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なぜITベンダーは「できもしない低料金」で仕事を受注するのか 115
ストーリー by hylom
割を食うのは現場です 部門より
割を食うのは現場です 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
日経ITproにて、とあるシステム納入にまつわる「複数のITベンダーの営業担当者やユーザー企業のシステム部長らから聞いた話を基に組み立てたストーリー」が取り上げられている(ベンダーとIT部門がぶち切れた“仕打ち”の理由)。
とあるベンダーが企業にシステムを提案したところ、途中でその案件に対し他社とのコンペが行われることになり、その結果あり得ない低料金で他社にその案件を持って行かれた、という話が取り上げられている。その後受注したベンダーは予算通りでは納品ができず大火事に、発注側も金額オーバーと納期オーバーでダメージを受けた、というシナリオだ。
この記事では、コンペになったのは発注側の調達部門がコンプライアンスを理由として押し通したからとされているが、それよりも問題なのは「あり得ない低料金」を提示したベンダーだろう。この「シナリオ」では「受注したベンダーはSCM関連の実績はない」という設定だが、実際実績がないベンダーが謎の料金設定での提案を行う例は少なくないのでは無いだろうか。
なぜITベンダーは「できもしない低料金」での提案を行うのだろうか? そのために大変なことになる例も少なくないのだが……。
安いことはいいこと(?) (スコア:5, 興味深い)
発注側の視点で言うなら、料金が同じなら安い方に頼むのは自然なことですし。
頼んだ先が炎上したところで発注元は知ったことじゃないわけで……。
受注側の視点ではケースは色々あるでしょうけど、たとえば「案件が取れなければ社員を遊ばせておくしかないから、赤字だとしても収入がある方がマシ」として無理に受注をしちゃう、というケースは割とよく聞きます。
でも社内評価の関係で赤字を出すとプロジェクトリーダーなんかは評価が下がるので、ダメ元でも何でも「赤字前提の人員配置」ではなく「うまくいってしまえば黒字になる」人員配置ではじめるしかない、とか。
相場より安い額で受注した先が炎上した責任は発注元にもある、なんて判決(前例)でも出ない限り、こんなのいくらでも続くのではないでしょうかね。
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:5, 興味深い)
発注側ですが、最近は最低価格を必ず設けています。
有り得ない低価格で受注されると、人の品質にしわ寄せが来る場合が多いので。
未経験者を寄せ集めたり、中小企業に丸投げしたり、ブラックな状態で労働者をこき使ったり、ITベンダーさんはそのあたりが得意ですからね。
合わせて丸投げ禁止もやっているんですが、最近は偽装出向が多くなってあまり対策の意味がないですね。
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:1)
ディアブロ3でのエンチャントレス(アイレーナ)のセリフを思い出した。
ある建物に入ったときのセリフ。
(記憶便りなで不確か)
アイレーナ:「最近の建物のようね」
主人公:「100年前の建物だが」
アイレーナ:「私にとっては最近よ」
ちなみにアイレーナは主人公を手助けするために1,500年前に眠りについて最近目覚めた魔法少女。
得意技は敵をニワトリにすること。
らじゃったのだ
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:1)
>頼んだ先が炎上したところで発注元は知ったことじゃないわけで……。
炎上すれば納期・オープン日が守れないわけだから
全然実績の無いところに頼んでおいて「知ったことじゃない」というわけにもいかないのでは。
IT業界は知らないけど、普通のメーカー系だといくら安いからといって
実績のない、技術力も分からない下請けにいきなり発注することは滅多にないのですが。
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:1)
いやいや
より価格が安い方を選択しないからには、其相応の理由を付ける必要があるわけですが、
書類上条件満たしてりゃ却下する理由付けられませんよ。
よほどの理由付けないとわざわざ高い方選んだらどんな裏取引したんだって怒られますわ。
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:1)
いやソフトウェア開発の下請けなんてダブついてる分野に今更ベンチャー面して参入されても困ります。
ベンチャー面するなら自社サービスとかで新しい分野でやってください。
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:1)
だぶついているのか?
