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プロバイダ責任法案の全容と問題点 27

ストーリー by wakatono
義務もあわせて定めることが肝要かと 部門より

k3c 曰く,"先日のNIFTY訴訟判決に続いて、インターネット上での権利侵害におけるプロバイダの義務を定めた「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律案」(通称「プロバイダ責任法案」)が今日、閣議決定される見通し。"

"その内容を簡単にまとめると、

  1. 権利を侵害された被害者プロバイダに対して当該情報の削除と情報を掲載した加害者の身元開示を求めることができ、
  2. 請求を受けたプロバイダは加害者に対して情報の削除と身元開示の同意を求める義務があり、
  3. 加害者の同意があればプロバイダは情報削除及び被害者に対して身元開示する
  4. 加害者がこれを拒否した場合は裁判所の裁定に委ねる
というもの。この手続きに従う限り、プロバイダは罰せられない。詳しい説明がIT Proに掲載されているが、ここでは問題点として、
  • 匿名掲示板など発信者の身元を特定できない場合はどうするのか?
  • 発信者がインターネットへの接続に利用しているプロバイダと、権利を侵害するような情報を記録・発信したWebサーバのプロバイダが異なる場合はどちらに身元開示の義務があるのか?
などが挙げられている。先に示した法律案は10月29日に掲載されたものらしいが、ここでは「特定電気通信役務提供者」と「発信者」の定義において、Webサーバのプロバイダに義務があるように読める。しかし明らかに、Webサーバのプロバイダが発信者の身元情報を持っていることは稀であろう。おそらく接続に利用されたプロバイダに問い合わせが行くことになるが、こちらには身元開示の義務が定められていないので、「通信の秘密」「基本的人権」を盾に身元開示を拒否される場合がほとんどであろう。
…てなわけで、権利と義務は明らかになったものの、結局は役に立たない法律になりそうな気がするんですが、そのへん/.Jの皆さんはどう思われますか?"

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  • by Hebikuzure (489) on 2001年10月31日 11時10分 (#34401) ホームページ 日記
    匿名掲示板など発信者の身元を特定できない場合はどうするのか?
    の部分でしょう。匿名を許容する(実際に個人属性を開設・運営者が収集していない)サービスの場合、「匿名サービスなので発信者の身元は特定できません」と回答するだけで免責が得られるのか、問題です。
    もし匿名サービスでは免責にならない(書きこまれた情報の内容にサービスの開設・運営者が責任を有する)場合、ネット上での匿名サービスを維持する事が困難になる可能性もありますから、立法にあたってはそうしたケースについて明瞭な考えが示される必要があるでしょう。

    例えば問題の書き込みと同じサービスで、書き込みについてクレームがあった事、削除に意義がある場合は申し出る事、管理者に連絡すれば「被害者」に身元を開示する事、などをアナウンスすれば免責の要件を満たす、とかね。
    • by Anonymous Coward on 2001年10月31日 11時53分 (#34426)
      掲示板(オーナー≠発信者)と言った形態は
      深く考慮されていないように読めます。
      発信者=ISPとの契約者。という図式しか
      読みとれないのですが…

      この解釈に従ってフローを追いかけると

      匿名掲示板に個人情報が書き込まれる

      何らかの被害が発生する

      ISPに対して、ページ削除と個人情報開示請求が行く

      掲示板を設置しているオーナーに通知が届く

      オーナー=加害者!?

      掲示板を置かない、匿名の書き込みを許可しない等の
      対策を選択する管理人が増えるかも知れませんね。
      親コメント
      • 掲示板のオーナーが、即「加害者」はおかしくないですか?たとえば・・・

        掲示板のオーナーは、自主判断に基づき、掲示板へのアクセスログをISPに提出する。

        ISPはそのアクセスログから、問題となった発言を書き込んだユーザーを特定す
        • ISPとか掲示板サービスとかでは、掲示板のオーナー側では詳細なアクセスログが取れない(サーバー側で取っていてもオーナーに公開していない)ところも少なくありません。
          そのような場合、オーナーとしてはクレームを受けてもどうしようも無いですよね。
          そもそもクレームの窓口が掲示板のオーナーなのか、サービスを営業しているISP側なのかも伝えられる概要では明瞭でありませんしね。
          実際の立法にあたっては相当に整理と精査が必要な感じです。
          親コメント
    • by oyaoya (3441) on 2001年11月01日 14時33分 (#34724)
      免責(3条)と情報開示(4条)はリンクしていないので、個別に考えないといけない。

      まず免責については、発信者情報の開示をしてもダメ。3条1項で、

      • 権利侵害の存在を知っており(知ることができたと認める十分な理由があり)
      • その情報の送信を防止することが技術的に可能であり、
      • にも関わらず権利侵害が発生した場合
      に賠償責任が発生することになっているから、逆に言えば権利侵害の存在を知ってから直ちに送信を止める(具体的にはウェブページを削除するとか)ことで免責を得られる。その際、発信者と連絡が取れる必要なんかない。というのは3条2項1号で権利侵害の発生を信じる相当な理由があった場合には削除によって発信者に生じた損害に対する免責が定められているから。

