taggaの日記: 念のために2つの封筒問題を数式で説明しなおしておく 17
2つの封筒問題の日記 を念のためにもう少し丁寧に説明しなおしておく (深くなると、あとで思い出して検索するとき、めんどいねん)。 ついでだが、そこに貼っておいた Google Appsの表計算によるシミュレーション(手抜き)。
2つのパターンがある。上がオリジナルの未開封型。下が開封型。
- 2つの区別できない封筒があり、片方にはもう片方の倍の金額が入っている。 開封前に一度だけ交換できる約束のとき、交換した方が得か。
- 2つの区別できない封筒があり、片方にはもう片方の倍の金額が入っている。 開封後に一度だけ交換できる約束のとき、X円入っていた。交換した方が得か。
未開封型から説明しておく。 なお、説明の流れの都合上、計算を最適化していない。
胴元が入れる金額が x円である確率を p(x)とする。
選んだ封筒にX円が入っているとき、交換したばあいの得の期待値は、 ((X/2-X)p(3X/2)+(2X-X)p(3X))/(p(3X/2)+p(3X)) =(-(X/2)p(3X/2)+Xp(3X))/(p(3X/2)+p(3X))。...... (*)
X/2円か2X円の2択なので等確率と素朴に思ってしまう人がいるが、 それはp(3X/2)=p(3X) ということなので、期待値 +X/4 になってしまう。 そこで、交換した方が得と考えてしまう。これが、最初の引っ掛けである。
しかし、実際には確率関数 p(x)が未知なので、 これの正負は不明である。
封筒のX円は仮だったので、得の期待値はこれの平均を取ることになる。
Σ(p(3X/2)+p(3X))/2 * (-(X/2)p(3X/2)+Xp(3X))/(p(3X/2)+p(3X)) = Σ(-(X/2)p(3X/2)+Xp(3X))/2 = Σ(-Yp(3Y)+Xp(3X))/2 (ただし、Y=X/2)。
前項と後項が順番が変わるけどキャンセルしてなくなるか、 p(x)がもともと0なので、 任意の確率分布において、 期待値は0円となる。
これの意味するところは、 胴元がケチでもお大尽でも無関係に、得の期待値が0円ということである。 ケチ、お大尽、みんな均した結果で期待値が0円になるのではないことに 注意されたい。
次に、開封型である。
開封してX円のばあいに交換したときの得の期待値は、 すでに計算ずみの (*) である。
つまり、p(x)が不明なので、数学的にはこれ以上どうしようもない、不定の問題になる。
胴元がケチで p(3X)=0 と知っていれば、期待値は -X/2だし、 お大尽でp(3X/2)=0 と知っていれば、期待値は X。 コイントスで 3Xか3X/2かを決めているのを 知っていれば、期待値は +X/4。 だけれども、p(x) が分からないので、 如何ともしがたい。
なお、ざっくりと検索した範囲で、 開封型をいちばんきちんと説明しているのは、 西三サークルにある瀬山士郎先生の解説である。
あとは、愚痴。
このばあいに、 p(3X/2)=p(3X)と思い込んだ 解説がいくつかある。 校閲を潜り抜けて出版もされているらしい。 論理が成立していないので意味不明となり推測するしかないのであるが、 どうも胴元がケチ、お大尽、あれこれのばあいを均すことができると 考えているのものもあるようだ。 その結果を半々と考えてしまうのは、バイアスのせいとはいえ、うーん。 もちろん、経験的なデータが必要なので、 数学だけでは、そこまで行くことはできない。 仮にできたとしても(*)に均した確率を入れられるとは限らないのだけど。
さらに任意のX で p(3X/2)=p(3X) だと、 「範囲のない一様分布」という怪物を呼びこむことも理解できてない模様。 逆にこれから問題が成立していないという論法のもあって、 どうしたものなのだろう。
