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渕一博氏、ご逝去 78

ストーリー by kazekiri
コンピュータパイオニア 部門より

saratoga曰く、"今朝の新聞の訃報欄で知りましたが、渕一博氏がお亡くなりになりました。「第5世代コンピュータ」以前のご業績については、不勉強にして存じませんが、AI・人工知能で大いに盛り上がったあの時代を知る者としては、それがまた歴史の1ページとして彼方に去って行くような感傷を禁じえません。ご冥福をお祈り申し上げます。"

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  • by funya (14942) on 2006年08月15日 13時34分 (#996811)
    だったんだよな。東工大にNECのスーパーコンピュータが入りそうになって、アメリカから横やりが入った時代さ。今は、もっと、陰でこそこそやるのがうまくなったから、あんな風に表立って逆風を受けるなんてのもなくなったけど。

    Intel, Google, MS の後追い研究をやるより、リスクを承知で数十年後のコンピュータサイエンスのまったく異なるパラダイムを追求するロマンがあって良い。

    でも、ここ15年のバブル崩壊で染み付いた、日本の失敗癖、貧乏根性では、もはや、次のビッグプロジェクトと主導することはできないだろう。

    最初で最後の通算主導のアカデミックなプロジェクトだったとも思う。その中心人物である渕氏、内田氏の死去に、日本の一つの時代の終わりを感じます。
    • >>日本の一つの時代の終わりを感じます。

      でしょうね。同感。

      現時点ではさしたる成果は確かに少ないですけど、単純にできない状態から、一応できないことを整理しようとした点はアカデミック的には先に繋がる話でしょう。人工知能系の研究は完全に迷走状態にしても、超高並列処理、自然言語処理などはこのプロジェクトでそれなりに進んでいるような気もしますし。

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    • 研究を主導したというよりは、
      既に敷かれたレールに沿って出し抜いただけの時代じゃない?
      その先に自力で敷いたレールがどうなったかは御存知のとおり。
      妨害工作の餌食になった面もあるけどさ。
  • シグマのようなどうしようもない失敗プロジェクトに比べれば、まだましじゃないかと。
  • by Anonymous Coward on 2006年08月15日 12時24分 (#996758)
    第五世代コンピューター [wikipedia.org]

    ほとんど大風呂敷ではあったが、当初はこの理想を人々は信じた。朝日新聞などのマスコミは大々的に取り上げた。おかげで莫大な資金が投入され、日本でも最優秀の研究者が集結した。(各社は自社の最優秀の人材を提出した。)

    しかしながら、実際に大量の資金が投じられたあとで、この目標は実現困難であることが判明した。「考える機械」などはとうてい無理なのだ。このままでは目標達成の破綻が問題となる。そこで、大量の資金を得たあとで、目標はあっさり切り替えられた。すなわち、「並列処理マシンの開発」である。これならば、他にライバルがほとんどないので、どんなに小さな成果でも「大々的な成果です」と自賛することができるからだ。

    こうして方針転換がなされた。この時点で、「並列処理マシンの開発」という基本的で地味な目標を除いて、「考える機械」という当初の目標はほとんど雲散霧消した。(ただし、それを口実として集めた金だけは残った。)
    • by saitoh (10803) on 2006年08月15日 14時42分 (#996865)
      > しかしながら、実際に大量の資金が投じられたあとで、この目標は実現困難であることが判明した。

      実現困難であることは最初からわかってましたよ。

      10年たっても実現しないくらい困難な課題であること  
      (すぐ実現してしまうようなちゃちなテーマは×)
      何かしらの成果は着実に出ること  
      (困難すぎてまったく成果が出ないのも×)
      という、制約を両方満たす、良い研究テーマだという評価でした。

      「これで研究者は10年喰えるヨナ」と、外野からやっかみ90%で言ってただけですが。

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    • 彼方に去って行ったほうが嬉しい人も多いんでしょうね.

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    • 風呂敷でカネが取れることを証明してくれたのが貴重でしたね。
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    • 中村正三郎のホットコーナーで8月10日に取り上げられていた [asahi-net.or.jp]ばかりだったので、新聞の訃報を見て私もびっくりしました。

      渕さんの真意がどこにあったか今となっては分かりませんが、日本の大変不得手とする優秀な人材の育成という面では、大変成果があがったと信じたい。

      # ところで「渕」が正しいと思うのですが、Wikipedia [wikipedia.org]では「淵」ですねぇ?
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    • 第5世代コンピュータのことを知ったのは小学生のころでした。
      しかし、子供心にさえ、第1~第4世代がハードウェアの進歩なのに、
      第5世代になるととたんに毛色が変わってしまうのは、我田引水
      というか、自分のプロジェクトの位置づけを、コンピュータの
      進歩の歴史全体にあてはめることによって、壮大なものに見せ
      かけようとする意図が、見て取れたものでした。
    • by Anonymous Coward
      そういう風に、手口は多少あざとくても、地味な目標につぎ込める資金をぶんどって来られる人っていないよねぇ。
      #一歩間違えば詐欺なのは確かだけどさ
      • ありますね (スコア:0, オフトピック)

