人から人へ感染する新型の豚インフルエンザ、米国CDCが確認 71
タレコミ by vn
vn 曰く、
日経ネット「『人から人に感染』確認 新型豚インフル、米CDC発表」およびMSN産経ニュース「米豚インフルエンザ 人→人感染ウイルスと断定」によれば、米国疾病対策センター(CDC)は24日、カリフォルニア州とテキサス州で感染者が見つかった豚インフルエンザ(A型インフルエンザ、H1N1)について、人から人への感染を確認した。一方 WHO は、メキシコで豚インフルエンザと疑われる症例がおよそ800例あり、約60人が死亡したことを明らかにした。
アメリカとメキシコのウィルス、同一の遺伝子と判明 (スコア:5, 参考になる)
Re:アメリカとメキシコのウィルス、同一の遺伝子と判明 (スコア:2, 参考になる)
>(未確定。確定しているのは一部(WHO原文より))
WHOの取扱いでは今のところ「新型」ではないようですね。
WHOでは「Swine influenza」と表現されてます。
WHO [mhlw.go.jp]
の和訳が厚生労働省 [mhlw.go.jp]
#なんだかややこしい話しです。
H5N1との違い (スコア:4, 興味深い)
一方で、メキシコはこのひと月で68名まで死者が拡大している。無症状のH5N1はニワトリでは少ないが、豚H1N1 [cdc.gov]は症状を呈さず、今回の株ではないが米国の養豚現場で30-50%に抗体が検出され、感染が視診などでは明確に把握できない。
Re:H5N1との違い (スコア:2)
検査については市民団体が活躍 [kaigiroku.jp]しているように政治面で実施できるか日本国内の情勢は厳しい。
ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:2, 興味深い)
人から人へ感染する新型のブタインフルエンザというのは、最早ブタインフルエンザではなくて新型インフルエンザと呼んで差し支えないような気もするが、
区別するのは何かの理由があるのか?
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:3, 参考になる)
一応、ご免豚も許して [jiji.com]モードに突入しつつありますがWHOの会議 [who.int]で高札が掲げられてからという算段です。
英語でpandemic influenzae [who.int]というときは東大法学部とか霞ヶ関文学に彩られた矮小化はありません。
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:1)
元々ブタ間のウィルスが、ヒト間でも流行するだけというのであればヒト間で流行する「ブタインフルエンザ」なんじゃないでしょうか?
ちなみに今回のインフルエンザウィルス(H1N1 A型)も、新型というわけではないようです。
スペイン風邪もH1N1、Aソ連もH1N1。
# 専門家ではないので予想です。
# yes, fly. no, fry.
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:5, 参考になる)
ここらへんはかなりややこしい話になってくるのだけど「HとNの抗原性の違いの程度」というものがあって。同じH1N1だからといって全く同じというわけではなく、小さな変異による株間の差(小変異)というのは常に生じつづけています。
#「Ver 1.1」「Ver 1.2」「Ver 2.0」など、バージョン番号の違いでいうところのメジャー/マイナーのバージョン違いがあるようなもの、とでも例えればいいかな?
このマイナーな部分の違いによっても感染性や病原性、毒性の強さには違いが出てきます。特に、そのヒトが同系統の株ないし類似の株に感染したことがあったかどうかで、感染時に発揮される免疫の強弱が異なり、そういった近縁の系統に感染したことのないヒトの間では特に流行しやすくなります。
こういった小変異はインフルエンザで常に起こりつづけてますが、通常はその元になった株との類似性がそこそこあるために「去年罹った人は今年は罹りにくい」みたいな状況が生じ、流行規模は比較的小さくなります。逆に言うと「類似した株」がそれまでヒトの世界になかったものほど、大流行を起こしやすいわけです。
ただこういった小変異については、「新型」として騒がれることはあまりありません。というのは、違いが連続的なものになるからです。たった一アミノ酸の違いでも「それまで存在しなかったウイルス」と言えないことはないけれども、通常はそれで、病原性が大きく変わってしまうというケースはかなり稀なので元の「旧型」と区別する必要がないからです。こう考えていくと、通常の小変異の積み重ねの場合「どこから新型で、どこまで旧型」という明確な線引きは難しく、よほどのケースでない限りは「新型」とは見なさず、「同じ型内部での違い」という扱いになります。
今回のケースの場合、ブタではブタの間で独自に小変異が積み重なっていたわけで、ヒトにとっては「不連続な株の出現」に当たります。その分、ヒトの間で小変異が積み重なっていたものに比べると違いは大きくなります……いわば、比較的初期の段階で別々に(例えばWindows用とlinux用に)ブランチして、それぞれ独自のものとしてバージョンアップが続けられていったもの同士、みたいなものとでも言えばいいかな?
