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東大助教アニリール・セルカン氏、論文盗用で博士号取り消し 116

ストーリー by hylom
これはアウトだ 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

先日、東京大学大学院工学系研究科の教員であるアニリール・セルカン氏が経歴を詐称しているのではという疑惑が持ち上がった。この問題について東京大学が調査を行い、その結果学位取得論文に大幅な不正行為がみられたとして、セルカン助教の工学博士の学位を取り消したと発表した。

東京大学の発表によると、

  • 当該学位請求論文のうち約4割が「他者の著作物から盗用した」もの
  • その主要な部分についても約4割が既発表の文献資料並びにウェブサイト上に公開されている文章もしくは図表を盗用したものだった
  • 出典不記載に止まらず、自らの創作物であるかのように偽装した悪質な盗用と判断できる箇所が11箇所、その疑いがあると判断できる箇所が計10箇所存在する

だったという。これだけ大きな盗用を行いながら、誰もそれに気付かなかったということに驚きを隠せない。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2010年03月05日 20時43分 (#1728299)

    以前に論文を投稿したところから「この論文の参考文献にお前の論文が入ってるから読んでくれ」と査読依頼があり、何となく引き受けた。冒頭からなにやら鈍くさい英語で、やたらとくどくど関係代名詞が使われていたり、文章の繋がりが綺麗に行ってなかったりと、もうちょっとスマートに表現できないかこれは・・・とか思いながら読み進める内にはたと気付いた。昔、自分が書いた文章だorz

    ちゃんとチェックしてみたところ、査読が回ってきたその論文の書き出し半ページほどは、参考文献に挙げて頂いていた私の著作の書き出し半ページの丸々コピペ。どうせならもうちょい英語の上手い論文からコピペすりゃいいのに。査読割り当て担当の方がそれと気付いて割り振ったのだとしたら、何とも人の悪いことでφ(..)メモメモ とか思った。

    • > 論文の書き出し半ページほどは、参考文献に挙げて頂いていた私の著作の書き出し半ページの丸々コピペ。

      同じ分野の研究だと、書き出し半ページくらいはほとんど似たような内容で同様の論理展開になり、オリジナリティーも
      ないので、他者の論文を「参考にする」のは十分ありえることです。それが同じ研究室の先輩/後輩くらいだと、ほとんど
      同じということさえあるでしょう。

      関係者ではなく、しかも「丸々コピペ」となると、ちょっとアレすぎて弁護のしようがないですが。
      #パクリでなくても論理展開が似ていることはあるので、自分だと気付く自信はない。

      もし前半がまるまるパクリでも、後半の独自研究部分が十分すぐれているならば、
      「前半がXXの論文と文章が似すぎているので書き直せ」
      って指示をだして終わりという気もします。

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  • 氷山の一角 (スコア:5, 興味深い)

    by matsu03 (34226) on 2010年03月05日 23時46分 (#1728411) 日記
    このトルコ人ですけど、経歴全部がウソということではありません。
    一応トルコの大学で建築学を修めています。(それを米国の大学と偽ってはいるが)
    その後、ドイツの有名建築学院(修士相当)でも勉強したようです。
    だから、東大に留学する資格はあったようです。

    ここからは憶測ですが、トルコの大学を出て、ドイツの有名建築学院に留学するのは、
    むつかしい。ひょっとしたらこのあたりから書類・経歴の偽造をやったのではないか。
    それでバレなかったので、味をしめてしまった。
    外国大学の卒業証書などは偽造がばれにくい。
    (どこの国でも留学生によるこの種の偽造はほんとうに多いと思います)
    日本でも日本での学歴がなしに外国大学の修了を謳っている人は、まっさきに詐称が疑われるほど
    です。

    東大での博士論文の審査については、世間が思っている以上にずさんです。
    理系についてはわかりませんが、文系はさらにひどい。
    つい十年ほど前までは、文系では博士課程では論文を書かずに修了が普通でした。
    最近は文部省の方針で博士号(課程博士)をとらせる方向になっています。
    その際大学内部で出された指示は、
    「修士論文を三倍に水増しして出せ、内容は問わない」というものでした。
    実際それでたくさんの博士号が出され、結局修士が5年に延長されただけの結果です。
    内容的に問題のある博士論文が大量増産される背景には、
    文部省による教員の査定にこれが関係しているらしい。
    とくに留学生に博士号をとらせるのは、教員にとって大きなプラス評価になるようなのです。
    博士号を標準化するために、文部省がそう指示したようで、結果こうしたクズ博士論文が
    大量提出されるようになったわけです。