      次に情報開示。そもそも匿名サービスの場合には得られる限りの発信者情報(IPアドレスとか)を開示すれば請求に応じたことになると思うけど、拒否した場合には4条4項から「故意又は重大な過失がある場合でなければ」開示請求者からの損害賠償に対する免責が与えられている。

      そこで問題は、匿名掲示板サービスのあり方が「故意又は重大な過失」にあたるかどうか。個々の書き込みをした者(発信者)の情報を集めるかどうかは考えようだと思うけど、掲示板を設置した者の情報も持っていないというのはISPとして無責任という考え方もある。というのは、その情報が得られれば次に設置者に開示請求ができるから(匿名掲示板の設置者も役務提供者に該当する可能性あり)。

      ドミノのように次々と開示請求をすることで発信者までたどり着くことができる、仮にその連鎖を途切れさせるようなサービスを提供するものがいる場合、それは「発信者の代わりに情報発信の責任を取る」という意思表示とみなす。確かドイツのネットワーク法も同様の発想で立法されている。各ISPに過度の責任を負わせず、一方で個人に生じた損害に救済を与えるためには、この程度の規制が妥当だろう。

      ISPや掲示板設置者としては、損害賠償に応じるのがいやなら (a)発信者を特定してそちらに責任を投げる (b)ただちに侵害情報の送信を停止する という2つのオプションがつねにあることをお忘れなく。

      --
      Takehiro OHYA
      親コメント
  • by sakichan (369) on 2001年11月01日 4時37分 (#34641) ホームページ

    この法案は、かなり狡猾なコンテンツ規制法になります。すでにコメントを書いている人達は、その点には 気がついてないのだろうか?

    この法案の作成経過について、 タレ込みからリンクのある毎日新聞サイトでは 以前から追っていたわけですが、それによれば、 原案はコンテンツ削除や発信者情報開示について、 ISPに対して「義務づける」方向づけだったのが、 結局のところ憲法上の制約を クリアできないということで ISPが「コンテンツ削除をしやすい」、あるいは ISPが「情報開示できる」環境をつくるにとどまった、 という感じです。

    まず、第3条の「損害賠償責任の免除」から。 これは、実際にはコンテンツ削除にかかわる問題です。 一般には、損害賠償が発生する可能性は、

    1. コンテンツを削除しなかった場合に 権利を侵害されたとする人に対して
    2. コンテンツを削除した場合に、 削除された情報の発信者に対して

    とあるわけです。後者は「そんなのあるのか?」 って思う人もいるかもしれないけど、 有料サービスを買っているなら、 契約条項にどう書かれていようと、 「不当な判断だ」と、削除に伴って 料金を払ったにもかかわらず サービスを受けられなかった分についての 賠償を求めることは可能ですね。

    ここで例えば、「権利侵害だ」という申し立てが プロバイダになされたとしましょう。 プロバイダは、少なくとも 「侵害の可能性はあるな」ということは 知ることになるわけです。 従来では、「じゃぁ実際にどうなんだ」と いうことを、ちゃんと調べて考えないといけなかった。 で、自明なケースはともかく、 判断が難しいボーダーラインのものというのは あるわけです。 しかし、この法案が通れば、 ボーダーラインのケースは 「他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由」がある、 ということになります。 つまり、「本当に権利侵害なのか」厳密に考えずに 削除できるということになるわけです。 で、「ボーダーライン」と書いた中身を考えてみれば、 それは、例えば「不正告発サイト」なんかは 該当しちゃったりするわけです。 あるいは、「闘ってる」系の労組サイトとか、 スキャンダルに強いジャーナリズム系サイトとかもね。

    次に、発信者情報開示。 これは、 発信者にとっては重大な処分であるにもかかわらず、 発信者の意見を聞く義務については曖昧な例外が 存在するし、意見を聞いたところで 完全にプロバイダの判断だけで開示できてしまう。 「開示」すべきでない状況に開示してしまう、 ということに対してのセーフガードがない一方、 おそらくば弁護士を使ってきっちり書類を整えてきた 請求をつっぱねたら「故意又は重大な過失」を とられかねない、ということがプロバイダ業者の 頭をかすめる可能性が、それなりにあるでしょう。

    こんな法案がそのまま通るようでは、 国会って何やってんだという感じなのだけど、 残念ながらそんな雲行きなんだよね。くぅ。

    • これはコンテンツ削除と身元開示を発信者に求める法案であって、
      プロバイダが勝手にコンテンツ削除していいとは書いてないように見えます。

      プロバイダ側は、
      「権利を侵害された被害者がプロバイダに対して
      当該情報の削除と情報を掲載した加害者の身元開示を求めた時に
      加害者に対して情報の削除と身元開示の同意を求める義務がある」
      というだけで、これを守っていれば、プロバイダは責任を問われない。

      つまり、コンテンツの内容については、加害者(発信者)と被害者で解決してくれ。
      って事なのでは?
      親コメント

      • 基本的にプロバイダとかは「通信業者だから中身にかかわることは一切タッチしない」ということだったわけですが、この法律は、この垣根を越える最初の法律なんですね。まずそこを押さえておく必要がある。

