坂村健とStallmanとLinus ー 武田賞受賞式レポート 46
好きな人、嫌いな人 部門より
Anonymous Coward 曰く、 "2001年度武田賞の講演を聞いて来た。工学部門の受賞者が表題の3人。フリーでオープンなソフトウェアの開発方法を広く普及した功績を讃えてとのこと。講演内容としてはとくに目新しいものではなかったが、細かいところでなかなか面白かったので御報告。"
"ACは、せっかくだから前のほうに座って聞こうとしたのが当たって、他2者の講演のときにACの2列斜め前にRMSが座っていたのを間近でみることができた。RMSは坂村の話はそれなりに聞いていたようだったが、Linusの話の間はほとんどThinkPadにむかってなにやら書きものをしていた。(Emacsの横二分割画面だった。おお、RMSがEmacsを操作している!とACはそれを見ただけで、来てよかったと思った)
坂村の講演の後の質疑では真っ先にRMSが手をあげ、「どこでもコンピュータなんて、警察や政府の監視強化が恐ろしくてやだね。私は携帯電話も持ち歩きたくはないね。」みたいなことを発言。坂村が「それはその通り。技術進歩はいつもジレンマ。究極的にはそれが嫌な人はスイッチを切るしかない」と答えると、それ以上はなにもいわなかったが大きく首を横に振っていた。
Linusの講演の後にも挙手。指名されるとまずは壇上のLinusにむかって、とぼけた感じで"Hello"と挨拶して会場の笑いをとっていた。それで「FreeとOpenは違うんだ。今日は同じ賞を受賞したが私とあなたとは哲学が違うんだ」みたいなことを発言。Linusは苦笑しながら「うん、人はそれぞれだよね」みたいなことをいっていた。あわてて主催者から「お二人の違いは我々としても承知しているつもりでありますが、ともにオープンでフリーな開発を。。。」などと言っていた。(武田賞って、ずれてるんだかすごいんだかよくわからなかったな。)
たしかに3人ともなにかと「闘って」すごい仕事をなしとげてきたと思うけど、RMSを前にすると「闘士」ぶりという点ではあとの二人は霞んでしまうように見えたのはACのRMSびいきがすぎるのかな?
ちなみに、講演内容はすべて近々Web上で公開すると、主催者からアナウンスがありました。"
レセプション (スコア:2, 参考になる)
講演の内容としては「やっぱりこうなるのか」
という感じでした(笑)
それより、フォーラム後に行われたレセプション。
Linusは前の方で何人かの人と普通に話していて、
RMSは普通に会場内を歩いていた。
#当たり前かもしれないが
勇気と英語力があれば、
LinusにもRMSにも誰でも話しかけられる状態だったんだよね。
でも、RMSに話しかけているひとは結構いたみたいだけど、
Linusに話しかけている日本人は少なかったなあ。
すごくもったいない感じがしました。
「日本のLinux業界の方」も何人か来てたけど、
レセプション前に帰ったみたいだったし。
Re:レセプション (スコア:0)
#質問したBSDのコミッターって誰だったんだろう。
#生のRMSを初めてみたけど結構声が高いのね。
Re:レセプション (スコア:1)
どなたかは存じあげないのですが、
FreeBSDとのコードのメンテナンス等の違いについて、
もっと突っ込んだ意見交換を行っても面白いのにと思いました。
どうせLinusが喜ぶような技術的な話をしても、
一部以外は分からないわけだし。
#私もわからんし
その場合は、RMSは吠える時間はなかったろうが・・・
Re:レセプション (スコア:1)
> FreeとOpenとは違うんだ
Net や OS X とも違うんだ、とか?
Re:レセプション (スコア:1)
OS XぢゃなくてOSでそ。
Re:レセプション (スコア:0)
やっぱ表に書いてないと仲間外れ?