ただまぁH5N1などのようにHやNが異なるものと比較すると、その差異は小さいとも言えるので、もしかしたら*そこまで*警戒する必要はないのかもしれません。ひょっとしたら、これまで流行しているヒトH1N1のいずれかとの交差性がある*かも*しれないし(ブタにはヒトインフルエンザが感染しうるので、まるっきり無関係に変異していったのではない*かも*しれない)。とりあえず現状ではタミフルが有効であるようでもあるので。ただその辺りも含めて、しばらくは今後の情報に注意しておくのに超したことはないでしょう。
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:4, 参考になる)
>スペイン風邪もH1N1、Aソ連もH1N1
これは、大流行したときの発生源・・・と思われる場所に由来するものですね。
HとNは、ウィルス外部の蛋白質結合突起の型を示しています。
でもDNA本体自体に関する情報は、考慮していません。
こうのため、H1N1でも複数の種が、存在します。
抗体から見た場合、この種レベルの違いでも別抗原としてみえるため、同一抗体
では、対応できません。
このため通常は、”どこそこ”の”なになに”株・・・会社じゃあありませんよ^^;
という形で、区別されます。
ちなみに、インフルエンザワクチンの毎年摂取が推奨されているのは、
夏の段階で、鳥が感染しているウィルスから、トリーヒトーヒトで感染する可能性のある
ウィルス株を取り出したところ、地方地方でも変異率が高く、前年の抗体が、効かない
ことが多いからだそうです。
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:3, 参考になる)
>これは、大流行したときの発生源・・・と思われる場所に由来するものですね。
これまた細かい指摘ですが、厳密に言うと「スペインかぜ」は1918〜1956に流行したH1N1の総称で、ソ連かぜ(A/ソ連)は1977年以降、現在まで流行しているH1N1の総称です。スペインかぜは、1957年にアジアかぜ(H2N2)が出現した後に一旦ヒトの世界からは消失し、そのアジアかぜも1968年に香港かぜ(H3N2)が出現すると姿を消しました。そういう風に、インフルエンザでは大変異による新型が発生すると、それまでの流行型は姿を消す、と考えられてたのが、1977年にソ連かぜ(H1N1)が出現したときには、香港かぜは姿を消すことなく、それ以降は(現在も)H1N1とH3N2の両方の同時流行が起きる、という状況なわけです。
現在流行しているインフルエンザウイルスの株は、それぞれ最初の分離地を付けて、例えば「A/ブリスベン/59/2007」みたいに命名されているのですが、これも元を正すと言うと「ソ連かぜに由来するウイルス株」ということができます。「スペインかぜ」「ソ連かぜ」というのは、そういうちょっと特殊な名称でもあったりするのです。
じゃあ、このスペインかぜとソ連かぜは同じH1N1ですが、別物なのかというと…おそらくは同じ系統に由来するものだと考えられてます。実は本当の意味での「スペインかぜのウイルス」というのはごく最近まで分離されてなかった…というのも当然で、スペインかぜの発生当時にはまだウイルスという概念すら広まってはおらず、当然その分離法なども確立されていなかったので、実際に分離されたのは1933年のワシントン株 (A/ワシントン/1/1933) が最初だったからです。これが「保存された最古のインフルエンザウイルス」であったのですが、それと最初のスペインかぜが同じものかどうかというのは証明できなかった。そして、その証明が近年、当時の患者の遺体から分離されたウイルスとの比較でようやく成功した、ということです。一方、ソ連かぜについては姿を消した当時の株と近いことが判ってまして…おそらくはヒトの世界ではH2N2に駆逐されたH1N1が、何らかの形で自然界に「保存」されており、それが何かのきっかけで再びヒトの世界に現れたものだと考えられてます。
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:1)
>1、現在広まりつつある豚インフルエンザの型がH1N1型、ソ連風邪、スペイン風邪もH1N1型。と言うことは現在のヒトは豚インフルエンザに対してある程度免疫を有していると言うことでしょうか?そのために病状が重篤化しにくいのではないでしょうか?
