Pravdaの日記: 「なんの唐突もなく」とは? 4
ブログ「あんたジャージでどこ行くの」 [seesaa.net] の記事、言葉の異常な誤用 より。
今日おどろいた事。
「なんの唐突もなく」という日本語表現の存在。
・なんの唐突もなく - Google 検索
こんなめちゃくちゃな誤用がこんなにも広まっているとは知らなかった。
うおっ、これは気持ち悪い…。前のエントリ [srad.jp] に書いた「~を存知ですか?」「~も存知ですよね」も、かなり気持ち悪いですけど。
もちろん、私は日本語の正誤を決める立場なんかじゃありません。日本語はその話者および書き手みんなのものです。しかし私も日本語ユーザの一人として、過去に用例が無く慣例に反する言葉の使い方に対し「気持ち悪い」と意見を表明するくらいは許されると思います。
このブログ主さんは、他に「閑話休題」と「所謂」をあげてますが、「閑話休題」は話の興がのって脱線しかかるのを元に戻す際に使う言葉で、「それはさておき」と置き換えられなければ誤用です。従って、文の最後に「閑話休題」があるのはオカシイ。
「所謂」は、「しょせん」と読ませるのか「いわゆる」と読ませるのかで微妙に意味が異なってきますので、〔訂正:「所謂」の読みは「いわゆる」のみで、「しょせん」は「所詮」〕ひらがなで書いた方が無難ですね。無理に漢字で書くことはないです。「所謂一つの」じゃあ、ほとんど長嶋茂雄ですよ。戦前みたく「漢字をたくさん使った文章の方が偉く見える」などと考える人が今でも多いのだろうか?(そう思ってた時期が、俺にもありました…。orz)
あと、時々見かけるのは「姑息」の誤用で、本来は「その場しのぎ」という意味で、「卑怯」という意味はありません。
しかし、中国文学者の高島俊男氏や、東洋史学の泰斗・宮崎市定氏の著作って、けっこう漢字をかなに開いているんですよね。ひごろ漢字文ばかり読んでいる人にそういう傾向があるのは興味深い。まあ、高島先生や宮崎先生レベルになると、「学がないと思われたらどうしよう」なんて心配する必要など全く無いのですけど。
文例 (スコア:1)
「おはようございます」
と挨拶されたのでおれは「あ、おはようございます」となんの唐突もなく返した。
Re:文例 (スコア:1)
googleにて "なんの唐突もなく" で検索すると、
用例1:なんの唐突もなく壊れ、コンセント差し込んでも起動しない
用例2:夏あたりになんの唐突もなく異常な心臓の速さになって息苦しくなる
用例3:『ラブひな』 でやってたなんの唐突もなくパンチラな展開を全部魔法のせいに
などと「なんの唐突もなく」は、どうやら「いきなり」「突然」という意味で使われているようです。
『広辞苑 第二版』で「唐突」を引くと、 とありますから、この語義に従えば、「なんの唐突もなく」は「いきなり」の意味になりませんね。
一方、『新明解国語辞典 第四版』での「唐突」の意味は、 と書かれており、この語義を拡大解釈して「予期」「予兆」とすれば、「なんの唐突もなく」は「なんのきざしもなく」となり、だいぶ「いきなり」「突然」に近づいてきます。
しかし、「唐突」は通常「唐突な」あるいは「唐突に」と使われ、一般的な用法ではその後に否定が来るケースはあまり無いと思うので、やはり「なんの唐突もなく」は変な感じがします。
「何の変哲もなく」あたりと混同したのでしょうが (スコア:0)
Re:「何の変哲もなく」あたりと混同したのでしょうが (スコア:1)
ホントですね、フレーズにしたらgoogleで36件しか引っかかりませんでした。^^:
しかし、引っかかった所を眺めていたら、小説投稿サイトの過去ログを発見しました。いくら「初心者のための」とカンムリが付いているにしても、これはちょっと恥ずかしいかも。(あまり他人のことは言えませんが…。)
http://aurasoul.vis.ne.jp/_sst/5015.html [vis.ne.jp]