職能発明者にたいする「相応の対価」廃止、検討中 216
ストーリー by Oliver
会社と社員の共同成果物 部門より
会社と社員の共同成果物 部門より
Anonymous Coward曰く、"現在、産業構造審議会知的財産政策部会で特許制度の変更について審議がおこなわれており、そのなかで職能発明をおこなった発明者にたいする「相応の対価」の支払い義務規定の廃止が検討されています。第10回特許制度小委員会の配布資料とか第7回の議事録に資料があります。
社員と会社間の特許に関する裁判や「相応の対価」の算出が難しかったり
時間がかかることをリスクと考えている企業側からの強い要望のようです。規定を廃止して、個々の技術者と会社の契約にまかせるべきというのが廃止を主張している企業側の意見ですが、個々の契約に任せた場合、会社より立場の
弱い社員にとって今までは貰えていたものすら貰えなくなるかもしれません。
特許で技術をまもることが重要といいつつ、実際に特許を書く技術者を虐げる
ような方向はどうなのよと思うのですが、/.Jの皆さんはどう思いますか。この話は特許庁に勤める友人から「いま技術者が声をあげないと、このまま
通っちゃうよ」といわれたけど、とりあえず技術者の声を吸い上げる団体も
ないのでとりあず/.Jにタレこんでみた次第です。
特許庁のパブリックコメントを提出するためのページには、現在のところこの件に関するパブリックコメントは募集していないです。一般的な問い合わせ先は
特許庁の問い合わせ先一覧の法律・政令等の制度に関すること(改正)あたりに意見を送ればいいかもしれません。"
どう決めようが (スコア:5, すばらしい洞察)
しかしながら、国として企業を「抑える」こともちゃんと考えないと、企業こそ強大な力で国家を脅かしかねないとんでもないものになる、ということをきちんと考えておくべきでしょう。米国流のやりかたでは国は企業の集合体である、という「企業専制」政治が当たり前になってしまったけれど、このやりかたの持つ問題点は実に多く、そういう「バカな企業」「社会への奉仕を一切考えない企業」「国を滅ぼす企業」を抑えるには、こういった企業にとってややこしいことになる、国の「シバリ」は絶対に必要でしょう。
50年前、米国の大統領が既に喝破している。
「これまでは王制の専制政治だったが、これからあと何十年後には、米国は企業専制の時代になる。しかしながら米国民はすべて豊かで自由でなければならないから、これをどう抑えるか、国が考えるべきだ」と。
ここで本当の問題は、かの委員会での委員が日本人全員の幸福をちゃんと明確な目標として持っていない、ということだと思う。この目標に立ち返るのであれば、企業の暴走を抑えることも必要だし、一社員をいかに企業の横暴から守るか、という視点もあって然るべきだ、ということ。弱い「社員」という立場が持つ最大の武器を、奪い取るような動きは、実は企業を国に優先してしまう、という亡国への道だ、ということをわかっていない、ということ。
日本はいま、米国のような社会に突き進んでいるけれど、これは大変に危険だ。米国民の数パーセントが国の富の90%以上を持つ、という国はあまりに富の格差が広がりすぎ、結果として犯罪は増える一方だし、多くの人は豊かでないことは言うまでもない。
国民の利益を第一に考える政府は、企業の利益を第一に考えるようなことはしてはならないです。
知財大国 (スコア:4, すばらしい洞察)
報酬が高いと言っても、その特許で支払う報酬以上に儲けているわけだから、それぐらい還元しても問題ないと思うんですけどね。
それぐらいの額をケチったり、他の職種との不公平感を持ちだしたり、そこまでして研究者のやる気を削ぎたいのでしょうか。
Re:知財大国 (スコア:1, すばらしい洞察)
「不公平」の一言で頑張った人に報いる制度を廃止しようとするとはあまりに愚かですねぇ、、
もうすでになりかけてますけど、「誰も何もしない国」まっしぐらですね。
Re:知財大国 (スコア:1, 興味深い)
なおかつそれが少ないように思われているのはかわいそうだな。」
とアメリカ企業に言われたという、企業側委員の主張はまさに噴飯モノ。
元の給与体系やその金額、雇用条件がそもそも全然違うんだよ!