亜型が同じであっても、あるウイルス株によって誘導される免疫が、別のウイルス株の感染に対しても有効であるとは限りません。このコメント [srad.jp]で述べているように、同じH1N1の中でも、連続変異によるウイルス株ごとの小さな違いというのが存在します。「小さな違い」とは言っていますが、この違いは意外に馬鹿になりません。
毎年、秋〜冬になると(いわゆる季節性の)インフルエンザワクチンのことが話題に上がりますが、やがて流行期に入ると「今年のワクチンは外れた」とか「効きが悪い」とか聞いたこともあるかと思います。実は、インフルエンザワクチンはそのシーズンごとに流行するウイルス株を予測して作製されており、その予測が当たったかどうかで効き目が変わってきます。通常このワクチンは、「今年流行が予想されるA/ソ連(H1N1)系統」「今年流行が予想されるA/香港(H3N2)系統」「今年流行が予想されるB」をそれぞれ1株(多くても2株)、合計3〜5株程度を混合して用います。つまり型と亜型レベルで言うと、現在ヒトの世界で流行しているすべての型、亜型をカバーしているのですが、それでも当たり外れが出るわけです。
#例えばこの報告 [nih.go.jp]は、今年の初めに仙台で患者から分離されたウイルスに対しては、今年のワクチン株では効果が弱く、また昨年のワクチン株ではほとんど効果がない、ということを示唆してます。
このようにヒトの世界だけで流行しつづけてきた同じA/ソ連(H1N1)に由来するウイルス株の間でも、数年間でその程度の違いが出るわけです。これと比較すると、ブタの世界で少なくとも数年間は独自に変異を繰り返し、今年はじめてヒトの世界に入ってきたウイルスの方が違いは大きいだろうわけですから、これまでのA/ソ連の流行株に対する免疫が有効であるかどうか、その可能性は低いだろうな、と予測されるわけです。
#まぁあくまで理屈の上からの予測で、実際のところは「広まってみないと判らない」としか答えようはないのですけどね。
それから現行のインフルエンザワクチンについては、もともとインフルエンザウイルスの感染自体を抑制する効果はあまり期待できず、重症化の予防には有効性があるとされてます。つまり「流行株の予想がばっちり的中」したときに得られる効果が、「重症化しにくい」という、ある意味「その程度」が現在の医療の(というか、人類の)限界だということについては、知っておいていただければと…。
>2、また、もうひとつ質問なのですが、例えば、懸念されている鳥インフルエンザのワクチン(H5N1型)を作って接種したとすると、この後仮にH5N1型のインフルエンザが蔓延したとしても、ワクチンを打ってない人よりは重篤化しにくいのではないでしょうか?だとしたら、今のうちにワクチンを少しずつでも接種しておいたほうがいざと言う時にあわてる必要がないのではないでしょうか?
それが、いわゆる「プレパンデミックワクチン [nih.go.jp]」と呼ばれるもので、その開発が現在進行しています。
ただし、リンク先にも書かれているように、仮に将来パンデミックを起こしたとしても、上述のように、現在発生しているトリインフルエンザ A/H5N1に対する免疫が、そのときにヒトの世界で流行するA/H5N1に対して有効かどうかは、現時点では誰にもわかりません。「効果があるかもしれないんだったら、とっとと接種しといた方がいいんじゃないか」という考え方が出てくるのは自然なのですが、ワクチン接種にはメリットだけでなくデメリットが出てくる可能性もありまして。
特にインフルエンザの場合、1976年に米軍でブタインフルエンザが発生したとき、急遽ワクチンが作られ接種されたのですが、効果がなかったばかりか、副作用としてギラン・バレー症候群 [wikipedia.org]が多発したという苦い経験があります。なので、いきなり一般人に「効くかどうか判らず、副作用が出るかもしれないワクチン」を広く事前接種しようという動きに対してはブレーキをかけざるを得ません。少数の人でとりあえずの安全性を確かめておき、万一トリインフルエンザパンデミックが発生したときには、その新型ウイルスに対して有効な「パンデミックワクチン」が出来るまでの間を乗り切るために使用する、という形になるというわけです。
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:1)
ここでどういう回答を期待されているのかは判るのだけど、一応私も科学者の端くれなので、まだよく判らないことを、さも確定事項であるかのように答えることはできません。まだ判らないことに対しては「判らない」と答えざるを得ないし、また期待されているものとは違う回答をせざるを得ません。ただ、それは決してパニックを引き起こそうという意図があるわけではないことは、ご理解いただきたく。
