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テクノロジー

津波発生時にのみ出現する浮上式防波堤、断念 54

ストーリー by hylom
当初の見通しが甘かったのか 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、

和歌山県海南市で2012年に着工した、世界初という浮上式津波防波堤の建設が断念されたとのこと(読売新聞)。

東日本大震災後に南海トラフ巨大地震の想定震度が最大震度を6弱から7に引き上げられが、これに合わせて検討を行った結果、海底に敷設した鋼管が変形して浮上しない可能性が高まったという。これを解決するためには計画時の3倍のコストがかかるとのことで、建設の断念に至った模様。

代替策としては既存堤防のかさ上げなどが考えられているという。技術的にはもったいない感があるので、この成果を別の方法に使えるとよいのだけれど。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 本質の話 (スコア:3, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2015年02月24日 6時52分 (#2766491)

    以下、厳密な情報で無い事を明記しておく

    もともとこれをやろうとしたのは、第三港湾建設局局長の稲垣 紘史氏(当時 大林組 要するに天下り)等で、通常、港湾構造物は静的な物が多い中で、可動式の構造物という事で、役所自体がその構造に懐疑的だったようだ。

    当初は懐疑的であったこの構造だが、港湾空港技術研究所(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%AF%E6%B9%BE%E7%A9%BA%E6%B8%AF%E6%8A%80%E8%A1%93%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80)等を含め、近畿地方整備局で最終的に了承され着工に至っている。

    しかし施工自体もやはり上手くいかず、何度もトラブルが発生していた。(これは今回中止の原因となった、設計上の外力条件である地震の見直しとは関係ない)

    これがプロジェクトX等だと盛り上がるところであろうが、「そもそもこの構造大丈夫なのか?」という疑念が生じたのは言うまでもない。
    失敗には様々な原因はあろうと思われるが(施工上の問題、現場条件等)一番大きいのは前述の、そもそもの構造上の問題で、鋼管自体が必要な強度を有していないのではないか、というような部分。

    鋼管杭はそもそも打設時に曲がったり座屈したりすることがある。打設場所の地盤に岩盤が出てきた場合もそういった事が起こる。
    もちろん設計上、そういった施工精度を勘案したクリアランス等は考慮されているが、それでもトラブルは起きた。
    だが建設時に上手くいかないような構造が、果たして外力から強大な力を受ける地震時に上手く機能するだろうか?
    繰り返すが、これは今回中止の原因となった、設計上の外力条件である地震の見直しとは関係ない。

    実際、近畿地方整備局は数年前(2~3年前?)からこの事業の中止を含めた路線変更を既に決定していた。
    ただ上手い理屈をつけて、それを表に発表したのが、ついこの間、というだけの話である。

    この話の本質は、公務員の体質そのものにあると思うがいかがなものか。

    • by Anonymous Coward

      誰の首も飛ばない、巧い言訳をやっと見つけたと言う事か。
      役所ではよくある話。

      • by Anonymous Coward

        というか、民間でもよくある話

    • by Anonymous Coward

      新しい技術を開発、実証実験をしている中で、当初計画では見つかっていなかった問題が出たら
      それそのものを問題にするこの馬鹿のようなお役所体質こそなんとかするべきだろう。

      そしてそれが失敗したらほおれみろとあげつらって、実は問題だったんだ、推進する方にリケンがリケンがと騒ぐやつは日本にとってマイナスなので、
      そういう陰謀厨はピザまんのてっぺんに食紅で色をつける仕事でも与えて社会に放たれない仕組みを作るべき

  • by hig (25417) on 2015年02月24日 2時04分 (#2766457) 日記

    既存の堤防のかさ上げになるってことで、重工系の取り分も土建屋さんの総取りになり大勝利!ってことですね。
    おまけに総事業費も250億円から450億円にかさ上げ。土建屋さん丸儲け。

    でも、浮上式も14億円で3本、全体は78本で単純計算では364億円となり予定とは総事業費が合わないなぁ。地上設備空気配管系はまだないだろうし。
    構造物は量産でコストが下がる計算なのか?

  • by the.ACount (31144) on 2015年02月24日 13時08分 (#2766700)

    見たかったなー!

    --
    the.ACount
  • by Anonymous Coward on 2015年02月23日 17時04分 (#2766198)

    浮かないではなく、想定最大震度では変形して浮かない可能性がある。
    想定最大震度が上がっちゃったんだから(震度が0.5上がるってそうとう違う)それは仕方ない。

    しかし前にも議論になったと思うけど、
    最大災害に100%対応できないから、じゃあやーめた、でいいのだろうか。
    巨大な防波堤があると景観がとか言ってた地域には、非常時に飛び出す防波堤というのは検討の価値ある技術だと思うんだけど。

    公共事業なんか全て無駄と言われるとどうしようもないが。

    • by Anonymous Coward on 2015年02月23日 17時21分 (#2766208)

      読売新聞の「津波防ぐ浮上式防波堤、「浮かない」と建設断念」という見出しは悪意を感じますね。
      想定していた状況では浮上実験も成功していたのに、作ってみたら全く動かなかった的な印象を受けてしまいます。

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      • by Anonymous Coward

        読売新聞の見出しでは、凍土壁の失敗を連想してしまいますね。
        今回の話は、あんな馬鹿みたいな事例と一緒にしてはいけない。

        • by Anonymous Coward

          おまえら、凍土壁という起死回生の策がある位の勢いで諸手をあげてバンザーイしてたのにな。
          そういうおまえら大好きだけど。

          • by Anonymous Coward

            諸手を挙げない万歳もあるんですか?