(海外の某有名ファブレス半導体メーカーに転職した知り合いの
年俸や条件には正直ビビらされた)
あんたみたいなのがいるから、日本企業の競争力が落ちるんだって。
Re:知財大国 (スコア:2, おもしろおかしい)
「日本の企業は、あんなにお金を払って、
なおかつそれが少ないように思われているのはかわいそうだな。」
と言われたそうですが、単に「特許一件あたり五万円」を
「五万ドル」と誤解されただけなのでは。
Re:知財大国 (スコア:1)
その場合のリスクを企業がいやがっているから今回の件なのではないだろうか?
国家の立場に立てば理想的にはどうするべき? (スコア:4, 興味深い)
企業が発明者への褒賞を与えるのは社員がやる気を出してくれて利潤につながることを期しているのであって、
その限りで発明者への対価は抑えたいし、コストも減らしたい。あたりまえのことだ。
発明者は当然ながら、自分の発明に対して十分な対価をもらいたい。
これもあたりまえのことで、企業との間で利益配分比をめぐってつな引きが起こる。
裁判では比例配分の正当性が取りざたされることになるが、アプリオリには正当性に関する基準なんてあるはずがない。事前にきちんと約束をしておいてあとで正当性の基準とするのがいちばん自然なやりかたで、それが無いとかあいまいだとかで不調なら、第三者(裁判官だったり)の常識に委ねるのが次善の自然なやりかただ。
ここまでは、ごくごくあたりまえのことだと思うがどうか?
さて、
ここに敢えて国家が立法の形で介入する以上は、国家の立場から見た利益がある。日本国に税金を収める国民や法人たち全体の利益のために、一企業 and/or 一個人の目先の利益に反する決定を下すことのできる立場は国家だけだ。
企業に甘い基準をつくれば、有能な個人が海外に流出していく傾向に拍車がかかるかもしれない。個人に甘すぎれば企業の活動に制約がかかり、投資がにぶるかもしれない。
スラド諸兄の多くは個人の立場を重視されているようで、これもある意味あたりまえなのだが、ここで敢えて、
「国家の立場に立てば理想的にはどうするべき?」
と思うか、御意見をうかがいたい。
もっと具体的に言うなら、
日本 vs アメリカ の特許抗争に勝つ(もしくは負けない)ためには、どんな法律、どんな制度にするのがいい?
Re:国家の立場に立てば理想的にはどうするべき? (スコア:1)
特許報酬を一時所得扱いにして、非課税もしくは低課税率にするのが一番じゃないかな?会社側の経理処理でも、必要経費扱いで非課税対象として処理できるようになれば、企業も特許報酬を出しやすくなるでしょう。
ついでにストックオプションの利益も、一時所得扱いに戻した方が、株価維持にはいいと思うけどねぇ。
#問題は特許報酬が、正しい発明者には行かないで、役員の裏の特別報酬になるだけ、って可能性が大なことか(苦笑)
Re:国家の立場に立てば理想的にはどうするべき? (スコア:1)
馬場徒 [incs.co.jp]
これを読むといろんな所に改善点がありそうですね。
金型や生産ノウハウを中国などの海外に持ち出している企業や
管轄のなわばりや過去の自分の方針を守る為に足を引っ張っている 省庁とか
ここにかかれた記事全部が全部に賛同しているわけではありませんが、
参考にすべき点は結構あると思います。
めんどくさい (スコア:2, すばらしい洞察)
>リスクと考えている企業側
面倒な仕事はしないで済むようにしてください、お上様。
って考えですかね。
こんな考えの企業に入ってしまった従業員は、
面倒な仕事は一切やらなくなるでしょう。
経済学的には正しい (スコア:2, 興味深い)
企業の知的生産物への報酬が安すぎるなら、自然と良い技術者が流出していくでしょう。つまり、市場の力にまかせればよいのです。 ですから、法律で「相応の対価」が決められてるのは変な話だと思う。
…以上はもちろん、日本の労働市場の流動性が低い(転職が少ない)という事実を無視した原則論です。
それはどこの経済学 (スコア:2, 興味深い)
えーと、それはどいつの経済学なんでしょうか?