まず、スペインかぜとアジアかぜについてですが、元のコメント [srad.jp]に書いたように、この両者は現在存在しません。ソ連かぜは、スペインかぜが「復活」したものだと考えられていますが、スペインかぜとソ連かぜは別物として扱われます。現在までに流行しているインフルエンザは、ソ連かぜ(A/H1N1)、香港かぜ(A/H3N2)とB型の3種類に大別されます(C型インフルエンザというのもありますが、これは通常の風邪に近いものとして扱われます)。この3つに加えて、今回、新型のA型インフルエンザ(H1N1)が出現している、ということです。
では、現在の我々が獲得している通常のA/ソ連系統に対する免疫が、今回の新型インフルエンザに対して有効かどうかというと、現時点では「判らないが、おそらく可能性は低い」と答えざるを得ません。これは一つ前の回答の(1) [srad.jp]で述べた通りです。こればっかりは、たとえ何度繰り返し聞かれても「あなたの聞きたい(だろう、耳障りのいい)回答を与える」ことは、「現時点では」できないですね。
−−−
ただまぁ、こっから先は科学者としての立場ではなく、一切責任を持てない独り言として。
無責任な予想としては、ここ [srad.jp]で述べたような感じになります。
もう少し詳細に突っ込んで、現時点で判っている状況と理論だけで、それ以外に「予想のつかない因子」が存在しない、すなわち
という前提で考えると、流行規模としては、(1)免疫を持っている人がいない、(2)ワクチンの事前接種がない、ことから、例年の季節性インフルエンザのうち規模が大きな年よりも大きくなり、(3) 異なる亜型のアウトブレイクと条件は同じか、むしろよい、ことから、最大でアジアかぜや香港かぜの出現時程度には収まるのではないか、と予想してます。実際には拡散防止の措置がされるだろうことから、もう少し小さくなる可能性もあります。
ただし、(2)のワクチンの事前接種が見込めないことから、ハイリスク群についての重症化予防ができないため、感染者数の割に死亡率は上昇する可能性は残ってます(ただし今回のは若年者死亡率が高いという点で、予想がつきにくいです)。日本では、医療従事者の次に、ハイリスク群へのタミフルの予防投与に踏み切る可能性もありますから、世界的に見ると意外と死亡率の上昇は低めに収まるかもしれません。
総合的に考えて、日本全体に「一気に」広まったとして、感染者数・死亡者数がそれぞれ例年の1-5倍くらいには収まるかなぁ、と。それでも大変なのは間違いないですが。……まぁ勿体つけて書いた割に、この程度の予想は他にも多くの人がしていると思いますが、まぁいろいろ理屈を考えても今予想できるのはその程度、ということで。
で、今できるいちばん効果的な対策は「国内での大流行までの時間を出来るだけ稼ぐこと」。これに尽きます。時間稼ぎしている間に、ウイルスの性状についての研究を進め、ワクチンを開発するなどの対策を練ることが出来れば、被害規模はこの予想よりも小さくなるでしょうから。「症状が軽いうちに罹ろう」という人が増えてしまうと、流行をコントロールすることができなくなるし、逆に却って強毒型の発生リスク自体を上げてしまうことになりかねません。その上結局、今罹ったとしても強毒型に罹らないという保証はないし、それよりはいずれ作られるワクチンに期待する方がまだ安全だろうとも言えますから。
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:2)
今回はさらに抗原性のはなれた豚インフルエンザですから、もう問屋に引き上げ破棄がなされていると思いますが、08-09シーズンの推奨株のワクチンの有効性は乏しいかもしれません。
養豚現場は判りませんが中国だと養鶏にタミフル混餌疑惑もあり、今回の墨米豚インフルエンザではアマンタジンに耐性があるようです。
タミフルは効果があるのですが、メキシコの大臣は弾ぎれを恐れてか、予防内服に待った [goo.ne.jp]を掛けているようです。
1976年に米国で作った豚インフルエンザワクチン [yokohama.jp]はインフルエンザワクチンの宿命と言える末梢神経麻痺のギランバレー症候群という副作用を起こし易かったので、この点から今回の株でワクチンを作ったあとのフォローが重要でしょう。
Re: (スコア:0)
>スペイン風邪もH1N1、Aソ連もH1N1。
スペイン風邪のHsw1N1はH1N1の元にはなっているけど一応違うんじゃなかったっけ?
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:1)
ありがとう。でも、俺、太ってること気にしてないから!
そんなに気を遣われるとかえって…
Re: (スコア:0)
・新型かどうか?
・人から人への感染があるか?
については「可能性がある」ということで、確認されてはいないようです。
「人から人への感染を確認した」というのはリンク記事のどこを見ても書いてないようですが?
