5年ほど続くアルツハイマー病治療薬開発の連戦連敗、アミロイドベータ仮説は誤りか? 18
ストーリー by hylom
なかなかうまくは行かなかったか 部門より
なかなかうまくは行かなかったか 部門より
バイオジェンとエーザイが共同開発していたアルツハイマー病向けの新薬について、両社が安全性を評価する臨床第III相国際共同試験を中止したと発表している。主要評価項目を達成できる見込みが低いとの判断。
今回の臨床試験の対象は「アデュカヌマブ」という化合物で、これがアルツハイマーの進行を抑える世界初の薬になると期待されていた(Yahoo!ニュース、市況かぶ全力2買建)。
2016年にNature誌に掲載された論文ではアデュカヌマブにアルツハイマー病の原因とされているアミロイドβを減らす効果があるというデータが示されていたが、臨床試験ではその効果が確認できなかったようだ。
異常なタウが必要 (スコア:2)
異常なタウが蓄積して診断基準を満たす認知障害が完成する(第二段階)
アイソフォーム:蛋白質の種類のこと。ヒトのタウ蛋白質には6つのアイソフォームがある。本研究によりネコでも同じアイソフォームが検出された。 [srad.jp]
ヒトではタウが役割があり、イヌやマウスのモデルではタウが無いので再現できていない。タウを標的とした治療 [neurology-jp.org]の検討が中心になるだろう。
第三相試験 (スコア:1)
Phase III なのに「安全性を評価する」って変だと思ってリンク先を見たところ、「アデュカヌマブの有効性、安全性を評価する臨床第III相国際共同試験」とありましたよ。引用は正確に。
なんで仮説が誤りなの? (スコア:0)
アミロイド仮説における原因物質を減らすことが出来なかっただけなのに、なんで仮説そのものが誤りとなるのか不思議だ。
アミロイドの蓄積に成功したのにアルツハイマー病を発症したとかなら理屈が分かるんだが・・・
Re:なんで仮説が誤りなの? (スコア:1)
少なくともエーザイはそう思ってない。 [nikkei.com]
エーザイ、別の認知症薬に望みつなぐ 最終治験を開始
エーザイはこれまでBAN2401をはじめ、「エレンベセスタット」「アデュカヌマブ」という3つの認知症薬候補の治験を進めてきた。
いずれも原因物質とされる脳内のたんぱく質「アミロイドベータ(Aβ)」を標的としているが、
薬によって狙う蓄積度合いが異なる。BAN2401はAβが脳に沈着する前の集合体を、エレンベセスタットは発生段階を、
アデュカヌマブは沈着する直前や沈着後を狙う。
このうち最も先行するアデュカヌマブは第3相治験に入っていたが、十分な治療効果を証明できない見通しが強まったとして、
21日に開発中止を発表した。
アミロイド仮説自体を疑っているなら、同じ仮説に基づいて設計された残りの2薬についても、
このまま実験を続けるかどうか検討に入るはず。
「誤り」云々は、この記事 [yahoo.co.jp]書いた記者の私見でしょ。
Re: (スコア:0)
「誤り」云々は、この記事 [yahoo.co.jp]書いた記者の私見でしょ。
2017.11.01の記事で、Aβは誤りと明言する研究者がいると書かれている記事があるね。
アルツハイマー病のアミロイドβ仮説は死んだのか?
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/btomail/17/10/30/00322/ [nikkeibp.co.jp]
Re: (スコア:0)
今回のエーザイの失敗をもってして、Aβ仮説の誤りにつなげようとするような筋の通らない話の組み立ては、
その記者の考えじゃないの?
