原子間の量子テレポーテーションに成功 108
小さな距離、大きな進歩 部門より
peketamin曰く、"ITmediaによれば、米国立標準技術研究所(NIST)のチームと、オーストリアのインスブルック大学のチームが、原子間で物理的特性の転送を行うことに成功したようです。アメリカのチームは2つのベリリウム原子を使い、オーストリアのチームでは2つのカルシウム原子を使ったそうです。
アインシュタインは量子テレポーテーションについて 「spooky (気味が悪い)」と言ったそうですが、この研究は量子コンピューターへの大きな1歩となるだろう、と米国立標準技術研究所のデビッド・J・ワインランド氏は述べているそうです。"
chiba-f曰く、"今までの実験では光子(光の粒子)を使って行われていたが,今回はそれより複雑な系である原子のペアで成功したことに意義がある.これにより量子コンピューティングの実現に一歩近付いたと考えられる.量子テレポーテーションでは量子エンタングルメントと言う特殊な関係にある二つの粒子を用いる.このふたつのうちの片方の粒子に第3の粒子を特殊な方法で作用させると,その粒子の状態がもう片方の粒子に瞬時に伝わると言うものである.このアイデアは,アインシュタインが量子力学への反論として発表した論文に現れる思考実験がもとになっている(=EPRパラドクス).現在は量子力学固有の現象として捉えられ,パラドクスとは考えられていない.両グループは独自の工夫を重ね、わずかな距離ながら原子の状態を約75%の正確さで別の場所へそっくり移すことに成功したという。量子コンピューティングについては,森北出版のページ「量子コンピューティング」- 量子コンピュータ実現へ向けて?? -が参考になる."
両方のチームの研究結果はNature 6月17日号にて発表されていて、オーストリアのチームの論文およびNatureの統括記事は装置の写真と共にインスブルック大の研究チームのページでも公開されている。
転送に失敗すると (スコア:3, おもしろおかしい)
テレポーテーションというよりも… (スコア:2)
SFで言うとエンダーシリーズのアンシブル通信の様な感じだろうか。
Re:テレポーテーションというよりも… (スコア:3, 参考になる)
Re:テレポーテーションというよりも… (スコア:1)
> ってことですけど、それが決まったからって何が
> できるっちゅうねん
いや、やっぱり長距離の通信に使えると思うんですけど。。
通信に使えても、因果律は壊れないってことですよね?
Re:テレポーテーションというよりも… (スコア:1)
無理です.
一番単純なSingletの1/2スピン対(両方のスピンが逆を向いて,
全体ではスピンがない状態)A-Bを考えます.
観測するまでは,AもBもどっちを向いているか分かりません.
例えば鉛直方向に対し測定して,Aがそちら方向にupであること
が確定したとします.この瞬間,Bは鉛直方向にdownであること
が確定します.
さて,ではこれが何か情報を送ったことになるでしょうか?
Bの粒子を鉛直方向に対し測定すると確かにdownとなります.
でもこれは,それ以前にAが測定されAがupであることが確定した
のか,それとも今Bを測定したからBのdownが確定したのか分かり
ません.ですから,Bの状態が決まってもそれは観測者に何の
情報も与えません.
では,Aが水平方向にupというのが決定した後に,Bを鉛直方向に
測ったら?この場合,Bの鉛直方向はランダムにupとdownをそれぞれ
1/2の確率でとります.でもこれもまた,Aを水平方向で観測したから
Bではup-downが半々なのか,Bを単独で測っているから半々なのかは
区別できません.
じゃあ,Aをupにするような測定をすれば,Bは必ずdownになるんだから
瞬時に情報を伝達できるはず?
・・・そんな測定手法はありません.
と言うわけで,Aを測定するとBは瞬時に決まりますが,だからと言って
Aの測定でB側に情報を送ることはできません.
#測定でAを任意の値にできれば別ですが,そのような測定はできない
#と言うのが量子論の基幹部分です.
Re:テレポーテーションというよりも… (スコア:1)
簡単にいうと、Aを観測するまでAの状態は分らない=任意の情報を乗せる事が出来ない
ので暗号キーとして使う事は出来ても、それそのものに情報を載せる事が出来ないんですね。
まだまだでしょう (スコア:1)
破壊読出し? (スコア:1)
Re:破壊読出し? (スコア:1)
実用的とは言いがたいんじゃないんですか?