        ミサイル防衛構想なんてトンデモ&予算ぶんどりですが。

        実績としても命中先が分かっているテストでも低い命中率でSDIとどっこいどっこいの思想でしょう。
        防衛予算を確保して推し進めるにはどうかと思いますが。

        戦略的にはダミーのミサイルを撃つなり、時間をおいて撃つなりするととたんに迎撃側は弾切れになります。

        大体、迎撃時に外れた弾頭ってどうするんだか・・・。
        • オフトピ (スコア:0, オフトピック)

          by Anonymous Coward
          それでも、ノーガードで、相手にやられたいほうだいやられるよりはマシでしょう。
          日本というお国柄、ミサイルを配備するのは微妙ですし、他に選択肢がない気がしますが。
          • Re:オフトピ (スコア:0, オフトピック)

            by Anonymous Coward
            いやいや、犯人がはっきりしている場合、ノーガードこそが最強であることを kakaku.com や ACCS 事件が証明してしまったのではないか?

            敢えてズレたボケをかましているのでAC
            • Re:オフトピ (スコア:0, オフトピック)

              by Anonymous Coward
              ACCS事件では、実はoffice氏自身も、ノーガード戦法で個人情報を流出させているんですよね。
              しかし、その結果、損害賠償を請求されましたよ。
              ASKACCS [askaccs.ne.jp]に、和解が成立したって出てますね。
              和解の内容は知りませんが、ノーガード戦法が失敗したと言って良いと思います。
      • by Anonymous Coward
        最近の例 [itmedia.co.jp]
        まだ他にもいっぱいあるがな
    • by Anonymous Coward
      Wikipediaらしい、風評だけで構成された記事ですね。当時の実態を知る人が書いたとは思えないところが、すごく厨房っぽいです。
      • by wildcard (416) on 2006年08月15日 13時56分 (#996827)
        >Wikipediaらしい、風評だけで構成された記事
        >当時の実態を知る人が書いたとは思えない

        では言いだしっぺの法則で、当時の実態を知る人として、Wikipediaの当該記事を書き直してください。
        茶化しではなくマジで。
        実態を知っている人が文書化する努力を怠れば後にはなにも残りませんよ?
        親コメント
      • じゃあ当時の実態を書いてください。
        逃げないでね。
  • by Anonymous Coward on 2006年08月15日 13時30分 (#996809)
    10年と570億円をかけた第五世代コンピュータプロジェクトは、学術振興と人材育成に寄与しただけで、他に目立った成果はなかったということだけど、これで育って世界的な成果を後に出した人って誰がいるんでしょうか。

    それとも570億円をドブに捨てただけで終わったの?
    • by funya (14942) on 2006年08月15日 15時05分 (#996887)
      プロジェクトの終わりの方では、遺伝子データベースとかもやっていたので、そっちの方では成果が出て、繋がってはいます。自動定理証明の分野で、群論の定理を証明したとかもあったな。

      並列計算機は一応作って、当時最速の推論エンジンは作ったわけだから、そういう意味ではプロジェクト的には成功なんでしょ? Multi PSIとかは、ある意味で、今のPCクラスタ的な構成を先駆けて作っていたといえなくもない。まぁ、その手のことを宣伝するのも、評価するのも日本人はやらないけどね。

      博士とか大学の先生はたくさん作ったし。

      じゃぁ、何が失敗だったかと言えば、いろいろ手がけたエキスパートシステム(法律とか、医学とか、生物学とか...)が外れだったかな。古典的AIの方向性には限界があるんだってのを割と早めに示したマイナスの成果を指摘する人は多いが。また、流行ることもあるかも知れない。しょせんは流行廃りだし。

      Prolog とか Concurrent Prolog とかの難し過ぎるプログラミング言語を選択したのも失敗だったかも。もっとも、そういうコアになるものがないとプロジェクトにはならなかったわけだが。
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    • 大学の学科などで「知能」がつくところは第五世代コンピュータの縁者が多いらしいです。それらの学科から輩出された人材が色々頑張っているわけですから、間接的(直接第五世代コンピュータに携わらなくても)にはたくさんいるのではないでしょうか。