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:5, 参考になる)
SARSのときは、最初のうち中国(含む香港)の当局が発表した内容ですら間違った情報ばかりで、最初は病原体はクラミジア、次に新種のメタニューモウイルスと発表され、結局はCDCによって新種のヒトコロナウイルスだということが確定されたわけで、このように発表母体の信頼性なども考えておかないといけません。この業界ではCDCこそが世界の頂点なので、情報の信頼性については、CDCからの発表を一次ソースとして重視しておくのがよいでしょう。WHOの発表はそれに比べると、少し後手に回ることも多いのですが、他国の発生状況について総括的に把握するためには必要です。
ヒト-ヒト感染が確定したことで、これを学術的な定義上は「(新型)ヒトインフルエンザ」と呼んでも差し支えはなくなったのですが、実際にそう呼ぶのかどうかや、いつからそう呼ぶかどうかは、WHOやCDC(あるいは厚労省)がどのタイミングで呼び方を変えるかに依存します。
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:2)
と、言うことで4/26朝(日本時間)WHOが出した声明 [who.int]は「結論を持ち越し」でした。WEBのtitleもswine influenzaのままです。
感染宣言がでると交通の遮断なども行われるのでかなり慎重です。一方でニューヨーク [jiji.co.jp]でもA型インフルエンザが学校で発生しメキシコ旅行から戻った生徒もいるので検査中だそうです。
これが決め手になるか?SARSのときと同じで、交通の遮断は政策としては行わず、実需の減少の結果として行われるだけになるか。なにぶんGWはもう始まっていますから。
NYとカナダの児童生徒の豚インフルエンザ確定 (スコア:4, 参考になる)
一方カナダ [www.cbc.ca]のノバスコシア、King's-Edgehill Schoolの12歳から18歳のハイスクールの生徒4名も発症し、検査で確定している。
症状はいずれも軽いが、ニューヨークでは帰国後二次3次と波及しており、メキシコで死んでいるのは成人なので、株の違いか否か評価が待たれる。
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:1)
米国で見つかった感染者は豚との接触がなかったため、人-人感染と推測されています。メキシコでは1000人規模で感染しているという話から、豚-人感染のみとは考えにくいとされています。WHOの報告を見る限りでは、タミフルは効いている(リレンザは効かないけど)そうですし、メキシコ内での死亡率も5%程度に収まっているようですので、それほど最悪の事態というわけではないようです。
帰国命令や渡航制限が出る可能性もあるので、海外旅行は止めておいた方がよいでしょうけどね。
災害備蓄をしていない個人とか、災害時の行動を考えていなかった企業は、この週末に対応しておいた方がよいでしょう。
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:1)
時事通信の記事曰く「メキシコでの犠牲者は25~45歳に集中」
サイトカインストームですかね?H1N1なのに・・・
勿論別の要因でこうなった可能性もありますが、この一文が最も気になります。
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:1)
スペイン風邪も、H1N1でサイトカインストームが起きた事例であるようですね。
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:1)
http://wwwn.cdc.gov/travel/contentSwineFluUS.aspx [cdc.gov]
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:1)
WHOのリレンザ効かないのソースは24日時点の話なんで、訂正されたと思って良さそうだね。
まぁつまりアレだ。 (スコア:2, おもしろおかしい)
「狼は生きろ、豚は死ね」ということですね。判ります。
# 豚ですが、IDで。
ヒトとブタは近いらしい (スコア:1)
SF小説で読んだんです。
ヒトとブタは遺伝的に近いから、ブタを遺伝子改良して内臓は人間と同じ臓器移植用のブタを作ったまでは良いですが、なぜか手違いでそのブタが人間並みの知能を持って ほげほげ っていう話でした。
Re: (スコア:0)
人間の味は豚肉に似ているってことか
関連ストーリー(Re:ヒトとブタは近いらしい) (スコア:1)
「豚の細胞を人体へ移植する実験、ニュージーランドでゴーサイン」
http://srad.jp/article.pl?sid=08/10/22/1528221 [srad.jp]
いろいろと取りざたされるわけだ。
いったい何が始まるんです? (スコア:1)
