ゼロックス Altoから30年 49
ストーリー by Oliver
(遠い目) 部門より
(遠い目) 部門より
dseg 曰く、 "本家ストーリー経由、ニューヨークタイムズの記事によると、"パーソナルコンピュータ"の源流として有名なゼロックスの「Alto」誕生から今月でちょうど30周年だそうだ。1973年4月、ゼロックス パロ・アルト研究所(PARC)の開発者たちは、ビットマップディスプレイ/マウス/Ethernetなどを備えた初代Altoに、セサミストリートのクッキーモンスターの画像を表示する事に成功したという。Altoにはその後Smalltalk環境が搭載され、GUIやWYSIWYGといった概念がMacintoshを始めとする後のパーソナルコンピュータに大きな影響を与える事となった。詳細な時系列についてはPARCの歴史に記述がある。Altoがその原型となった概念は、Xerox Star、Apple Lisa、Apple Macintosh、Microsoft Windows 1.0の開発に寄与した。PARCについては書籍、『未来を作った人々 ゼロックス・パロアルト研究所とコンピュータエイジの黎明』に詳しい。"
つまり・・ (スコア:2, すばらしい洞察)
まあ、30年間かけて理想を現実にインプリメントしたとも言えるでしょうが、じゃあ、次の30年後の「現実」の原型っていまどこに?
#
[tomoyu-n]
Re:つまり・・ (スコア:2, 興味深い)
「“ダイナブック”の香りは受け継いでいる」――“パソコンの父”アラン・ケイ氏が来日 [ascii24.com]
では、パソコンが一般に広まってから現在までを、「実に退屈な20年」と評していましたね。
"The computer revolution hasn't happened yet!"とか何とか
題した講演もこの来日のおりだったかしら、
ちょっと記憶があやふやですが……。
と、単に思い出しただけの話ですみません。
世界人類が平和ボケでありますように
Re:つまり・・ (スコア:2, 参考になる)
それを自分が発明した,という事が30年後に明らかになれば,研究者/技術者としては感無量ですね。
それが何なのか簡単に分からないからこそ,『原型』を模索するために,多くの研究者/技術者が現在も研究を続けているのだと思います。
例えば,ウェアラブルコンピュータが当たり前のものになれば,阪大の塚本先生 [osaka-u.ac.jp]はその原型として語られることになるでしょう(^^;
それに,30年後には,"パーソナルコンピュータ"という概念すら無くなっているかもしれません。パーソナルコンピュータから話は外れますが,ICチップ(カード)があらゆるものに応用されたユビキタス社会 [nikkeibp.co.jp]が実現すれば,Suicaはその原型として語られるようになるかもしれません。
パーソナルコンピュータに話を戻せば,音声認識などを応用したインタフェースの発展が,今後の何年~十何年かのトピックであって欲しいなあ,と個人的には思います(今の技術の発展速度を思うと,30年もかからないかもしれません)。
30年後の原型は,既に,どこかには存在しているのでしょう。
願わくは,どんな形であれ,どんなわずかな貢献であれ,自分がそこに関わっていたいなあ,と思います。希望ですけど…。
>この30年間、PCの基本的な成り立ちには大きな進化がなかった、ということ?
アラン・ケイがAltoで見た夢(「ダイナブック」)は,まだ実現していないのではないでしょうか。そういう意味では,まだ我々は,夢に向かって進化し続けている状態なのかもしれません。
ちなみに,アラン・ケイの講演録や「ダイナブック」の論文等の日本語訳が,「アラン・ケイ」 [amazon.co.jp]という本で読めます。ご参考まで。
Re:つまり・・ (スコア:1, 参考になる)
その中に原型があるかも知れませんね.
Re:つまり・・ (スコア:1)
まあ、30年もかからないかもしれませんが、とりあえず現在、目指すべき理想の一つってことで。
#コンピュータは好きだけど、どこまでも追っかけまわされるのは嫌だなあ。
Re:つまり・・ (スコア:1, すばらしい洞察)
>> じゃあ、次の30年後の「現実」の原型っていまどこに?