新古典派の原則論だけが経済学だと考えるなんて、
フリーソフト=無料のソフト、って主張する並に無茶苦茶ですぜ。
ご存じのように新古典派では市場の効能を至上のものと考えますが、
その市場が不安定で不平等な状態では正しい分配は不可能です。
これを労働市場において考えてみると、
雇用主と被雇用者は本質的に対立関係にあり、しかもその力関係は、
雇用主>被雇用者 だから、このまま何もせず市場に任せれば、
自然と雇用主>>>被雇用者 になり、こんな歪んだ状態では
市場はその力を最大限に発揮できません。
そこで必要なのが、労働者の技能の所有や社会保障制度のシステム化。
これにより最初の状態を雇用主=被雇用者に近づけることで、
労働市場はさらに効率的な分配が可能になると。
ほら、これで新古典派の原則的にも「相応の対価」が必要になってしまった。
ただの弱肉強食の状態を“経済学”的に正しいわけではないのです。
Re:経済学的には正しい (スコア:2, 興味深い)
> 経済学の原則からいえば、最低賃金法と同様、こういう規定の存在は有害でしかないのでは?
それは あまりにマヌケな経済学派です。
欧米ですら、最低賃金規制の枠外に置かれる 移民労働者や域外労働者の劣悪な生活状況からいえば、最低賃金法すら不十分なんです。
>ヨーロッパの失業率が高止まりしているのは、高すぎる最低賃金や手厚い失業手当のせいだ
日本より失業率が高いのは 計算の方式が違うコトが1つ。
また、「市場にまかせれば うまくいく」のなら、最低賃金の有無と
失業率とは関連しない。
労働力が不足しているなら、労賃が上がるはずであり、
失業者を「最低賃金以上で雇用する」状況となる。
> 企業の知的生産物への報酬が安すぎるなら、
> 自然と良い技術者が流出していくでしょう。
労働者の流動は 「転職に伴う様々な コスト」が労働者にものしかかってくるので、竹中レベルの経済学者ごときの念仏のようには起きない。
> つまり、市場の力にまかせればよいのです。
市場に任せるのが 万能でないどころか、愚策であったから
様々な 規制が行われてきたことこそが「原則」
かつての「市場万能論」華やかな時代には、16時間すら普通にみられ、不当解雇や 児童就労や、生活できない低賃金 が 蔓延してきたのだから。
どこの経済学ですか? (スコア:1, 興味深い)
最低賃金というのは,弱者のための規定.でもって,最低賃金は驚くほど安い.実際のところ,マクドナルド以外で最低賃金で働いている人っている?
あと,経済学において失業率の問題ってのはとても奥深いんだけど,ずいぶん表面的なところに原因を見つけますねえ.リベラルな経済学者というと誰でしょうか?
法律に規定されているのは「相応の対価」そのものではなくて,「相応の対価を支払うこと」にすぎませんが?
ほっとけば解決するかもしれませんが,低位安定の可能性もあるわけで.たとえ解決するにしても,それまでの間はどうするの?
#長期的には我々はみな死んでいる
ますます特許書く気が無くなる。 (スコア:2, 興味深い)
従来のレートの 1/100に下がりました、、(泣)
こんな制度変更があった日にゃ、会社と
「10億円の儲けにつき1円の小遣い」のレートで
契約を結ばされるのが目に見える。
なんとか反対運動をする方法は無いものでしょうかねぇ。
ふとおもった。 (スコア:2, 参考になる)
それを使った商品やサービスを買う消費者いてこそだとおもうが。
とりあえず、技術者も消費者なのだから
その辺も考えてみたらどうかと思った。
技術者ギルド、トンデモ経済学や政治構造、役人、企業における経営と
議論百出で大変よかったけど、技術(特許に値するしないは別にして)ってのは
人間の暮らしをよりよくする為にあると思うが。
それに対し、あまり曖昧さがあってもいけない事項かも知れないが
かといって、余り厳密にするのも良くないと思う
昔の宰相曰く。
宰相「市の鍵と、獄の鍵をお渡しします」
後任「これだけですか、仕事は?」
宰相「これだけです。この二つの手綱を中庸に操りなさい」
後任「どういう意味で?」
宰相「市は財と人を集める、獄は財と人を裁く、しかし四角四面ではいけない」
宰相「四角四面だと、どうしてもはみ出てしまう異能の才や財がでる。」
宰相「得てして、そう言う輩がそう言う財を使って乱を起こす」
宰相「乱が起きるのも構わないが、その時迷惑するのは一般の民だ」
宰相「むしろ、全ての財と人が適度に程良く動ける様にするのが宰相の勤めである」
近代国家思想より2000年前に「水清ければ魚住まず」
さらに前+100年に、こういうお話があったそうな。
勿論、宰相はこういう手法を「ライセンス」とかいって
強制はしなかったそうな、そしてパプリックドメインな寓話として
今に伝わり、誰でもこれを断り無しに使えるのであった。
今の議論を読むと、今の技術は、
永遠にパブリックドメイン化しないと思った。
こうして (スコア:1, すばらしい洞察)
海外じゃなくても (スコア:2, すばらしい洞察)