        当然ですが、この次、そのまた次があって、そのときはもっともっと「プロバイダになにかしてもらう」「プロバイダの動きを管理規制する」という方向に動く。
        本来、プロバイダは電話局みたいなものだから、内容に関わることには一切タッチできないはず。でも、NTTとかのときはもともと国営企業だから、国がなにかしようとすると、そこだけ押さえれば通信は押さえられた。でも、ISPはそうはいかない。純粋な民間だし、外資もあるし、バラバラだからね。でも、通信は国の基幹、ということになると、これもなんとか国の管理下に収めたい。

        この法律は、これから始まる「国や警察によるISPの統制」の第一歩なんだね。この法律だけ見ていると、間違うよ。

        親コメント
    • by oyaoya (3441) on 2001年11月01日 14時49分 (#34727)
      「従来では、「じゃぁ実際にどうなんだ」と いうことを、ちゃんと調べて考えないといけなかった。 」で、そのあいだ個人のプライバシー情報が流れっぱなしとかいう事態も生じたわけ。

      発信者情報開示についても、悪意ある情報発信者が開示に同意するわけがない。これを放置すれば権利侵害に対する救済がまったく得られない状況を作ることになる。

      とにかく、告発系みたいな「ある程度の人は正当性があると考えるが、否定する人もいる」情報と、プライバシー公開のように「正当性のまったくない」情報を区別して論じる必要がある。その上で我々に必要なのは、(1) 後者の流通を止めるなどの救済を確実に得られるようにし、かつ(2) 前者の流通を必要以上に阻害しない こと。ここまではOK?

      そこで「規制なし」というのはおそらく最悪の選択で、というのは後者の流通をまったく止められないから。確かに規制をすれば国家や大企業が有利になる局面もあるだろう。でも規制なしで一番ひどい目にあうのは自分の権利を侵害する情報を垂れ流されても十分に戦えない(それだけの資源がない)普通の個人なんだよ。それはわかってる?

      そこで次の問題はこの規制で前者、つまり「ある程度正当」な情報の流通が阻害されるか。これは必ずしもそうではない、つまりある程度不便になるが致命的ではないと思う。理由は、「他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由」の判断なんか人ごとに違うから。あるプロバイダで削除されても別のプロバイダでは「正当性のある情報」と判断するかもしれない。プロバイダなんて星の数ほどあるんだから、ある程度の人が「正当だ」と感じるような不正告発や労組運動、ジャーナリズムならどこかで情報発信の権利は保障されるはず。

      それが不安なら、「我々はそのような活動は正当だと考える」と宣言したプロバイダでも作ればいい(というかそういう市民運動系のプロバイダもうあるでしょ?)。その方針が正しいと思う人が多ければ経営的にも成り立つでしょう。それが市場経済。

      --
      Takehiro OHYA
      親コメント
      • 「被害者側」のための立法が全く要らない、 と言ってるわけじゃないのですけど? バランスの問題としてあまりにも 言論の自由と通信の秘密への配慮がない、ということ。

        あなたも、ボーダラインのものが影響を受けることは 認めていますよね。 「萎縮効果」(chilling effect)が 生じるわけです。 で、これが、立法意図と関連がなくて、かつ 軽微なものだったら、それは「仕方無いか」ってことに なるかもしれない。でも、そういう話ではない。 chilling effectこそを狙った立法だし、 影響は軽微ではない (「致命的じゃなきゃいい」てのはおかしいぞ)。

        また、 あなたが致命的でないとする理由は根拠がない。 なぜなら、この法案が成立すれば、 「被害者」はプロバイダが免責条件を満たさない処理をした場合、 従来よりも責任を問いやすくなる可能性があるからです。 最近は、名誉毀損に関する訴訟で、 昔に比べて金額が高額化していますし、 またかなり緩い条件で原告が勝つということが 続いています。 こういう流れにプロバイダが巻き込まれたら、 資本力があるところなら違うかもしれませんが、 そうでなければ、経営に影響が出るレベルの 賠償を求められてしまう可能性があります。 とくに、あなたが言及しているような 「市民運動系のプロバイダ」はそうです。 ついでにいえば、 「市民運動」的活動をつぶしてやろうと、 狙い打ちに訴訟を仕掛けてくる人達も 確実に出るでしょうね。 単に顧客を得られるかどうかではないわけです。

        まあ、あなたはそういうのも 「市場経済」というのかもしれませんが、 ここでは政府が「責任」についての ルール作りをして、 その結果でお金が動いてしまうわけで、 悪影響については「市場経済」ってのは ちょっと待ったという感じだ。

        親コメント
        • by oyaoya (3441) on 2001年11月02日 12時49分 (#34989)
          まず立法意図はchilling effectにありと決め付けているようだけど、その根拠は何? とにかく現状、ネットワーク上の権利侵害等の救済システムを作らなくてはならないというのはほぼ一般的な理解だと思うし(あなたも否定していないようだし)、この時期・この内容の立法が試みられるのは当然だと思うけど。

          法案の内容を判断して? 別のところで書いたけど、すでに成立・施行されているドイツのプロバイダ責任法案もほぼ同内容。それによってドイツで闘う労組や市民運動がなくなったという話も聞かないし、彼らが法案の廃止運動を繰り広げたという話もない。何を根拠に日本のこの法案は邪悪な意図によるもので、ドイツはそうでないという線を引くの?