どちらかというと、(一定レベルの)人材を確保するためにはかなり前もって言っておく必要があり、一方で、入札とかしないといけないので契約を約束できない、というジレンマ。
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:1)
そりゃ、失敗したときの時間的・金銭的損害は
発注時の安値なんて吹っ飛ばすぐらいになりかねませんから。
逆に言うと、親方日の丸だからこそ安値に飛びついて失敗してもケツふいてもらえるわけで、
そういうのが無い民間では単純に安値に飛びつくわけにいかない。
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:1)
恐らく#2584134は「失敗することが明らかでも最安値のところに発注しなければならない」から、そうではない民間企業を羨ましがっているのでしょう。あとでケツふいてもらえようが、現場は火中の栗を拾うことを余儀なくされるのは、たぶんとっても切ないな、と。
Jubilee
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:2)
システムが駄目なことが検収前にわかれば、検収しないことによってお金の支払いは止められますが。 確か東工大のETA10は予定の機能を発揮できなかったのでそのレンタル費を転用してSunをたくさん導入できたとか。 こういうのは例外で、使えないシステムを抱えながら表向きは「使えてます」って言い張りながら、次の更改時期まで泣き暮らすってのが実態では?
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:4, すばらしい洞察)
死ぬ人間と発注を決める人間は同一ではない。
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:1)
政令指定都市で契約事務やったことありますけど、普通に最低価格設けてました。あなたのところは違うんですか?
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:2)
その工数を官が見積もれれば苦労はしない。
Re:安いことはいいこと(?) (スコア:1)
予算が超過して困る人間と納期と品質が確保されなくて困る人間は同一ではない。
そんなに変なことですか? (スコア:2)
IT業界ではありませんが,とりあえずこの案件は損してでも実績を作りたいってときはあります.
あーでも,損してでも見積通りに仕事しないとダメですよね.
Re:そんなに変なことですか? (スコア:3, 興味深い)
確かに、
> この「シナリオ」では「受注したベンダーはSCM関連の実績はない」という設定だが、
だとしたら、実績作りのために金額度外視で受注してもおかしくないですね。
この議論のややこしいところは、最終的に納期を守れなかった、という設定な点ですね。
A) 低料金で受注した
B) 納期を守れなかった
は、それぞれ別個の問題で、原因も別だと思います。
別けて議論しないと実のあるものにはならないのでは。
どちらかと言うと、Bが問題ですよね。
Aは、受注した側が赤字を被るなら何も問題ないわけで。
Bは、営業がシステム開発の大変さを理解していないケースが多そうかな……。
Re:そんなに変なことですか? (スコア:1)
他部署から「こっちも手一杯なのに、採算が取れない事業に人は回せない」って言われて
協力してもらえない事はあるわけで、それが原因で納期が守れなくなったのであれば
無関連ではないでしょう。
ちなみに私も協力を断り、「あいつのせいで」と言われた事がありますが、
真正面から反論して「非人情的だ」と言われ、うっかり噴出してしまいました。
Re:そんなに変なことですか? (スコア:1)
>あーでも,損してでも見積通りに仕事しないとダメですよね.
これが最低条件で、値段はゴニョゴニョってのはIT案件以外でもよくありますね。
全世紀には1円受注が流行ってて、世間にさらされて問題になってからそこまで酷い金額でってのはさすがにあまり見かけないけど、後が続くという見込みでというのは普通じゃないかな。
特に大手さん受注案件。
#働くの下請け孫請け・・・だし。
特注品の見積もりは本質的に難しい技術だから (スコア:2)
大量生産されてる家電や自動車じゃあるまいし、
オーダーメイドの特注品の価格決定するのは本質的に難しい。
まして何を作るかさえ決まってない段階ならなおさら。
そして何も分かってない営業や顧客は、希望的観測だけで価格を決定しようとし、
結果的に「出来もしない低料金」で契約を結ぶことになる。
Re:特注品の見積もりは本質的に難しい技術だから (スコア:1)
前回がどうあれ、
今回の確立も1/2なら失敗するかもしれないわけで。
営業が無能だから (スコア:2)
#自社の開発力を超える製品を受注してくるなんて、営業に学生バイトでも使ってんのかと
Re:営業が無能だから (スコア:1)
営業は頑張ってなくて、単に技術者にツケを回しているだけだったりする。
赤字にしてでも安くして受注してくるだけなら猿にでもできる。
21世紀が始まるか始まらないかのころ (スコア:1)
システム開発を1円で受注、その代り運用を言い値で売りつけ
なんてのが大手ベンダーさんでもありましたが、今もあるんですかね?