    ニュースは理系の博士論文ですが、文系の博士論文についても日本人のものも含めて
    もっと問題のあるものが多いと断言できます。

    こうした学界の劣化現象は顕著で、かつてなら卒論としても首をかしげる稚拙な内容の
    ものが博士論文として及第し、おまけに学会賞までもらっていたりする。
    これを評して、「大学院の幼稚園化」とまで言う人がいます。
    • あと、付け加えますと、このトルコ人の経歴詐称ですが、
      トルコ大使館は当然気づいていたはずです。
      日本で唯一のトルコ人有名人になっていたわけですし、大使館のパーティにも
      よく出ていたようです。元オリンピック・スキー選手でトルコ人初の宇宙飛行士なるものが
      いるかいないかくらい、トルコ政府なら知っていたはずです。
      トルコ大使館は彼が日本で人気者になっているのをいいことに、経歴詐称の事実をあまり積極的には
      警告しなかった疑いがあります。(政府筋の書類が偽造とはさいごに認めたようですが)
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2010年03月07日 12時35分 (#1728974)

      そういえば、留学生でデキが悪すぎるのを入れちゃったときに、教授の「博士号をとらせないと国際問題になる」
      の一声で、助手がほとんど書いた論文を出して博士号をとった人が居ました。

      文系については、博士課程修了時に学位が出ないのが普通だったのが、留学生を増やす→修了時に形になって
      ないと帰国してからの説明ができない→課程修了時に博士号を出すようにしろ、といった流れで、文科省から
      お達しがあって、文系でも課程修了時に学位を出すようになったとか。

      ついでに、大学院重点化で、入学者の定員を満たすことと同時に、学位取得者の人数も評価の対象にするように
      なったから、審査が甘くなる一方だと。

      いずれにしても、文科省がチャチャ入れなければレベルは維持できていた上、高学歴ワーキングプアの
      問題も発生していなかったはずなんです。

      親コメント
  • 業界の常識 (スコア:3, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2010年03月05日 20時07分 (#1728271)
    >これだけ大きな盗用を行いながら、誰もそれに気付かなかったということに驚きを隠せない。

    誰からも注目されないそこらの学位論文が、誰からも注目されないそこらの文献を盗用したって、誰も気づかない.
    いわゆるピア・レビューの厳しい目にさらされるのは注目すべき内容の論文だけであって、ほとんどの論文は投稿時の査読に通ってしまえば学術的な内容はピア・レビューの対象にすらならずに他の文献から一度も引用されることなく「消えていく」と考えてください.
    • 確かに内容がおかしいのは気づきやすいけど、盗用は気づきにくいとは思う。
      盗用を疑いながら査読したという経験はそういえばない…。
      よっぽど著名な論文でたまたま自分で直接精読していたとか、自分や仲間のだったとかでもない限り。

      最初から盗用してないかをチェックする目的で査読しているのでもないときに
      盗用に気づくきっかけは特徴的な言い回しとかだったりするような気もするので、
      査読者にとって外国語の場合は気づきにくいかもしれないというのもある。

      親コメント
  • by fcp (32783) on 2010年03月05日 22時40分 (#1728373) ホームページ 日記

    大学が調査を始めたきっかけは 2 スレ 781 さん [blogspot.com]や 11jigen さん [goo.ne.jp]による問合せだと思っているのですが、違うんですかね。

    もしそうであるなら、外部からの問合せがあったことについて大学からの発表 [u-tokyo.ac.jp]の中に記述がないのが不思議です。

    本件に関する対応の経緯
    平成15年 3月28日   東京大学がアニリール氏に学位(博士(工学))を授与
    平成21年11月13日   工学系研究科コンプライアンス室に調査委員会を設置
    (略)