つか、開けて金額を確認するだけで、 それが任意の値でも期待値が25%増えるから交換する予定なら、 いつでも交換なので、 最初から別の方を選べばいいよね。 現実的に可能な分布だと、 金額が増えてくると確率減るので、胴元と読みあいだ、 みたいな方向になるはずなのに。
意志決定論の話にしたいにしても、のっけの確率の初歩が何だと何だよねえ。
全然わからないけど (スコア:2)
開封型ならxが奇数だったら交換します
Re:全然わからないけど (スコア:1)
すばどう
Re:全然わからないけど (スコア:1)
それ読んで思いついたんだけど、日本円の紙幣または硬貨なら、重さで判断可能な気がします。
開封して中に入った金額X円を元に、「2X円になる紙幣硬貨のパターン」と「X/2円になる紙幣硬貨のパターン」それぞれのありえる重さの組み合わせと、今開封した封筒の重さ(を元に算出した空封筒の重さ)、未開封封筒の重さから判断。
それどころか、未開封の状態でも、「空封筒の重さをyとして」金額が2倍になる二つの重さのパターンから、それぞれの金額をほぼ特定できそうな気も。
(ほぼ)判別不可能(二つの封筒の重さがほぼ同じ)なのは、5千円×n枚/1万円×n枚パターンと、2千円×n枚/千円×n枚パターン ぐらいだと思います。その場合、千円札か5千円札なら交換。
Re:全然わからないけど (スコア:1)
それじゃ「区別できない」の前提を満たさない。
現金化可能な何かや権利書、あるいは単にダミーウェイトが入っているのでは。
昔からあるネタ (スコア:0)
明日の朝、朝日が昇るかどうかは「昇るか」「昇らないか」の二通りなので、50% の確率。
そんなに難しい話なのかな? (スコア:0)
どちらのパターンも、x円の入った封筒と、2x円の入った封筒があるとすると、最初にx円の封筒を引いたときには交換することでx円の得になる。一方、最初に2x円の封筒を引いたときには交換することでx円の損となる。確率はどちらも1/2だから損得の期待値は0円。見ても見なくても、4x円の入った封筒の出る確率はないのだから、それを考える必要はない。
ただし、金額を見て、x円を引いたのか、2x円を引いたのかを1/2より高い確率で当てられるのであれば、交換する、しないを決定することに意味がある。つまり、x円を引いた場合には1/2より高い確率で交換することを選択でき、2x円を引いた場合には1/2よりも高い確率で交換しないことを選択できる。
引っ掛けなのは、具体的がある場合、例えば、10000円を引いた場合に交換した方が得か損かということだろうけど、もう一方に5000円が入っているか20000円が入っているかは確率の問題ではない。分からないだけで、10000円を引いた時点で決定している。
開封型の2封筒問題 (スコア:0)
「開封型」の2封筒問題の場合、確率は対称的だが金額が非対称なので、交換による期待値は非交換の期待値より高い。
ただし、その根拠は、金額が厳密に固定された場合に限る。
封筒の中にa円があった場合、この試行を、「自分に同じa円がきた」という無限回の試行のうちのランダムな一つと見なすことができる。
そのような準拠集団に自らを位置づけた場合、交換が得になる。
そのような位置づけが可能になるのは、交換ゲームをただ一度だけやる場合か、または、a円という同じ金額が来た場合にのみ交換ゲームが成立する、と決める場合か、いずれかである。
金額を固定せずに、今回はa円だったが次回はそうでないかもしれない、しかし何円であれこのゲームをしよう、という場合、平均して「交換が得」である場合と「交換が損」である場合とでは初期金額に2倍の差があるので、平均して、全回通じて交換した場合と全回通じて非交換である場合とを比べると、期待値に損得はない。
ちなみに、手元の封筒に1万円を見たケースであれば、
5000円と20000円のいずれも確率について対称的なので、
交換により12500円が期待できるという当たり前の結果になる。
Re: (スコア:0)
これが一番納得できた
わからない (スコア:0)
2つの封筒のうち、最初に安いほうを引いてる確率だから、交換したほうがいいかは金額に関係なく1/2では?