          さらに。極論だが、影響は致命的でなければいい。致命的でない損害には事後の賠償等で補いがつくというのが法システムを支えている根幹の前提だし(もちろん本当にはそんなことはない、失われた時間は決して帰ってこないが、それは誰が何をしても回復できない)、民主主義のプロセスそれ自体を死滅させるような規制でなければ、国民が「これはまずい」と思えば廃止することができる。仮に今回の法案で市民運動に対する損害賠償請求が多発したとして、国民の多数が「これはまずい」と判断すれば、法律改正されるだろう。この事後的統制のプロセスを信用しないのは、国民を信用しないのと同じこと。

          実際には、例えば商法の株主代表訴訟規定のように、施行後に企業側から「これは何とかしてほしい」という要求が出てきても(それ自体ある程度は正当な要求だと思うけど)「市民運動」の人たちの力で跳ね返しているとか、このプロセスは有効に機能している。そこにおいてなお、多数の国民の支持を得られなかったら? そんな「市民運動」は滅びるのが当然でしょ。それこそ「市場経済」。何が悪いの?

          免責条件に関する評価もおかしいと思う。免責が得られないのは、損害の発生を知り・技術的に損害発生を防止することができながら放置した場合。そんなの事後従犯なんだから責任を問われるのが当然で、実際この法律がなくても民法の一般法理で追求されえる(ニフティ事件を参照。二審だってプロバイダ責任が発生しえることは否定していない)。するとこの法律の価値は、むしろ免責を得られる条件を明示したこと。こちらの方が判例では揺れているし、十分に特定されていなかったから。

          メリット評価をせずに、一部の回復可能な被害の存在を言い立てる。オルタナティブを提示することもなく、規制しなければ救済されない損害は放置する。これじゃ戦後50年政権を取れなかった野党の行動様式とまったく同じ。国民はちゃんと見ている。支持を得たいなら、「市民運動」に影響を与えない一方で救済を保障できる代替案でもきっちり提示して見せなって感じだ。

          --
          Takehiro OHYA
          親コメント
          • 大枠、建前の部分がよければ細かい問題は目をつぶれるのか、というと違うわけです。 むしろ、大枠では反対できないような立法のなかに 問題のある仕掛けをいれた法案を出してきているのが 最近の政府のトレンドと言えます。

            例えば、「個人情報保護法」といえば、 そういうもの自体が必要だということは 誰も否定しないわけです。 しかし、政府提出のものは「言論の自由」との バランスをとるという点についてあえてやらず、 また政府による民間活動へのsurvailance能力を 高める方向での立法なわけで、問題があるわけです。 今の政府は、個人情報法案以外にも 多くのメディア規制法案を準備していおり、 個別の法案ではたいしたことないようにみえても、 総合的にみれば政府法案が全て通ったあとには 「言論の自由」というものが 実質的には機能しなくなる状態が出現する可能性は 高いと思いでしょう。

            それから、あなたはドイツで問題ないじゃん、 と言ってるわけだけど、 私は「ドイツのは問題ない」とは言ってない。 ドイツと日本の社会が同一でない以上 でてくる影響は限定されたり異なったりするわけだし、 また、ドイツが問題ないかといえばそんなことはない。むしろ今後が問題で、 法執行システムだけではなくて、 その外の民間部分を含めた 広範なコンテンツ規制のフレームワーク (1999年に、ベルテルスマン財団によって ドイツで開かれた会合で提示されている) というものがあって、 EUと日本政府はそういうものを推進するスタンス。 日本でいえば、インターネット協会(IAJapan)が 民間部門をやっている。 notice & take down を推進するこの法案は、 そういう規制フレームワークを 機能させるために「積極的に」活用される可能性が 高いことも考慮すべき。

            免責規定については、 条件明示によって逆にそれから外れたら免責されない、 という影響が出ることのほうを問題にしているんです。 もちろん、法律の条文そのものは 「免責」を定めただけで、有責かどうかば 別に立証が必要、というのが ストレートな読み方なのだろうけど、 実際の運用ではプロバイダ有責ということについて 原告サイドの立証責任を大幅に緩和する方向に 使われる可能性は十分にある。 個人的には プロバイダは ユーザコンテンツ内容の放置について 全面的に免責されるべきだと考える (コモン・キャリアとしての地位を確立させよう!) が、それが無理にしても、 もう少しコンテンツ削除をしない方向でバランスを とるべきだと思うわけです。