    • 灯台のとある方の論文に「既出。ググれカス」という指摘をしてあげた事あるのですが、私の名前はありませんでした。

      もちろん指摘した既出論文がD論の参考文献に追加されて、いいわけがましい一文が追加されましたが。

      まぁ認めただけでも良いってもんじゃないですか。

      親コメント
      • 灯台のとある方の論文に「既出。ググれカス」という指摘をしてあげた事あるのですが、私の名前はありませんでした。

        まあ度量の狭い人間もいるってことでしょう。

        ただ、どういう言い方をしたのか知りませんが、本当に「ググれカス」だの何だのという言い方をしたのであれば、言われたのが僕なら謝辞を書きたくありませんね……。口が悪くても指摘してくれたことに感謝するべきだと頭では思っていても、限界はあります。

        まぁ認めただけでも良いってもんじゃないですか。

        もちろん、剽窃論文で博士の学位を授与してしまったという事実を認めないより認めた方がましなのは論を待ちません (剽窃 (ひょうせつ) [yahoo.co.jp] とは人の論文を盗んで自分のものとして発表することです)。でも、僕はそれだけで良い対応とは評価できません。

        僕は学問の世界のごくごく一部しか知りませんが、僕の知っている部分では、しかるべき人にクレジットを与えることは非常に重要なことと認識されています。剽窃が悪いことなのは、「しかるべき人にクレジットを与える」のとは正反対の行為だから、という面があります。

        ところが、もし本件について大学が調査を始めた理由が外部からの指摘にあったのであれば、今回の大学からの発表自体が、しかるべき人にクレジットを与えていないことになります。剽窃論文で学位を授与してしまったことを認める大学の発表で、クレジットを与えるべき相手に与えていないのだとしたら、皮肉なことです。

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  • by nmaeda (5111) on 2010年03月05日 20時33分 (#1728290)

    > だったという。これだけ大きな盗用を行いながら、誰もそれに気付かなかったということに驚きを隠せない。

    学会誌の査読委員の皆さんは、投稿された論文を読みながら、盗作じゃないかと関連論文や数々の文献、Webの世界を探し回るのが当然だとお思いでしょうか? それは現実的じゃないでしょう。

    投稿された論文か、逆に剽窃された論文か、どちらかが話題になっているとか、査読者の専門分野だったとか、そういう事情なら読んだ記憶があるかもしれませんが、そこで査読委員が気が付いたとしても、多くの場合は掲載しないだけでしょう。指導教官に知らせたりするのは手間がかかりすぎるし、トラブルになりかねなませんから。(指導教官と面識があれば別ですが)

    あなたが論文で大学や大学院を卒業されていたなら、教授陣はそこまで読み込んでいたと思われますか?

    • Re:驚き? (スコア:2, 参考になる)

      by saitoh (10803) on 2010年03月05日 21時02分 (#1728313)
      そうですね。 それぞれの分野の専門家に査読を依頼するという建前ですが、だからといってその「専門家」が関連論文を全部読破しているわけもなく。もちろん、ぐぐってみるくらいはしますけど。日本語でも英語でもない言語の論文を盗用されてたらもうお手上げですね。

      二重投稿は一度見かけたことがあります。 二つの論文誌で同じ人が査読委員していて、二重投稿された論文が両学会で同じ人に割り当てられたので発覚したんですけどね。まぁ、内容的に不採録だったので事を荒立てることなく終わりましたけど。

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    • by user003 (37747) on 2010年03月05日 22時46分 (#1728377)
      私は日本の大学院で修士と博士を取りました。
      論文内容は精読されますが、
      質問を聞いた限りはあまり調べた様子はなかったですよ。
      日本の大学はダラケ過ぎじゃないかと思いますね。
      それとも海外でも同じなんでしょうかね。
      親コメント
      • Re:驚き? (スコア:2, 興味深い)

        by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2010年03月06日 0時11分 (#1728430) 日記

        >それとも海外でも同じなんでしょうかね。

        あっちゃこっちゃの国から来たPDに聞いてみた限りでは,大して変わらないみたいですよ.
        まあ,自分のところの指導教官ならともかく,それ以外の審査員は分野も違うわけで,そうなってくると「自分の専門と違う研究分野に関して,研究の位置づけに始まりオリジナリティ,類似論文が無いかまできっちり調べて」なんてのは時間的にもまあ無理でしょう.
        少なくとも,「博士論文のIntroductionに書いてある研究の位置づけ等に関しては嘘・間違いはない」って前提で読んでると思います.
        #普通の論文の査読とまあ同じですよね.

