パスワードを忘れた? アカウント作成
4751 story

/.-J初のコメント削除:シェアウェアの登録キーを伏せ字化 214

ストーリー by Oliver
赤い字に心えぐられる 部門より

昨日、初めてユーザコメントを(一部)削除した。問題のコメントにはシェアウェアの登録キーが含まれており、作者からの削除要請に答え、登録キーの部分を伏せ字化した。「コメントを中身で判断して削除することはしない」という基本ポリシーを本家Slashdot.orgから引き継いでSlashdot Japanを始めてから1年半とちょっと。その間に4700個のストーリが掲載され、24万ものコメントがポストされた。コメントを一部とはいえ、そして正当な理由によるものとはいえ、削除せざるをえなかったことを僕は誰よりも悲しんでいる。

数日前にシェアウェアに関するストーリが掲載されたのは覚えているだろうか。その中のコメントにWindowsで人気のエディタ秀丸の登録キーが書かれていたのだ。シリアルナンバー/登録キーの流出に対する作者の反応に関するスレッドでのことだった。そして案の定、秀丸の作者から登録キー部分の削除を要請する丁重なメールがきた。僕らはすべてのコメントを読んでいるわけではないので、指摘されてはじめて問題のコメントを目にした。全てのコメントに目を通すなんて監視目的でもなければ到底不可能だろう。僕らに監視するつもりはない。

スラッシュチームで検討した結果、シェアウェアの登録キーを公開すること は違法性が高い、ということで削除に踏み切った。僕は弁護士ではないが、 いろいろ調べた結果、登録キーそのものは一定の法則のある数字記号の羅列だが、その長さもあって「思想又は感情の創作的表現」とはいえないので、著作権法では保護されない、と考えてよさそうだ。だが、本来ならば有料であるソフトウェアの機能を無料で使える様にする方法を教える、ということでキーを公開した人に偽計業務妨害罪が成立する可能性が十分にある。人を「お金を払わなくても使えるよ」と誘惑するので偽計、作者は得られるはずだった登録料を得られなくなるので業務妨害というわけだ。刑事でなくても民事で損害賠償を請求されたら、勝ち目はなさそうである。その登録キーを使ってシェアウェアを不正登録した人は当然ながら著作権法に違反している可能性が高い。
登録キーが掲示版に掲載されている事を指摘されたにもかかわらず、放置していたとなると掲示版運営者も加胆したとして、共犯か幇助に問われる余地が十分にある、と僕らは判断した。秀丸の作者さんからのメールはとても丁重なもので、この様な告発をする、という感じはまったく感じられなかったが、削除要請は普通に考えてもしごくまっとうなものだとみんなに納得してもらえると思っている。

たしかにSlashdot Japanには「削除しない」というポリシーがある。これまでもいくつかの削除要請を、不当と考え、その理由を要請した人に納得してもらうべく努力した上で断っている。だが、違法なコメントを無責任に放置するつもりはまったくない。これまでの判例からも違法なコメントを要請があったにもかかわらず削除しなかった掲示版運営者の責任が問われる事は明白だ。 もっとも、あるコメントが違法であるかの判断はいつも今回の様に簡単なわけ ではない。特に名誉毀損やプライバシー侵害、情報漏洩といった場合には 管理者に高度な判断が求められることになる。違法であるか否かについて 削除を要請してきた人と合意できなければ最悪の場合、裁判所が判断すること になる。世の中の掲示版管理者の多くは裁判のリスクが割に合わない、として安全側に立って、すべての削除要請を受け入れている。裁判のコストを考えると、彼らを非難することはできない。だが、すべての削除要請を盲目的に受け入れていては、誰かがある情報の公開を嫌がっている、というだけで違法ではない情報まで削除されてしまい、言論の自由が侵害されかねない。Slashdot Japanでは常に類似事件の判決をウォッチしたりして、判断のための情報を蓄え、なるべく不要な削除は行わず、必要ならば、そして可能ならば戦ってでも言論の自由を守りたい、と考えている。