Re:破壊読出し? (スコア:1)
例えば粒子の存在非存在で考えると、確実に存在している状態と
確実に存在していない状態を見わけることは簡単にできます。
この場合は観測してから確実に存在していれば存在している状態を作り、
存在していなければ存在していない状態を作ればコピーは完了します。
(一般的に言うと正規直交基底をなす状態は判別できます)
でも、確実に存在している状態と、5分5分の確率で存在している確率は
いかなる観測を用いても見わけることはできません。
これは直感的にもご理解いただけるかと思います。
ちなみにこの判別不能性と複製不可能性は深く関わっています。
判別可能であればご指摘のように複製を作ることができますし、
複製可能であれば複製を山のように作成して観測を
何度も何度も行えば大数の法則によりいずれ判別ができます。
# なんて書いてたら上に no-cloning theorem について書いてる方がいるな…
> 必然的に量子テレポートは起こりません。
はたぶん違ってまして、別に起こるけどコピーできるものは
転送する価値が無いんじゃないですかね。
でじゃぶ? (スコア:2, 参考になる)
と思って調べたら「100%確実な量子テレポーテーション [srad.jp]」ですね.
あちらは量子ですが、今回は原子で行ったとのことで、急速に
現実味が増してきましたねぇ.
やなぎ
字面じゃなく論旨を読もう。モデレートはそれからだ
Re:でじゃぶ? (スコア:1)
なんだか激しく誤解を招きそうな書き方な気がする。
間違ってはいないけどね。量子数持ってれば量子なんだろうけど。
で、テレポーテーションは量子数を移したと。量子力学的には
量子数が全く同じ量子は区別がつかないことになってるから、
まぁ、テレポーテーションと言っても問題ないって話よね。
Kiyotan
わけがわからないが (スコア:1, 興味深い)
将来的にこの原理でテレポーターが実現したりしますか?
#石の中にいる・・・
Re:わけがわからないが (スコア:4, 参考になる)
これは既知の物理法則に反したりはしてないんでしょうか?
実験は情報が二つの粒子の間で光速を超えて伝わったことを示しているので,作用は光速を超えて伝わらない(物理法則は局所的である)とする特殊相対性理論の要請と矛盾すると思われます.アインシュタインがこれをパラドクスと言ったのは,そういう意味です.(タレ込む時に書き忘れました.)ですが,実験でこの非局所的な現象が確認されてしまった(*)ので,現在はパラドクスとは考えられていないようです.一方,特殊相対性理論は多くの場合正しい予言をするので,この確認された量子力学の非局所性と特殊相対性理論を論理的にどう折り合いをつけるかが問題だと思うのですが,物理学者の方が現在どう考えているかは,不勉強で,存知ておりません.(素人なので,間違ったことを言っているかもしれません.)
(*)実験で最初に確認したのはフランスのアスペ(1982年)です.
Re:わけがわからないが (スコア:3, 参考になる)
Re:わけがわからないが (スコア:1)
Re:わけがわからないが (スコア:1)
量子論理とEPRパラドクス [hokudai.ac.jp].
同じくよくわからないが… (スコア:1, 参考になる)
と書いてあるので物理的にテレポートする訳じゃなく
ほげと言う物質がAとBの状態であったとして
ほげ1(状態A) ほげ2(状態B) のほげ1にほにゃららすると
ほげ1(状態A) ほげ2(状態A) になると言う事なのでしょうか?
要するに量子レベルで2進数の演算が出来そうだって事ですか?
#まったく判ってないのでAC
Re:同じくよくわからないが… (スコア:2, 参考になる)
僕も、話が難しすぎて、よく分かっていないが、
応用次第で、単純な2進数の演算よりも、もっと凄い使い方が出来るので、
それが理由で、量子コンピューティングは期待されているらしい。
http://eve.phys.s.u-tokyo.ac.jp/indexj.htm [u-tokyo.ac.jp]
http://www.morikita.co.jp/mokuji/8279.html [morikita.co.jp]
しかし、東大のページの方の文章表現は、ちょっと過剰に複雑/難解すぎる・・・。 もうすこし分かりやすい表現で、同じ内容を伝えられないもんかなぁ・・・。
Re:わけがわからないが (スコア:1)
アインシュタイン翁が反論していた時代が有ったということは、
むかし(その当時)の理論では、反しているかもしれないと思われていたが、
現在の最新の理論では、反して居ない(いなさそう)だと分かっている・・・。
ということだと思う。
あと、どんなことでも、物理法則には反しない。(そりゃそーだ!)
Re:わけがわからないが (スコア:1, 興味深い)
ようです。因果律ってのは有限の速度(光速)で原因から結果へと
伝わるってのがアインシュタインの考えみたいだし。
そもそも瞬時ってことは原因と結果が同時ってことだけど
離れた二点における同時性ってのは、慣性系(観測者)に依存する
ものであんまし物理的には意味がないってのは、相対論の基本的な
結果だし。
相対論でよくある宇宙船の真ん中から左右に光を放つのを
宇宙船の外からみるってシチュエーションをエンタグルられた光子に
応用するとどうなるかよくわかりません。
教えてください、えらい人たち。
観測方法 (スコア:1, 興味深い)
一体どうやって量子間で状態が移動した事を確認するん?
