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著作権

昔建てた温泉旅館に建て増しを重ねたようなもので、迷路のようになっていて、火事が起きたらみんな死ぬ 107

タレコミ by Catfish
Catfish 曰く、
経済学者の池田信夫氏のブログに、こんな記事があった。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/6a250f427f466cbda2e39990c7286cf0

知的財産権研究会のシンポジウムで、前東大教授、弁護士で知的財産法学の専門家であり、文化庁文化審議会委員の中山信弘氏の発言の記事である。

要約すると、

著作権法は古く、現状に合っていない。
著作権法を口実に、テレビ局や映画会社などが利権をあさっているに過ぎない。
裁判所がこのような利権あさりを手助けするのも不見識だ。
これは創作のインセンティブにもならないし、文化の発展にもつながらない。

といった内容で、

こんなわかりにくい法律は他にない。昔建てた温泉旅館に建て増しを重ねたようなもので、迷路のようになっていて、火事が起きたらみんな死ぬ。
日本人に技術力がないわけではないのに、法律がイノベーションを阻害している。私たちが子孫に残せるのは、せめてこういうひどい制度を手直しして、彼らが新しいビジネスに挑戦できる社会にすることだ。

と意見している。
また、著作権の保護期間を死後70年に延長するという話については、

条文を一つ変えるだけで、映画会社に何十億円も転がり込むというのが本当の動機だろう。これは創作のインセンティブにもならないし、文化の発展にもつながらない。期間延長には断固反対。命がけでも阻止する。

と発言したそうである。

個人的には、至って正論のように感じるが、発言が過激であるので、今後の動向が気になるところです。
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by akiraani (24305) on 2008年06月04日 17時51分 (#1356382) 日記
    著作権関連の記事を見ている限りだと、文化庁が絡むと極端に流通権利者よりの保守的な主張がなされる、という印象があります。

    たとえば、知的財産戦略本部の発表なんかを見ると、CDの再販制度対象からはずす [srad.jp]とか、キャッシュサーバ適法化 [cnet.com]とか、コンテンツの流通のことをちゃんと考えて必要であれば規制緩和する方向に持っていくべきという方針が見えます。

    ところが、文化庁がからむと、還流CD問題といい補償金問題といい、流通屋の既得権益を堅持して流通を阻害する方向に持っていこうとする結論が出てしまいます。

    件の中山氏の話は、文化庁がらみのニュースばかり見ていると珍しいものに見えますが、実際にはさほど過激というほどではない気がします。
    --
    しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
    • by Anonymous Coward on 2008年06月04日 18時47分 (#1356421)
      「文化庁は100年以上経過した(著作権フリーな)文化財の保護だけに専念させて知財は経産省か総務省か、
       もっと(比較的)知財を用いて経済を発展させる展望のありそうなところに移管したらいいのでは」

      って言っていたのは誰でしたっけ。
      池田信夫氏だったような気がするのですが該当記事見当たらず。

      そもそも、なんで文化庁が著作権法の所管官庁になったんでしょう?
      詳しい人plz。
      親コメント
  • by stosh (4158) on 2008年06月04日 16時55分 (#1356353) 日記
    >こんなわかりにくい法律は他にない。昔建てた温泉旅館に
    >建て増しを重ねたようなもので、迷路のようになっていて、
    >火事が起きたらみんな死ぬ。日本人に技術力がないわけでは
    >ないのに、法律がイノベーションを阻害している。
    >私たちが子孫に残せるのは、せめてこういうひどい制度を
    >手直しして、彼らが新しいビジネスに挑戦できる社会にすることだ。

    中山氏の発言そのものに、すばらしい洞察のモデをしたいです。
    著作権法に限らず、いろんな法律が、後生大事に条文を変えようと
    せずに解釈のみで現実世界に合せようとしていたり、また、
    改訂される際もつぎはぎのように部分的に追加・変更を繰り返すので、
    非常に理解し辛くなっている(条文を読んで意思決定する際の判断と
    し辛い)と考えます。

    #意味不明のソースの方が、触るとどんな副作用が起きるか判らず
    #綺麗なソースより残り続け、またそのようなソースを納品した業者も
    #サポート案件を獲得し続けた事を思い出した...
    • by Another_View (29838) on 2008年06月04日 17時11分 (#1356361) ホームページ 日記
      法律の改正ってのは「○○法の一部を改正する法律」っていう法律を施行することで実現します。
      要するにパッチなわけだな。だからつぎはぎになっていくのは当然。
      商法みたいな明治以来延々続いているやつなんて、口語体(現代語)と文語体がチャンポンになってる。
      親コメント
    • Re:すばらしい洞察 (スコア:2, すばらしい洞察)

      by sakaki101 (30670) on 2008年06月04日 21時52分 (#1356565) 日記
      stosh氏の発言にマイナスモデをつけたいところですね。