Re:21世紀が始まるか始まらないかのころ (スコア:1)
原価割れの安値で数年受け持って、ノウハウと情報を運用会社側で囲うと同時に発注元を無能化。
入換え時に、発注元が何も知らないし&分からないのを良い事に高額維持&単独落札する手口が、汎用機から続いたメソッドです。
国産DBMSを使っているシステムは、ほとんどそんな具合。
Re:21世紀が始まるか始まらないかのころ (スコア:1)
国産DBMS……!
Re:21世紀が始まるか始まらないかのころ (スコア:2)
Re:21世紀が始まるか始まらないかのころ (スコア:1)
今では過去かも知れない古い話ですが、20世紀末の官報にはGATT政府公共調達の高額な入札公告に「特定のメーカー製のコンピュータハードウェアおよびオペレーティングシステムならびにそのメーカーのプロプライエタリソフトウェア」が必須であることが事実上明らかな記載があったりしましたね。それを前提にした提案募集というのもあったかも。
// もっと小規模のものであればさらに類例が見いだされそう。
Re:21世紀が始まるか始まらないかのころ (スコア:1)
1円でこそないけど、それでも正直すげー価格で落とすよね。
関わりたくなかったのに。
あるある (スコア:1)
これと似たようなことをやってくれてるSierの方を知っていたりするww
お客向けに調子のいい内容を経営陣にアピールするけど、
受注したら全然技術も知見も足りなかったとか、
現場のヒアリングでヒーヒー言っちゃってたりとか
そりゃ炎上するでしょ
お客の方は業界でも違うのかもしれないけど、たまにいるよね
「コンペにします!」と意気揚々とぶちあげてくれるんだけど、
だいたい炎上しちゃってたり
そういうケースって、現場を知らない部門が主管でやってるのが多い感じ
なんで過去の教訓を生かそうと思わないのだろうか...不思議
Re:あるある (スコア:1)
緩めのRFPで提案をコンペ形式で募って、受注条件に「提案担当者を最後まで貼り付けること」って書いてた発注者はありましたね。
決定権が調達部門じゃなく、担当部署にあったからできたことだと思いますが。
Re:あるある (スコア:1)
過去の教訓を活かすには、組織として「失敗実績」の積み重ねをきちんと行い、
アンチパターンを蓄積して回避策を講じていないといけないのですが、
総じてそういうケースでは「失敗が失敗として報告されない、隠蔽される」
というオチになるようです。私が見たことのあるケースでは。
たいてい、炎上状態でヘルパーとして投入された外部人員や遊撃隊的な
エンジニアのせいにされて、根本的な間違いは隠されたまま。外部人員は
いずれ居なくなるので、失敗の教訓は社外に流出。
社外では笑い話として失敗事例が蓄積され、SIerさんはバカにされた評価を
広められて緩やかな死に向かうんだけど、そういう組織ってネットでの評価
とかバカにしがちなのでそれすら拾えず、死にかけていることに気づかない
まま安楽死。
普通一番安いところって避けませんか (スコア:1)
疑われるのでマイナス材料になるのだが…
大抵ある程度価格帯にまとまってくるので
その中で一番安いところを選ぶもんでないかなぁ
Re:普通一番安いところって避けませんか (スコア:1)
> それを考えるのは発注者の仕事ではありません。
いいえ発注者の仕事です。
ハードウェアの発注では安すぎる価格が提示されていたら
まず小ロットの注文をして品質を確認し、問題ないなら
発注量を徐々に増やしながら品質が低下しないか確認する
なんて当たり前です。
システム一式をとにかく安く入札してきた取引実績のない
業者にやらせるなんてのは馬鹿がやることです。
Re:普通一番安いところって避けませんか (スコア:1)
>発注者は安いところに仕事を依頼するのが仕事です。
「要件・仕様を十分に満たした上で」という前提があるよ。
そしてソレを満たしているかどうか提示されている価格と内容に不備がないかを見極めるのが重要な仕事ですね。
価格の多い少ないだけで判断するならその仕事は誰がやってもいいレベルになっちゃうよ。
>下手に関わって巻き込まれるのはごめんでしょう。
そんな考えでやってる人とはとても一緒に仕事はできないよ。
始める前に責任のとり方を考えるのは、もしかしたら失敗が前提な仕事ばかりやってたのでしょうか。
それが重要なポストというのが組織の中にあるのは確かでしょうけど。
疑問点はそこじゃない気が (スコア:1)
ダンピングされた料金で受注する行為が未だ横行しているのは周知の事実でしょう。
横行しているという事は、そっちの方が儲かるからに他ならないわけです。
ですから、そこからさらに一歩進んで、
ITベンダーどうやって「できもしない低料金」で利益を上げているのか?
