赤ワイン頭痛の原因物質、解明されるか 22
頭痛の種 部門より
アルコールは大量に飲むと頭痛を引き起こすことが知られているが、赤ワインの場合は少量~適量でも頭痛を引き起こすことがある。この「Red Wine Headache (RWH、赤ワイン頭痛)」の原因としてカリフォルニア大学デイビス校などの研究グループが新しい仮説を提唱している (論文、 Ars Technica の記事)。
RWHの原因物質としては、赤ワインでの含有量が白ワインの10倍におよぶポリフェノール、特にフラボノイドが有力だが、ポリフェノールを含む食品で頭痛に結び付けられるものはない。ただし、赤ワインに含まれるフラボノイドの一つであるケルセチンについてはアルデヒド脱水素酵素 (ALDH) への影響を示す複数の研究が発表されており、ワインの発酵時にケルセチンが ALDH1 および ALDH2 を妨げるという報告もみられる。
そのため、研究グループではアルコールによる頭痛と結び付けられる ALDH2 の阻害について、ケルセチンなど赤ワインに含まれるポリフェノール/フラボノイドを試験管内で検証した。その結果、ケルセチンの代謝によって生成されるケルセチン-3-グルクロニドはケルセチン (IC50 = 25.50μM) よりも低い濃度で ALDH2 を阻害 (IC50 = 9.62μM) するが、臨床で用いられるジスルフィラム (IC50 = 1.45μM) ほど強力ではなかったとのこと。
適量 (およそ 148ml) の赤ワインを飲むと血漿中のケルセチン-3-グルクロニドは 5μM に達し、37% 近くの ALDH2 を阻害する。ALDH2 が阻害されてアルコールの代謝によるアセトアルデヒドが蓄積することで RWH が起きると予想されるが、この仮説を確認するには実際にヒトを被験者としてさらなる研究を行う必要があるとのことだ。