Re: (スコア:0)
ヒント:確率と期待値
Re: (スコア:0)
それはわかってると思うのですが、リンク先などでも説明されている封筒に入れる金額の用意の仕方で期待値が変わる、、という説明がよくわからないということです。
どういう経緯で用意されようが最初に選んだほうが安いか高いしかないので、結局1/2で計算するしかないように思った次第です。
2つの封筒問題に対する別解(というかインチキ解) (スコア:0)
無条件でお金がもらえるってんだから、より高い方が欲しいなんて
欲張らずにどっちでもいいから貰っとけ。
あるいは
ただゲームに参加しただけで無条件でお金がもらえるなんて怪しい。
この話には乗らないぞ。
更に別解(というかもはやネタ) (Re:2つの封筒問題に対する別解(というかインチキ解)) (スコア:0)
『片方の封筒にはもう片方の2倍の金額が入っているよ』
「(一方を開封して)…1円も入っていないじゃないか!」
『一方の封筒には0円、もう一方の封筒には0×2=0円、嘘は言っていない』
爆笑 (スコア:0)
開封型をいちばんきちんと説明しているという
西三サークルにある瀬山士郎先生の解説とやらを読みました。
>*** 他の封筒の金額が5000円であるか、2万円であるか、
> の確率は、1/2ずつとはかぎらない! ***
> 2つの封筒を用意し、お金を入れた人がどのような考えで、あるいは方法で
> 金額をきめたのか、という条件が欠落している。
いくら何でもこれは「思い込み病」でしょう。
コインを投げるとき、どのように投げたのかどのような方法で投げたのかわからないので表が出る確率も裏が出る確率もわからないとすべきだ、とでもいうのでしょうか?
単純に表も裏も確率1/2と当てはめることに何をためらうのでしょうか。
コイン投げで先後を決めるゲームとかやったことのない人なんですね。笑ってしまいます。
開封型の2封筒問題もコイン投げと全く同じシチュエーションです。
(もちろん、見た金額が厳密に固定された場合という大前提がありますけど。)
Re: (スコア:0)
本当にコイントスやったこと有ります?
サッカーの試合中継とかでも見れますが
コイントスは最初に両者がコインの裏表を確認します
これは、例えば両面表模様のコインを使うなどのいかさまが無いことを確認するためです
通常のコインであると確認して初めて、裏と表の確率が1/2 と考えることができます
コインを確認せずにコイントスに挑む人はタダの馬鹿でしょう
Re: (スコア:0)
>通常のコインであると確認して初めて、裏と表の確率が1/2 と考えることができます
>コインを確認せずにコイントスに挑む人はタダの馬鹿でしょう
馬鹿はあなたですね。
思い込みを捨ててよ~く考えてください。
インチキコインだとしても「コインを確認せずにコイントス」に挑んでも全く問題ありませんよ。
もちろん、コインを細工しなかった側が裏表を決めればの話。
私的まとめ (スコア:0)
開封型の場合
確率変数 U : 胴元が出した金額
確率変数 X : 開封した封筒の中身の金額
交換した場合の得 U-2X
X = x である時の条件付期待値
E[U - 2X | X = x] = Σ(u-2x)P(U = u, X = x)/P(X = x)
= (xP(U = 3x, X = x) - (x/2)P(U = 3x/2, X = x))/P(X = x)
封筒に区別がつかない仮定から
P(U = 3x, X = x) = P(U = 3x)/2
P(U = 3x/2, X = x) = P(U = 3x/2)/2
また、P(X = x) = P(U = 3x, X = x) + P(U = 3x/2, X = x) = (P(U = 3x) + P(U = 3x/2))/2
p(u) = P(U = u)と置いて書き直すと
E[U - 2X | X = x] = x(p(3x) - (1/2)p(3x/2))/(p(3x) + p(3x/2))
損得はUの確率分布による
未開封型の場合
単純な期待値
E[U - 2X] = Σ(u-2x)P(U = u, X = x)
= Σ((u-2u/3)P(U = u, X = u/3) + (u-4u/3)P(U = u, X = 2/3))
= Σ((u/3)P(U = u)/2 - (u/3)P(U = u)/2)
= 0
Uの確率分布にはよらずに0