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日記

akiraaniの日記: なぜナーロッパでは権力者があほなのか 39

日記 by akiraani

 まず、ナーロッパとはなんぞや、というところについて。

 雑にまとめると、なろう系異世界ファンタジーによく見られる、ご都合主義が透けて見える作りこみの甘い中世ヨーロッパ風のファンタジーワールドのこと。
 細かな特徴とかはまあまとめてる用語集的なやつがいくつかあるので割愛。

 そんなフィクション中世ファンタジー世界にありがちなものの一つに、横暴な権力者というのがある。
 ものすごく高い税率を課して民衆から搾取する、権力振りかざして庶民に暮らしを平気で破壊する、とかそんなやつだ。
 とりあえず、このエントリ内ではそういう連中のことをファンタジー版ブラック上司ということでブラック貴族と呼称することにする。

 ブラック貴族というのはフィクションだけの存在ではなく、史実にもそういうやつはいる。それも世界中にいて、そこかしこで国を潰したりしている。

 ここで注目したいのは、なぜ自浄作用が働かないのか、ということである。
 現代人の常識で考えると、領地経営でブラック貴族をやったら国が衰退するわけで、そんな無能を権力者に据えておく理由なんてない。収益を最大化するために、無能を排除する淘汰圧みたいなものが発生していないとおかしい。

 でまあ、いろいろと考えてみた結果、収益を最大化する必要性がないのではないか、という結論に行きついた。
 国家の安全保障を血縁関係だとかで保護して、大衆の教育レベルが低く対抗する組織力が発生しえない状況を作り上げてしまえば、国力なんて無理に上げる必要はない。
 そうなってしまえば、最優先事項は権力基盤の維持になる。つまり、経済基盤は二の次になってしまう。権力基盤を維持するためには対抗できうる組織を育てないこと、芽のうちに摘むことが何より重要になる。それが行きつく先が権力をかさに着た圧政である、というのが現在の結論である。

 そのような状況を脱するためにはどうすればいいのか、というのはまあ史実に倣えば流血革命となる。その一番やばい形の一つがフランス革命であろう。
 一方で、一部の歴史シミュレーションゲームではチートイベント扱いされている明治維新なんてパターンもありうるといえばありうる。

 最初に必要になるのはやはり経済基盤であろう。マヨネーズなどの知識チート製品を売って財を築いて、経済で支配権を確立して構造改革で勢力を伸ばす、なんてのが歴史IFとかでは定番である。
 次に必要になるのは、軍事力……と言いたいところだが、実際には教育なのではないかという気がする。まあ、教育は長い目で見れば軍事力にもつながるのだが、とにもかくにも経済基盤を下支えするのはやはり民衆なわけで、その民衆の知識レベルの底上げは避けては通れない。普通にやると時間も金もかかりすぎるので、ここをどうやってチートするのかが、ナイセイ物での勘所の一つになるのではないだろうか。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by ma_kon2 (9679) on 2019年11月19日 12時30分 (#3718559) 日記
    出来の悪いナーロッパ自体が、
    比較的争いが少なかった江戸時代のファンタジー版、
    時代劇江戸時代がベースになってるからかなあ。
    せめてヘタリアを通読してから構築するれば多少マシなものができるかと。
    岩波新書の「独ソ戦」もオススメ。
    • by Anonymous Coward

      そんなこと言うと日本のサブカルテンプレート的な「騎士」自体ありえん存在になっちゃうし…。

    • by Anonymous Coward

      > せめてヘタリアを通読してから構築するれば多少マシなものができるかと。
      物書きになりたいくせに他の本を読まないのが「なろう作者」。

      なろうの90%くらいにみられる「作者の人生経験の少なさから来る作品の浅さ」を
      他の本を読んで学習しようって思わないから「なろう」なんだろうな。と思っている。

    • by Anonymous Coward
      最近は底の浅い内容でもいいかなと思ってきた
      娯楽であって論文じゃない
      モシンナガンでメッサーシュミットバンバン撃ち落とすトンデモでもいいじゃない
    • by Anonymous Coward

      反幕府勢力が外国に借金して装備整えるまでは、比較的じゃなくて歴史的に見ても例外と言っていい程江戸時代は平和だったと思いますが。
      ちなみに黒船が来る前に数回開国要求の船が来てますがすべて追い払っていますし、黒船含めてそれらの船が来るという情報も江戸幕府は掴んでました。
      なぜ黒船だけが、というのはアヘン戦争のせいで、あんな無茶苦茶を通す連中に突っぱねてたら国がなくなるという判断です。
      おかげで清と違って国の宝は守られました。
      浮世絵は大衆娯楽だったので誰も守る気がなかった為流出しましたが、いくら今価値があると言っても当時の一般的な大衆娯楽ですからねえ。

      • by ma_kon2 (9679) on 2019年11月20日 8時30分 (#3719017) 日記
        末端の農民ガー除けでございますことよ。
        この時代の飢饉や災害の被害を覗けば,文化も発達した変な時代なんですよねえ。
        大衆小説や漫画はその江戸時代の娯楽の延長線なんですよねえ…
        親コメント
  • 主人公を悪役にしない限りは「異世界でスローライフ」系になるだけじゃないかな

