英医学誌、新三種混合ワクチンと自閉症との関連性を示した論文を撤回 34
ストーリー by soara
結びつけてはならないものを結びつけてしまった 部門より
結びつけてはならないものを結びつけてしまった 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
英医学誌ランセットは、同誌が1998年に掲載した新三種混合(MMR)ワクチンと自閉症の関連を示唆した論文を撤回することを発表したとのこと(ランセットのアナウンス、AFPBB News、本家/.より)。
英医師Andrew Wakefield博士率いる研究チームによって発表されたこの論文は、MMRワクチンの摂取は自閉症のような症状や内臓疾患を引き起こす恐れがあるとする内容であった。13人いた論文の共同執筆者のうち10人は既にこの研究内容を撤回しているが、英国や米国、オーストラリアなどでは MMRワクチンを子供に受けさせない親が増えるなど長年に渡り大きな影響を与えていた。このような国々ではワクチン接種率の低下により、はしかにかかる子供の数が増えていたそうだ。
英国 General Medical Councilは 1月28日にこの研究がずさんで不誠実な過程で行われたとして倫理違反であるとの裁定を下しており、これが撤回の引き金となったようだ。また今週水曜には競合医学誌 BMJにてこの研究論文を正式に撤回するようランセット誌に呼びかける論評が掲載される予定もあったという(実際にはランセット誌による撤回宣言により掲載は見送られた)。
一部では物議を醸していたこの件に一件落着というところだが、MMRワクチンに反対したりボイコットを呼びかけていた人々はどのように反応しているのかが気になるところだ。
はしかにかかる子供の数が増えていたそうだ。 (スコア:5, 参考になる)
とか、
が参考になる。
ボイコットを呼びかけていた人々の反応 (スコア:4, すばらしい洞察)
製薬会社などによる陰謀だ。
と反応するに1単位投与。
Re: (スコア:0, 既出)
> 製薬会社などによる陰謀だ。
MMRだけに?
「よくあること」なのかな (スコア:3, 興味深い)
というのは、元の論文 [thelancet.com]の
というのがウソだった事が明らかになった、というわけね。
前から「変な論文じゃないか?」と疑う声が多かったのだろうが、これで完全にアウトだな。
どうして査読を通ったのだろう。Lancet は無償で読めるので The New England Journal of Medicine が有料化されてからは、医療関係者ではないがマスコミ報道や個人ページよりは正確な情報を知りたいという点で便利なのだが、やはり NEJM には負けるか、とも思ったけど、論文が捏造で問題になったのは日本でも良く聞くし、
査読も突破していたりするので…内容で判断するしかないか。
それにしても捏造結果を導いた研究チーム、一体何がしたかったのだろう。旧石器遺跡捏造の藤村新一 [hatena.ne.jp]氏みたいな理解不能なのもあったから、動機がよくわからないが。
Re:「よくあること」なのかな (スコア:2, 参考になる)
#科学は万能ではないけど、科学以上に正しく未来を予測できる手段はない(占いなどに比べたら信頼できる)、というのと同様で。
まぁ、LancetとNEJMとでは、同じ医学分野のトップクラスのジャーナルとは言っても、少し傾向が異なるというか……前者は「医者」のための雑誌で、後者は「医学研究者」のための雑誌とでも言うか、そんな感じがあります。
#JAMAなんかも前者のタイプですね。
もちろん、Lancetもすごい雑誌だし「医科学」として見ても、貴重な研究報告は出てますけど、基本的に「医者」が、必ずしも「科学者」や「研究者」ではないわけで。科学研究という視点からの正確さという点では、少し引いてみた方がいい部分も見受けられます。「医学という(狭い)分野の中での、Natureみたいなもん」とでも考えればよろしいかと…。
Re:「よくあること」なのかな (スコア:2, 興味深い)
> 動機がよくわからない
インパクトファクターが28.4 (2008)というようなジャーナルに論文を載せたいというのは十分な動機ではないでしょうか。ワクチンのせいではないかと訴える親の叫びがそれを後押ししたかもしれません。
このような、実はたまたま合併しただけの患児を何人か(n=1かもしれませんが)みたところで問題の論文のような仮説に至り、検証しようとしたのは多分事実でしょう。そうでもなければ消化管の医者が「腸と発達障害とワクチン」などという一見突飛な関係を思いつくきっかけがない。
もう一か所挙げられている、虚偽と判明している部分が
ですから、negativeなデータが出たのに症例数の水増しでなんとかpositiveなデータにしようと捏造した、ということなのでしょうか。
既にどこかで検証されているのだと思いますが、ちゃんと調べていなくてすみません。
Re:「よくあること」なのかな (スコア:1)
論文が査読を通って掲載されたくらいで信用しちゃいけません。
追試で確認が残ってます。
the.ACount
ボイコットは無くならない (スコア:0)
ワクチンを受けていても、受けていなくても、一定の割合で成長するにつれ自閉症だったと判断される子がいるのは事実です。たとえばこちらは一年前の裁判所の判断に対する親の反応のようですが、Autism, vaccine debate not over for some [post-gazette.com] によると
Re:ボイコットは無くならない (スコア:5, 参考になる)
日本では1993年にMMRワクチンが中止されましたが、2005年にムンプスワクチンを除いたMR混合ワクチンが定期接種に組み入れられてます。単に「製法を変えたのが問題だった」のであれば、旧来の製造方法に戻して復活できるはずですが、結局、そうは出来なかったのです。