      まず第一に、条文をばっさり変えるのに消極的のは悪いことではありません。というか、逆に条文をころころ変えられたりしたら、それこそ大変じゃないですか。まずもって一般市民が法の変転を追えるとは思えませんし、さらには、法改正に応じて契約書を作り直したりするハメになりますよ。
      第二に、解釈で法を現実に適合させるのは悪いことではありません。そもそも、現実的に全てのケースを法に記すのは不可能ですから、まともに法を運用しようと思ったら、あらかじめ曖昧に作っておいて、解釈によって個々の事例を捌くようにするしかないでしょう。(例えば、民法は私法の一般法と呼ばれてますが、たった1044条しかありません。わずか1000条ちょいで市民間の法律関係の基本部分をカバーしてるわけです。それとも法解釈無しで数万条あった方が良いですか?)
      第三に、法は決して複雑ではありません。大抵の場合、法が複雑に見えるのは、それに対応する現実が複雑だからです。

      最後にですが、日本の法律は、現実という厳しいテストにさらされつつ、高い知的水準にある人間が論争を戦わせながら整備しつづけてきてるものなんで、(もちろん悪い部分もありますが)それなりに自信をもって良いものですよ。
      "いろんな法律"を一緒くたに"意味不明なソース"扱いするってのはちょっとした知的侮辱だと思います。
      親コメント
      • Re:すばらしい洞察 (スコア:5, すばらしい洞察)

        by attu (959) on 2008年06月05日 1時39分 (#1356719)
        > stosh氏の発言にマイナスモデをつけたいところですね。

        モデレートはそういう使い方をしてはいけません。
        意見に同意できないのであれば反論のコメントを書くべきです。

        マイナスモデはあくまで荒らし等の程度の低い書き込みを排除するためのものです。
        親コメント
    • by soltiox (25610) on 2008年06月04日 17時42分 (#1356376) 日記
      著作権法に限らず、日本の法律の文言は非常に難解です。
      文語体とか口語体といった書式の問題に限らず、
      日常目にする事が無い単語が頻出する上、
      単語の意味が独特な物である場合も多い為です。

      その為に、法律そのものを知らない、読んだ事が無い人が
      数多く存在する事が問題だと、私は思うのです。
      (例えば、道路交通法を通しで読んだ事のあるドライバーは、
      日本全国で、どれくらいの人数になるのでしょうね?)

      大抵の人が「日本は法治国家である」と確信を持って語ると思いますが、
      実は、その根本の法律とは、普通の人が読んでも意味が分らない、
      (中山氏ですら、余程の動機が無いと読もうとも思わない)謎文書な訳ですよ。
      これは、ある意味、世界を影で操る闇の政府の実在よりも、
      恐ろしい事だと思います。
      親コメント
      • 確かに独特の表現のオンパレードですが、特許の出願書類よりはだいぶマシです。
        親コメント
      • by hishakuan (32621) on 2008年06月05日 6時46分 (#1356759) 日記

        現実が難解なのだから、それを写す法律も難解で当たり前で、そんな知識は一部の必要なところに集約されていればいいじゃないかとも思います。でも現実に多くの人が法律を知らない、興味を持たないことが無用なコストやリスクの源泉になっていて、問題なのも確かなのでしょう。しかし困難の所在を

        日常目にする事が無い単語が頻出する上、 単語の意味が独特な物である場合も多い為です。
        に置くのは、少し違うのではないかな。

        法律(というか条文)はとても狭い分野を対象にしたものから、世間一般を射程に納めるものまで様々です。また現実を規定するものから、現実を補完するものもあります。遡って考えると、法律は基本となるルールですが、位置づけとしては現実の交渉や慣例が破れたときに持ち出される例外となります。つまりある条文は現実と言う文脈において読むべきものであって、例えば同じ「業務」という型でも、中身は少しずつかわってくるものです。(続けると長くなるし、主題じゃないのでこれくらいにしておきます。)

        問題なのはむしろ文語体とか口語体といったものじゃない書式の問題だと思います。昔の法律はわかりにくいです。当時の社会や常識が今とは違うかもしれませんし、単語や条文を理解するのも一苦労です。でもそんなことがわかっても法律は読めるようには出来ていないのが困難の所在となっているのではないでしょうか。言ってしまえばそんなことは調べてしまえば分かることで、法律の該分野にいる人なら現実に当てはめて考えればより理解しやすいでしょう。会社法なんかは、単語も現代風で、条文はできるだけ読み違えをしないよう、他の条文と衝突しないようきっちり書いてあります。だから条文を読めば条文自体は理解できます(又別の方向の苦労は必要ですが)。でもそこが理解できても会社法がどんな法律か、モデルとしている会社がどういうものなのかはまったくわかりません。(ちょっとスタンスが違うのですが参考。isologue - by 磯崎哲也事務所: 条文が読めない!?? [tez.com])