    • by Anonymous Coward on 2015年02月23日 17時23分 (#2766210)

      100%は無理なんだから、際限なく金をつぎ込むのはどうかと。
      逆にちょっとぐらい死んじゃってもいいか、どうせすぐ増えるしぐらいの発想にしとかないと。

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      • by Anonymous Coward

        同意。

        避難を前提とした1分間の猶予を作り出す、といった目標でよさげ。

        • by Anonymous Coward

          浮かなかったら1秒も稼げないですけどね

          • そうだけど、次来る地震が必ず連動すると決まっているわけでもないから。
            作っておくのは悪くないと思うよ。

            だいたいこの国の地震想定なんて当たったためしがないだろ。

            # 東海地震なんていつ来るのさw

            --
            モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
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            • by Anonymous Coward on 2015年02月23日 23時36分 (#2766405)

              「作っておくのは悪くないと思うよ。」であっても、
              想定を超えたら作った意味がほぼなくなる可能性が高い物より、
              想定を超えても作った分だけの効果は出る可能性が高い物を作っておいた方が、遥かに良いでしょう。

              最悪の場合には全く意味が無くなる可能性が高いと判明した浮上式になおもこだわる意味がどれだけあるのか。
              そこを検討したうえで断念するという決断を下したのでは?

              親コメント
              • >想定を超えても作った分だけの効果は出る可能性が高い物を作っておいた方

                それは「代替策としては既存堤防のかさ上げ」のことだけど、当然のことながら浮上式防波堤が設置予定だった水路部には何も作れないから、高い防波堤で陸上をかためることしかできない。海南市の津波ハザードマップ [kainan.lg.jp]をみると、南海トラフ地震が起これば50分程度で高さ7-8メートルに達すると見込まれることから、それ以上の防波堤がないとダメ。

                だいたい最悪のシナリオというが、南海トラフ地震がくる保障はどこにもないのだよ。地震学者が周期説に基づいて「くるくる」と言っているだけ。東海地震が来るからと静岡県は防備を固められたが、実際は静岡県以外で大きな地震が続いてきた以上、もうこいつらの言うことを信じるのはどうかと。とはいえ南海トラフ地震が起きなくても、ここは過去に「昭和南海地震やチリ地震等」の津波浸水被害 [mlit.go.jp]をこうむっているのだから、何も震度7の最悪にこだわる必要はまったくないんだけど。無駄に金かけることしか考えられないのか?

                # ちなみに昭和南海地震のとき、和歌山市で震度5だったそうだ。

                --
                モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
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              • 地震などの災害がやってくるのを誰が保障してほしいの?確証ってことですか?
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              • by masakun (31656) on 2015年02月25日 23時49分 (#2767747) 日記

                生きているうちに連動するM9.0の南海トラフ地震が起こればいいね(爆)

                ま、襲われるのは工事中の海南港だけではないのだが、僕より賢い君なら分かるよね?

                --
                モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
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            • by Anonymous Coward

              宮城県沖も言われ続けて数十年だった。

      • by Anonymous Coward

        >逆にちょっとぐらい死んじゃってもいいか、どうせすぐ増えるしぐらいの発想にしとかないと。

        それが「おまえだけ」という条件付きで、同意。
        まさか、「ちょっと」が「おまえだけ」だとイヤとかは言わないよな?

        • by Anonymous Coward

          犠牲者がたった一人で済むとは素晴らしい。
          で、どんな方法?

      • by Anonymous Coward

        > どうせすぐ増える
        ノア一族の繁殖力は異常。

        日本人の場合、ほっといたら1,000年待たず滅びるんやなかったっけ?

        どちらにせよ、目に見えない場所の備えは、忘れ去られる予感。海中構造物は、メンテ大変そうだし。

    • by firewheel (31280) on 2015年02月23日 20時47分 (#2766315)

      >非常時に飛び出す防波堤というのは検討の価値ある技術だと思うんだけど。
      非常時専用の技術であるのに、その肝心の非常時に使えなさそうだから断念したのでは。

      普段使える技術なら、その理屈もあり得たのだけどねえ。

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      • by masakun (31656) on 2015年02月24日 1時33分 (#2766448) 日記

        連動して M9.0 というとてつもない地震がくれば動かなくなる可能性があるってだけで、津波や高潮は常に起こりうるのだから、十分使えると思いますけどね。

        だいたい昭和南海地震のとき、海南市に隣接する和歌山市で震度5だったわけだから、震度6想定の計画で十分対応可能でしょ。

        # 周期説だけで大地震とか大噴火を予言する能無し学者は死ねよ

        --
        モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
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        • by Anonymous Coward