は、どこぞの研究所の片隅で潜伏しているのかもしれませんよ。;-)
#30年前とは情報伝達の速度が全然違うので、比較にはならないとは思いますけどね。
Re:つまり・・ (スコア:0)
Altoは段階的に拡張されていったはずだと思うから、「瞬間に話題になる」というのは
どのみち不可能なような気もするけどな。
#というのは野暮なつっこみね。失礼。
Re:つまり・・ (スコア:0)
ご存知かと思いますが、一説では、進歩や進化っていうのは、ある突然変異がおきると一気にこれが多様化していき、しばらくは淘汰を繰り返し、また突然変異がいつか起こるらしいですよね。次の突然変異を狙っているのが
Re:つまり・・ (スコア:1, おもしろおかしい)
突然変異の蓄積速度は常に一定。
突然変異には大きく分けて3つの種類がある。
1. 適応的でない変異(致死遺伝子とか)
2. 適応的な変異(圧倒的に生存に有利な変異)
3. 中立な変異
1の変異の数が一番多いけど、すぐ淘汰されるので残らない。
2の変異はすぐに種間に広まり、定着するけどそんな変異は
とても少ない。
というわけで、蓄積されうる突然変異の大部分は3の適応的
でも、適応的で無くもない、生存に有利でも不利でもない
変異になる。こうした中立な変異は完全にランダムに、種
間に定着するかどうかが決まる。
こうして長い時間の間に蓄積された中立な変異が花開くのが
環境が激変した時。遺伝子の適応度は環境に対応して決まる
ものなので、環境が変わるとそれまで中立だった遺伝子が非
適応的になったり適応的になったりする。
何らかの理由(巨大隕石の衝突)とかで生態系に広大なニッチ
が出きると、そのニッチに進出した生物は、蓄積した変異を
原動力にして急速に分化し、進化して行く。
これを「適応放散」と言う。
Re:つまり・・ (スコア:0)
進歩方はけっこう凄まじいですけどね。
ps. ふと思ったが、Altoエミュレーターとか無いのかな?
Re:つまり・・ (スコア:3, 興味深い)
Alto はいろいろな(少なくとも3人の)思惑の元に作られ、その後、PARC 内外でいろいろなプロジェクトのプラットフォームとして活躍しました。そのため、Alto の OS にあたるものはいくつか(それこそ DOS のようなものから、GUI ベースのものまで)あったわけですが、このタレコミのコンテクストに沿って、パーソナルコンピュータの歴史という切り口に限って言えば Smalltalk は無視できないもののひとつといってよいでしょう。
http://minnow.cc.gatech.edu/squeak/smalltalk-72 [gatech.edu]
そういう意味では、このリンク先のページで見ることができる、Squeak で動作する Smalltalk-72 のエミュレータの画面(分かりにくいのですが、画面下の矩形内がそうです)は、望んでおられるような Alto そのものだと思います。フォントも Alto のフォントをそのまま移植した懲りようのこのプログラムは、ダン・インガルスが、アラン・ケイの誕生日に贈ったものです。
ダン・インガルスは、アラン・ケイのアイデアを具現化すべく働いたパーソナルコンピュータ界のいわば影の立て役者で、Alto 誕生以前に BASIC で組まれた Smalltalk 黎明期から Squeak に至る現在もなお Smalltalk と係わり続けるスーパープログラマのひとりです。BitBlt をかたちにしたのも、ジョブズの「このワープロのスクロールは好きじゃない…」という無茶な注文に、ではこれならどうかとものの数分でスムーズスクロールを目の前で実装し Smalltalk 環境の潜在能力を見せつけ驚かせたのもこの人です。
2002 Dr. Dobb's Excellence in Programming Awards [ddj.com]
また、Squeak にもまだ Alto 時代のコードが残っていると言われています。最新版の 3.4 でも、Cursor というマウスカーソルを表示するためのクラスのコメントには、
と Alto の文字をみてとれますし、open ... → mvc project で開くデスクトップ画面(最新のベクター描画形式の Morphic GUi フレームワークに対し、ビットマップ描画の MVC GUI フレームワーク)は、ウインドウに Mac ライクな余計な装飾が施されてはいますが、その他はほとんどジョブズが見た当時のままだと考えてしまっても当たらずとも遠からずかと思います。