      #例えば東北大工学部・機械知能系は単に機械系でいいのに知能がついているのは、当時はその方が予算が取りやすかったと聞きます。

      もちろん、知能なんとか学科ができなくても別の学科を卒業したでしょうが、いまとは別の研究をやっている可能性もあります。

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    • むしろ逆で、これをやっていた間に国内のソフトウェア産業は、米国に対して致命的に遅れが出た。
      コンピュータサイエンスの学科に、満足にオブジェクト指向を教えられる教官も居ない状態が続く結果に。
      • 日本のコンピューターサイエンスの世界的レベルは、他の分野と比べてほとんど底辺 [in-cites.com]です。

        インパクトの低さは目を覆うものがあり、経済学に辛うじて勝手いるものの、どん底です。

        このスレの趣旨のお方は、こうなってしまった原因の一人ですかな?
  • by Anonymous Coward on 2006年08月15日 15時21分 (#996905)
    工学的発想で、巨大プロジェクトにすればなんとかなるという考えだったんでしょうね。しかし、ハードウェア(並列計算機)は巨大プロジェクトで作れても、革新的なソフトウェアは個人の自由な発想から出るということが歴史的に示されているような気がします。

    日本の計算機関係は伝統的に完全に工学部内にあって、日本人の共同作業好きもあって、新しい原理的研究をするよりも、技術的問題をコチョコチョと解決していくプロジェクト的研究ばかりになってますね。

    日本のチューリングは当分出そうにないですね。
    • by mew (23987) on 2006年08月15日 16時21分 (#996949)
      革新的なソフトウェアは個人の自由な発想から出るいうことが歴史的に示されている、ということには直ちには同意いたしかねますが、開発にあたっての小回りの利きやすさが革新の重要な母胎の一つなのだとすれば、確かに個人のほうがやりやすそうだなという感じはします。

      けど、第五世代コンピュータに相当する革新は、革新に向いているはずの個人の間からも未だ生まれていない。これは、現在はそれがまだ本当には要求されていないからだと思うのです。

      想定され得る答えを十分な数だけ、及びその答えの群から想定をはみ出させないようにする制約…シナリオを十分な数だけ予め用意して、あとはそのシナリオの上だけで行動させるようにする「紙芝居の倉庫」で実用上困らないなら、いちいち「考え」させても得られる結果は「人間にとって」頓珍漢なものとなる可能性が常にある「考える機械」は必要ないですよね。
      補助記憶装置の大容量化と廉価化がとんでもない勢いで進み、その勢いで前者の方法での対応可能範囲も広がっているこの現状では、リスクを承知で敢えて後者を採る必要性は、個人のレベルではまだないのでしょう。それが、第五世代コンピュータに相当する革新が未だ個人の間からも生まれない一つの原因と思います。

      もしこの状況が破れるときがくれば、そのときこそ革新が生まれるのかもかもしれませんね。

      エロゲはネットダウンロードも含めた総容量がDVD1枚に収まるように、それ以上は製造も販売も所持も非合法とかすれば、その革新が個人の間から生まれる日はそう遠くないかも。
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      • by Anonymous Coward on 2006年08月15日 16時29分 (#996951)
        「第五世代コンピュータに相当する革新」とは「考える機械」のことかと思いますが、それが出てこない理由が「本当には要求されていないから」とは、お笑いです。日本の情報系研究者はそういう馬鹿げた言い訳を互いにしあっているのでしょうか。

        真実は、「どうしたら作れるのか見当もつかない」というところでしょう。その「見当をつける」ところが天才の出現を待つところなのです。見当さえついてしまえば、あとは大型プロジェクトでも出来るでしょうが。
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        • 私は研究者でも何でもありません。ただの Nerd です。なので、私が哂われるのは別に構いませんが、最初の段落の最後の一文は、情報系研究者の皆様に申し訳ありませんので、どうか取り下げていただきたく。

          天才と呼ばれるだろう人が待たれているきっかけを見つけたとしても、必要性・重要性を認識できていなければ、その人が見つけたきっかけを待たれている形に整形して世に問うてくれるということに、どれほどの期待ができるものでしょう。
          なんの訓練もしていないねこが人間にとって金目のものを合法的に拾って咥えて持って帰ってくることを期待する程度にしか、期待できますまい。

          そういう意味で、「第五世代への到達には天才を待たなきゃねー」という言い訳のほうが、私にとってはお笑い草に思えます。でもさすがに、本職の研究者の方々はそんな言い訳を互いに言い合ったりはしてはいないでしょう。そこは信頼して良いのではと思います。期待ですけれどね。
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  • by ncube2 (2864) on 2006年08月15日 16時25分 (#996950)
    やはり「○○年ローン」のあの方なのでせうか。
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長期的な見通しやビジョンはあえて持たないようにしてる -- Linus Torvalds

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