Re:観測方法 (スコア:2, 参考になる)
Re:観測方法 (スコア:1)
> より正確には測定を行うhermite operatorのeigenstateだと、
> wavefunctionは変化しないです。
どこにも「量子状態が固有状態だ」とは書いてないですよね。
自分で勝手な仮定(量子状態が固有状態)を述べて、
それに対する答え(波動関数は変化しない)を書いてるだけで、
ぜんぜんもとの質問の答えになってないと思うんですが。
#これを「参考になる」のモデしてる人って、ほんとに分かってるんだろうか。。
Re:観測方法 (スコア:1)
yes.
しかし、どこにも量子状態が固有状態でないとも書いてませんよね。
もとの文を引用すると、
> 量子は観測しようとすると状態が変わってしまう筈なのに
> 一体どうやって量子間で状態が移動した事を確認するん?
僕の主張は、「観測しようとすると状態が変わってしまうはず」という文章
は少なくとも嘘だということです。つまり、観測したら状態が必ず変化する訳ではないのです。
Re:観測方法 (スコア:2, 参考になる)
考えます.
Singlet状態では,二個の電子のスピンは必ず逆を向いています
ので,例えば鉛直方向に主軸を取って測定してAがupなら,Bは
鉛直方向に必ずdownになります.ただしこの場合,水平方向の
情報は測定により必ず失われます.
#逆に観測の主軸を例えば東西方向に取ると,そちらのup-down
#の組になりますが,南北方向および鉛直方向の情報は失われ
#ます.
ここで,3つのスピンA,B,Cを考えます.AとBはSingletであり,
それぞれがどちらを向いているかは分からない(正確には不定
であり,測定するまで決まっていない)ものの必ず逆を向いて
います.
ここでBとCとを相互作用させ,Bの状態をCに転送します.
#この際,必ずBの状態は破壊されます.
すると,テレポーテーションがうまくいっているのなら今度は
AとCは必ず逆を向いていることになります.
ですから,鉛直方向に測定してAがupなら必ずCはdown,逆に
AがdownならCはupになるはずです.
勿論,情報が転送できていなくても1/2の確率でAとCは逆向き
になりますが,多数回の測定を行えば,テレポーテーションが
うまくいっている場合のみAとCが逆に出る確率は1/2より有意に
大きくなるはずです.
話が難しすぎるので、 (スコア:1)
分かりやすく説明してくだちい!
光子の実験だったら、「同時に発生した光子のペア」を使うから、
門外漢でも感覚的に分かりやすかったけれど、
原子を丸ごと新しく発生させるのは無理だろうから、なぜペアになるのかが分からない。
今回の実験では、
「とある原子が(同時に)持つことが出来る複数の状態のうちの1つ」のエンタングルメント性を使ったということ?
ものすごく幼稚で単純な理解のしかたで言ったら、
3次元空間では、空間的距離が離れている状態に見えても、
3次元空間以外の系から見れば、くっついている。(というより、最初から最後まで同一。)
だから、状態が伝わる。(なぜなら同一なのだから伝わって当たり前。)
ということなのかな?? ワカラン。
Re:話が難しすぎるので、 (スコア:3, 参考になる)
量子もつれの説明。 [japan-telecom.co.jp]
アリスとボブ [ocn.ne.jp]
光速は超えられない。 [hi-ho.ne.jp]
以上のサイトを読んでなんとか理解できました。
すごく単純にしてみた (スコア:1, すばらしい洞察)
くじ引きで残った最後の番号を司会者が当てて
悟空がビックリするシーンに近い。
と思った。
#情報が伝わるっつか、そういうモンなだけかと
状態を伝えたあと第3の粒子は (スコア:1)
第3の粒子の状態がもとのままだと、転送というよりはコピーになるのかな。
コピーにはなりません (スコア:1)
これは量子力学の基本原理に反します。
/.configure;oddmake;oddmake install
Re:コピーにはなりません (スコア:1)
コピーできるんですね?