            あと、あなたは chilling effectを 軽視しすぎている。 本当に損害賠償をすべき類の情報発信を行った 当事者が、それを負うことになるのは、 それ自体は問題ない。 が、プロバイダは当事者ではないので、 放置についての全面的な免責がないのであれば 防御的に、実際に問題のある部分よりも広く コンテンツ削除に動く動機を持つことになり、 そしてコンテンツ削除をした場合の免責については 広く認めているこの法案に沿うなら、 実際にプロバイダはそういう方向に動くことになる。 そして、実際に賠償事例が積み上げられれば、 現実の秩序はそういう方向に動くことになる。 少なくとも、 政治家が自分のスキャンダルを報じたマスメディアを かたっぱしから告訴しているような国ではね。

            「市場」について。 あなたのいう「市場」は、 規制が全く存在しない仮想の市場ではないですね。 むしろ、言論の規制に市場をつき動かす インセンティブをこの法案は与えようとしているわけ。 だから、この法案が as isで通ったらまずい、 と私は言っているわけです。 それぞれをバラバラにとらえて、 実質的な影響をみないようなあなたには、 Lessig教授の『CODE』を読むことをおすすめします。

            対案については、 免責範囲の調整に加えて、例えば、 情報発信者側の権利保証をするために 「削除」や「発信者情報開示」が 行われる前に発信者側の要求で司法によるチェックが 行えるような枠組を用意する、という 形がありえるでしょうね。

            親コメント
            • by oyaoya (3441) on 2001年11月03日 1時18分 (#35176)
              ううむ、Lessigの『CODE』をお勧めしてくれるのはありがたいのだが(誰に対して言っているのか、いや知るはずもないのだが)、ちゃんと読んだのかなあ。Lessigは現代社会がアーキテクチャによってコントロール可能になることを指摘した上でそのアーキテクチャ決定が寡占されることによって我々の憲法的諸価値が侵犯される危険を指摘したわけだけど、彼がそれに対する解決策として提唱したのは国家の関与でしょ? もちろん彼には立法府や司法府の現状に対する不信感もあって、それが「出口なし」的な危機感につながっているわけだけど。一方、Lessigはソフトウェア産業が市場競争のメカニズムによって必ず寡占化すると考えているらしいところがあって、それが(多分リバタリアンの)David Postなんかに批判される所以ですな。少なくとも/.にいる我々としては、voluntary associationsによる対抗の可能性を指摘することでLessigに釘をささねばまずいでしょうよ。

              ドイツについては、そういう意見なら一貫性はあると評価できる。問題は、当のドイツ人があまり問題を感じていなさそうなこととか、日本のメディア法学者のあいだでもドイツ立法の評価が比較的高いことをどう評価するか(ないのに比べれば明らかに良いから、という側面は否定できないけどね)。なぜ、「日本において」この立法はまずいのか。日本の政府はドイツに比べて邪悪だし、国民はそのような政府を民主制のプロセスで排除できないほど愚かだと言いたいのか、もともとドイツは完全な意味での言論の自由などない国だから(憲法擁護庁を見よ)日本と比較するのが誤っていると言いたいのか。ちと煽りっぽい書き方なので気に触ったら申し訳ないが、でどうなのかね。

              政治家がマスメディアを訴えても、その評価は社会的に分かれている。明らかに訴えた方が馬鹿だと思われているケースもあるし、報道自体が下劣な例もある(噂の真相とかね)。下劣な報道が市場か報道内部の自浄作用で排除されるならいいけど、その仕組み作りを報道は怠ってきた。とすれば救済を求める先は司法しかない。裁判を求める権利は憲法上も保障されているもので、権利行使者の職業を理由としてそれを批判するのは人権侵害。もちろんよい提訴も悪い提訴もあるけど、それを判断するのは司法と国民。全部一緒くたにして馬鹿にする権利は、あなたにはない。

              対案について。「免責範囲の調整」というのは対案になっていない。条件と範囲をどう設定するのか、そこまで詰めないと。「司法によるチェック」を要求するのは悪くないアイディアだけど、

              • (1) 日本の司法システムがその工数を提供できるか(現在の裁判件数でも遅延が問題になっているのは知ってますね?)
              • (2) その問題を解決する一般的手法は「専門機関の設立」だけど(移植医療・生殖医療などを参照)、これは行政的機関になってしまう
              • (3) そもそも日本の裁判所では一方当事者に知らせずに審理するような仕組みがない(法廷に出たものはすべて公開。これが情報公開法で問題になった)。だから発信者が例えばプロバイダに情報開示の差止請求をした時点で当の情報が明らかになってしまう
              • (4) コンテンツ削除が遅れた場合、例えばプライバシー情報の流出という損害は回復不能だが、発信者の要求で司法チェックというシステムはこの「回復不能な損害」が生じる期間を長期化させる危険がある

              という各ポイントから、筋のいいものとは言えませんな。てゆーか日本は大陸法国だから裁判所は基本的に法に基づいて紛争を処理する機関であって、英米みたいな実質的正義の実現機関じゃないの。幻想持ち過ぎ。

