スター・トレックのファンムービー「Star Trek: Axanar」をめぐる著作権侵害裁判について、「Star Trek: Beyond」のエグゼクティブプロデューサーを務めたJ.J.エイブラムス氏は5月のファンイベントで、ファンムービーに対する訴訟は適切な対応ではないとの考えを示した。さらに、Star Trek: Beyondのジャスティン・リン監督が訴訟をやめるようスタジオに要請しており、
訴訟は数週間のうちに取り下げられるだろうとも述べていたが、
実際に取り下げられることはなく、訴訟は続いている(
裁判所文書: PDF、
TorrentFreakの記事、
Hollywood Reporterの記事、
TrekMovie.comの記事)。
被告のAxanar Productionsはクラウドファンディングで資金を調達し、クオリティの高い短編ファンムービー「Star Trek: Prelude to Axanar」を制作して注目を集めた。続いて長編「Star Trek: Axanar」を制作すべく再びクラウドファンディングで資金を調達している。しかし、CBS StudiosとParamount Picturesはこれらの作品を無許可の派生作品であるとして、作品の制作・公開中止や損害賠償などを求めて
昨年12月に提訴した。
訴訟は現在、証拠開示手続きの段階に入っており、原告・被告ともに相手方が持つ有利な証拠を引き出そうとしている。被告が原告に要求している証拠の中には、リン監督とCBSのやり取りの内容などエイブラムス氏の発言に関連する資料も含まれる。エイブラムス氏の発言は、スター・トレックのファンムービー制作が原告により許容および推奨されてきた歴史があると、被告が認識するに至った証拠にもなると被告は主張する。
これに対し、原告側弁護士はエイブラムス氏やリン監督と原告のやり取りは本件と無関係であるとして、そのような文書を用意するつもりはないとの見解を電子メールで被告側に通知していたという。9月29日に裁判所へ提出された文書で原告は、エイブラムス氏が複数のスター・トレック作品で監督やプロデューサーを務め、リン監督がStar Trek: Beyondを監督したといっても、2人が原告を代弁する立場にはないと述べている。また、原告側はAxanarの作品をファンムービーではなく、あくまで無許可の派生作品だと考えているようだ。さらに、CBSはエイブラムス氏やリン監督と訴訟の取り下げについてやり取りしたことはないとも主張している。
ちなみに、5月のファンイベントでは、リン監督がステージに呼びこまれる直前に、
「訴訟の話をアドリブで」といったプロンプトが出されていたとの話もある。