また、ジョブズが見た Alto(Smalltalk 環境)と言って思い出すのが、邦題『バトル・オブ・シリコンバレー』というテレビ映画です。レンタルビデオでも店によっては置いてあることがあります。
The Pirates of Silicon Valley [alt.tnt.tv]
Lisa の仕様策定に難儀しているジョブズ達が、PARC に乗り込んで Alto の技術を“根こそぎぶんどった”とされるくだりで、Alto で Smalltalk が動いているシーンを一瞬ですが、見ることができます。ちなみにこのとき自分たちの技術を奪われるまま見過ごすしかない状況を苦々しく演じている若い女性エンジニアのモデルが、上のリンクでダン・インガルスと一緒に写っているアデル・ゴールドバーグだとされています。アラン・ケイは、このときすでに退社前のサバティカルに入っており、その場には居合わせなかったらしいです。
Re:つまり・・ (スコア:2, 参考になる)
> 邦題『バトル・オブ・シリコンバレー』というテレビ映画です。
> レンタルビデオでも店によっては置いてあることがあります。
ツタヤ系列店にしか置いてないみたいです。
セルビデオも出てないようですね。(Amazon.co.jp調べ)
僕はスカパーのスターチャンネルで放送されたとき録画しました。
マカーだけどJobsを美化しすぎの感が…。
[udon]
Re:つまり・・ (スコア:2, 参考になる)
JStar とか (スコア:2, 興味深い)
とにかく、ディスプレイはでかいし、キーボードもでかい(& 突き指しそうなくらいタッチが重い)しで、触り始めはかなりドキドキ。でも、GUI はすごくカッコ良かったというか、好きでした。JStar で作るドキュメントもなんだかカッコ良かった。ただ単に、フォントが好きだっただけかも知れませんが。
ドキュメント構造のいろはを教えてくれた、思い出のマシンです。
-- cooper
Re:JStar とか (スコア:1)
建設会社等で設計文書を管理するのに使っていたみたいで, そういったユーザをサポートする部隊の所に置いてありました. 直接は使ったわけではありませんが, 10Base-5のイエローケーブルが印象的でした.
そういえばStarは最初から現在のm18nの思想を持っていて, 内部的な文字コードは確か3バイトの独自構成を取っていたように記憶しています. 当時はメモリ容量に余裕が出てきたとはいえ, まだ数kByteを節約するための工夫を行うことが美徳であった時代ですから, ビットマップディスプレイ共々, 贅沢な機械であったことは確かです.
ゴージャス... (スコア:1)
でも当時(*1)から m17n (i18n?)の思想を持ってたっていうのは、ちょっと嬉しくなりますね。
# というか、博識ですねぇ... >> SteppingWind さん
(*1) 確か AT 互換機が上陸する前で、98 で「空飛ぶジュータン」とか「エコロジー」とか動かしてはしゃいでました...
-- cooper
Re: JStar とか (スコア:1)
Starの中身は知りませんが、使っていた文字コード体系は、Unicodeの発想の元と
なったものです。ISO-2022-JPとかと変換しようとすると、対応表が必要な
ことに気づいて、いやーんな気分になった記憶があります。
幸い、その辺りを本業とすることはありませんでしたが。
Re: JStar とか (スコア:0)
IBM漢字コードとの変換には、対応表は必要でしたけど。
Re: JStar とか (スコア:1)
全角半角の区別はない。
NSコードに微妙な穴がある。(記号方面?)
といったことを覚えています。ま、アラビア文字とかも定義されていましたねぇ。
Re:JStar とか (スコア:0)
# 記憶違いがあったらすまん。
日本語を扱うには、23ビットアドレスに 1MBメモリ、40MB HDDじゃないと苦しかったですが。
Re:JStar とか (スコア:0)
D-machineだと、確か米国防省向けに作っていたはず。
Re:JStar とか (スコア:1)
あの専用筐体も特徴的でしたね。確か当時は、会社に 4 台ぐらい並んでたんですが、普通にネットワークプリンタとか使えてたのが、今考えると驚き。でも 5 インチフロッピーで「ガコガコ、ガガガ...」ってやったりして、ディスクはほとんどなかった気がします。ファイルサーバがあったかなぁ....