過去に本家で行われたコメント削除の例としては、不当だと信じつつも裁判を行った場合に金銭的にも身体的にもリスクが大きすぎ、Slashdotが存続できなくなる可能性が高いとして、断腸の思いでサイエントロジーの聖典からの引用を削除せざるをえなかったケースがある。また、マイクロソフトが同社のKerberosに関するウェブからダウンロードできる仕様書からの引用を企業秘密の漏洩であるとして削除を要求した時には 弁護士に弁護士で対抗して削除を回避できた。いずれも彼らが言論の自由に関する戦いだと信じたものだ。

だが、シェアウェアの登録キーを書き込む事は言論の自由ではない。僕らはそれを守るべき言論だとは考えない。他人のクレジットカード番号やID/パスワードを書き込むのと同じくレベルの低い事だ。Slashdot Japanではそういう違法行為は望まれていない。僕らがそういうコメントについて知らされた時、削除もありうる。それを覚えていて欲しい。

今回の削除要請はしごくまっとうなものであり、削除するという決断自体は簡単だった。それでも初めての削除ということで、「削除したことはない」という事は言えなくなった。だが、今後とも管理者判断での自主削除は決して行うつもりのないことをここに誓う。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 本来的には (スコア:3, すばらしい洞察)

    by Hebikuzure (489) on 2003年01月18日 20時14分 (#238048) ホームページ 日記
    このような「登録キー」は著作権者の利用者に対する利用許諾に基づいて、著作権者から利用者に開示される「秘密」であって、あくまでもそれ自体は私的な契約による物ですよね。
    当然著作権許諾契約のような物の中には「登録キー」を第三者に開示することの禁止といった条項が入っているのが普通で、それに違反した場合、本来的に著作権者にできるのは開示した「利用者」に対して契約に基づいてその差し止めを求める(あるいは利用許諾契約を解消して登録キーの利用を禁止する)事です。
    今回のようなケースでは、開示した人物が特定できない、あるいは特定して差し止めを求めていたのでは利益損失が回復できない、と言った特段の理由がある場合、「場」の管理者が公開を停止しても良いのでは....という考えだと思うのですが、これはあくまで便宜的な例外だという事を押さえておくべきでしょうね。
    基本的にはそうした運用について明文化されたルールを作るべきなのかも知れません。
  • by mokuden (4999) on 2003年01月18日 21時44分 (#238100) 日記
    削除した事よりも、削除せざろうえない事が起きてしまった事だと思う。 自由という事は、ある意味で難しい事なんだということを認識すべきかと。 その上で、様々な意見があってしかるべきなんじゃないかな。
    • by Suketta (4120) on 2003年01月18日 22時19分 (#238116)
      この件は、大多数の人にとって「削除は妥当」と捕らえられると思うが、
      この元ストーリーの文章のくどさは、「ここまで説明されないとわからん
      人間が多いことを想定」されている気がする。
      いろんな意味で、悲しい。
      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2003年01月18日 23時17分 (#238145)
        いや、こういうことを、あたりまえのことに思えてもきちんと説明するということは、必要なことだと思います。「あいつはこういうふうに考えているに違いない」とか「まさかこんなふうには思っていないはずだ」とかの予断や期待に頼っていると、あとで「そんなはずじゃなかった」ということになるかもしれないし。

        というか、黙ってるほうが(誤解に基づく)信任を集められる場合だってある。つまり、「/. 編集者陣は当然~と考えているはずだ」と /. 参加者たちが考えているとして、その「~」の部分が、/. 参加者ごとに違っている(当然、それの全部が正解ということはありえない)という可能性だってある。むしろ世間では、そういう「誤解に基づく合意や意気投合」の例にあふれているように感じる。でも、それじゃいかんと思うのです。

        親コメント
        • 俺はこちらに同意。
          邪魔なことが書いてあることを問題にするより、
          必要なことが書いてないことを問題にしよう