# むしろそのほうが良いと思う
Re:海外じゃなくても (スコア:2, すばらしい洞察)
自分の研究の価値を理解していない
企業にいるのに自分の研究が価値を生むかどうか考えていない
企業or社会にそれをアピールすることもできない
そんな人はお金になる大した特許は作れないと思いますよ。
本当にお金になる研究をしているのなら、交渉で弱いのはむしろ企業だと思いますが
もちろん研究者に利益が行くとなったら、企業は研究者にそれなりの業績を求めることになります。
この制度変更に反対する人はむしろそれがこわいのでは。
足のひっぱりあいは止めましょう。
------------------------- Excess and Obsolete
Re:海外じゃなくても (スコア:2, すばらしい洞察)
それは、制度の変更にかかわらず変わらないでしょう。
技術者に利益が行くかいかないかにかかわらず、企業はそれなりの業績を求めてくるわけです。
また、プロジェクトの方針に沿って特許を取れる技術を開発している場合、技術者がその価値をいくら理解していたとしても、企業と社員の交渉ではどうしても企業のほうが強くなると思います。
だからこそ、その弱い立場の技術者を保護するために、制度があったのでしょうし、裁判もおきるのだとおもいます。
Re:海外じゃなくても (スコア:1, 参考になる)
そうそう
そして愚にもつかない特許が増えていくのでR
Re:海外じゃなくても (スコア:2, すばらしい洞察)
> 言って来ることもありえるわけで、
> 不利なのは会社のほうだと思うんですけどね。
・「業務上の秘密保持」とかなんとか 就業規則に書いてある
・同業他社で 自身のオリジナル アイデアを持ち込んでも
いろんなデッチアゲ証拠で「業務上の秘密を漏らした」と告発
・個人 vs 企業での 訴訟戦では 企業が圧倒的に有利
・一度か二度 こうした「みせしめ」を見せれば 「飼いならし終了」
ってことが 起きるダケでしょ。
技術者だけの ギルドでも作って 圧力団体にするしかないかもね。
日本医師会みたく。
Re:こうして (スコア:1, おもしろおかしい)
何をすればよい? (スコア:1)
技術者として何か行動したいけど、何をすればよいか思いつかん。
何したらいいのでしょう。署名運動?
Re:何をすればよい? (スコア:2, すばらしい洞察)
まっさきに抗議すべきでは。
Re:何をすればよい? (スコア:2, すばらしい洞察)
Re:何をすればよい? (スコア:1, 興味深い)
海外旅行行ったりとかしてさ :-p
営業同士だって場所や時期によって売れるところ売れないところがあるだろうに(^^;
某ファミレスなんて、配置された時点で目先に出世は決まったも同然だったもんなぁ。
総務や経理なんて、まともにやってたんじゃ評価されないから
システム入れて「経費削減効果1億円です」とか言って、
その1億円分は社員一人一人の手間になっているというのに :-p
技術者ががんばれば、営業も楽になるとは思わないんでしょう\(^o^)/
技術がない会社でも営業ががんばって稼いでくれれば、
ボーナスも出るようになるので、
営業のみなさん、サービス残業、おつかれさまです :-p
Re:何をすればよい? (スコア:1)
つーか、今や企業にとってアウトソーシングの対象ですね。
人事すらも。。。。
Re:何をすればよい? (スコア:1)
会社は同じかもしれないけど同じ仕事じゃないから。
就職と就社の意識の違いにも通じると思う。
Re:何をすればよい? (スコア:1)
これは違うでしょう。これは発明者に対する「相応の対価」の話であって、「誰か(発明者)」のおかげで儲かった金の一部を「誰か」に還元するということだから、「他の人の賃金」が下がることにはならない。むしろもし「誰か」がいなければ、それだけ金が儲からない訳だからその分「他の人の賃金」が下がってもいいはず。
Re:何をすればよい? (スコア:1)
いいえ、その場合は企業は「儲かった」とは言いません。人件費とて経費ですから。
Re:何をすればよい? (スコア:1, すばらしい洞察)
一番良いのは、きちんと技術に理解を示して対価を支払ってくれる企業にあっさりと転職すること、だと思います。
大企業だから、将来が安定だからといって対価の出ない企業に居続けることこそが経営者の思うツボなわけで。
「相応の対価」がリスクになるか? (スコア:1)
実際にあげた利益実績から計算して支払えば良いのだからそれはリスクではないと思うのです。むしろ、会社組織は、営業損失のリスクなど、発明者に責任のないリスクを発明に負わせることもできるので、対価を支払ってもなお有利なはずです。
単にこれまで既得権化していた構造(会社の丸儲け)を固定したいがための理屈でしょうな。
政策としては、相対的に低い日本の技術者の給与水準を更に引き下げて、理工系離れを更に加速させたいのでしょうか。:-p
の
Re:「相応の対価」がリスクになるか? (スコア:5, すばらしい洞察)
>「相応の対価」は、リスク要因なんでしょうか?