そうじゃなかったらDarwinも入れてくれ
武田賞って (スコア:2)
今回の受賞者の面子を見れば、それは明白だよね。
レセプションに行かれた方々はそのダシに使われただけだね。Linusとお話ができた、とか、そういうお話とは別のことだけれどね。それはそれで出席した人にはよかったんじゃないかと思う。
武田賞というものを本当に「権威ある賞」としたいのであれば、もっと、内容と実質のある審査員を用意し、きちんとした審査をしていることが公にしっかりわかるようになっていないといけないね。これができなくて、日本の金融機関もダメになったし、官僚もダメになった。結果、日本はもうすぐ「発展途上国」になる。専門家を見下し、バカにし、結局モノを作る人、考える人を一段低いものとしてしか見なかったからだね。今さら気がついても遅いかも知れないが、やってみるといいと思うよ。
発展途上の借金だらけの貧しい国の、取るに足りない「賞」に武田賞がなり果ててしまうかどうか?それは、まともな審査をする、というごく当たり前のことから始まるんじゃないかな?
もっとも、今回の受賞の顔ぶれを見る限り、こんな言いぐさはクスリにもしたくない、という人ばかりがあふれているようだね。「武田賞」の方々と言うのは。
Re:武田賞って (スコア:2)
-- wanna be the biggest dreamer
発展途上国 (スコア:0)
Re:発展途上国 (スコア:2)
発展途上国論の是非についてはともかく、その結び付ける心理を「とらわれてる」と言ってます。
-- wanna be the biggest dreamer
Re:発展途上国 (スコア:0)
Re:発展途上国 (スコア:2)
>武田賞の選考と発展途上国になることとを結び付けるような発言
>はしていません
>彼の主張は
>武田賞の選考姿勢と日本の暗い将来とには,同じ原因が関っている,
>ということです.
結びついてるじゃん。
-- wanna be the biggest dreamer
Re:発展途上国 (スコア:0)
Re:発展途上国 (スコア:2)
多分臆病者さんの言う意味で「結びついていない」両者を、あたかも当然であるように結び付けて論じているのを、我田引水な論旨展開って言ってるんだけど。分からないかなぁ。
あれだ。風が吹くと桶屋が儲かる。の論理。
#両者が結びついていないっていうほどに、僕の批判に近づく。
-- wanna be the biggest dreamer
でもどんな賞も (スコア:1)
Re:武田賞って (スコア:0)
とってもユウメイなビルゲイツと孫正義を選択しなかっただけまし、という説もなくもない。かも。
#もう一人選ぶとしたらだれだろう。ゴアとか?
行けばよかったなぁ (スコア:2)
リポートを面白く読ませてもらいました。
(PC Watch [impress.co.jp]にも出てますね)
今までの講演に比べて焦点絞ってあって分かりやすい。
stallman の批判も建設的なものに思います。
欠点も認めるけれど、自分のやり方で理想を目指すという。
そして俯瞰して見ればどれもオープンの方向を向いていて、proprietary モデルはほとんど話題にもならないのが感慨深い。
そろそろ(やっと)啓蒙の時代は終わって、実践の段階なのかも。
-- wanna be the biggest dreamer
KPresenter (スコア:2, 参考になる)
嫌な宣伝みたいになるだろうと思いつつ書きますが、
Linusがプレゼンテーションに使っていたツールは
KPresenter [koffice.org]でした。
もちろん、まだ不十分な点や不具合もありますが、
特にKDE関係の人というわけでもないのに、
ああいう場で使われるツールになったのだなあと
少し嬉しかったです。
LinusとKDE (スコア:2)
LinusがKDEを使ってるのはそれなりに知られていた事かと思ってました。
KDEのニュースサイトであるdot.kde.org [kde.org]に流れるニュースにはしばしばLinusが登場します。
(dot.kdeって一つのニュースで複数の話題を取り扱うから、読みにくいんだけど)
たとえば、KC KDE #26 Is Out [kde.org]ではLinusがBug report [kde.org]したとか伝えられてますし、
(でも、「Not only is Linus a model bug reporter」と書いてあるけど…。
それに、これがニュースになるって事はそんなにBug reportしたことがないってことか)
OSNews.comのインタビュー [osnews.com]では「I really like KDE」と言ってますし。
-- Che Che - Bye Bye
Re:KPresenter (スコア:0)
なによりも、5年ほど前までPowerPointを使っていたLinusが
Linuxでプレゼンをした、って事が驚きです。
# いつぐらいから乗り換えたんだろ?
## さすがに、KDE on BSDってことはないよな...
世代の差なのかな? (スコア:2, 興味深い)
RMSの意見と言うのは「技術が不幸をもたらす事が少なからずあるから大衆の倫理で克服せねばならない」と言うもの。
Linusの意見と言うのは「おもしけりゃいーじゃん」と言うもの。
少しはしょり過ぎてると書いていて思いましたが、武田賞の講演会のやりとりを見ていて、そう感じました。
坂村教授の考えは、60年代以前の考え、RMSの考えは70~80年代の考え、Linusの考えは90年代の主流な考えと思うと、納得行きませんか?