              あ、それから、プロバイダをコモンキャリア視するのは無理。コモンキャリアの典型は郵便・電話だけど、これらの特徴は憲法上の検閲の禁止を守る限り内容に関するチェックが行えない点。メイルは同様の性質があるし認められる可能性もあるけど(今回の法案の対象からも除外されている)、http等による送信の場合、送信可能になった段階で言論はすでに公にされたことになる。プロバイダの責任が問題にされているのもそれ以降の段階でしょ? 憲法上の制約はないし、実質的管理可能性(と往々にしてサービス提供による対価受領)があるんだから、作為義務を認めるのはまあ常識(ニフティ事件でも肯定)。このへんの理屈がわからないなら刑法総論をやり直してください。

              総論。前にも言ったような気がするのだが(このスレッドだったかな?)「使われる可能性が十分にある」とか「活用される可能性が高い」とか、じゃああんたは「使われる」あいだ何をしとんのじゃいと言いたくなる議論ばっかし。法案を読む限り、そういう使い方も(司法府もすべてグルにできれば ← 無理だ無理)可能だけど、まっとうに使われる可能性も十分にあるもの。もしこの法案どおり可決されたとして、なんかヤバゲな使い方がされたらきっと批判の市民運動とか法改正運動とかするよねえ、あなた良心的な人みた

              --
              Takehiro OHYA
              親コメント
              • 一応。 私の論点が理解されていないようなので。

                まず、Lessigをひきあいにだした点について。 誰か知らないのかってお言葉なので と調べてみると若手の法哲学者なんですね。 でも、ここで問題なのはそういう専門性の話、 じゃないんだな 。 CODEで、 Lessigは政府とビジネスセクターが手をとりあって 規制につきすすんでいることにふれています。 この法案は、そういう性質のものです。 もちろん、Lessigは国家の関与を肯定しています。 しかし、それは憲法的価値の擁護を 民主的手段を通して担保するには 国家の定める法による介入以外に手がない、 ということではないですか? あなたのように、 「もっと人を信頼しなさい」ってことは 言ってない。

                で、なぜ「日本では」まずいか。 まず、この国は 国家が憲法的価値をないがしろにする ことについて甘い歴史をすでに つくってしまっている。 違憲立法審査権が裁判所にあっても、 具体的な訴訟のなかでしか 扱えないこともあるし、 また具体的事例がある場合にしても、 ほとんど審査権は機能していないと いっていいだろう。 まして、 アメリカにおける「修正一条」の強さに比べた場合の 日本における「言論の自由」条項の 実質的な弱さ、 そういうものを考えると、 私はあなたのような楽観主義には到底立てない。 日本の政府が「邪悪」でないというなら、 ほぼ一貫して政権与党でありつづける自民党 というものが「言論の自由」という価値を 本気で擁護しているぞ、という証拠があれば 教えてほしい。 むしろ、彼らはそういう憲法的価値を いかにないがしろにするか、あるいは 改憲して制限出来る方向にもっていくか、 日夜努力しているようにしか思われない。 さらに、「国民」はマスとして そういう政府を排除できていない。 どころか、ヴォルテール的に古典的な形で 言論の自由の擁護を語ったところで、 「でも~みたいなひどいのは許せない」と 簡単に排除のロジックを語る連中 ばかりじゃないか。 少なくとも「言論の自由」は少数派にこそ 必要なはずだが、多数派の自分が 不自由しなければ問題なし、という態度を とる人達があまりに多い。

                政治家スキャンダルについて。 もちろん、個別のケースで裁判の受ける権利は ある。それはそうだろう。 しかし、政治家が 「訴えるぞ」と恫喝したにもかかわず 最後はそのスキャンダルが本物となり、 逮捕・起訴・有罪への道を進んでいる ケースもいくつかある。 名誉毀損について 「真実性」や「公益性」から、 違法性がなくなるわけだ。 一方、真実でなかったり、公益性のないことを 扱うゆえに情報発信者が責めを負う、 それは当り前だ。

                私が問題にしているのは、 そういう「勝負」の前提となる自由が 損なわれるということだ。 「不正を暴く」側は、そのことで 商業的利益や名誉など、 なんらかの利益を期待できる。 だから「勝負」のリスクを負うことができる。 しかし、 プロバイダは単にディスクと帯域を貸している だけだ。 コンテンツの中身によるゲインは期待できない。 一方で、中身に対するリスクは負わされる ことになる。 そして、この法案はそのリスクについて、 情報発信者の利益を損なう方向について あきらかに免責の度合を大きくしている。 これは、言論の市場を歪めることになる。

                対案について。 なるほど、具体的でないというのは つねに法律賛成派が反対派に行う攻撃だけど(笑)、 例えば、 第三条での、権利保持者に対して 免責としない部分の条件について、 当事者からの具体的アクションがあった場合に 限定するとか、 発信者に対する免責条件について ORじゃなくてANDにして、 でもそれだけだと 権利保持者側への責任との 間で問題がおきるから、 「やることやったよ」ということで 免責にする、などですね。 ANDにした場合、連絡のための7日というのが 緊急事例に対して長すぎるのであれば、 暫定的に「送信防止」して連絡到着後に回復、というプロトコルを限定的にとれる 形ぐらい許容できるでしょう。