    • by Anonymous Coward

      いや、国籍不明の不法入国者である主人公は国外追放されて、身一つで
      野山をかけぬけ、盗賊に身ぐるみ剥がされて短い一緒を終えるのでは。

      「異世界から来た?何もないけど無料で助けてくれ?バカ言っちゃいけねえ。」

      ナーロッパに限らず、なろうだと異世界人や社会をスゲー馬鹿に書くことで主人公を
      持ちあげる奴が多い印象。そういうのが悪目立ちしてるだけかも知れないけど、
      それにしてもなんだかなあ。

    • by Anonymous Coward

      そこは作劇上の都合でなぜ自浄作用が働かないかの答えではないでしょう。
      なぜ自浄作用が働かないかっていというより汚濁の生存能力が強力すぎるだけでしょ。権力者の権利が血統により保証されてるからとか下には横暴だが上には従順(長続きする悪政)だからとか権力者の上にいる連中もアホとかが理由。
      そもそもナーロっぱでは権力者のみならず住民はみんなアホ。色々やっても権力者を追放できなかった。でもよそ者がやってくると割とあっさり解決する。つまりよそ者以外(支配する方もされる方も)アホって構図。

      • アホアホ言うてるけどそれこそ作劇上の都合やん

        親コメント
        • by Anonymous Coward

          作劇上都合がいいように見えるだけでナーロッパはそこまでありえない舞台設定ではない。てこと。
          むしろ現実的。
          選択肢は日記にあるように革命か日記にはないが外圧をかけるって手。
          まあなんちゃって中世の世界では外圧をはねのけるために戦争を仕掛ける。
          戦費は愚民から徴収。戦力も愚民。なんてのもありがちなので娯楽小説としては外圧は除外されますね。
          中から変えるのは組織構築とか何やらで時間がかかるからだめ。
          手としてはすでにある程度出来上がってる組織の中でのし上がってく話ですかね。
          すでに出来上がってる組織の一員として頑張る話もありますが。
          異世界から流れ着いた女子高生がなんやかんや王様になる。しかし家来はよそ者で小娘な自分の言うことを聞かない。取り敢えず市井に紛れて勉強してたら、逗留先の家族を家来の家来の家来くらいに殺されたんで反乱軍に入る。反乱は成功しいうことを聞かない家来を一掃みたいな話がありましたね。

          • 「ありえない舞台設定ではない」のであれば登場人物がことさらアホほなわけではないでしょ
            未開ではあるかもしれないが
            とりあえずアホと言う言葉の使い方が合わないことはわかりました

            親コメント
            • by Anonymous Coward

              結局相対的無能ということでしょうね。
              無抵抗な住民の弾圧はできる。農具振り回す住民の制圧もできる。
              農具振り回す住民がまともな指導者の下についたらどうにもできない。

  • 敵役になれないのもあるかな...

    # 優秀な権力者キャラもそれなりにいなくはないけど、そういう人は味方にしないとヒドいストーリーになるのもあるよね

    --
    M-FalconSky (暑いか寒い)
  • by Anonymous Coward on 2019年11月19日 12時15分 (#3718549)

    日本の江戸時代だってブラック大名が圧制を敷いた例はいくらでもある。
    対抗策は一揆と逃散。
    前者は騒ぎを起こすことでブラック大名がさらに上位の支配者から処罰されることを期待した(半)自爆テロ。
    後者はブラック大名の支配圏内から逃げても、上位支配体制からは脱出できないのがつらい。
    いずれにせよ、ブラック貴族・ブラック大名のさらに上位を揺るがさないといけないのだが、それを難しくするため階層型支配体制を作っている。

    • by Anonymous Coward

      日本には主君押込システムがあるよ
      部下がまともな脳してたら、幕府に申し出て強制隠居可能

      • by Anonymous Coward

        主君押込システムは部下にとってのクソ君主への手段であって、農民のためのブラック大名対抗手段ではないよ。
        そもそも農民支配の根本理念には「生かさず殺さず」があるんで、基本ブラック企業思考。
        農民の反乱も、君主が原因より部下の方やさらにその下の実効支配者(同じ農民層だったりする)の失策(追い詰め方を誤った)が原因の方が大多数。
        君主も参勤交代で土地を離れることが多く、一地域の農民社会に一々気を配っている余裕はない。

  • by Anonymous Coward on 2019年11月19日 12時50分 (#3718569)

    >ものすごく高い税率を課して民衆から搾取する、権力振りかざして庶民に暮らしを平気で破壊する、とかそんなやつだ。

    え、それって現代のあの国やこの国のことディスってる?