これを考えるべきでは?
Re:疑問点はそこじゃない気が (スコア:1)
利益が上がるならダンピングじゃないわけですけど。
安く受注してメンテで稼ぐ (スコア:1)
こういのも多いよ
本当の食わせ物はひと味違う (スコア:1)
今回の例で言うRFPパクリ元に
「システムは発注しないがキーマン1名だけプロマネとしてよこせ」
「お前がRFP書いたんだからダンピングのクソベンダーを管理しろ」
とか言い出します。フィクションです。はい。
Re:本当の食わせ物はひと味違う (スコア:2)
>「システムは発注しないがキーマン1名だけプロマネとしてよこせ」
>「お前がRFP書いたんだからダンピングのクソベンダーを管理しろ」
まあ、どっちもお値段次第じゃないですか?
当たり前ながら、プロマネ派遣とか、PMO とかは単価高いっすよ。
身近な事例で、一人月600万円までは見たことがあります。
Re:本当の食わせ物はひと味違う (スコア:2)
僕が直接話したことがあるのはとあるメインフレーマの人月300万のエンジニアが最高額
すべて営業が悪い (スコア:1)
先輩が営業という人種は切れば我々と同じ赤い血が流れている
生き物じゃない、って昔教えてくれた。
発注者のモラル? (スコア:1)
そもそも論で申し訳ないのだが、「発注者からの提案要請がない状態で」受け取った提案を、他の業者を交えた競争入札にかけるのが当たり前なのだろうか?
発注者としての仁義というかモラルはどうなるんだろう?
数社に声をかけたところ、当初予定になかった別の会社が最安値で受注して大炎上という話なら分からなくもないのだが。
もしこんなことが日常茶飯事だったら、ソフト会社としては、とても「提案要請なしの業務提案」なんかできないような気がする。
Re:発注者のモラル? (スコア:2)
RFIは数社に配布、RFPは無制限に配布ってのはよくあると思いますし、
その上でRFPにだけ提案したベンダが勝つこともあります。
考えるまでもなく (スコア:1)
得する以外の理由はない。
人質にも出来るし…
the.ACount
現場と営業が一枚岩とでも? (スコア:1)
なんてことはよくあることでは?
で、営業で値引きした分をそのまま原価に反映される。3割カットとか。
逆に、発注出した担当部署ではなく、資材調達の部署が金額見て決裁したりするわけで。
(これは発注仕様書がゆるすぎるから、との側面は否めないが)
発注者・受注者の両方を経験しましたが、どちらも現場でコントロール出来ない場合があるのです。
組織とは得てしてそんなもんです:P
---- 何ぃ!ザシャー
見積り作る人が無能なのかも? (スコア:0)
見積りを作ること自体が、社員の評価に反映されないことが多いし
専門的に見積もり作成を学ぶ人も少ないのかも?
その為、無能な人が見積りすることが多く
エイヤって作った見積りで、受注出来れば営業成績アップになるわけだから・・・
その後の失敗は、実際に作業する人の責任であって、その仕事を取ってきた人の責任にならないわけだから・・
結果的に、見積りは無能な人が作ることになるとw
Re:見積り作る人が無能なのかも? (スコア:2)
逆に言うと、無理して契約取らなくていい弱小な相手だと、かなり安全係数を見込んだ高値を吹っかけますね。 経理システムに入ってる教員の個人研究費の残高を定期的にCSVで吐き出す(バックエンドにOracleが入ってるシステム)のって出来ないか?ってきいたら500万円っていわれたり。
公共工事でもにたような問題があったな (スコア:0)
大炎上じゃあ困るから、実績のない企業はそもそも入札させないとかあまりに低い場合は見送るとかしてるけど
Re:公共工事でもにたような問題があったな (スコア:1)
ただIBMみたいな最大手でもやらかすことがあるからな。
Re:公共工事でもにたような問題があったな (スコア:1)
どれぐらいの頻度で更新されているのか
直近の競争入札が不成立(参加業者全辞退)に終わる案件が目立つ程度に更新が間に合っていないということは言えそうだ。理由は2011年の地震以降の求人増・人不足らしい。