私はどの意見も尊重するし、一長一短あるけど、RMSの考えが一番的を射ていると感じますが。
世代とは違うような(Re:世代の差なのかな?) (スコア:2)
「番人」に幸福をもたらすってことはパノプティコンってことになるぞって誤変換はおいといて。
私は実際の講演と質疑を聴いてないので 細かいニュアンスはわかりませんが、 坂村先生 vs. RMS の部分については、 そういう議論をするつもりできてるわけでもないということで アバウトな話になってるようですね。
「便利になるぞ」ってのと「監視強化」ってのと、 それは両方あるわけだけど、 利便性を確保しつづ 「監視を困難にする構造」を技術的に実現することも 場合によっては可能なわけで、 何故そこに話がいかなかったのかな、とは思う。 また、 RMSと Linus のスタンスの違いは、 単に興味の問題であって対立するものではないし、 「フリー」と「オープン」と、どっちも大事だし お互いに依存しあう関係でもあろうしって感じだよね。 まぁ、どっちの場合もそういう話は この三人よりは、Lawrence Lessig教授とか、 Marc Rotenberg (EPIC)とか、Pam Samuelson 教授とか、 そういう人々のほうが得意かと。
ま、受賞式のほうは行かなかったものの、 坂村先生個人の受賞パーティには行く予定なので、 ちょっときいてみるかな?
Re:世代とは違うような(Re:世代の差なのかな?) (スコア:1)
PS. 明日のリチャードのスケジュールは、午後から青学会館で講演会、夜は横浜パシフィコでBoFです。
すずきひろのぶ
Re:世代とは違うような(Re:世代の差なのかな?) (スコア:2)
たしかに、個々の機器の「実装」が何をしているか オープンにしなくてもいい(からオープンにならない)という ことはあると思います。 が、ここでの主な論点は こういうもの [tron.org]のプロトコルの評価に落ちる、 と私は考えます。 これ自体は、ある程度できてきたら「仕様」として公開されるものですよね。 あとは、どれだけプライバシーのことを考えて決められていくかで(なお、私は坂村研出身者ではあるけど 今はTRONにかかわっていないので、実際のところは 知らないですから念のため)。
TRONじゃなくて WIDE InternetCAR がらみでは [wide.ad.jp]こんな論文 [isoc.org] ありますがどうなんでしょうね(細かくは読んでないです)。
Re:世代とは違うような(Re:世代の差なのかな?) (スコア:1)
すずきひろのぶ
TRONは実装ではないので (スコア:3, 参考になる)
ひろのぶさんの書いてることは間違ってはいないのだけど、 ただ、TRONって実装ではなくて仕様なわけです。 BTRONみたいにreference実装以外のものがほとんど存在しないものもありますが、 ITRONをみればわかるようにオープンな仕様のもとにいろんな実装がある、ということ。 それにはオープンな実装もあればクローズな実装もある。 仕様の評価をするとなれば、APIやプロトコルの評価しか ないわけです。 ひろのぶさんが問題にしているのは個別実装の問題で、 それはあくまで個別問題であって仕様の問題ではない。 仕様を作るところに期待すべきなのは、 仕様としてちゃんとプライバシーを守る配慮をすることです。 バックドア問題は仕様を採用する各メーカーや キャリアを監視しないとしょうがない。
逆に、オープンな実装、 例えば GPL ものを組み合わせた形でひとつの大きなシステムを組み上げたとして、 GPLに抵触しない形でクローズドな形はとれますよね。 そこで問題のあるポリシーをつくることはできるわけです。 例えば、GPLなMTAがあったとして、そこで流れるメッセージを 全て管理者が読んで監視するような設定は可能ですよね。 「オープンソース」「フリーソフトウェア」を使ってるからそれでOKという問題ではないわけです。
おいおい。その話だと (スコア:1)
APIのレベルで互換性があれば、クローズドでも乗り換える自由がある、というのがTRONの思想だと思いますが。
組み込みの世界では、コードをすべて公開しろと迫るGPLの方が、よっぽどメーカー的にはトロイの木馬の語感に近いでしょう。
Re:おいおい。その話だと (スコア:1)
すずきひろのぶ
Re:おいおい。その話だと (スコア:1)
はまさにそのとおりだと思います。
ならば同様に、ソースコードを無制限に閲覧できる
TRON 仕様の OS を使えば良いとも言えますよね?