          #邪魔なことを取り除きたかったら、
          #新たに別のところで要約を作ればいいんです
          --
          # mishimaは本田透先生を熱烈に応援しています
          親コメント
        • 私もそう思う。

          今回の場合は特に仕方ないとは言え、ポリシーに反して
          情報の操作を行ったのだから、何故それを行ったかという
          説明は、誤解の無いように丁寧に書くべきだと思う。

          そういう意味で今回の長文の説明文は良かった。
          /.Jの管理者が今回は投稿の削除を行ったが、
          基本的には投稿の削除について、非常に慎重に
          判断すべき、と考えていることがよく分かったから。
          親コメント
        • by KENN (3839) on 2003年01月19日 13時36分 (#238459) ホームページ 日記

          サイトの運営は編集者という少数のグループが行っているわけですから、その運営方針はもう少し表に見える形になっていても良いと思います。

          モバイルセクションの編集者公募のときに、その選定過程の閉鎖性に関する意見(正確に言えば不満)があちこちの日記で見られました。ここはオープンソースやフリーソフトウェアという考え方に強くコミットしている(と思う)サイトなんですから、こうした思想と相容れない閉鎖性は無いにこしたことはない気がします。

          親コメント
      • by nullmind (12769) on 2003年01月19日 1時33分 (#238236) 日記
        ここの管理の方針は上を読む限り「削除は避けるべき」なので自戒という意味もこめての文だと思われる。
        それにしても、削除という行動も一つの「主張」と捕らえてもいいのではないかと・・・。
        「削除を許さない」思想が蔓延するのも、コンテンツ運営側の思想の自由を縛る事になりかねないだろう。

        削除を「言論の自由を縛るもの」という意見は多いだろうが、
        そもそも自由は、能動的に動かなければ手に入らない物なのに、さも自分に権利があるかのように傲慢な態度を取る人間がいる。
        それが問題なのだろう。
        「サイトを運営していく自由」を守るための能動的な行動に、反対する理由など何もないと自分は思う。
        親コメント
  • 「これこれの発言の{一部|全部}を、云々の理由で{修正|削除}した」
    ということをちゃんと明示して有れば、良いのではないかと思う。

    つけ加えれば、「修正|削除」という行為に対してのモデレーションができれば尚良いと思う。

    今回の件については、もちろん+1です。
  • by Kow (2603) on 2003年01月19日 2時22分 (#238277) ホームページ 日記
    「著作件にひっかかりそうだから削除」とか、「ダメだろこりゃ」とかじゃなくて、
    ちゃんと考えた末で削除みたいなんで全然オッケーっす。
    最近、気に入らないと削除、それについて文句言うと

    「ここは俺の掲示板だ、気に入らないなら来るな」

    的なとこが多くて。
    --

    - Project Prominence -
    http://www.prominence.tv/
  • 削除手段 (スコア:1, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2003年01月18日 20時22分 (#238054)
    「うぉミスった!」って思ったときに
    書いた本人がコメントを削除とか編集とか
    修正手段を取れないシステムにも
    問題があるんではないかと思ったり。

    なんらかの自己削除手段は用意するべきじゃない?
    • Re:削除手段 (スコア:4, すばらしい洞察)

      by Hebikuzure (489) on 2003年01月18日 20時27分 (#238056) ホームページ 日記
      「自己削除」というのは、それはそれでやっかいな紛議の元になったりするからなあ。
      「本人の削除申請→管理者が適切と認めたら削除」とかの方がいいんだろうけど、それだと管理者の作業や判断事項が増えるし....。やはり削除したくなるような事は書かない、十分プレビューする、というユーザーの心がけが必要なのでは。
      親コメント
      • by naka64 (4590) on 2003年01月18日 20時35分 (#238059) ホームページ 日記
        「それぞれのユーザの振る舞いを記録する」というシステム設計のポリシーからして、「なかったことにする」というのはあまり振るわれてほしくないのでは。
        自己フォローによって軌道修正するのがよさそう。
        --
        -- unicodebetrayer@gmail.com
        親コメント
      • by 3110 (10857) on 2003年01月18日 22時44分 (#238129)
        > やはり削除したくなるような事は書かない、十分プレビューする、
        > というユーザーの心がけが必要なのでは。