企業にとっては、リスク要因です。
たとえば「特許による利益の1割を還元する」という社内規定があっって1割を報酬として還元しているとします。
その後、世間の相場が変動して「相応の対価」が2割程度であるという事になると、原価が変わってしまうため、販売価格、利益計画などが変わってきます。
場合によっては、それだけの原価を支払うと生産を維持できない場合も出てくるでしょう。
「相応の対価」なる、将来変動する可能性のあるものはリスク要因です。
もちろん、右肩上がりとは決まっていませんから「リスク」ではなく「リスク要因」なのですが。
>実際にあげた利益実績から計算して支払えば良いのだから
そもそも、その利益実績というのは計算が難しいですよ。
もちろん粗利であれば簡単に計算できます。
しかし、単純に粗利で計算したのでは適切な還元はできません。
たとえばプリンタなどではプリンタ本体は安価に設定して、インクやトナーなどの消耗品で利益を回収するという構造になっていますが、その場合プリンタ本体の特許を取った技術者は正当な還元を受けられないでしょうし、インクの特許を取った技術者は不当に多くの還元を受けてしまうでしょう。
また単一の特許だけが使われている製品と、複数の特許が使われている製品では、還元の割合をどうするかというのを個別に判断しなくてはいけません。
それと、一口に「特許」と言っても、基礎的・広範囲な特許と特定狭分野の特許では評価方法が変わってくるでしょうし、たとえ狭分野の特許であっても、それで劇的に生産コストが下がるとか大きな貢献となる場合もあるかもしれません。
「相応の対価」が簡単に計算できるのは、その特許を外部にライセンスして得たライセンス料ぐらいのもので、それ以外の実際生産に使われる特許なを正当に評価するというのは簡単な事ではありません。
Re:「相応の対価」がリスクになるか? (スコア:2, 参考になる)
ここで、
とすればどーか、という話がありますが、どんなもんでしょうね。
Re:「相応の対価」がリスクになるか? (スコア:2, すばらしい洞察)
>たとえば、企業が中村修二に「2万円」を払った。企業はその発明の
>正当な価格を「2万円」と見なしたわけだ。それはそれでよい。だか
>ら、中村修二は、その価格で発明を買収できる。「2万円の価値しか
>ない」と企業は主張したのだから、2万円で権利を奪われても文句は
>言えまい。さもなくば、自己矛盾だ。
これ、いいですね。
企業との個別契約をするときに、この条件を盛り込めばいいのかな。
Re:「相応の対価」がリスクになるか? (スコア:1)
ノーベル賞ものの発明をしても、製品化、営業が上手く行かないと利益にはつ
ながりません。会社がその発明の真価を理解していないと、特許料で儲けること
もおぼつかないし。
なので、音楽や出版物のように製品の売り上げで判断するのは難しいですね。
いや、会社、開発者双方がそれで納得するのであれば別にいいんですけど。
発明の場合は、その真価を理解しているのが会社でも開発者本人でもない、別
の業界(分野)の人だった、、、なんてこともあるので、よけいに難しいと思い
ます。
相応の対価って (スコア:1, 興味深い)
・発明されるまでのコストが予想利益を大きく上回っている
・前出のような事も含め企業的には賭けだった
そして賭けに負けた
という時に、企業が発明者にマイナスの対価を請求する事は可能なんでしょうか??