                司法を通すことについての批判だけど、 リソース足りないってのは、理由にならないですよね。とくにこれだけを外すのはね。 それから、 「一方の当事者に伝えない仕組みがない」 ということだけど、 情報発信者とプロバイダの間での問題として 扱うのであれば、 開示請求者は当事者でない、ということになるし、 あるいはプロバイダが開示請求について常に 「発信者情報について 秘密解除の許可を裁判所に請求する」 というスタイルをとり、 発信者は証人として意見陳述ができる (あるいは上申書のようなものを出す)、 というような形であれば 名前を出さずにいけるような。

                で、コモンキャリア性の批判。 そりゃ、ここまで積み上げられてきた日本の 法秩序の上に加えるという前

                親コメント
              • 根本的価値判断についてはまあ違いを確認できれば十分という気がするので(きっと合意できないよねえ)、ちょっと気になった点だけ。

                最初に「誰か知らないのか」とは書いてないことを弁明したい。というか/.はそういう社会的身分とかなしの言説空間である・あるべきだと思っているので当然なんだけど、自分が誰か知っている自分にとっては割と皮肉な事態だったのでちと筆が滑りました。ちなみに一応「情報化問題をテーマとする法哲学者」です。立法とかの評価については学会でも割と少数派なので、学界全体が偏向してるとは思わないでくださいな。ちなみに今年の学会テーマは「情報社会の秩序問題」です。宣伝。

                「もっと人を信用しなさい」と言いたいわけでもない。むしろ逆で、「よい法律を作れば十分」ではなく「どんな法律でも重要なのは事後的規制」だと言いたい。「誰も信用するな」と言いたい。どんな法律でも悪く使われえるし、今の法案は事後的規制が十分ならよく使われえる。試されているのはむしろ、我々の民主主義の強さ。「よい法案を作ろう」という議論は、その本質を忘却させる危険がある。仮にその民主主義プロセスに致命的影響を与える法規制なら私も反対する。今回の法案がそれに該当するかどうか、それがあなたと私の価値判断の対立点。

                司法のリソース問題だけど、これだけではなくて全部をはずしているのが実情。長期的にはリソース不足を解消する方向性だけど(ロースクール化とかね)、20年くらいはかかります。司法については一定の技能を身に付けた人間しか使えないので、リソース不足は短期にはどうにもできない所与の条件と考えた方がいい。災害現場で医師が足りなくなってもその辺の人を医師にするわけにいかないでしょ?

                開示請求を情報発信者・プロバイダ間関係と構成するのは私も考えたけど、「そういう事件がありました」という情報が公開されてしまうので弁護士が十分に有能なら事実上開示したのと同様になってしまうと思われる。詳しくは民事訴訟法関係の規則をかなり検討しないとわからないのだが。

                コモンキャリアの判断だけど、アメリカ憲法は日本と違って検閲を明文で禁じていないはずなので、同列で語れない面あり。少なくともこの点で日本憲法は諸外国と比較して非常に言論の自由を重視した特異な立法例だとは言える(それが悪いと言うつもりはない、やや理想主義的な面はあるけど)。

                あと一つだけ、これは愚痴になる。「ここまで積み上げられてきた日本の法秩序の上に加えるという前提なら」ってそうじゃないのかよ!(三村風)。いや法律家としては既存の法秩序をとりあえず所与として議論するというのは当然の前提なので、不意を突かれました。解釈論(現行の法文をどう解釈するか)と立法論(どのような法文が望ましいか)を区別せよ、ってのは法学生が叩き込まれるイロハなのだが、その手前に法秩序全体が選択対象であるという段階があったのね。いや決して馬鹿にしているわけでも責めているわけでもなくて、法律家じゃない人を相手にした話ならそういう議論の可能性を当然予測すべきだったよなあという反省。ううむ、自分でも知らんうちに随分「法学」の世界の住人になってしまっていたのだなあ(詠嘆)。精進せねば。

                --
                Takehiro OHYA
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  • 立法関係者のネットというものに関する理解が不足しているようにも見受けられます。きっと、間違いなく不足していると思う。

    • これとは別の法案の、電子消費者契約法がらみで、
      インターネット関係に強い担当者として紹介されていた、
      とある弁護士な方(某市の無料法律相談サービス)へ
      質問を投げかけた事があります。

      「~な直販システムを、~な方法でWEB上で契約する為に、
       電子メールで確認をとった後に、受信された電子メール
       に記載されたURIへアクセス後に、ユーザのOKボタン
       押下で最終意思確認をすれば、法的な問題はOKですか?」

      的な、システムのシの字も絡まない、機能面の実装アイデアを、
      「~なので、一度お会いして詳細を確認したく...」
      と回答(メール)が来ました。

      せめて一般のユーザ程度に、その辺をネットサーフィンしてれば、
      簡単に判断がつくと個人的には思うのですが、法曹界な方々は、
      一般人とは異なってWEB上で購入なさったご経験などとは
      全く無縁な方々なんでせうか?
      親コメント
      • 立法府と法曹界は別物でしょうし、システム以前に法律的な問題がいろいろありそうです

        > 一般人とは異なってWEB上で購入なさったご経験などとは全く無縁な方々なんでせうか?