  • by Anonymous Coward on 2019年11月19日 13時13分 (#3718579)

    >歴史シミュレーションゲームではチートイベント扱いされている明治維新

    内戦来るかッ……! と思ったらいきなり「あ、主権エエよ」だもんな。
    内戦やると国内疲弊→外圧で清パターンを双方が理解していたのはデカイ。

    • by Anonymous Coward

      山田風太郎が「明治波濤歌」かなんかで遣欧使節団を描いていて、王党派・革命派と言われて面くらうってシーンがあった。
      第二次大戦のときもそうだけど、戦後処理がゴタついていないから復興が早い。
      明治維新の場合は西南の役まではゴタついてたというべきかもしれんけど。

    • by Anonymous Coward

      Victoriaという19CからWW1を扱ったSLGがあって、それで海外から言われていますね。
      (真面目にやれば)100年分の技術を一瞬で獲得し、非文明国から文明国に変わり(植民地にされる方からする方へ)、
      一橋派とかのイベント進め方次第では通常では実現できない(ゲーム的に非常に有利な)政治体制の組み合わせが可能。

      まあ、AI任せだと明治維新を経てWW1後に列強下位(6~8位くらい)に食い込むぐらいになるので、それでバランスはとれているんですが。

  • by Anonymous Coward on 2019年11月19日 13時31分 (#3718590)

    主人公のキャラを立たせるために、
    バカにバカな言動させて、それを主人公が否定するって流れあるでしょ。
    権力者はキャラクターではなくて、
    単に否定されるというロール(役割)が与えられたキャラなだけ。

    銀河英雄伝説に出てくる貴族なんかも典型的で、
    ステレオタイプなバカがバカなことをして、主人公格がやっつける。
    それはもう、キチンと丁寧にねんごろにやっつけられる。
    高校生ぐらいのころに読んでて、こんなクルクルパーな貴族が、
    足の引っ張り合いの激しい権力闘争を、よくも勝ち抜けるものだと思った。

    主人公格にはいろんな角度から光を当てるけど、脇役には役割しか与えない。
    要するに『なろう』の物語の構造が数十年前の少女漫画なだけ。

    その昔、なろうに銀英伝の二次が大量にあったけど、
    キャラにキャラクターを与えてそれを掘り下げたばっかりに
    原作から乖離してたのもあった。
    登場人物がキャラだったから成立していた話だから仕方がない。
    大人の読解力で、そのレベルのものを読めば、アラが目立つのは当然。

    • その通りなんだけど,たぶんいわゆる「なろう」はそれ以前の話っすからね。
      しかも,このロール問題,ラノベじゃなく八割方の小説が当てはまるというか。
      漫画の方がマシなのは,時間軸の問題かねえ??
      親コメント
      • by Anonymous Coward

        漫画は、ビジュアルが与えられている上、
        特に男性向け漫画の多くは、状況描写を楽しむことに主眼がおかれ、
        主人公格ですらキャラクターの掘り下げは重視されていない。
        というより、主人公格ですらロールを与えられただけのキャラだから、
        かえってアラが目立たない。

    • by Anonymous Coward

      オリジナリティをもってキャラを立てるのは難しいけど、ロールなら楽だからな。
      ツンデレとか幼馴染とか悪役お嬢様とか峰不二子タイプとかドロンジョタイプとか、読者が勝手に脳内再生してくれるならそりゃ楽だ。

      そういえば、異世界物を一から設定を作ろうとしたら編集さんに止められるって話を聞いた。
      エルフ・ドワーフ・ゴブリン・ドラゴン・スライムという既存イメージによりかかることを求められるんだとか。
      柴門ふみがあまりひねったキャラは出さないって言って論議を呼んだこともあったような。

      • by Anonymous Coward

        ロールとキャラクターの話で言うと物語を描きたいか人物を描きたいかで変わるのではないかと。
        物語を描きたい場合各人物の言動は一貫性がある方がいい。しかし現実の世界では物語のように一貫性のある人は稀なので嘘くさく見える。
        人物を描く私小説だとか日常物とかではそのへんから開放されると言うかどういう人物なのかが優先されるので定型的な役割にはまらない。
        尤もここ数十年の日常ものというかアニメや漫画は日常物もキャラごとに役割を分ける傾向が強いようですが。
        結局はどれだけ利益を追求するかと作家の能力がどれだけあるかという話ではないかと。作家の表現力が不十分だと王道や主流、テンプレートから外れたものを描ききれないので。単に楽な方を選ぶということかもしれませんが。
        トールキンですらドラゴンやドワーフは既存のイメージの延長したものを使いましたし。

  • by Anonymous Coward on 2019年11月20日 15時40分 (#3719308)

    > そんなフィクション中世ファンタジー世界にありがちなものの一つに、横暴な権力者というのがある。
    > ここで注目したいのは、なぜ自浄作用が働かないのか、ということである。

    水戸のご老公が立ち寄る先には必ず横暴な権力者がいるんだが、なぜ自浄作用が働かないんだろう。
    「諸国を漫遊するご老公」までシステムに組み込まれているとするなら、これも自浄と言える?
    だったら、「異世界から流れ着いたチート能力持ち」の存在もシステムの用意した自浄装置だ。

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身近な人の偉大さは半減する -- あるアレゲ人

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