルのキャッチーさが非常に重要になってくる。
 勇者や魔王、RPG的職業名といったキーワードが多くのなろう作品で使われるのは、短い文字数で多くの情報を読者にアピールすることができるからであろうと考えられる。
 その点においてたった4文字で既存の物語上で悪役として描写されている権力者サイドの性格の悪い若くて美しい女性という、てんこ盛りの属性が付いてくる悪役令嬢というのはとても優秀なキャッチコピーキーワードなのである。

 以上が、悪役令嬢というジャンルがなろうで大流行りした直接的な要因ではないか、という考察である。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • なろうの中だけなら良いんだけど,似たようなのが続々書籍化されると,訳が分からん。
  • by hahahash (41409) on 2019年09月26日 15時17分 (#3691715) 日記

    もちろん、既に書かれているような、
    倒すべき敵としての基礎スペックの高さや、破滅回避という目的意識のわかりやすさ、
    みたいな悪役令嬢設定の使いやすさがあるのは当然として、

    個人的には、悪役令嬢モノの隆盛の要因としては、
    ジャンル:異世界〔恋愛〕 があるんじゃないかと考えています。

    ・恋愛という主軸がはっきりしているため、
     展開が破綻する危険が少なく、素人作家でも御しやすい。

    ・世界設定や人物の関係性や物語展開が似通っていても、
     キャラの恋愛事情が異なれば全く違う物語として受け入れられやすい。

    このあたりの恋愛モノの特性が、
    素人作家が面白かった作品の影響をうけて作品を書く、
    という場合において、プラスに働いてるんじゃないかな、と。

  • 切りかかったりする遥か前から「はあーーーーーーーーー!!」「いっけーーーーーーー!!」とか言って息を吐き続けて、切ったり殴ったりする時には息切れしてる件。

  • もう一つの大テーマが「ざまあ」。
    著者が女性なら、「悪役令嬢」予定者に転生→冤罪で(主としてバカ王子から)弾劾(婚約破棄)→「ざまあ」みろが、一つの典型である。
    なお「ざまあ」は主役が転生してなくても使われる事が多い。

  • by Anonymous Coward on 2019年09月26日 17時29分 (#3691825)

    Vガンダムのカテジナさんみたいなの?
    女同士で戦わないとだめ?

  • by Anonymous Coward on 2019年09月27日 9時42分 (#3692125)

    悪役令嬢テンプレを主題にした作品が過去に有りまして。
    それまでは少数の作者がそれぞれのキャラクターで作っていたのですが、
    テンプレ作品が発生したらそのキャラクター派生が増えました。
    オレ様生徒会長、腹黒陰険メガネ副会長、チャラ男、双子ショタ(魔術師)、脳筋騎士、不良枠、聖女ヒロインというやつです。
    階段落ちと卒業パーティ断罪もこれ。

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「毎々お世話になっております。仕様書を頂きたく。」「拝承」 -- ある会社の日常

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