        私もそう思います。
        削除できないから、十分に考えてから書き込みをする。
        そうだからこそ、投稿の質が良くなるのではないでしょうか。

        考えもなしに投稿して、まずいからじゃあ削除しようでは
        無責任な世界になってしまうのではないかと思います。
        親コメント
    • Re:削除手段 (スコア:3, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2003年01月18日 20時32分 (#238057)
      自分の発言をなかったことにする人が続出すると思われますが。
      親コメント
    • Re:削除手段 (スコア:3, 参考になる)

      by shivaken (5261) on 2003年01月18日 21時52分 (#238107) ホームページ 日記
      削除は問題がある。
      でも、修正は本人のみできるべき。

      ということで、バージョン管理みたいなものを実装して
      あたらしい、修正されたものをおもてにだしておき
      もとのものへのリンクをたどれるようにすることも
      できるようにするというのはどうだろう。

      あとでコメントを足して修正するのには限界がある。

      #ぜひやってもらいたいのでID
      親コメント
    • by hctom (8713) on 2003年01月18日 20時52分 (#238069) ホームページ 日記
      自分のコメントはいつでもマイナスモデできるようにするとか。
      親コメント
    • by Y.. (7829) on 2003年01月18日 22時20分 (#238117) 日記
      削除手段はないけれど
      実際に書き込む前にプレビューできるんだから有効活用すべし
      まぁ 仮に削除手段が提供されてもACコメントには使えないだろうなぁ

      # たまーにプレビューが当てにならないのは何とかして欲しい気も
      親コメント
    • 自分のコメントに対しては随時マイナスモデレーション可能、とか。
      これも良し悪しですけどね。
      親コメント
  • ああ・・・ (スコア:1, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2003年01月18日 22時34分 (#238127)
    我々が、コンパイラだったら#がついていたから無視していたのに…。

    #あれ以来めっきりshn氏を見かけない。
    #スレッドでも騒がれてるし。
    #それともまた一人ACが増えたのだろうか?
    #人生と違ってまたアカウント作り直せばいいだけさ。
  • うーむ (スコア:1, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2003年01月18日 23時43分 (#238162)
    言論の自由というが、過去に/.で誹謗中傷に近い書き込みがあった
    場合でも、その書き込みは消されずに放置されています。

    これはこれで問題だと思うが、どんなものでしょうか?
    誹謗中傷をかかれた人に対する救済措置がまったくなく、
    そのまま放置ということは、それこそ2chじゃないですが、
    誹謗中傷を受けた人からの訴訟リスクが出てくると思います。

    • Re:うーむ (スコア:2, 参考になる)

      by Circlive (12651) on 2003年01月19日 0時13分 (#238179) 日記

      誹謗中傷を受けた人からの訴訟リスクが出てくると思います。

      おっしゃるとおりだと思いますが、どの程度のリスクか、ということですよね。

      /.の参加者が誹謗中傷的な発言を支持したり、面白がったりすれば、リスクは増大すると思いますが、逆にリスクを軽減するための誘導も可能だと思います。あらゆる攻撃に対応できるシステムなどないわけですから、参加者各自の意識を高めていくことも対抗措置に数えるべきではないでしょうか。

      --
      ...芸というものは一生勉強だと思っています...
      親コメント
    • 自分としては別に構わないと思う。
      親コメント
  • とか出てきませんように……。

    #出てくる訳ないと思っているので晒しID

    --

       //座右の銘は「人生目分量」。 Funorita

typodupeerror

にわかな奴ほど語りたがる -- あるハッカー

読み込み中...