懐しいなあ。ほんと、遠い目になっちゃいます。
-- cooper
Re:JStar とか (スコア:0)
最終バージョンは Windows NT 4.0 でも動いたような。
Re:JStar とか (スコア:0)
GlobalView for SunOSもカラーだったかもしれませんが、
これはGlobalView for Windowsとはべつものです。
Re:JStar とか (スコア:0)
こちらは、CedarMesa用のMimosaコンパイラでMesaからCに変換して、Portable Common Runtimeで動いていました。
Re:JStar とか (スコア:0)
何かいいのはないの?と上司から相談を受け、bitかなんかの広告を見せて、青山だかのショールームに見に行って...結局入社3年くらいの新米の思いつきで2,3台買っちゃいました。ま
Re:JStar とか (スコア:1)
JStar は今考えるとかなり凄いことを当時実現してたんですよね。ネットワーク対応もそうだし、ページ、段落、テーブルの概念とか、新鮮でした。
-- cooper
よいのは (スコア:2, すばらしい洞察)
鷹揚と言うわけじゃないのでしょう。 (スコア:2, 参考になる)
きっと、アンチパテントの時代に、特許を解放するか、さもなくば会社を分割するかって言う選択を迫られなければ(某MS社も似た事があったみたいですけどw)、特許重視路線は変わらなかったかもしれないですね。
プロパテントの時代になって、多少、特許重視に戻ったかもしれないですね。グラフィティ特許とかw
商品価値を (スコア:1)
身近なAlto (スコア:2, おもしろおかしい)
いつのまにか末尾の'o'は消滅し、PCキーボードに定着 [e-words.jp]。
Re:身近なAlto (スコア:3, おもしろおかしい)
ちょっと欲しいけど(もちろんオフトピ) (スコア:0)
# 500円くらいなら買います。
忘れないで・・・ (スコア:1)
#WinはMacの真似だ!と言われたら、MacはAltoの真似だと言い返すのでID
AMIGA4000T(60/50)使い
Re:忘れないで・・・ (スコア:1)
WindowsはMacを模倣しました。
"Bad artists copy. Good artists steal."
Pablo Picasso
[udon]
盗んだというか (スコア:1)
Re:忘れないで・・・ (スコア:1)
開発を続けさせてMacを作った。
これってAltoのマネって言うんだろうか?
Appleで発展させたというのが正しい気がする。
(同じ人達が作っているという意味で)
アラン・ケイもアップルのフェローですよね
Re:忘れないで・・・ (スコア:1, 参考になる)
http://sumim.no-ip.com:8080/collab/19
<このサイトからの引用>
# Lisa = Star[ソフト](デスクトップメタファー、アイコン、タイトルバー、スクロールバー)+Smalltalk(オーバーラップウインドウ、メニューセレクション、マウスオペレーション)+α(メニューバーとプルダウンメニュー、ゴミ箱?)。ただしあくまで見た目の問題で、実装方法(内部構造)は、Star[ソフト]、Smalltalk、Lisa すべて異なる。
# Mac = Lisa のサブセット+α。
</このサイトからの引用>
この他に、Lisaでは多言語化対応、ドラッグアンドドロップやクリップボードなどを発明しているようですね。MacはAltoの真似というのは無理な気がします。
Re:忘れないで・・・ (スコア:2, 参考になる)
御意。真似というにはお粗末すぎます(笑)。もっとお粗末なのは Smalltalk 環境(つまり暫定 Dynabook 環境)のなんたるかも知らずに、15年ほど前に Mac 賛美を Apple のプロパガンダに乗せられてさかんに書き立てた Mac 系ライターですね(笑)。あ、俺もか(^_^;)。実際、著名な Mac 系ライターに Dynabook は何か?と尋ねても、Smalltalk 環境と絡めて具体的なところを即答できる人は皆無に近いと思います。それは、Mac 業界において Squeak 環境の取り上げられかたが薄いのと同じ理由です。
