骨髄移植でエイズウイルスが消滅する? 16
ストーリー by hylom
徐々に対処法が開発されつつあるHIV 部門より
徐々に対処法が開発されつつあるHIV 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
米ハーバード大学の研究チームは、エイズウイルス(HIV)に感染していた患者2人に骨髄移植を行ったところ、血液中からHIVが検出されなくなったと発表した。ボストンの病院で治療を受けていた男性患者2人は長年、HIV抑制のための抗レトロウイルス薬の投与を続けてきたが、リンパ腫治療のために骨髄移植を受けて以降、体内からHIVが確認できなくなったという(nature news、CNN、Reuters、本家/.)。
ウイルスが完全に消えたかどうかはまだ確定していないが、患者のうち1人は、抗レトロウイルス薬の投与を15週間、もう1人は7週間にわたって中断している。しかし、血流中にHIVは見つかっていないという。しかし、体のどこかにウイルスが残っていて、再び増えてくる可能性もあり、研究チームのヘンリッチ医師は「移植の長期的、全体的な効果はまだ分からない」としている。
逆に (スコア:2)
逆に考えると、そこまでしないと寛解はしても完治はしないのがHIVってことか。
Re: (スコア:0)
>逆に考えると、そこまでしないと寛解はしても完治はしないのがHIVってことか。
HIV対策・予防に骨髄食べる迷信がどこかで生まれそうな悪寒・・・
#そして広まる
狂牛病クロイツフェルト・ヤコブ病不思議 (スコア:0)
あれ?hivって自力で治せる人いないですよね?
骨髄移植で何かすごい相乗効果が起きるのでしょうか?
hiv患者同士移植しあったらどうなる?
Re:不思議 (スコア:4, 参考になる)
HIVの完治例が殆ど無いのは、治療薬の届かないところにウィルスが潜むからだそうです。
投薬でウィルスが検出限界以下まで減っても、中止すると潜んでたウィルスからまた蔓延すると。
#医療関係者には常識なんでしょうが、家族が治療中の方のブログ((元)嫁がHIVになりまして(浮気で) [ameblo.jp])を読むまで私は知りませんでした。
骨髄移植を受ける前に、移植の前処置で致死量を超える大量の抗ガン剤投与と放射線照射を行う [wikipedia.org]そうなので、その際に潜んでいたウィルスも退治できるのかも。
Re:不思議 (スコア:2)
まさに仰る通りで、体の奥の骨の奥のさらに細胞の中に潜んだまま静かに時を待ってる奴がいて、そいつが他の正常な細胞と区別つかない(=そいつを目標とした薬を作れない)んですよね。
例えるなら、HIVは設計図で免疫細胞は生産工場。
ラインに乗ってる製品を見つけ次第壊したり、見えるところに置いてある設計図を焼いたりはできるんだけど、
工場長の引き出しの中にしまってある設計図は放置されてる。いつかまた取り出して生産を始めちゃうかもしれない。
でも骨髄移植なら、この生産工場を従業員ごとまるごと大爆破して建て直しちゃう。工場長の秘密の引き出しも大爆破。
世の中の設計図(体内のウイルス)を充分減らしてから行えば、ウイルスの生産されない身体が手に入るかも、という話ですな。
Re:不思議 (スコア:1)
上の書き込み(#2417279)にもありますけど、HIVウィルスは抗がん剤や
放射線で退治されているのではありません。
もともとHIVウィルスに耐性を持つ遺伝子タイプの人が少数ですが
居まして、その人から骨髄を移植するとHIVウィルスへの耐性も
いっしょに受け継ぐことができて完治(?)する、という話です。
というわけで、#2417306の比喩も正しくなくて、設計図も秘密の引き出しも
そのままだけど工場の生産ラインが無くなったので生産されない、
といった感じです。
つまり、HIVに耐性を持たない遺伝子の人から再度骨髄を移植すると
高確率でHIVが再発すると考えられます。
Re: (スコア:0)
元AC(#2417352)です。ごめんなさい。元記事読んでませんでした。
元のNatureの記事より
> But the Boston patients received stem cells without the protective mutation.
とあって、(HIV耐性の)CCR5の変異タイプは持っていない、と明言されてますね。
そうなると、移植元の方の遺伝子に「未知のHIV耐性遺伝子」が含まれていたのか、
あるいは移植の際の何らかの操作(抗がん剤投与・放射線照射など)によって
HIVが全滅したかのどちらか、ということなんでしょうね。
ということは、#2417306の比喩は後者の場合完全に正しいです。
骨髄は移植したけどHIVは直らなかったケースとかはあるのか気になりますね。
Re: (スコア:0)
> つまり、HIVに耐性を持たない遺伝子の人から再度骨髄を移植すると
> 高確率でHIVが再発すると考えられます。
骨髄移植の前処置ではHIVウィルスは死なないですか。
白血病に対する同種骨髄移植では移植片対白血病効果(GVL効果)がありますが、
HIVの場合はHIVウィルス耐性を持ったドナーからの移植が必須と。
Re:不思議 (スコア:3, 参考になる)
HIVってもともと感染しない人がいるのです。HIVは骨髄で作られるT細胞を使って増えるのだけど、骨髄移植して感染できないT細胞しか患者で作られなくなると、HIVは増えることができずに直るというのがメカニズム
だいぶ前にも直った人がいたときの解説がこちら
http://d.hatena.ne.jp/semi_colon/20101217/p1 [hatena.ne.jp]
骨髄移植をHIVだけ感染している人に行うのは倫理的に問題あるから追試しにくいという話だったが、今回はそのしにくい追試が2例もなされたのがすごいな。
Re:不思議 (スコア:1)
T細胞だけでなく神経細胞にも感染するとか聞いたけどなー。
the.ACount
Re: (スコア:0)
HAARTだけでコントロールできるHIV感染に移植するのは少し倫理的ハードルがありますが、
今回のはリンパ腫の治療としての同種移植を行った後にHIVが消失したという話ですから、
倫理的な障害はより少ないのではないでしょうか。
ご存じの通りAIDSには悪性リンパ腫が高率に合併しますが、免疫不全がすでに合併しているため、
十分な治療ができず、予後が不良になりやすいことが知られています。難治例には同種移植
(本人の造血幹細胞ではなくドナーから提供を受けた造血幹細胞の移植、という意味)が適応に
なる可能性はありますが、それによってHIV自体が制御できるとなったら、さらに移植の対象が
拡大するかも知れません。
# 前処置が骨髄破壊的であったかどうかには少し興味があります。
Re:不思議 (スコア:1)
骨髄移植ってことはもともとの患者の造血を止めたってことだから、そこに問題があったんじゃないの?
Re:不思議 (スコア:4, 参考になる)
ま、その辺は今後の研究待ちでしょう。
Re: (スコア:0)
HIV耐性を持つ人も居るとか前斜め読みした気が。
#
ゲイ観察して発見とか何とか書いてあって読むの止めました
Re: (スコア:0)
http://d.hatena.ne.jp/semi_colon/20101217/p1 [hatena.ne.jp]
に解説されてますけど、CCR5遺伝子に欠損がある突然変異の人はHIV感染に抵抗を持つことが知られてるようです。で、この突然変異の人の骨髄を移植したらHIVがいなくなったという事例はすでにあったのです。(CNNの記事にも書いてある)
今回の提供者はそういう変異を持っていない人なので本当にこのまま治ってしまったら喜ばしい大ニュースであります。
Re: (スコア:0)
特殊な骨髄だから治る、
という話にならなくてよかったですよね。