日本のワクチンではそれ以前に、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風三種混合)ワクチンに含まれる、百日咳全菌ワクチン(このタイプの混合ワクチンをDwPTともよぶ)による副反応が問題になり、接種中止になったことがありました。そのため日本では、世界に先駆けて、百日咳の成分ワクチンが開発されて実用化されました(DaPT三種混合ワクチン)。このような経緯もあって、ワクチンに対して(あるいは「ワクチンに対しても」と言うか)、副反応に対する評価が世界的に見てもかなり厳しく、ある意味「過剰品質」と言えるような状況だったりします。
まぁこれはその頃に始まった話でもなく、元々BCGの接種に使われる「はんこ注射(管針/朽木針)」だって、従来通りの皮下接種法よりも接種部位の副反応を減らす目的で独自に開発(朽木先生が開発)/採用されたものです。ヨーロッパなどでBCG接種を実施してる国でも普通の注射器を用いた皮下接種法が多く、近年になってようやく、Hiff-gunを用いた接種実験が行われてる状況です。
まぁ元々ワクチン製造というのは、接種方針が国ごとに異なるのもあって、国や地域ごとにかなりばらつきがあるものです(さらに言うと、単なる国民衛生だけでなく、ひいては国防上の問題にもなるので、独自に製造できることが望ましい)。日本のワクチンは、上述のような副反応の問題で世論から叩かれた歴史などから不信感を抱いてる人も多いし、海外で実用化されてるワクチンがなかなか承認されなかったり(例えば、最近ようやく認可されたhibワクチンや肺炎球菌ワクチンなど)して、まるで「ワクチン後進国」のように認識してる人も多いです。…が、実は開発技術そのものや、特に副反応の少なさにかけては、世界でもトップクラスなんです。ただ、ワクチンに対する一般の理解が低く、結果的に接種率が低くなったり、必要な開発設備や予算が削られたことなど、「取り巻く状況」のために、結果的に「ワクチン後進国」と呼ばれるような状況につながっています。
Re:ボイコットは無くならない (スコア:1, 参考になる)
それもあって、海外製ワクチンを打って欲しかったんですが…、持病の関係で打てもらえる病院に制限があって、国産ワクチンになってしまいました(T_T)
Re:ボイコットは無くならない (スコア:5, 参考になる)
この辺りは、要はエビデンスがあるかどうかの問題でして…基本的に、ワクチンで得られる効果については、ワクチンの種類だけでなくその国における状況なども大きく影響し、疫学調査の結果も国によって変わるのが、半ば当たり前になってます。
実は、過去のインフルエンザワクチン(日本で用いられてるタイプのsubvirionワクチンと、欧米などのwhole-virusワクチン)のそれぞれの効果を直接比較したデータってのは、昔にちょっと確認された程度で、あまり存在しなかったはず…と記憶してたので、改めてpubmed検索してみましたが、1977年 [nih.gov]に出た論文で"Antibody titers fell about two-fold over six months, and they fell slightly more for recipients of subvirion than for recipients of whole-virus vaccines."とあるように、持続期間の差は"slightly"でしたし、1980年 [nih.gov]に出た論文では、効果としてはsubvirionワクチンの方が高かった、という報告がありました。
#そういや確かそのあたりの報告もあって、日本がsubvirionワクチンを採用した、という話だったような。
#あとまぁ、弱毒生ワクチンと比べてもsubvirionワクチンの方が効果が高かった、という報告が2-3年前に出てたかと。
#そこらあたりについても、日本は割と「先進的な」判断を下してた、と(少なくとも、「ワクチン種類の選択」については)
少なくとも「日本人に、日本の製造方法で作られたインフルエンザワクチンを集団接種した場合」にどうなるか、ということについては、過去の実例からある程度は推測が可能です。新型インフルエンザの場合も(強毒型ではこの限りではなく、まったく想像が付きませんが)強毒型でないのであれば、概ね、過去に実施されたものと同程度になる可能性が高い、という期待値が高まります。しかし、「日本の製造方法以外で作られたワクチンの集団接種」でどうなるかについては、より遠い例から推測せざるを得ません。そこらへんもあって、日本製のタイプの方が「少なくとも外れはない」だろう、と個人的には判断してます……まぁあくまでエビデンスからの判断なので、外国産のヤツの方が結果的に好成績になる、という可能性も、もちろんないとは言えないのですけどね。
Re:ボイコットは無くならない (スコア:3, すばらしい洞察)
確かに、「ワクチンは必ず副作用があり、そのデメリットがメリットを上回ると判断すれば接種する」というのは間違っていないと思いますが、その判断は集団免疫という概念を理解した上で行っているのでしょうか。
自分だけ良ければそれでOKという考え方には違和感を感じます。
特に、身体上の理由でワクチンの接種ができない方にとっては、ワクチン接種率は自分の生死に関わります。
自分には直接の利益はありませんが、他人に感染させるリスクについても考えてみてください。
なお他の方も述べていますが、「MMRと自閉症の関係」は多数の論文により「全面的に間違っている」ことが示されています。
自閉症? (スコア:0)
自閉症って字面からは引きこもりのクズっぽいからあんなやつと一緒にするなってことで名前変えたんじゃなかったっけ?