Apple がオリジナルと称するものの多くは、そもそもそれが作られた背景(あるいは作らざるを得なかった事情)なくして成立っていたか否かについて疑わしいものが多々あります。Finder のデスクトップメタファ(ゴミ箱)にしても、ファイルやボリュームのアイコン表示、ウインドウに組み込まれた各種機能(タイトルバーによるドラッグ、クローズボックス、サイズボックスなど、スクロールバーを除くすべて)、メニューバー、プルダウンメニューなどにしても、すでに“悪しき”ファイルシステムから隔離された世界を作り上げていた Smalltalk 環境からの後退(つまりファイルシステムの要素を GUI とマッチさせるための方便)、3ボタンの役割りを1ボタンに集約するための苦肉の策(つまり中ボタン=今の右ボタン、右ボタン=ウインドウ操作専用の廃止を埋めるためのアイデア)ととることも可能です。
Mac にもすばらしい部分が多々あります。しかし、暫定 Dynabook 環境を知らずにそれを語ろうとすることはMac を知らずに Windows 賛美をするのと同等かそれ以上に非常に危険な行為であることを Mac ファン、Apple ファンは認識すべきだと Squeak をいじりはじめて思うようになりました。
余談ですが、Mac ユーザーは Windows をよく真似だといいますが、ゲイツも実は Smalltalk 環境大好き人間で(笑)、よく研究しているのですよ。右ボタンメニューは、Mac の頭越しに Smalltalk 環境(ここでは中ボタン)から採用した有益な機能のひとつでしょう。また同時に Microsoft は“Mac らしさ”についても、Apple を越える理解を示すことがあって驚かされることがありました。タイトルバーのダブルクリックによるウインドウのズームは、初期の Microsoft の Mac 向け製品に備えられた機能です。「なぜ Apple はこの機能を最初から入れなかったのか?」と当時、とても不思議に思った記憶がいまも鮮明に残っています。いずれの機能も、後に、Apple は呼称や形をかえて Mac OS に取り込んでいます。
Re:忘れないで・・・ (スコア:1)
とっつきやすくて、プログラムに可能なことをさせるのに要する学習を最小限に抑えられるという点で、Macは最初の完成形だと思います。MacやLisaがSmallTalk、あるいはそれの持つポテンシャルと同等のものをインプリメントせず、違った方向で洗練させた事は事実ですが、それがMacなのだという気がします。
そういうことを考えてみると、HyperCardはSmallTalkの向いていた方向に近いものを感じます。その上で、Mac的なとっつきやすさをベースにして、複雑な部分を見せない、いいバランスだったなあ。クラスを設計すると言う難しさを省いたオブジェクト指向っていうか、簡易的なものですが、ポテンシャルは高かった。いかんせん時代に取り残されてしまいましたが。
Re:忘れないで・・・ (スコア:1)
さて、オブジェクト指向だの、Smalltalk だのいうとついついクラス設計がどうの、プログラミングがどうの…と難しいことになりがちですが、それらは重要ではあるものの(我々がプロのプログラマというのでなければ)本質ではありません。大切なのはオブジェクトたちに(と)どうやってコミュニケーションをさせるか(するか)、その結果、自分たちのしたいことをいかにスマートかつスムーズに彼らに具現化してもらうか、という姿勢を我々が持てるか、それをサポートするインフラが整備されているか、ということだと思います。
また、難しいことを隠すのはオブジェクト指向の基本で、Smalltalk の十八番と言えるでしょう。とかく世の中は(とくにメディアや専門家は(^_^;)) Smalltalk 環境を近寄りがたい崇高で仰々しいものとして捉えたがる傾向にあるようですが、本来は子供でも使える(これはこれで誤解を産みがちなのですが「子供でも使える」ことと「子供向き」とは同義ではありません)人に優しい、身近な環境なのです。