          >津波や高潮は常に起こりうるのだから、十分使えると思いますけどね。
          「普通じゃない」津波が来たら堤防の役目を全く果たさないのですけど? それだと困るので従来の堤防を嵩上げして対処します、という話。

          • >「普通じゃない」津波が来たら堤防の役目を全く果たさない

            タレこみが糞なせいで、だれも浮上式防波堤のことを知らないようだな。

            直立浮上式防波堤 [obayashi.co.jp]は「5%スリットを有する標準タイプの場合、津波・高波に対して約70%の波高をカット」するもの。しかも港の入口に設置できるため、津波の勢いを港の奥に達するまでにそぐことができる優れもの。

            あと震度7だと港の海底に埋設した鋼管が曲がる恐れかもしれないから中止になっただけの話で、津波自体はどんな高さでも大丈夫。>浮上式防波堤

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            モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
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        • by Anonymous Coward

          万一の時を含めた備えなのに、万一のときにだけは全く効果を発揮しないゴミになるものを「十分使える」と繰り返し主張。
          近年の最大値を上回る可能性をとにかく否定。東日本大震災で認識不足だった連中と同じ思考回路。

          こういうアホが津波を見に行って逃げ遅れて津波にのまれるんだろうなw

    • by Anonymous Coward

      震度6弱から震度7だと、今は強弱も震度階級だから、震度が2上がるということですた。
      被害想定はむっちゃ違う。

    • by Anonymous Coward

      震度7に対応した別の対応をしなきゃならんから、こっちに金をつぎ込むわけにいかないんだと思うよ

      • by Anonymous Coward

        そういう取捨選択なら仕方ない。

        しかしさ、地元で震度7の地震+津波ってことは直下型でない。震源地のマグニチュードは一体幾つになるのか。
        そんな地震に備える防波堤を、「津波災害の起こりうる全海岸に」作ることなど可能なのか。
        ある程度の災害までは備え、それ以上は軽減するに留めないと、限りがなくなる。

        • by renja (12958) on 2015年02月23日 21時40分 (#2766339) 日記

          浮上できなかった場合、軽減策・遅延策にすらなれないからボツなのでは?

          震災直後から今に至るまであちこちで「役に立たなかった」などと批難されている田老の大防潮堤ですが、
          そういった批難のうえでは、軽減策・遅延策としての効果は完全に無視の印象論ばかりです。
          wikipediaの記述 [wikipedia.org]においてさえ同様。防潮堤建設における問題と市街形成における問題なども区別なしです。

          岩手日報の記事 [iwate-np.co.jp]においては、成功点と失敗点の両方を分析されていますね。

          --

          ψアレゲな事を真面目にやることこそアレゲだと思う。
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          • 「想定規模を超えたときにどうなるか」というところで、
            浮上式の防波堤では浮上できない=効果が出ない可能性が高いことがわかった。
            想定規模を上げると工事の規模が大きくなり、予算と時間が問題になってしまう。

            従来型の防波堤であれば、(設計や運用に問題がなければ)
            その想定規模までは防げるし、想定規模以上でも軽減策・遅延策としての効果が出る。

            そうなると、従来型の防波堤のほうが優れているというだけでなく、
            浮上型は「巨大地震への備え」という原点から外れていってしまうと思います。

            --

            ψアレゲな事を真面目にやることこそアレゲだと思う。
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    • by Anonymous Coward

      > 地盤を補強すれば事業継続は可能だが、総事業費が770億円に膨らみ、完成時期も10年以上ずれ込む見通しになり、断念を決めた。

      とのことだし、安易に投げ出したというようには思えない。

      >「住民らの期待を裏切る結果になり申し訳なく思う。より確実に人命を守るため、苦渋の決断として中止を決めた」と話した

      だから、「苦渋の決断」だったんだと思うよ。
      「じゃーやめた、でいいのか」とか安易で無責任に放棄したんだろとみなすのは、
      事業が継続できないか必死に検討して苦渋の決断を下した人たちに、あまりに申し訳ないと思う

    • by Anonymous Coward

      1kmの浮上式防波堤作っても、実際の大地震でそのうち900mが正常に稼働しても、100mが動かなかったら全ては無意味、ってあたりからして、
      防災対策としてスジが悪いと思うんだよなぁ。

      90%しか稼働しなかったとしても、90%の被害は防げるような対策の方がいいと思うんだけど。

  • by Anonymous Coward on 2015年02月23日 18時53分 (#2766255)

    船用と違って堤防に紐でくくりつけときゃ何割かはその場に留まって即救助出来るし
    流されたら流されたで利用する体力気力のある漂流者の役に立つし
    定期検査と定期入れ替えで業者も潤う量産効果も上がる。

    • by Anonymous Coward

      いや、津波の時は流された大量の木材とかに挟まれたり渦に巻き込まれたりするからライフラフトとか救命胴衣は無力よ。
      中に人が入れて、完全密閉できる鋼鉄製の浮体とかなら役立つと思う。

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アレゲはアレゲ以上のなにものでもなさげ -- アレゲ研究家

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