        親コメント
  • by Anonymous Coward on 2010年03月05日 19時21分 (#1728250)
    s/助教授/助教/g

    #昔でいうところの「助手」ね。
    #今は、助教授→准教授、(昔の)助手→助教 or 助手。
    • by Anonymous Coward on 2010年03月05日 20時27分 (#1728284)

      たしかに、Associate Professor と自称してたらしいですね。
      http://sites.google.com/site/introserkan/history [google.com]

      親コメント
      • 今では事情が変わっているかもしれませんが、助教が導入された時の説明では「助教を英語でなんと呼ぶかは文部科学省としては特に決めないので、各大学で決めてくれ」ということでした。時期によっては、「東京大学が助教の英語名をまだ決めていなかった/決めていたがまだ浸透していなかったので、とりあえず、Associate Professor を使いました」と言い訳ができなくはありません。かなり苦しい言い訳ですが、職名詐称を回避できる程度には使える言い訳でしょう。

        職名詐称を回避できたところで焼け石に水だし、それ以前に、他に大ネタがたくさんあるから、追求する側も小ネタとしてスルーするでしょうけど。

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        • by tamanegi (38323) on 2010年03月06日 18時57分 (#1728764) 日記

          確かに導入時には助教の英語名は決まっていなかったと思いますが、
          助教授/准教授の英語名が導入前後のどっちでも associate professor
          で統一されていた(東大な文科省的にどうなってるかは知らない。)
          はずなので、とりあえず associate professor を使った、ってのは
          いくらなんでも言い訳にはならないと思います。

          まぁ、たしかに他に比べたらこんなのは小ネタですね。
          ミスだって言われたら、まぁそういうこともあるよねって思う程度かなぁ。

          # ついでに、助教の英語名は assistant professor で統一されてきてるかなぁ。
          # どういう経緯でこうなったかは知らない。初期は単に assistant ってなってる
          # 人もいたような。

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          • by Anonymous Coward on 2010年03月07日 5時10分 (#1728930)

            助教導入時に東大で助教やっていました。
            英語の表記はassistant professorでした。

            大学が作ってくれる名刺にはassistant professorと書いていましたが、
            残念ながらprofessorと呼べるような自由は無かったので
            メールの署名はresearch associate (昔の助手に対応した呼び方)で通していました。

            こんな事かいているのでAC

            親コメント
    • おくればせながら修正しました。ご指摘 thx。

      --
      Hiroki (REO) Kashiwazaki
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2010年03月05日 20時16分 (#1728275)
    外国人教員の割合を増やせと文科省が圧力をかけてるからなぁ。
  • 研究テーマは興味深いし、それなりの能力もありそうだったのに、残念でしたね。
    経歴詐称で就職して、ずーっとヒヤヒヤし通しじゃなかったのかなーとも思いますが、
    ヘイデン・クリステンセン主演の映画『ニュースの天才』 [gaga.co.jp]の主人公みたいな性質の人だったら、
    詐称してること自体が充実感につながるのかなあ。
    地道にやった方が、ずっと楽しいと思うけど。

    • by Anonymous Coward on 2010年03月05日 20時58分 (#1728312)

      能力がありそうに見せるのはうまいんですよね。
      実際は、経歴、業績の相当な部分が詐称や盗作であることが判明しています。
      現在の研究テーマであるインフラフリーに関しても、
      盗用が判明しているものが複数存在します。
      氏の能力で本物だと言えるのは話術くらいなものです。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2010年03月06日 14時36分 (#1728675)

    中央公論新社が盗用東大助教の著書を絶版に [yomiuri.co.jp]したそうです。
    でも中央公論新社 [chuko.co.jp]からは何も情報は出ていないようです。

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あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー

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