Re:相応の対価って (スコア:2, 興味深い)
会社は社員から損失分請求できないんですよ。
特にこの3つはいずれも会社のOKが出てやってるんで
ひっくり返っても請求はできません。
というか請求できたら大変なことになってしまうでしょう。
・誰もまともな発明をしなくなる(特許を出さなくなる)
・失敗した技術開発の損失分を悪い会社は特許を出した人間に
請求するようになる
などなど。
Re:相応の対価って (スコア:1)
「特許が取れるほどの発明」と「特許がとれるほどの技術者」をかかえながら、それを利益につなげることができなかった経営者が無能なだけです。
むしろ、研究費と人手が足りない分を自分の給料と休日で補填する逆使い込みをしてしまう人の方が技術者には多いような気がします。それでさらに責任まで取らされたら、踏んだり蹴ったりです。
Re:相応の対価って (スコア:1)
小手先の対応? (スコア:1)
・特許庁が、審査請求を捌ききれていないので、全体的な数を減らしたい。
・戻し拒絶となる請求を減らしたい。
・これまでのものの発展型ではなく、新たな技術の創造を推進することで、国際競争力を付けたい。
といった理由が説明されていますね。
でも、現場に近い(らしい)人と、現場にいないと言っている人の間で、だいぶ認識が違うように読めます。
乱暴に要約すると、
@現場側:質と量の両方を押し進めないと世界を相手にやっていけない。
@上の人?:量を減らして質を上げよう。数を減らせば手間も減る。
といった感じでしょうか。
後半に企業に任せて云々という話に移っていましたが、企業任せというのはどうなんでしょうね。
発明者への「相当の対価」が賃金であるべきではないとか、「相当の対価」を金額として求める裁判が多すぎるとかいった話から、
この改正の話が持ち上がったようなのですが、委員長の発言内容ははどうにも考えが安易に見えます。
この辺の対価の与え方というものを、もっときちんと議論してもらいたいものです。
#それにしても、「インセンシティブ」という言葉が何度も出てきますが、「insensitive」として辞書を引くと、「反応のない」よか、「鈍感な」「感覚の鈍い」といった意味が出てきます。
でも、それだと意味が通じない気がする。(発明者にインセンシティブを与える)とか・・・。
#どんな意味なのか、わかる方教えていただけませんか?
ψアレゲな事を真面目にやることこそアレゲだと思う。
Re:小手先の対応? (スコア:1)
#親記事では書き間違えてました。失礼。
ψアレゲな事を真面目にやることこそアレゲだと思う。
Re:小手先の対応? (スコア:1)
絶対 ゴミ特許申請増えますよ
もし 本当に理由がそれであるのなら
特許の有効期限を思いっきり短くするのが一番かな?
発展系の特許でも進化するスピードが速くなりそうだし
甘みを薄くすれば寄ってくる蟻も少なくなる
どうだ?たぶん正解じゃないか?企業から反感買うだろうけど
まぁとにかく その手の理由は立前でどっかに本音があるんだろうけど
本当の理由はいったい何なんでしょうねぇ
Re:小手先の対応? (スコア:1)
今よりも悪化はしないような。
そもそも特許に絡むようなものは基礎研究とは呼べない気がするけど
数学とか基礎物理とか
面倒だから... (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:面倒だから... (スコア:1, 興味深い)
特許ネタを考えたら、即座にどっかのサイトに書き込みをする。
あとで「これは公知でしたテヘヘ」といって書くのを止める。
というのはどうか。
発明程迄の事ではありませんが (スコア:1)
Re:発明程迄の事ではありませんが (スコア:1)
「コピーライト表記を会社でなく個人に」するどころか、自社のものにしていたところ、親会社のものに変えさせられたことがあります。
Re:特許法35条にある職務発明規定を廃止せよ (スコア:2, 興味深い)
一見、もっともらしいですが、「技術屋は契約に疎い」ということを
忘れています。
この記事では
> 特許法35条にある職務発明規定は廃止し、企業と社員が
> 個別に契約を結ぶルールを確立するべきだ。
とありますが、企業は簡単に弁護士を雇えるけど、社員が個別に弁護士を
雇うのは難しい、そのため契約や法律に関する知識は社員のほうが
圧倒的に不利ではないでしょうか。
いちおう、記事のほうでも
> ただし企業だけが有利になるような個別契約を考えているようなら、
> 国際競争力を持つ企業は生まれないだろう。
とありますが、企業だけが有利にならない個別契約はどうしたら結べるか
という具体的な方法や案がないので、あんまり参考になりません。