        法律関係者は言葉を厳密に捉えるから、法的問題OKと言うためにはもっと詳細な内容が必要でしょう

        素人の私でも考え付く事は
        ・無料相談の範囲を超えるから会って(有料)
        ・内容の詳細が不明
            ex:注文先とMail受信者が同一であると証明できる
  • だって,必ず利用者登録がされているもの...
    しかし,現在はインターネット時代.だれでもどこにでも
    入れるし,利用者管理を行っていないネット管理者も
    いるハズ. まさか,常時接続している自分のPCが踏み台に
    なっているとは考えてもいない一般利用者も
    少ないわけでもないし...
    今後,この法案がブラッシュ・アップされることを期待したいところですね,
    --
    ★田舎に生息する時代遅れのFortran&COBOLガイなオタク★
    • by rev-9 (4419) on 2001年10月31日 15時09分 (#34501) ホームページ 日記
       まずサーバーの管理者と掲示板の管理者が一致するとは限らないし、そのどちらがアクセスログ等を調べられるかもシステムによってまちまち。んでもって問題のある情報の書き込み元自体はせいぜいIPアドレスしか分からない・・・・この法律、成立しても誰も使わなかったりするんじゃなかろうか。
      親コメント
    • おそらくニフティ訴訟を受けての法案制定でしょうから、ニフティのような利用形態を暗黙の前提にした法案になっているんでしょう。

      「権利侵害されたときの相手特定に(一応)道を開く」ことと、「判例の集合で規制を作るのではなく、規制の基礎となる法律を制定する」ことに意味があるんではないでしょうか。

      もちろん実態に即したものにブラッシュアップされればそれが一番良いのですけど。
      --
      今年の目標考え中
      親コメント
      • >おそらくニフティ訴訟を受けての法案制定でしょうから、ニフティのような利用形態を暗黙の前提に
        >した法案になっているんでしょう。

        もし本当にそうなのなら、「いつの時代の話をしてやがるんだ?>おかみ」という気がしちゃいます。

        かつて(殆ど滅んだようなので)のパソ通の意味での「ネット」は、そこへ「はいる」ものでしたが、
        今我々が良く知るInternetはそこへ「出る」ものなんだけどなあ。

        おふとぴ:
        なんか、(各自の)家の玄関とか、もっと言えば母親の産道(!)とか、
        そういう所に関所を設けようとされているかのような感じだな。いやな感じだ。

        #どっかの学者の意見によると、「れる、られる」は「受け身、可能、尊敬、自発」の他に「迷惑」という意味も有るらしい(笑)
        親コメント
  • by k3c (4386) on 2001年10月31日 11時12分 (#34403) ホームページ 日記
    閣議決定される見通し、のリンク先が別のものに置き換わっていたので訂正しておきます。
    正しいリンク先はこちらです。
  • この法案、別に web 上のものとは限定していないようだけど不特定の者に送信されるものとなってるから、mail は適用範囲外になるんだろうなぁ。この法を根拠にして「貴社のserverからSPAMが来たので発信者の情報開示をよろしくぅ」と言えないのが悲しい...

    # To に address が書いてないから不特定とは言えないだろうしなぁ...
    ## そもそもSPAMでどういう権利が侵害された事になるのやら... ^^;;;
  • 要は、Niftyの一件で「プロバイダ側から要望があったんで作ってみました」ってだけじゃないの?
    だから、元になっているNiftyフォーラムの場合には対応できてるけど、「他の場合はどうなの?」
    と聞かれると「分かりません」となる。

    単純に応用が利いてないんですね。

    #それにしても、なんで法律ってこんな難しい言葉で書くんだろう?
    #横文字使ってもよさそうなのに…
  • 「発信者がインターネットへの接続に利用しているプロバイダと、権利を侵害するような情報を記録・発信したWebサーバのプロバイダが異なる場合はどちらに身元開示の義務があるのか?」について。

    3条で関係役務提供者を「当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者」と定義していますが、その「電気通信」は「送り、伝え、又は受けること」(電気通信事業法2条1号)であり、「電気通信設備」は「機械、器具、線路その他の電気的設備」(同2号)ですから、発信者 → ISP → (the internet) → ウェブサーバ → (the internet) → ISP → 受信者という情報流通経路の上のすべての者が該当します(「電気通信役務」が「他人の通信の用に供すること」なので、自分だけが用いる経路(発信者・受信者の家庭内)は対象として考えなくてよい。また発信者からウェブサーバまでの経路についてもそれがなければ送信行為が行なえないので送信の「用に供した」と考えられる)。

    同様に「開示関係役務提供者」(4条)も「当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備」と定義されているので、ウェブサーバへの記録(FTP)に用いたISPも該当すると考えられます。結論的には、ドミノ的な仕掛けによって送信者まで至ることを予定した立法と考えてよいのでは。ドイツ法も同様の考えだった記憶あり。

    --
    Takehiro OHYA
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物事のやり方は一つではない -- Perlな人

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