したがって Smalltalk 環境も Mac も、前者では内部構造が、後者では UI デザインが洗練され統一されていることを除けば(これらはそれぞれのユーザーにとっては宗教じみるほど欠くことのできない要素であることをあえて無視すれば(^_^;))、両者になんら使用目的に変わるところはありません。マシンパワーの制約から Smalltalk の(開発環境ではなく)暫定 Dynabook 環境としてのメジャーデビューが、Mac から 15 年ほど遅れをとったことで、ユーザーのニーズやコンピュータにできることが多様化したこと、Squeak における子供向けプログラミング機構「SqueakToys」の過剰なフィーチャーのおかげで、分かりづらくはなっていますが…。
Smalltalk 環境が単なるプログラミング環境とかたづけられてしまう傾向は、XEROX の都合で汎用環境としての Dynabook 色を払拭し、いち開発環境としてのデビューを余儀なくされたその歴史を知らずとも、現在のコンピュータ環境の高機能さからすればはるかに見劣りする現状を鑑みて、仕方のないことかもしれません。実際、ぱっと見での Squeak 環境に備えられたツール群の少なさは、初代 Mac の頃の閑散とした状況を彷彿とさせます。
しかし今後、良質なオブジェクト(クラス)、つまり Mac でいうところのアプリが提供され充実するようになれば、我々エンドユーザーがクラス設計などに頭を悩ます必要もなくなるでしょう。文字通り HyperCard のボタンやフィールド感覚で、データやアプリ、そしてシステムそれ自身すらもハンドリングできるようになるはずです。善し悪しは別にして、ワードやエクセル、フォトショやイラレのようなツールも、マシンパワーのさらなる向上を見るようになれば、登場するかもしれません。
そしてもうひとつ非常に重要なことは、複雑なことも知りたいと思ったときに知ることができて、クラス設計(新しいオブジェクトの創造)やプログラミングも必要だと感じたときに簡単にできる、ということだと思います。暗にご指摘のとおり、それをしなければまともに使えない環境では困りますが、欲したときにできるようにしておくことはとても大切です。逆に Mac で課せられたこうしたことができないという制約は、ジョブズ的世界の善意の住人でいる限り、なかなか気付きにくいことだと思います。
しかし結局、HyperCard が廃れてしまった理由や、Apple が未だにユーザースクリプティング環境構築や恒久的なデベロッパ不足に四苦八苦している元凶はそうした“扉”を閉ざしてしまいがちな Apple の従来の姿勢にあるように思えてなりません。Smalltalk から改めて多くを学びその要素を取り入れた OS X では、同じ過ちを繰り返さないで欲しいと思います。
Re:忘れないで・・・ (スコア:1)
どこらへんの概念がAmigaに影響を与えているのでしょうか?
#AmigaのGUIの自由奔放さって、Macの対極ですよね。
#AltoのGUIを知らないので、なんとも言えませんが。
#
[tomoyu-n]
Re:忘れないで・・・ (スコア:1)
Amiga開発中のジェイ・マイナー(名前がその後を暗示)の元を
Mac開発中のジョブズが来訪したとかいう話しもありますし
MacがAltoの系譜ならAmigaが並んでもおかしくないでしょ?
THE GREATEST AMIGAと言う書籍では、ATARI STも
Altoの影響を受けたマシンとして名が上がっています。
AMIGA4000T(60/50)使い
Re:忘れないで・・・ (スコア:1)
でも、Windows 1.0って、タイリングウィンドウで、シングルタスクで、デスクトップメタファもなかった。今考えてみると、全然違うものだったのでは?
#あれ? Altoにはデスクトップメタファはあったの?
#GUIの進化の系譜をまとめた資料ってないのかな?
#
[tomoyu-n]
Re:忘れないで・・・ (スコア:1)
>#GUIの進化の系譜をまとめた資料ってないのかな?
このへん [toastytech.com]とかですかね。
Re:忘れないで・・・ (スコア:1)
だもんで、カラーが使える事の他、マルチタスクと言う点でもAmigaは結構うらやましかったです。
Re:忘れないで・・・ (スコア:0)
swicherやservan(たしか0.91)を使っていたのを思い出す。
私もなりたい (スコア:1, おもしろおかしい)
私もこの本に出てくるような伝説の人物になりたいのですが、取り急ぎ何から始めればよいでしょう?
Re:私もなりたい (スコア:0)