先月末にも、こういった流行を想定していたと思われるようなガイドラインが制定されていたのも興味深い。ガイドライン通りであれば、空港での検疫体制強化や、コールセンター設置というのは、既にフェーズ4B(人→人)感染を想定した動きをしているのだろうか。
情報提供・共有( リスク・コミュニケーション)に関するガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/09-13.pdf [mhlw.go.jp]
まさに「いったい何がはじまるんです?」という状況。こういったとき、信頼できるのはどこなんだろう。マスコミ?それともネットの一時情報? 今まさに情報リテラシーとはなんぞやが試されているのかもしれない。
とか思うんだよ、おじさんは。
Re:いったい何が始まるんです? (スコア:1)
一番信用できるのはCDC、次はWHO、次に海外マスコミ、国内厚生省、国内マスコミって所じゃないかと思う。今朝のNEWS見てる時点で、WHOの公式発表と矛盾する事言ってるニュースもいたしね。
国内マスコミは科学技術関連については特に信じられないからね。要点を削除して、どうでもいい事にフォーカスを当てた挙句、意味が逆転してしまうなんてよくあることだし。
Re:いったい何が始まるんです? (スコア:2, 参考になる)
#ぶっちゃけていうと、市民への影響とか科学的な正しさよりも、特定産業保護の方を重視してるだろ?、って時がある。
こういったときの情報源としては、やはり厚労省の方が信頼がおけます。特に今回のように「国内だけで済まない話」…WHOに従って世界的な動きに同調しなければいけない状況では、かなりいい仕事をしてくれますので。
Re:いったい何が始まるんです? (スコア:1)
農水省の組織的な情報操作を疑うべき文脈ではなくて、
単なる個人的な誤認識であり、裏方が「あちゃー」と言ってる話でしょう。
Re:いったい何が始まるんです? (スコア:1)
生体検査 [shizuoka.jp]はするけど、殺菌はしないけど、加熱して食するのは殺菌だと言いたいのじゃなかろうか?
やっぱ照射 [jaea.go.jp]してると考え過ぎな訳無かろう?
Re:いったい何が始まるんです? (スコア:2, 興味深い)
また、現場を支援するためにハリスコ州家畜衛生診断技術向上計画 [jica.go.jp]なども関与している。
Re:いったい何が始まるんです? (スコア:2)
Re:いったい何が始まるんです? (スコア:1)
今回のケースに関して、食品用の輸入豚肉などから感染するリスクについて神経質になる必要はない、という点については、農水省の声明に問題はないと思います。基本的には呼吸器からの感染ですし、特に豚肉については加熱調理して食べるのが前提になりますから。
今回のH1N1は(Re:いったい何が始まるんです? (スコア:1)
強毒性だって説が飛び交っていますけど…??
本当にそうだとすると、普通のインフルエンザと違って口や皮膚からのウィルス感染力が強いので、十分過ぎるくらいに加熱して火を通さないと危険では?
# と言うか調理したのが汚染された肉だったら手の接触でも感染の危険がある
Re:今回のH1N1は(Re:いったい何が始まるんです? (スコア:2, 参考になる)
現段階では正式な発表もないため何とも言えませんが、それは「強毒性」を支持する根拠も薄い、ということです。少なくとも高病原性トリインフルエンザH5N1 (HPAI) よりも致死率は低く、死者の発生も今のところメキシコに限られており、その状況もはっきりしません。
通常のインフルエンザの場合、インフルエンザ自体が直接の死因となる脳炎(インフルエンザ脳症)や肺炎はありますが、直接の死因となることは少なく、むしろ続発性の細菌性肺炎などの方が怖い、というケースが多いため、高齢者や乳幼児、栄養状態、衛生環境の悪い人(ハイリスク群)では死亡率が高くなる傾向があります。ただし、HPAIの場合はサイトカインストームにより、従来の低リスク群での死亡率が高いということになります。今回のメキシコのケースでは、確かに死者の中心が25-45歳ということだけで言うと、サイトカインストームを引き起こす強毒株かもという不安はありますが、もう少し詳しいことが判らないと、現時点では、そう断じることはできない状況です。死亡年齢の点では不安要素は残るものの、それ以外の点からいうと、メキシコ以外での死亡例もないし、HPAIより死亡率は低いし、主に呼吸器感染症がメインのようなので、強毒性かと言われると少し疑問が残るという感じ(アジアかぜなどのような大変異でも、発生初期の死亡率は通常流行時よりも高くなるので、そっちじゃないのかな、という個人的な印象があります…それでも初期には「高病原性」と言われることがあるのでややこしいのですが)
HPAIと同様な仕組みで毒性が強いのかどうかは、HAの開裂様式(外部のタンパク質分解酵素の助けなしに、HAが開裂可能かどうか)でほぼ決まりますので、これは今回のウイルスゲノムの解析が進めば自ずと明らかになるはずです。まぁ今のところはCDCやWHOの発表を待つしかないってことです。