        ってえらそうなことを書きましたが、どうすればこれが解決するのかが分かりません。文書にメタ的な要素が足りないのかもしれませんし、一部だけを理解するに適していないパンデクテン方式と長大な法律のせいかもしれません。だから法律なんてしっかり例外に押しとどめて、専門家だけが知ってればいい、というのも正解だと思うのです。

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  • by Anonymous Coward on 2008年06月04日 16時14分 (#1356325)
    やはり東京大学教授の看板を背負ってたときには言いたくてもいえなかったことなんでしょうね。
  • by Anonymous Coward on 2008年06月04日 18時53分 (#1356426)
    言ってる内容には同意したいのですが、
    なぜか「あぁ、この人消されちゃうんだな(陰謀的な意味で)」と思ってしまった

    #それくらい著作権を悪い意味で利用してる奴らがいそうだ、という意味で
    • by Anonymous Coward on 2008年06月05日 3時09分 (#1356736)
      さらに陰謀論的な解釈をすると、

      > なぜか「あぁ、この人消されちゃうんだな(陰謀的な意味で)」と思ってしまった

      と大衆に「思わせる」ことで、「奴ら」にとって都合が悪いような意見を黙らせることができるわけですな。

      「空気を読む」のは一種の処世術かもしれませんが、明示的に頼まれてもいないのに勝手に遠慮してしまうのはあまりイクナイ傾向かと思います。言いたいことが言えない社会になっちゃうぞ。
      短期的に個人の利益を極大化しようとすると、リスク回避的に動くことになるのでしょうが、もう少し長期的に、自分たちの社会をよくする方向(人それぞれ違うでしょうが)にコストを払う人が多くてもいいと思う。

      #そういう自分は行動が伴っていないのでAC。でも空気は読まない。
      親コメント
  • by ironical azure frog (33652) on 2008年06月04日 21時19分 (#1356542)
    コメント欄の猥雑さに唖然としました。
    そうだったのか、/.jでは中山信弘氏の名前すら知らずに知財について議論していたんですね・・・

    この中山信弘氏の発言が事実だったとして
    知財法制の中枢に関わって来た第一人者の中山信弘氏が
    立場上パブリックなコメントを発しにくいにもかかわらず
    これほどまでの内容の発言をしていること自体大変なことなはずです。
    売名だとか、消されるだとか、そういうレベルの人物じゃないんですけどね・・・。
    • Re:唖然とした・・・。 (スコア:3, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2008年06月04日 23時17分 (#1356623)
      御託はいいから何か知ってるならもったいぶらずに書きなよ。
      あんたのそのコメントも何も内容が無い。
      親コメント
      • by hibirth (19787) on 2008年06月04日 23時54分 (#1356658)
        わかりやすいところでWikiPediaの記事 [wikipedia.org]とか。

        法学的にはもちろん、スラド的にはCCJPでの立場もあるから、
        著作権とか知財の話題に興味ある人にとっては普通に知られている人だと私も思っていたんだけど。
        # 小倉氏は知っていても中山氏は知らない、とか?
        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2008年06月05日 0時24分 (#1356680)
          斉藤博 氏 [wikipedia.org]とか
          半田正夫 氏 [wikipedia.org]とか
          紋谷暢男 氏 [wikipedia.org]とか
          ネット上の議論だと、ネットで情報発信してない人を無視しがちというか、知るきっかけがニュースサイトだから知る訳もないというか…。
          ------
          # Wikipediaの知的財産法学者 [wikipedia.org]から中山氏と同世代もしくは一世代前の人のコピペ

          親コメント
          • by Anonymous Coward on 2008年06月05日 6時28分 (#1356757)
            同意と言うか、むしろ半田先生の事を一言も出さずに中山氏だけを持ち上げるあたりが、所詮まだネットは未成熟なんだなぁという印象。
            専門じゃないでしょうから、仕方ないからでしょうけどね…。
            # 「著作権法をどげんかせんといかん」くらいの発言なら、半田先生もしてます

            #1356680のAC氏の発言に納得行かない人は、中山氏の著作物を良く眺めてください。専門は著作権法でないのが分かるはずです。
            判例を見ると、著作権に関する事件に特許が強い弁護士が乗り込んで、特許と同じような戦略で法廷で戦って、負けているような事案がいくつも出てきてます。
            それくらい、他の知財系法規と著作権法は違うのです。

            世界的に言って、長らく知財の中でも著作権法は、お金にならず、使いどころが少ない法律でした。
            光が当たってきたのはここ10年くらいの事です。
            だから専門家の間でもまだ研究が不足していると考えて、すこし離れたところから見るべきではないかと。
            親コメント
    • by Anonymous Coward on 2008年06月05日 13時55分 (#1357078)
      > 立場上パブリックなコメントを発しにくいにもかかわらず
      > これほどまでの内容の発言をしていること自体大変なことなはずです。

      いえいえ、氏は以前からこの方向で活発に発言されてます。
      御存知無かったんですか?
      親コメント
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