#いや、よくわからないんですけど。
--------------------------
そろそろ時間です。
Re:コピーにはなりません (スコア:1)
Re:状態を伝えたあと第3の粒子は (スコア:1)
コメントに突っ込むのも無粋ですけど
長い棒を伝わる張力とか圧力とか摩擦力とか、ってのは、
すべて電磁気力であるために、棒の一端から一端へ情報が
伝わるにはどうやったって3年かかりますよ。
たとえば棒をひねったとしても、そのひねりの変位が伝播するには
やはり光速の壁があります。
-- Tig3r on the hedge
アインシュタインが「気味が悪い」と言ったのは、 (スコア:1, 参考になる)
#彼が生きていた当時には、まだ量子テレポーテーションの話はなかったと思う。
計算機の駆動体 (スコア:1)
# リセットボタン以外で活躍して欲しいので ID
mobile ID portable_NoGood [slashdot.jp] 併用中
テレポートへの壁? (スコア:1)
原子はどうやって用意して、所定の位置に置くのかな?
予め主要な原子をどこかにプールしておくのかな?
それとも、エネルギーから物質を生成する??
それをSTMやSPMで1個ずつ並べるのですかね??
Re:テレポートへの壁? (スコア:1)
それは難しいので.
特に狙った物質を低エネルギーでトラップとなると・・・.
>予め主要な原子をどこかにプールしておくのかな
で,こっちです.
でも,
>それをSTMやSPMで1個ずつ並べるのですかね
ではありません.それやっちゃうと,基板に載ってる=基板と
相互作用がある,ですので,量子状態が崩れてしまいます.
と言うわけで,普通はイオンにして電場で閉じ込めます.
http://heart-c704.uibk.ac.at/paul_trap.html
http://www.boulder.nist.gov/timefreq/ion/qucomp/apparatus.htm
あたりとかどうでしょう.Paul trapとかで検索するのも良いかも.
Re:スタートレックに一歩近づいたってことでいいんで (スコア:2, 参考になる)
ここ [m-nomura.com]は、量子テレポーテーションの簡単な解説になっています。
Re:スタートレックに一歩近づいたってことでいいんで (スコア:1)
出現させたわけじゃなく、状態を伝えただけでしょ。
転送先にも同じ原子が同量存在していないといけないから、スタトレの転送みたいに一定距離の何処にでもってわけにはいかないんじゃない。
#ザ・フライのtelepodには一歩近づいたかもしれない(-_-;
Re:量子コンピュータ (スコア:3, おもしろおかしい)
もちろん動きますが、量子だけに不安定です☆
#マイクロソフトいわく「不安定ではありません、これは不確定なんです。」とのコメントが。どうやら仕様らしいです。
Re:量子コンピュータ (スコア:1)
アクティベーションも量子テレポーテーションでバッチリです。
#本当に出たらそれはそれで。
Re:量子コンピュータ (スコア:1)
ネイティブ版はどうかなぁ
うすっぺらいコメントがあらわれた! ▼
Re:これを元ネタにした (スコア:1, 参考になる)
Re:これを元ネタにした (スコア:1)
Re:これを元ネタにした (スコア:2, 参考になる)
>自分自身と相互作用させてテレポーテーションする少女が
>昔いたような……
あの少女の場合は衝突物を回避する為にテレポーテーションするので、ぶつかる危険性のあるものなら何でも触媒にできます。ただし何でもかんでもテレポーテーションで回避しちゃマズい(超能力者だとバレる)ので、ビーズを使った時だけテレポーテーションするようにマインドコントロールしていたような。
確かビーズが無い状態で生き埋めになり、右往左往の結果「触媒は何でもよかった」事を思い出し、小石を自分にぶつけて脱出するエピソードがありました。
#今だとお父さんの行いは児童虐待だと判断されるんだろうなぁ・・・。
Re:/.J って科学的常識がない方が多いんですね (スコア:1)
「どこらへんにNatureに載るほどの新規性があるのか」を考えてみるべきでしょう。ググって出てくる古い情報からは引き出せないであろう、この研究が成し遂げた「新しい」ことを。
そしてそれを科学オタクに対して正しく紹介することも科学者の社会的役割の一つですのでどうぞよろしく。
#専門が違うので投げ返しますけど。
Re:/.J って科学的常識がない方が多いんですね (スコア:1)
>まずNatureには取り上げられません
あー,ただ,実験系の話は,「あって当然予測されてる当たり前のこと」
でも,実際に測定されると載るじゃないですか.
そういう意味では新規性の無いことでも結構載っている場合が.
#まあ,その場合も実験のセッティングには新規な部分があったり
#することも多いわけですが.
あと最近のNatureは新規性というより以下に面白おかしいかに
走ってる面が(苦笑)
#微妙な実験データでも面白い解釈だとすっ,と通しちゃいますか
#らねえ.まあ,その辺は編集方針なんで文句はありませんが,最
#近傾向が変わってきた気がしますので.
Re:質問 (スコア:1)
#もしかして,質問の意味を誤解してるかも.
Re:質問 (スコア:1)
何となく抽象的で分かりにくかったです。experimentalが無いのが痛いです。