Re: (スコア:0)
大昔からタウが原因だと主張する派閥がいたけど、研究の進歩によりアミロイドβが原因だとする証拠が積みあがってきて、今ではタウは神経細胞死の過程で起こる2次的なものだと考えるのが主流ですね。
Re: (スコア:0)
書き間違えた。
正)アミロイド蓄積の阻害に成功したのに
誤)アミロイドの蓄積に成功したのに
Re:なんで仮説が誤りなの? (スコア:2)
これだけアミロイドβ仮説に基づいた治療薬候補が頓挫するのは、そもそもアミロイドβ仮説が間違っているのではないか?・・・と言う仮説に基づいた意見みたいだね。
他にも原因候補があるし(Aβ仮説を含めて)複合した病因があるのでは、と言う話もあるよね。
まだまだ判らないことだらけなのだから、研究が進むことを待つしかないねぇ。
Re:なんで仮説が誤りなの? (スコア:2, 興味深い)
いままで行われてきたアミロイド仮説に基づいた治験は、十分にアミロイドβを減少させられなかったか、あるいは、治療開始時点で既に手遅れなまで神経細胞死が起きていたからだと言われているね。アミロイドβの蓄積は認知症の症状が現れるよりも10年とか20年も前から始まっていることが分かっている。そして、アミロイドβが蓄積したからといって死ぬまでの期間に必ず認知症を発症するとは限らない。(むしろ一部の人しか発症しない。・・けど強い相関はある。)
アミロイドβ蓄積を抑える薬は発症するかどうか分からない時期から飲み始めなければならず、コストや副作用の懸念を考慮するとなかなか難しい。
だが、様々な実験事実や統計的事実から、アミロイドβが認知症の原因であることはほとんどの人が認めており、それを阻止できれば認知症は減らせると考えている。が、有効な手段がなかなか見つからない(←いまここ)
Re: (スコア:0)
だから、蓄積を阻害したら別の症状が表面化したりして・・・。
Re: (スコア:0)
実は可溶性のアミロイドβオリゴマーに毒性があり、さらに集積して蓄積することで不溶性になり実行濃度が下がった方が毒性が少ないという話はありますね。
だから、そもそもアミロイドβを産生させなくしたり、蓄積したものを除去したりすることは治療戦略上問題ないことになってる。
Re: (スコア:0)
スレッド元の記事が誤解を招く文章なのであれですがアデュカヌマブもAβを減らすという
臨床結果は出てまして有意な結果が得られなかったのは認知症のスコア改善あるいはスコア悪化を
食い止めることの方です。
>アミロイドβが認知症の原因であることはほとんどの人が認めており
現在でもAβ原因説は有力ではありますが、アデュカヌマブなどAβ標的薬で
期待されたAβの減少という結果が得られているにも関わらず認知症の悪化を
食い止める結果が得られないことからAβの蓄積は結果であって原因ではない
かもしれないという指摘は出てきてます。
Aβ標的薬が期待されたとおりに機能しているのだからもしAβが原因なら
少なくとも認知症の悪化を食い止めるか緩やかになるはずなのに
その点についてはっきりと有意といえる結果が得られていからです。
Re: (スコア:0)
蓄積したAβが原因なのではなく、Aβの産生やその副産物、 またはAβオリゴマーが原因である可能性があり、蓄積したAβを減らしても改善しなかったからといってAβが原因ではないとは言えないようです。
Re: (スコア:0)
脳だけインスリン抵抗性を持つ脳だけ糖尿病みたいな状態になってるんだ、とか、歯科治療してやると良くなるんだ、とかいろいろあるみたいですね。
Re: (スコア:0)
「抗体薬は,期待通り老人斑を消したにもかかわらず,症状を改善しなかった。この報告は,当時世界的に盛り上がっていたアミロイドβを減少させる試みに,冷や水を浴びせることになった」
http://www.nikkei-science.com/?p=55594 [nikkei-science.com]
「40年におよぶ原因探索に出口が見えず,研究は治療から発症抑制へ」
Re: (スコア:0)
だから、当初の被験者は重度なアルツハイマー病患者が対象だったから、神経細胞死が進行しすぎていて、いまさらアミロイドβを減らしても改善しなかったと解釈されている。神経細胞は分裂や新規に増えたりしないからです。
アミロイドβ阻害薬は認知症進行を抑制せず (スコア:0)
#このスレッドには「何としてもアミロイドβが原因」としたい人が一人だけいるように見える
#記者一人の思い込みとか、投与時期が遅すぎただけとか
「アミロイドβ阻害薬は認知症進行を抑制せず」(5/10の記事)
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/201905/560788.html [nikkeibp.co.jp]
・投与タイミングが遅かった可能性を考え、AD診断される前の人たちを対象にランダム化比較実験。
(認知症基準を満たさないが、記憶低下に自覚のある人等)
・被験者の脳脊髄液中のアミロイドβレベルを60%超減じる効果を確認したにもかかわらず、
・プラセボ群以上に海馬が収縮
・104週間の追跡で認知症スコアを改善することはできなかった
・アルツハイマー病の前駆症状がある患者にベルベセスタットを投与しても、認知症の機能評価を改善することはできなかったと結論(これ以上の試験は無意味と結論し、3年の計画を2年で終了)