インフルエンザウイルスはエンベロープを持ったウイルスであり、消毒対象として見ると比較的「弱いウイルス」に当たるものなので、通常の食品調理での熱処理や、アルコール等の消毒薬でも比較的容易に失活させることが可能です。もちろん、食品の扱いなどについては加熱や手洗いなど、「通常の」衛生的配慮を徹底することが必要なのは言うまでもありませんが、別に今回のインフルエンザウイルスだからと言って特別な対処が必要だということではありません。常に心がけているのであれば、今回のケースも問題はないだろう、くらいのことはまぁ、現時点でも言えるかな、というところ。
Re:今回のH1N1は(Re:いったい何が始まるんです? (スコア:2)
Re:いったい何が始まるんです? (スコア:1)
検疫強化といいつつ、早速強行突破 [zakzak.co.jp]されてるわけですが。
ソースがzakzakなので話半分にするにしても、この状況で任意検査はないだろうと。
メキシコ: 感染の疑い1324人、同じく死者81人に (スコア:1)
25日時点で、豚インフルエンザの疑いで死亡した人が81人、感染が疑われる人が
1324人に達した。豚インフルエンザが原因と確認された死者数は20人で変わらず。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003013&sid=akbiSBd1NGi4... [bloomberg.co.jp]
ニュージーランド: メキシコから帰国した学生10人がFLU陽性 (スコア:1)
ニュージーランドの保健相は26日、メキシコから前日帰国した学生10人が
インフルエンザ検査で陽性だったと発表した。豚インフルエンザの確証はないが、
その公算が大きいとしている。10人の容態は深刻ではなく、大半は回復に向かっている。
イスラエル: メキシコから帰国した男性1人に豚インフルエンザの疑い (スコア:1)
イスラエル保健省の26日の発表によれば、メキシコから最近帰国した男性ひとりが
インフルエンザの症状を示し、豚インフルエンザの疑いがあり検査中とのこと。
イスラエル放送の報道として共同通信が報じた。
Re:イスラエル: メキシコから帰国した男性1人に豚インフルエンザの疑い (スコア:2)
メスブタインフルエンザ (スコア:0)
Re:そもそも (スコア:3, 参考になる)
この「トリとヒトのウイルスが、ブタの体内で組み換えを起こして新型のインフルエンザウイルスができる」というのは、大学のウイルス学の講義なんかでは必ずと言っていいほど説明される内容なのですが、何と言うか、「新型インフルエンザはそうやって(のみ)生まれる」というふうに、教科書的に考えてはいけない類いの話だったりします。
というのは、そもそも「新型インフルエンザウイルスの出現」というイベントは、これまでの歴史上、たった4回しか起きてないものなのです。つまり、(1)スペインかぜの出現(H1N1, 1918)、(2)アジアかぜの出現(H2N2, 1957), (3)香港かぜの出現(H3N2, 1968), (4)ソ連かぜの出現(H1N1, 1977…H1N1の再出現?)の4回(ソ連かぜでは新しいHNの組み合わせが起きたわけではないので、3回とカウントする人もいますが)
このうちH2N2とH3N2の出現は、ヒトのインフルエンザウイルスにトリ由来の遺伝子がブタの介在で入ったものだと考えられてますが、それでも「4回のうち2回」がそうであった、というものです。これに対して、スペインかぜは恐らくトリ由来のものが直接ヒトに感染するようになった(現在の高病原性H5N1が同じメカニズムと疑われてる)ものだし、ソ連かぜの出現のメカニズムについてはよく判っておらず、そもそも「それまでの常識を覆したもの」とだったわけです。
つまり「ヒトとトリのウイルスがブタに同時感染して新型が生まれる」ということは正しいのだけど、「新型は(常に)ヒトとトリのウイルスからブタを介して生まれる」という、逆は成り立たないのです。今後も、もしかしたらまったく別のメカニズムで「新型」が発生する可能性も存在しているというわけです。
Re:そもそも (スコア:2, 興味深い)
(snip)
>たった50年くらいのあいだに4回という回数は、人間のライフタイムと比べれば十分多いような。
確かにそうです。でも、じゃあスペインかぜ以前に同様な大変異が起こっていたかどうかというと、実際のところは「判らない」としか答えようはないのですが、その可能性はむしろ低いんじゃないかと。
#ここらへん(一応、微生物感染症学が専門とはいえ)インフルエンザウイルスの専門家というわけではない個人の推測を含みますが