Re:自閉症? (スコア:2, 興味深い)
まさにそれですよね,インチキ医学者が自閉症について論じたがる理由は。あの連中,自閉症 [wikipedia.org]とひきこもり [wikipedia.org]を混同してるのが多いんですね。たぶん語感から意味を妄想して,理解した気分になってるだけでしょう。連中にとっては他人事ですから,気楽なもんですし。
当の患者家族にとっては,こういう連中は迷惑そのものなんですけど。子供が自閉症になるのは親のせいじゃないって,何度言ったら…。
Re:自閉症? (スコア:1, 参考になる)
> 子供が自閉症になるのは親のせいじゃないって,何度言ったら…。
自閉症は遺伝性の病気 [hokudai.ac.jp]なので、「親のせい」(原因遺伝子を継承する)である部分はあると思います。
もとコメントの「親のせい」が育児環境という意味であれば、確かにその段階で発症するものではないので無関係ですが。
Re:自閉症? (スコア:1)
ええ,そう解釈してください。子供が自閉症になるのは,親が悪いコトしたからじゃないんだと。
Re:自閉症? (スコア:1, 興味深い)
>もとコメントの「親のせい」が育児環境という意味であれば、
ええ,そう解釈してください。子供が自閉症になるのは,親が悪いコトしたからじゃないんだと。
それを言うときは自閉症にリンクはるんじゃなくて冷蔵庫マザー [wikipedia.org]に貼ったほうがよさげです。
完全に否定された学説です。
Re: (スコア:0)
ただ、社会全体から見ると、その個人の性質・性格、影響力や存在の意味はほぼ変わらないですけどね。
倫理違反 (スコア:0)
「関連がある」と判断して行動していた人達は今後も「関連がある」とみなして行動するような気がする
Re: (スコア:0)
件の論文を撤回したからって、無関係だと証明されたわけじゃあないからね。
今後も、訴訟で勝つことはできなくても、接種拒否は自由なのだし。
もし国として健康上接種すべきと言うなら、ちゃんと無関係を証明する必要があるでしょう。
Re:倫理違反 (スコア:3, 参考になる)
既に疫学的には「関係があるとはいえない」という結論は出ているのでは?
"The review, in the February 15, 2009 issue of Clinical Infectious Diseases
and now available online, looks at the three main hypotheses and shows how
epidemiological and biological studies refute these claims." だそうです。
( http://www.idsociety.org/Content.aspx?id=13336 [idsociety.org] )
今回のは関係論の否定のはじまりではなくて、
関係論者の最後の牙城のひとつが崩れたくらいの意味だと思っていたのですが。
まあ、それでも納得できなくて接種拒否する人はいるでしょうね。
Re:倫理違反 (スコア:2)
無関係であることはさほど重要で無いでしょう。大事なことは、
接種した場合のリスクと接種しなかった場合のリスク、どちらが大きいかです。
Re:倫理違反 (スコア:2, すばらしい洞察)
> 接種した場合のリスクと接種しなかった場合のリスク、どちらが大きいかです。
残念ながら,普通の人はその考え方を受け入れられず,リスクの存在を意識してしまうと,0にしない限り許容しなくなっているようです.
これを解決するには,リスク管理のリテラシーを小中学校レベルで徹底して教育するしか無いと思います.
実際にほとんどの人が適切なリスク管理を出来るようになると,保険業界が干上がりそうではありますが.
Re: (スコア:0)
そんなことのんきに話していられること自体平和で安全な証だよね。
新型インフルエンザ以降タミフルの副作用の話とかどっかにふっとんじゃったもんね。
Re:倫理違反 (スコア:1, 興味深い)
Re:倫理違反 (スコア:1)
つーか、新型インフルエンザ報道見てて「ハテ?厚労省は何時、子供に対してのタミフルの使用制限を解除したのかしらん?」とか思わずテレビにツッコミ入れてたな。
Re:倫理違反 (スコア:3, 参考になる)
>テレビなどから情報を得ている人たちは、今でも副作用があると考えてるんでないかぃ?
いや,TVでのニュースで,タミフルの副作用の調査結果も一応やってた(日時まではわからんですが見た覚えはある)から一応報道はされていたかと.
#扱いの量は違いますが,まあ,そりゃセンセーショナルな方が受けが良いですしね.
MMR (スコア:0, おもしろおかしい)
なんだってー!?
Re: (スコア:0)
人にケチつけるなら、今回の文章の何処に問題があるのか書いてくださいな。