注)TRON 以外の OS を否定するものではない。
TRON の API は無償(または書籍として購入可能)で
公開されているので、これを使って TRON 仕様 OS を
実装する自由が全ての人にあります。
masamic
組み込み系で (スコア:1)
Re:おいおい。その話だと (スコア:0)
Re:おいおい。その話だと (スコア:0)
Re:世代とは違うような(Re:世代の差なのかな?) (スコア:1)
それはそうですね。TRON の場合は、どう実装しようと、どのような形でリリースしようとそれは自由だから。
セキュリティーの観点から、
「そんなんじゃダメだ!いかなる理由があっても
ソースコードは全て公開しなければならない!」
という意見であれば、その気持ちもよく分かります。
だから、フリーでオープンな TRON 仕様 OS がたくさん
作られているし、今も、作られようとしているのです。
masamic
Re:世代の差なのかな? (スコア:2)
10年ずらして RMSは60s-70s, Linus は80s-90s の方が合ってるかな。
気分的には Linus に賛同したいけれど、他人を考えると自分の楽しさだけというのはちょっとね。さらに自己本位を言いながら進化論持ちだしてくると一沫の不安を感じさせます。
どの方向から考えてみてもきっちりカバーしている RMS の思想はまるで巨大な壁のようだ。誰か打ち倒す思想を出してくれ^^;
-- wanna be the biggest dreamer
ストールマン博士、トルバルズ博士 (スコア:1)
武田賞は「工学知」ということでフリーソフトウェアあるいはオープンソース運動に価値を認めたわけなのだから、古いアカデミックな価値観を持ち出してこなくても良かったのにね。
ユビキタスに関連し、「セキュリティ」の議論となったけど、「政府の立場からのもの」それに敬称を鳴らし、個人のそれを守るという話にはならなかった。
フリーソフトウェアはそこに可能性があり、多くの場所にソフトウェアが利用されてればされるほど、安全性の観点から重要になるだろうと、思いました。
レセプションには出れなかった。ざむねん。
時に、TRONの仕様って「オープン」なんですか?知らなかった。
略称も変わってたし。
Re:ストールマン博士、トルバルズ博士 (スコア:0)
Re:ストールマン博士、トルバルズ博士 (スコア:1)
Re:ストールマン博士、トルバルズ博士 (スコア:0)
松下幸之助の「水道哲学」 (スコア:1)
とは別の場所に出来た。新しい楽土(ヌースフィア)のカタチ
---Y^2
余計なもの (スコア:1)
書き込みのテストですか?
余計かなあ (スコア:1)
で、親コメントについて思うこと。大正時代にあんな事言った松下さんは天才だとおもう。でも、彼の時代ではソフトなんて「複製がほとんどタダ」というものは考えられなかったし、今あんなこといったら、下手したら「環境破壊」とか言われちゃう。
はてさて、あと50年ぐらい後に、freesoftはなんて言われてることでしょうね。
-- Takehiro TOMINAGA // may the source be with you!
しかしこうなってくると (スコア:1)
でも「RMSの前では、後の2人は霞んでしまう」というのは同意。
Re:しかしこうなってくると (スコア:1)
今はちょっとうるさく感じるけどね。(人によったら相当うるさいだろうけど)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20011204-00000874-jij-biz
によると「GNU:FSF配布の無料ソフトの総称」と書いてあるけど、これもRMSが日本語で読めたらガウガウ言うと思うけど、翻訳されたらFreeSoftに戻っちゃうのかな?
気になるー (スコア:1)
Re:気になるー (スコア:1)
Emacsを使っていたかは認識できませんでしたが、
現場では、Xは使っていなかったです。
リンク (スコア:0)