インフルエンザという疾患が、スペインかぜ以前からあったことについては間違いがありません。しかし、それらのインフルエンザとスペインかぜは、重篤度からも伝染力からも全くの別物と言っていいほどのものです。スペインかぜは当時のトリ由来のウイルスがヒトの世界に入ってきたものと考えられてますが、もともとインフルエンザウイルスは水鳥を宿主とするものであり、水鳥にはH1〜15 (16), N1〜9のすべてのものが存在し、非常にバリエーションに富んでいます。これに対してヒトを宿主とするものは、H1N1, H2N2、H3N2の3種だけに限られます。もしもスペインかぜ以前から大変異が頻繁に起こっていたのであれば、ヒトにおいてももっとさまざまな種類の亜型が存在していておかしくないはずです。
スペインかぜ以前と以後とで、インフルエンザはほとんど別の疾患と呼べるものになってしまったという可能性があります。何分にも、スペインかぜ以前の記録については不明な点が多すぎるので何とも言えませんが、ひょっとしたら以前は、ヒトのインフルエンザはそもそもバリエーションが極めて少ないものだったのかもしれません。それがスペインかぜの出現によって、トリに存在する多様な亜型を受け入れる「入り口」が生じてしまったのかもしれない。例えば、こういった亜型の話はすべて、A型インフルエンザウイルスに関するものであり、B型インフルエンザウイルスにはこのような亜型の違いは存在せず、ヒトのみを宿主にしています。もしかしたら、スペインかぜ以前のA型インフルエンザウイルスも同様に、ヒトのみを宿主とするバリエーションの少ないものであったのかもしれません。さらに言うなら、スペインかぜ以前に記録が残っている「インフルエンザ」の多くが、そもそもB型インフルエンザで、実はスペインかぜ以前にはヒトを宿主とするA型は存在してなかったのでは?とか、実はそういったすべての(トリインフルエンザやA型B型なども含めて)インフルエンザウイルス自体のバリエーションが、当時は極めて少なかったのでは?いう考え方もできるかもしれません。
こういった考え方の一つの証拠としては、ウイルスタンパク質の進化の時期に関するいくつかの研究を挙げることが出来るでしょう。例えばヘマグルチニン(HA, H)のアミノ酸配列の違いから、A型とB型の分岐が起きたのは4000年前頃 [nih.gov]という説がありますし、A型でヒトとブタでの分岐が起きたのが1905年頃 [nih.gov]という論文が出てます(これらはやや古い論文ですが)。また、ノイラミニダーゼ(NA, N)のアミノ酸配列の違いから、ヒトとトリのA型インフルエンザウイルスの分岐が起こったのは1890年以降 [nih.gov]で、トリでの多様化もそれ以降に起きているという論文も出てます。これらの研究結果がどの程度「確からしい」と言えるかについては、今後のさらなる研究が必要だと思われますが、少なくとも、スペインかぜ流行の少し前に、何らかのきっかけによってインフルエンザウイルスが大きく変化するイベントがあったと考えることができるでしょう。それが何かについては判りませんが、現在のような大変異が生じるメカニズムは、このときのインフルエンザウイルスの変化に伴って生まれたとも考えられることができます。
それは不況のせい (スコア:1)
今日はチャーシューメンじゃなくてネギラーメンにするよ。
ネギは万病に効くねー。
Re:豚骨スープとチャーシューが危ない (スコア:1)
適当にぐぐってみたところ、鳥インフル(H5N1)に関して日本の資料でよく引用されるのは
ACM/663 [food.gov.uk] Avian Influenza (ACM/663) ; ACMSF 50th Meeting Agenda 4 December 2003
OIE [oie.int] Highly pathogenic avian influenza
WHO [who.int] Avian influenza A(H5N1) in humans and in poultry in Asia: food safety considerations
などのようですね。
豚インフルについてどうなのか、は分かりません。
Re:豚骨スープとチャーシューが危ない (スコア:1)
Can people catch swine flu from eating pork?
No. Swine influenza viruses are not transmitted by food. You can not get swine influenza from eating pork or pork products. Eating properly handled and cooked pork and pork products is safe. Cooking pork to an internal temperature of 160°F kills the swine flu virus as it does other bacteria and viruses.
となっております。参考までに、華氏160度は摂氏71.1度に相当します。
ファストフードチェーンで一部の豚肉メニューを中止するところも出て来ていますが、
それは科学的に安全を考えてということではなく、あくまで心理的な問題です。
正規に処理され、ちゃんと加熱調理された豚肉を食べることには特に感染リスクはありません。